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2014年3月

2014年3月29日 (土)

宇田川龍男先生のこと

 私が高校生のときに初めて買った鳥の図鑑は、宇田川竜男・著『原色野鳥ハンドブック』(1957年・誠文堂新光社)でした。神保町の古書店で購入したもので360円だったと記憶しています。小遣いが1月500円の時代でしたから、清水の舞台から飛び降りた感じの買い物でした。これが、宇田川先生とのご縁の始まりです。
 その宇田川先生の写真コレクションが発見されました。当ブログとリンクを張っている「花鳥茶屋」のkochanさんが、なんとインターネットオークションで1,000枚のモノクロ写真を入手。最初は、コレクションの主が不明でしたが、バードフォトアーカイブの塚本洋三さんの推理と調査によって宇田川先生のものと解明されました。私の蔵書となっている『原色野鳥ハンドブック』の大扉の写真が、このコレクションに入っていたことも解明の一助になりました。そのあたりのいきさつは、ドキュメントタッチで塚本さんが書かれているので、こちらのURLへ。
  http://www.bird-photo.co.jp/2_day.html
「宇田川龍男の写真資料発見されるの記」をご覧ください。
 宇田川先生のことを調べようと検索したら、日本鳥学会の雑誌『鳥』に掲載された論文タイトルが出てきました。
1.鳥, 10(46)14 - 15 10巻46号「埼玉県下に渡来せる2種の珍鳥」宇田川育男 (1938)
2.鳥, 11(55) 595 - 614 11巻55号 「南支那広東市の Avifauna」宇田川竜男 (1943)
3.鳥, 12(59) 267 - 268 12巻59号 「本邦産シラコバトについて(英文)」宇田川龍男 (1949)
 名前にご注目ください。育男→竜男→龍男となっています。育男は、別人の可能性も考えたのですが、埼玉県越谷のカモ場に出入りしていたこともあるので、ご本人で間違いないでしょう。なお、それ以降の論文では龍男になっています。
 そうなると、宇田川育男を竜男、龍男と変えたことになります。当時、宇田川先生が在職していた農林省鳥獣調査室の同僚の石澤慈鳥が改名に懲り、ご自身は建夫→慈鳥、下村兼二→兼史と変えている一連の流れのなかにいらしたことになります。
 さて、宇田川先生の娘さんが私の大学の後輩であることもご縁の一つです。今回のコレクション発見の件で、彼女とも42年ぶりに連絡がとれました。さっそく、この改名の件をおたずねすると、なんと本名は”辰男”。それが途中で戸籍上も正式に”龍男”になり、日常的に使っていたのは”竜男”だったとのことでした。そのため、表札や著書もすべて”竜男”。私が買った『原色野鳥ハンドブック』の著者名も竜男になっています。面白いのは、恩師の先生が「そのような略語を使う事に激怒されました。そのせいか、父は先生が我が家を訪問される時には表札の『竜男』の部分に“紙を貼っておけ”と母や 私達子供に言いつけていました。何と見え見え・・・今だと笑えます。」と、エピソードを披露していただきました。
 となると、育男は誤植となります。”竜”と”育”、雰囲気が似ている漢字です。当時は、鉛の活字を1字1字職人さんが拾って原版を作るという作業を行っていました。一度、活字を組まれてしまうと気がつきにくい上に、原稿は手書きなのですからなおさらでした。そのため、こうした誤植が多かったのですね。私の唯一、雑誌『鳥』に掲載されている論文も”道雄”と誤植されています。私は、改名しておりませんので念のため。
 宇田川先生とは、サハリンへ行ったこと、今では珍しいアナログの気圧計を戴いたことなどを思い出します。先生とのご縁、またご披露する機会があればと思います。

2014年3月27日 (木)

96,000Hzの世界

 人の耳は、100~20,000Hzまで聞こえると言われています。そのため、音楽CDのサンプリング周波数は44,1kHz/16bitで、高い音は22,000Hzまで収録できます。科学的に人の聞こえる音の上限をカバーできるように規格が設定されたのだと言われています。
 メモリー録音機では、さらにこの上のサンプリング周波数となる48kHz/16bitや96kHz/24bitでの録音が可能です。私は、長時間録音は48kHz/16bit、短時間は96kHz/24bitで録音しています。そのため、高い音は、43,000Hzまでカバーしてます。数字を見ておわかりのように、サンプリング周波数の約半分の数字が、録音できる高い方の音となります。
 この間、購入したソニーのPCM-D100は、最高192kHz/24bitでの録音が可能です。ということは、数字を半分にした96,000Hzの高さの音まで録音できることになります。人の耳には、聞こえない音域を収録できる機械がはたして必要なのか疑問ですし、仮に録音できたとしても、マイクやスピーカーやヘッドフォーンの能力が追いついていないのが実情です。なお、PCM-D100のマニュアルには、192kHz/24bitの設定で高音は45,000Hzまでマイクで録れることになっています。
 この間、はじめてPCM-D100で192kHz/24bitの設定で録音してみました。六義園で録音したウグイスとハシブトガラスの声です。鳥の声が下の方だけにしかありませんね。

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  たとえば、ヤブサメの声は8,000Hzに音の中心があります。倍音は、その倍の16,000Hz、さらに36,000Hzにもあるはずですから、これをカバーできることになります。鳥の声にふくよかさを感じさせる倍音を録音することで、より本物に近い音を収録できることになります。人には聞こえない音が録れて再生できるならば、耳で聞くのではなく身体で聞きくことになるのでしょうか。
 また、シジュウカラの警戒声などは10,000Hz近くに音があります。私たちには、聞こえないさらに高い音でコミュニケーションをとっているかもしれません。高音を録音できることで、新しい発見があるかもしれません。このほか、コウモリの声は30,000~100,000Hzと言われています。ですから、192kHz/24bitで録音すれば、ぎりぎり音を収録することができます。夜の暗闇のなか、見ることも聞くこともできないコウモリの存在を新しい録音機で、見つけることができるかもしれません。

2014年3月25日 (火)

コイカルのさえずり

 先日、クレーマー問題の記事では、イカルの声は聞くことがあってもコイカルはなかなか聞けないので、いささか説得力に欠けていました。コイカルのさえずりが欲しいと思っていたら、S木♀さんからコイカルがきれいな声でさえずっているとの情報をいただきました。情報をいただいた場所には、4年前の4月にも行っていますが、その時は出会うことができませんでしたので、再挑戦です。それにしても、あのコイカルがまだ生き続けていたことになります。  
 現地に着くと、手持ちぶさたにウロウロしているカメラマンはいるもののコイカルの気配はありません。言葉を交わした地元の方が「昨日は、午後2時と5時に見られた」とのこと、その程度の出現では4年前と同じかと日向ぼっこをすることにしました。すると、先ほどの方が、なにかを見つけたようで人が集まっています。手招きする方に行くと、木の陰にコイカルがいました。たちまち、10名ほどのカメラマンが集まっての撮影会です。このコイカル、警戒心が薄く比較的近くで羽繕いをしたりしてのんびりしています。ただ、藪にいることが多く、カメラマンの方々は不完全燃焼気味です。
 しばらくすると、地鳴きをして、そのあとさえずってくれました。PCM-D100で録音。鳥との距離は10mほど、そのためいつもとは逆にボリュームを下げています。人声、シャッター音、足音などをカット、軽くノイズリダクションをかけています。

 イカルに似てないこともありませんが、私が間違えるとしたらイソヒヨドリのさえずりですね。音質はイカル、節はイソヒヨドリといったらよいでしょう。地鳴きは、イカルに似ていますが、少し高めなので金属的に聞こえます。さえずりの前に濁った声をまじえて、いっきに鳴くという感じです。鳴き始めると、数声は鳴いてくれます。ほとんどが、同じ節ですが、時折長めの節が入るときがあります。そして、また地鳴きをして鳴きやみます。このパターンが、40分ほどの間に3回ありました。
 ところで、先日クレームが来たというカシオの時計に入っている日光で録音したイカルのさえずりを上げておきます。PCM-D1で録音、ボリュームのアップ、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

 いかがでしょうか。コイカルとイカルでは、かなり声の質も節もことなることが分かっていただけると思います。
  S木♀さん、情報ありがとうございました。おかげさまで、コイカルのきれいなさえずりを録音することができました。

2014年3月24日 (月)

雑誌『野鳥』が一新

 先週、日本野鳥の会の理事会にて安藤室長より雑誌『野鳥』リニューアルの報告がありました。「日本野鳥の会の80周年を契機に、4月号からB5サイズだったものをA4サイズにする。高齢者に優しく文字を大きくする。情報量が少なくなる分を企画でがんばる。デザインを一新する。期待して欲しい」というものでした。
 昨日、日本野鳥の会から大きな封筒が送られてきましたので、資料かと思ったら『野鳥』でした。
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 A4は大きいですね。それだけに、表紙写真の迫力がいっそう生きています。全体に、デザイン一新で、とてもきれいになり読みやすくなった印象があります。今月号の特集は、日本野鳥の会80周年です。日本野鳥の会のルーツと理念、そして未来に向けての活動が理解できると思います。
 ところで、今月号より書評欄を担当いたします。バードウォッチャーならばぜひ読んで欲しい本、読めばよりバードウォッチングが深まる本を紹介していきます。ちなみに、本代は自腹、自分で選んで買うことでより客観的な評価をしたいと思っています。

2014年3月23日 (日)

デジスコ通信に投稿-クレームについて考える

 以前、行政のパンフレットに水谷高英さんのアオジがさえずっているイラストを使ったことがあります。バードウォッチャーという人から行政担当者に「アオジの尾の両側は白い、このイラストは間違っている」というクレームがありました。鳥を知らない担当者からは「間違えがあったので、あやまった」とあとで報告がありました。
 水谷さんの名誉のために言っておきますが、さえずっている時はアオジの尾の白は見えません。見えるのは、飛び立つときや驚いて尾羽を広げた時などです。クレームを寄越したした人は、探鳥会でアオジの特徴を聞いて、そのまま言ってきたのでしょう。私は、その後、気になってさえずっているアオジがいれば尾羽を見ていますが、白い部分が見えたことはありませんでした。
 生半可な知識でクレームを寄越す人にもあきれますが、クレームを受ける側に知識がないとそのまま受け止めてしまうことになります。このクレーマーが「間違いを正してやったよ」と、どこかで自慢げに話しているとしたら悔しくてなりません。
 などなど、クレームをする人についての問題をデジスコドットコムのメールマガジンに投稿いたしました。下記のURLでお読みいただけます。
  http://www.digisco.com/mm/dt_77/toku1.htm

 

2014年3月22日 (土)

はじめてのDSD録音-PCM-D100

 この間、購入したソニーのPCM-D100はDSD録音ができます。DSD録音はソニーが開発した技術なのですが、フィールドレコーダーでは他社の録音機が最初。やっとソニーのレコーダーに付いた機能となります。DSD録音については、私自身まだ理解が乏しく説明ができませんのでお許しください。要するに高密度な録音で、音が良いことになります。いわばテレビの画像が4Kの規格になってきれいに見えるように、音も高品位になることで音が良くなると思えば、さほどはずれではないと思います。
 今日、六義園へ行ったらウグイスがよくさえずっていました。一度に2羽が鳴き合い、とてもにぎやかです。まさに録ってくださいといわんばかりのさえずりです。まずは、wavの96kHz/24bitで録音、それでもまだ余裕があったのでDSDモードで録音してみました。
 家へ帰りさて編集をしようと思って、PCM-D100に付いていた音の編集ソフトSound Forge Audio Studioを起動。ところが、DSDファイルを読み込んでくれません。改めてマニュアルを読むと、なんとDSDファイルに対応していませんでした。いろいろ調べたら、現状ではKORGのAudio Gateが、無料公開されているソフトであることがわかりました。さっそくインストールしようと思ったら、ツイッターのアカウントないとダメ。理由は、ツイッターを通じて、このソフトの使用状況が自動的に報告されるシステムになっているとか。なんだか、タダより高いものはないことになりかねないシステムなので、今ここでストップしています。
 ということで、録音された音をヘッドフォーンで聞くことで、違いがないかの検証をいたしました。検証に使用したヘッドフォーンはGRADO RS1iです。検証に使用した音源のうち、96kHz/24bitで録音したウグイスのさえずりをアップしておきます。48kHz/16bit に変換、2,000Hz以下の低音ノイズを軽減しています。ノイズリダクションはかけていません。アップするためにmp3に変換しています。

 wavとDSDの音源は、同時には録音できませんので、多少のタイムラグがあります。ウグイスとの距離に少し違いがありますが、私自身は動いていないのでバックの音に違いがないはずです。未編集の音での比較です。また、ブラインドでの検証ではありません。
 確かに音の違いを感じますが、劇的な違いは感じませんでした。ウグイスのさえずりは、心持ち澄んで透き通ったような音になっています。また、大きな違いはグランドノイズで、wavのほうが「ゴーッ」という音が大きく感じます。また、DSDのほうが遠くの音も拾っていて、小さな人声がよく聞こえました。
 まだ、数分の音源の検証ですから第1印象です。今後、さまざまなロケーションでの音の比較をしてみたいと思います。ただ、編集できないのですから、サイトにもアップできません。編集できたとしてもwavに変換、アップできたとしてもmp3ですから、DSDの良さをお伝えすることができないという悩みは付きまといます。
 あとは、こうした高品位で録音することにより音の分析の精度をあげることができるはずです。その結果、野鳥の声の謎が解明することができるようになるかが今後の課題でしょう。 

2014年3月21日 (金)

『♪鳥くんの比べて識別!野鳥図鑑670』

 本日は強風のため野鳥録音は断念、雑司ヶ谷へ父の墓参りへ。なんとも親不孝ですね。
 帰りに、池袋のジュンク堂で『♪鳥くんの比べて識別!野鳥図鑑670』と『うち、カラスいるんだけど来る?-カラスの生態完全読本』を購入しました。まずは、『♪鳥くんの比べて識別!野鳥図鑑670』について記事にします。それにしても、どちらもタイトルが長い!。
 去年の我孫子で行われたジャパンバードフィステバルで、♪鳥くんによるこの図鑑の制作にかかる苦労話の講演を聞いて以来、出版を待ちわびていました。
 とにかく、収録されている670種すべての写真が収録されています。それも多くの種類で、亜種はもとより雌雄、幼鳥、夏羽冬羽など、おもだったバリエーションが載っています。写真は鳥の形にすべて切り抜かれ、ポイントを線で結ばれた解説文が書かれているのでわかりやすい構成になっています。これは、かなりの迫力ですし説得力があります。
 姿による識別にこだわりすぎると、えてもすると野鳥の他の魅力を見落としてしまいがちです。また、姿による識別は決め手がないと不毛な議論をしたり結論がでないまま、わだかまりだけが残る楽しくないバードウォッチングになりがちです。さらに、決め手がないわけですから、主観的な思い込みで結果を出してしまう危険をはらんでいます。しかし、このような図鑑があれば結果を出せるわけで、それだけに識別を充分に楽しむことができるのではないでしょうか。個人的には、この図鑑を粟島や飛島に持って行ったら、今まで以上にバードウォッチングを楽しめるのではないかと思います。今から、わくわくしてきます。
 それにしても永井、いや長いタイトルなので『鳥くん図鑑』とでも、よばせてもらいますか。
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『♪鳥くんの比べて識別!野鳥図鑑670』
永井 真人(♪鳥くん)・著、 茂田良光・監修
単行本: 400ページ
出版社: 文一総合出版 (2014/3/17)
ISBN-10: 4829972017
ISBN-13: 978-4829972014
アマゾンのURL
http://www.amazon.co.jp/%E2%99%AA%E9%B3%A5%E3%81%8F%E3%82%93%E3%81%AE%E6%AF%94%E3%81%B9%E3%81%A6%E8%AD%98%E5%88%A5-%E9%87%8E%E9%B3%A5%E5%9B%B3%E9%91%91670-%E6%B0%B8%E4%BA%95-%E7%9C%9F%E4%BA%BA-%E2%99%AA%E9%B3%A5%E3%81%8F%E3%82%93/dp/4829972017/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1395404243&sr=8-1&keywords=%E9%87%8E%E9%B3%A5

2014年3月19日 (水)

ハシブトガラスの巣材の再利用

 近くの公園では、ウグイスがまだおぼつかないさえずりで春を告げていました。今年の春は、このウグイスのさえずりのように、まだおぼつかないですね。
 ベンチに座って休んでいると、上からパラパラと小枝が落ちて来ました。見上げると、ハシブトガラスが古巣をばらしているところでした。そのため、枯れ葉やら枝が落ちて来たのです。
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 実は、この巣はハシブトガラスの巣をツミが利用して繁殖に成功した曰く付きの物件です。ハシブトガラスが繁殖に失敗して放棄した巣なのか、奪い取られた巣なのかわからないのが残念ですが、元はハシブトガラスの持ち物でした。
 ハシブトガラスは同じ巣を二度と使うことはありませんが、古い巣の材料を再利用して新しい巣を作ることは知られています。同じなわばりを毎年保つので、繁殖に失敗したにせよ、奪われたとしても、元々は巣材をバラしているハシブトガラスのものである可能があります。
 ツミは、毎年同じ巣を利用することがあります。もし、ツミが戻ってきたら巣が無くなっていることになります。そうしたら、ハシブトガラスとの間で一騒動巻き起こることでしょう。
 都会へ進出して来たツミ、ハシブトガラスの巣が後押ししていることになるのでしょうか。

2014年3月16日 (日)

井頭公園のハチジョウツグミ

 やっと春めいた暖かさに恵まれた日曜日となりました。本日は、日光野鳥研究会の自然観察会で真岡市の井頭公園へ行きました。春の日差しが降りそそぎ、それを浴びたマガモやコガモの顔の緑色がまぶしいくらいでした。いつもは黒いだけだと思っていたカワウも、金属光沢のある緑色に輝き見とれてしまうほどです。このほか、鳥はミヤマホオジロにベニマシコといったお目当ての鳥をじっくりと観察することでき、予定時間を大幅に超えてしまうほど出会いの多い一日でした。参加者一同、大満足の観察会となりました。
 ところで、公園の一角に野鳥の看板がありました。
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 井頭公園で見ることができる野鳥たち29種類が、描かれています。正直、絵は上手くありません。ただ、精密画でもマンガでもなく、緊張感のなさがほのぼのとした印象を与えてくれる不思議な絵となっています。
 ちょっとつっこみどころのある看板なのですが、なかでも不思議なのはツグミがハチジョウツグミになっていることです。なぜ、ツグミの絵がわざわざ出会いの少ない亜種ハチジョウツグミになっているのでしょうか。
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 改めてこの看板の絵を見ると、全体的になんだか見慣れた絵のような感じがしました。このなかのヒヨドリとコアジサシの飛ぶ姿、カッコウの脚の毛の生え具合が特有の姿をしています。そのため、これをヒントに図鑑を探すと、まったく同じ絵が日本野鳥の会の『フィールドガイド日本の野鳥』(高野伸二他・1991)にありました。どうも、この本を参考に描いたようです。そう思って、それぞれの鳥の絵を比較してみると、雰囲気がとてもよく似ています。
 そして、ツグミのところを見るとツグミの絵は4つあり、ハチジョウツグミはツグミの亜種なのですから同じコーナーにあります。そのため、4つの絵のなかでいちばんきれいなハチジョウツグミを描いてしまったことになります。
 看板制作者の名誉のために言っておきますが、井頭公園でハチジョウツグミが見られることはあると思いますので厳密には間違いではありません。

2014年3月15日 (土)

コガラがハシブトガラのようにさえずるか

 この間の日曜日、カミさんが「奥日光の戦場ヶ原で、わからない鳥の声が録音できたから聞いて」と録音機を持って来ました。つぎのような声でした。YAMAHA C24で録音、声のある音域のボリュームの増幅、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

 姿が見えなかったということで、ノーヒント。どこかで聞いたことのある声なのですが、鳥の名前が出てきません。感じとしては、シジュウカラの仲間のようなので、まさかと思いましたが、ハシブトガラに当たりをつけて聴いてみると似ていました。私が北海道温根沼で録音したものを上げておきます。2011年4月24日、SONY PCM-D-1で録音、全体ボリュームを増幅、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

 いかがでしょうか。似ていませんか。音の高さは、どちらも3,000Hz~3,500Hzにあり同じです。このほか『野鳥大鑑』と『鳴き声280』を聞いてみると、似ている部分が収録されていました。
 ご存知のように、ハシブトガラとコガラは姿がよく似ています。小さい上に素早い動きなので、なおさら識別には苦労するバードウォッチャー泣かせの鳥です。しかし、鳴き声はさえずり、地鳴きとも違うので声による識別が確実とされています。さえずりは、コガラは「ツーチー」などと聞こえる2音をゆっくりと繰り返し、ハシブトガラは「フィーフィー」「チーチー」と1音を比較して早口で鳴くことが多いと思っています。
 日光の古記録にはクマゲラ、戦前でもヤマゲラやシマエナガの記録があります。北海道にしかいない鳥が、なぜが記録されている特異なエリアでもあります。日光でハシブトガラがいたのでしょうか。
 ただし、『新訂北海道野鳥図野鳥』(河井大輔、他・2013)には、ハシブトガラの解説に「バリエーションが多く、時にコガラのさえずりに酷似した声で鳴く」とあります。では、その逆、コガラがハシブトガラのように鳴くことがあるのでしょうか。
 今回は、姿も見ていないのでこれ以上はなんとも言えません。今後の課題を提供させていただくことにいたします。

2014年3月14日 (金)

「六義園図巻」を見る-静嘉堂美術館

 本日も天気が芳しくないので、二子玉川にある静嘉堂美術館に。現在、開催中の「描かれた風景-絵の中を旅する」展です。江戸時代に描かれた掛け軸から蒔絵、浮世絵などから風景を見ようという企画展です。
 静嘉堂は、岩崎家のコレクションを所蔵するための施設です。岩崎弥太郎と縁の深い六義園に関する絵巻も展示されているとのことでの来訪です。美術館は、六義園より背の高いケヤキやクスノキのうっそうと茂った林を抜けて坂道を上がったところにありました。
 展示は、大きな屏風絵から小さな印籠の蒔絵などが展示されていました。そこそこの混み具合で、見たいものを見るまで順番を待たなくてはならないほどでした。
 六義園の絵巻は、滝和亭(たき・かてい、1830~1901年)による「六義園図巻」で、明治21年(1888年)に制作されたと言われています。下記の絵は、その一部。以前、雑誌に掲載されたものです。
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 当時の絵の特徴として、一つひとつのパーツは写実的でなおかつ精緻に描かれていますが、全体にデフォルメされた抽象的な構成になっています。ですから、当時の六義園の正確な環境を見るのは、ちょっと難しいものがあります。たとえば、中之島は紀ノ川の部分でつながっているように見えてしまいます。
 しかし、出汐湊付近の池の曲線や中之島にある妹瀬山の稜線の形は、現在と変わることはありません。また、中之島の西にある臥龍石も同じ形で描かれています。また、この絵には蓬莱島がなく、あの島は明治時代の岩崎家の時代に作られた可能性があります。
 また、モミジは紅葉しウメの花が咲いている風景ですので、四季の変化もすべて一つのシーンとして描いています。木々は、写実的な表現のため樹種がわかります。まずは、マツが多いですね。マツは、現在は池の周りくらいですが、図巻では全体にマツが生えています。明治初期の六義園は、今に比べるとはるかに明るい林であったことが想像できます。  なお、この展示は3月16日まで、あと2日です。詳しくは、下記のURLでご覧ください。
http://www.seikado.or.jp/exhibition/index.html

2014年3月13日 (木)

世界のムシクイ類の鳴き声CD

 本日の天気予報は雨模様。そのため、神田の免許更新センターへ。更新は、午前の早い時間な上、ゴールドなので早々に終わってしまいました。まだ、雨が降ってこないので、小川町まで足をのばして、ホビーズワールドへ行きました。考えてみると、この前に来たのも免許の更新の帰りだったと思います。ということは、5年ぶりの来訪となります。しかし、相変わらずの豊富な品揃えで、見ていて飽きないお店ですね。いろいろネタになりそうなアイテムがメジロ押しです。
 まずは、仲間内で話題になっているVocalizations of Leaf-warblers and Spectacled Warblersを購入。これは、ドイツ人の鳥類学者Jochen Martensによる、ムシクイの仲間Phylloscopus属56種、Seicercus属9種の囀りと地鳴き、147音源(トラック数)が収録されたCDです。CDは2枚組で、しっかりとしたテキストが付いています。ちなみにテキストは、英文です。日本のメボソムシクイ、オオムシクイの音源は、山階鳥類研究所の齋藤武馬さんが提供しているとのこと。また、亜種がある種では、亜種の囀りと地鳴きも入っています。さえずりと地鳴きが、別のトラックになっているので、わかりやすいです。それぞれのトラックは、さえずりで60秒、地鳴きで30秒程度に編集されているのでじっくりと聞くことができます。すべてを聞くと2時間以上かかります。音源は、たとえば2,000Hz以下の低音のノイズをかなりカットしています。そのため、音は堅いですがわかりやすく編集されています。  ヒマなときにじっくりと聞くと、あの不明な声の主が○○だったのかとわかるかもしれません。また、姿をなかなか見せてくれない仲間だけに、これから声による発見が増えるかもしれません。いずれにしても、バードウォッチングの楽しみが増えること間違いのないCDです。
 このタイトルで世界中のサイトを検索しても、Jochen Martensさんを紹介するサイトとホビーズワールドのサイトしか出てこないのですから、入手先はこの2カ所ということになります。よくまあ、仕入れてくれたものです。なお、販売価格は5,880円(税込)でした。
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 ホビーズワールドの下記のサイトから購入可能です。
 http://www.hobbysworld.com/item/29115166/
 すでに、通販のページでは在庫僅少になってしまっています。

2014年3月12日 (水)

『朝の小鳥』スタジオ収録ー岡山・後楽園の野鳥たち

 今日は浜松町にある文化放送にて、『朝の小鳥』のスタジオ収録でした。
 去年、訪れた岡山の後楽園の野鳥たちです。ブッポウソウを録るための岡山行きのついでです。岡山に早めに着いたので、夕方の散歩のつもりで後楽園に行ったときの録音です。録音ができるとは思っていなかったため、持って行ったのはYAMAHAのW24のみ。ところが、キビタキがさえずり、アオバズクが鳴き、ササゴイがコロニーを作っていました。あとで調べたら、アオバズクは繁殖していることがわかりました。
 入園したのは、閉園時間まじか。ササゴイの録音のときには、閉園を知らせるアナウンスがはいってしまいました。わかっていれば、もっと早く行ってじっくりと録音したり、タイマー録音をしかけて翌日回収するなどの手段をとっても良かったと、反省しています。
 それでも、ここまでの音が録れたということで、お聞き戴ければと思います。
4月の放送内容
2104年4月6日 キジバト
   4月13日 キビタキ
   4月20日 アオバズク
   4月27日 ササゴイ

2014年3月11日 (火)

ツグミのグゼリ-芝川第一調整池

 先日の芝川第一調整池のタイマー録音では、いろいろな音が入っていました。
 そのひとつが、これ。YAMAHA W24で録音。ボリュームを少し増幅し、2,000Hz以下のノイズを軽減。ノイズリダクションを強めにかけています。

 ツグミのグゼリと思われます。過去に、水元公園、秋ヶ瀬公園と行徳野鳥観察舎で聞いています。行徳のものは保護飼育されているツグミです。いずれも姿を見て、リップシンクロを確認しています。それらと同じ声ですので、おそらくツグミのグゼリだと思います。ふつう、ときどきツグミ特有の地鳴きを混じえるので、ツグミと確信できるのですが、今回は地鳴きが入っていません。シロハラやアカハラも同じようなグゼリをするかもしれませんので、確定ではありません。
 しかし、ここまではっきりとグゼリが録音されたのは、初めてです。水元公園では目の前で鳴いていました。実感として10m以内でしたが、声が小さく人に聞かせる音源としてはきびしいものがありました。秋ヶ瀬は、より遠かったのでなおさら。行徳はケージのなか中なので1mほどの近さでしたが、それでもまわりの騒音のなかでまぎれてしまうほど声量のない声でした。
 今までの経験から、この芝川のツグミは1~2mのところで鳴いていると思います。いかに人がいないと、録音機の近くで鳥が鳴いてくれるのかがわかります。タイマー録音の有効性のひとつですね。
 それにしても、鳥たちのグゼリの意味がよくわかりません。聞こえないような小さな声が、いったいどういう意味があり、どう伝わっていくのでしょう。

2014年3月10日 (月)

カワウの水面営巣-芝川第一調整池

 土曜日の夕方に録音機を仕掛け、昨日回収に行きました。カイツブリとキジが良く鳴いているのが録音されていました。このほか、聞いたことのない声、いろいろ確認しないと不明な声など、宿題がいっぱい録れました。
 ところで、1月31日に行ったおりに、カワウとアオサギの繁殖の兆候を感じていました。今回も気になって確認すると、水面にまるでビーバーの巣のような塊があるのを見つけました。
Greatcormorantnest140310
 よく見ると、カワウが座っています。カワウの巣です。木のないところで地上営巣をすることは知られていますが、水面にも営巣をするのですね。このあたりは、灌木があってヨシも生えているので、水深は浅いと思います。しかし、巣の周りはすべて水なのですから、まるでオオバンやカイツブリの巣のようです。水の中ですからタヌキが近づくことは難しいと思います。カラス類さえ気をつければ、安全安心な巣となります。
 周辺にも巣らしき塊が1つありましたが、こちらは低いものの木に載っているようです。ヨシがあってわかりにくいのですが、他にもあるかもしれません。
 カワウの水面営巣、はじめて知りました。

2014年3月 7日 (金)

『かまくら鳥とりどり』のご紹介

 著者の岡田泰明さんは、戦後の日本野鳥の会の復興にご尽力された方のお一人です。私にとっては、業界の先輩であるし日本鳥類保護連盟の時代には企画委員としてお世話になりました。年に一度の会議でしたが、岡田さんがお話しになると皆が緊張して耳を向けていたのを覚えています。
 私とは江戸の話題などかぶるところがあって、いろいろ教えていただきました。拙著をお送りすれば追加資料を教えていただくなど、いまなおお世話になっております。それだけ引き出しが多く、バードウォッチングの歩くネタ帳ともいえる方です。そのような方に野外でバードウォッチングの指導を受けたらば、鳥から広がって深まる世界にはまることと思います。そういった楽しみが、エッセイとして書かれ本になっていると言ったら良いでしょうか。
 長年、お住みになっていた鎌倉の野鳥たちが題材です。おそらく、岡田さんがバードウォッチングの指導を行って、鎌倉でその鳥に出会ったらお話ししてくれるだろうと思うネタが、エッセイとなっていることになります。鎌倉の鳥といっても120種類が登場しますので、各地でのバードウォッチングでのネタ帳になると思います。
 初心者はベテランのお話を楽しむつもりで、ベテランは野鳥の解説の幅を広げるために楽しみながら読むことができる教科書になると思います。
 このような本は、人に紹介しないでそっと読んで、あたかも自分のネタにしたいところです。しかし、先輩からいただいた以上、ご紹介しないわけは行きませんね。

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『かまくら鳥とりどり』
岡田泰明・著
定価:1,800円+税
単行本・B5版・270ページ・ペパーバック
出版社:冬花社(地方出版流通センター扱い)
ISBN: 978-4-925836-92-8

2014年3月 1日 (土)

ビンズイ2例目の記録-六義園

 久しぶりに六義園へ行くと、大雪の影響で枝折れが激しく歩くことができなかった順路も、だいぶ開通していました。一回りしていると通称イチョウ広場で、ビンズイを見つけました。さかんに地面をつつきながら歩いています。ちょうど、団体客が来たりして植え込みのなかに逃げ込みましたが、すぐに出てきてくれました。ただ、暗いのと動きが速いので写真はこの程度です。
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 私の六義園におけるビンズイ記録は、1986年10月24日から11月1日までの1週間、2羽が滞在してくれた1例のみ。秋の渡りの途中、六義園に立ち寄ったものでしょう。今日のビンズイは、それからなんと28年ぶりの記録、春の渡りのきざしでしょう。
 このほか未発表の個人の記録があるかもしれませんが、ビンズイは六義園では珍しい鳥といえます。
 六義園の鳥の鳥を見ていて不思議なのは、いても良いはずの鳥に出会わないということがあります。どこにでもいるけれど、六義園では記録されない鳥です。たとえば、ホオジロやカシラダカは、数えるしか記録されていません。そして、ビンズイもけして少ない鳥ではありませんが、六義園で少ないことになります。

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