大雪がシカに与える影響-日光
たしか1960年代後半のことだったと思います。今回と同じように、関東地方に大雪が降って日光ではシカが餓死するということがありました。日光のシカを救うために、ヘリコプターで干し草を蒔いて給餌をし、ニュースとなりました。ヘリコプターから、干し草の塊を雪の積もった山の斜面に落とす映像がニュースで流れたか、新聞の紙面に掲載されていたと思います。当時は美談として報道され、私もシカのためにそこまでするようになったと感動したものです。
ところが皮肉なことにその後、温暖化のためか日光では大雪となることは少なくなりました。そのため、日光のシカは増加の一途を辿ります。私が、日光に通いはじめた1990年代は別荘地で昼間、シカに会うことは稀。ところが、今ではごく普通に昼間でも群れで見られるようになりました。写真は、日光駅から車で数分の住宅地に隣接する造成地です。
おかげで、植生が荒廃し森の中の藪がなくなり、コマドリ、コルリやウグイスなど、藪のなかで生息する小鳥が減っています。
シカは、本来平地の草原の生き物だと思います。ですから、雪の積もった山で食べ物を得ることから、歩行まで得意ではないはず。実際、斜面から雪とともに落下したシカの死体を何度か見ています。かつての日光では、中禅寺湖が全面結氷し御神渡りができるほど寒かったと聞いています。当然雪も多く、寒さがシカの生息数を制御してくれていたことになります。
今回の大雪、シカにとって凶となり日光の自然にとって吉となるのか、興味深いところです。
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