目の不自由な人が音の編集ができるのか
今日の午後、全盲でありながら自然の音を録音している森さんのお宅にうかがいました。森さんには、今まで六義園や三番瀬で録音の方法を伝授したり、行徳野鳥観察舎で生きた鳥に触ってもらったりして研鑽を積んでいただきました。今日は、音の編集の方法を教えて欲しいとのことでの来訪です。
森さんは、パナソニックのノートパソコンにスピーカー(YAMAHA MSP3)をつないで音を聞きながら編集しています。なお、編集ソフトはSoundForge Pro Ver.10.0を使用しています。
彼が、ファイルを読み込みませると見慣れた波形が表示されます。目が不自由なのですからマウスは使えません。すべて、コマンドを打ち込みます。また、コマンドは音声案内があって、それにしたがって操作をするのですが、これが早いのです。まず、音声案内はとても早口に設定してあります。私が聞き取れないほどのアナウンスを聞き取ります。例えば、ファイルを読み込むときは、ファイル名が次々と読み上げられていきます。その中から必要なファイル名を聞き取り、あっという間に表示させます。
そして、編集段階に入ると読み上げてくれるコマンドをキー操作だけで行います。削除、フェードインやフェードアウト、音量のアップ、低音ノイズの軽減、クロスフェードなどキーを操るだけで、あっという間にやってしまいます。
私自身、今までマウスを使ってサクサクと編集をしているつもりだったのですが、目の見えない森さんのコマンド操作のほうが、はるかに早いのです。これには、驚きました。
私がアドバイスできるのは、スピーカーの位置の調整、スピーカーの左右のボリュームのズレを教えて上げるくらいしかありません。
SoundForgeは、波形表示のみでスペクトル(声紋)表示はありません。考えてみれば、音を見えるようにスペクトルで表示しているのであって目の見えない方にとってみれば見えないのですから必要のない機能となります。音の時間さえ把握できれば良いわけですから、波形表示で充分ということになります。
また、「プッチ」という短いノイズを取るためにには、マウスで短い範囲を指定して削除をするわけですから、見えないと難しい作業だと思っていました。これも、音を聞いて場所を指定して、なんなく取れるとのこと。かなり細かい作業も、可能であることがわかりました。
SoundForge自体、かなりこなれたソフトで編集機能は満載されています。操作もさほど難しいとは思えません。しかし、編集をする音を聞きながらさらに音声案内も聞きつつ、コマンド操作をするというのは、かなりたいへんな作業です。それを、サクサクとやってしまう森さんは凄いと思いました。
野外で録音した音源は、フェードインやフェードアウトをかけたり、いらない所をカットしたりしなくては、人に聞かせることはできません。どうしても、編集作業が必要となります。目の不自由な人は、録音はできるけれど編集は難しいと思っていたのですが、森さんの作業を見て、可能であることがわかりました。
これからは、目の不自由な方々に野外に出て録音をしようという提案を自信持って行えます。
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