「六義園図巻」を見る-静嘉堂美術館
本日も天気が芳しくないので、二子玉川にある静嘉堂美術館に。現在、開催中の「描かれた風景-絵の中を旅する」展です。江戸時代に描かれた掛け軸から蒔絵、浮世絵などから風景を見ようという企画展です。
静嘉堂は、岩崎家のコレクションを所蔵するための施設です。岩崎弥太郎と縁の深い六義園に関する絵巻も展示されているとのことでの来訪です。美術館は、六義園より背の高いケヤキやクスノキのうっそうと茂った林を抜けて坂道を上がったところにありました。
展示は、大きな屏風絵から小さな印籠の蒔絵などが展示されていました。そこそこの混み具合で、見たいものを見るまで順番を待たなくてはならないほどでした。
六義園の絵巻は、滝和亭(たき・かてい、1830~1901年)による「六義園図巻」で、明治21年(1888年)に制作されたと言われています。下記の絵は、その一部。以前、雑誌に掲載されたものです。
当時の絵の特徴として、一つひとつのパーツは写実的でなおかつ精緻に描かれていますが、全体にデフォルメされた抽象的な構成になっています。ですから、当時の六義園の正確な環境を見るのは、ちょっと難しいものがあります。たとえば、中之島は紀ノ川の部分でつながっているように見えてしまいます。
しかし、出汐湊付近の池の曲線や中之島にある妹瀬山の稜線の形は、現在と変わることはありません。また、中之島の西にある臥龍石も同じ形で描かれています。また、この絵には蓬莱島がなく、あの島は明治時代の岩崎家の時代に作られた可能性があります。
また、モミジは紅葉しウメの花が咲いている風景ですので、四季の変化もすべて一つのシーンとして描いています。木々は、写実的な表現のため樹種がわかります。まずは、マツが多いですね。マツは、現在は池の周りくらいですが、図巻では全体にマツが生えています。明治初期の六義園は、今に比べるとはるかに明るい林であったことが想像できます。
なお、この展示は3月16日まで、あと2日です。詳しくは、下記のURLでご覧ください。
http://www.seikado.or.jp/exhibition/index.html
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