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2014年4月

2014年4月30日 (水)

オオコノハズクの鳴く頃-その3

 先週末のオオコノハズク・ツアーの興奮がさめやらぬまま、データの整理が滞っています。なにしろ午後9時~午前9時までの12時間×3台ですから36時間分のデータをチェックしなくてはなりません。今日は雨、朝から声紋とにらめっこです。
 オオコノハズクが鳴いたポイントから、500m離れた山をひとつ隔てた所に録音機を置いておきました。その中に入っていた声です。YAMAHA W24でタイマー録音。ボリュームのアップ、500Hz以下の低音ノイズの軽減、ノイズリダクションを軽くかけています。

「japanese_scopsowl140426_2100e.mp3」をダウンロード

  時間は、午後10時20分~11時の間です。ときどきトラツグミは鳴いていますが、コノハズク、オオコノハズクの声は聞こえません。これらの声が、唐突に聞こえてきます。
 3パターンの声は間がありますが、間を詰めています。最初の「チュルル」という声は、行徳野鳥観察舎でオオコノハズクの禽舎に入れて録音した時に録れた声と同じです。
 「ワンワン」とイヌのように聞こえる声は、「チュルル」から44秒たってから鳴いているため同じオオコノハズクだと思います。最後の「ミュー、ミュー」というネコのような声はYouTubeにアップされている動画のなかで、オオコノハズクの雌とされている声と同じに聞こえます。雌の根拠は不明ですが、虹彩がオレンジ色をしていることと鳴き声と嘴の動きが一致しているので、オオコノハズクの声であることは間違いありません。ただ、コノハズクが同様の声を出す可能性も残っていますので、断定はできません。
 いずれにしても木魚鳴きに比べて、声量は大きく静かな夜であれば比較して聞き取りやすい声です。こちらの声から、オオコノハズクの発見につながるかもしれないと思い、アップしておきます。

2014年4月29日 (火)

オオコノハズクの鳴く頃-その2

 日光野鳥研究会の日光植物園の自然観察会は花吹雪のなか、オオルリとキビタキの姿と声、鳴きながら飛び交うサンショウクイなどをたっぷり楽しむことができました。
  そして夕方、阿部♂♀さんと再度あのダム湖へ向かいます。まずは、コンビニで買ってきたお弁当を食べて待機です。少し寒いけれど気持ちの良い夕暮れの中、クロツグミとツツドリの声だけが聞こえてきます。
 ところで、オオコノハズクの声が聞こえるのはA部♀さんだけ、彼女の耳がたよりです。「鳴いている」と言ったら、その声が録音されてしまいますから、声で教えてもらうわけには行きません。以前、高音で聞こえないエゾライチョウが鳴いているのを教えてもらうために手を上げてもらいましたが、この衣擦れの音が入ってしまったことがあります。それに、まっくらなのですから手を上げても見えません。
 そこでA部♀さんから、鳴いたらヘッドランプの赤色灯を点けるのはどうかとの提案、グッドアイディアです。これならば、音はしません。それにしても、耳を澄まし音が聞こえたらボタンを押すのは、まるで人間ドックの聴力検査のようです。
 あたりが暗くなると、コノハズクが鳴き始めました。今日は、離れた山とダム湖を挟んだ対岸でも鳴いています。少なくとも、3羽が鳴き合っていることになります。昨日に引き続いて2羽が到着したようです。
 コノハズクの声に聞き惚れていると、視野のすみに赤い光が入りました。A部♀さんの合図です。慌てて録音機のスイッチを入れ耳を澄ましますが、聞こえません。しかし、赤いランプはつきっぱなしです。さらにじっと耳を澄ますと、かすかに聞こえてきました。確かに鳴いています。木魚のテンポですから、私の心臓の鼓動に似ています。自分の心臓の音かオオコノハズクの音なのか、迷うほどかすかな低い音が伝わってきます。
 オオコノハズクの声が聞こえてくるのは、目の前の山の斜面です。目測で、頂上までは100mくらい。その中腹の森から聞こえて来るのですから、30~50mは離れているでしょうか。コノハズクの声が、ダム湖の対岸、あるいは2つ3つ超えた山からでも聞こえるのに、なんと小さな声でしょう。
 アップするのは、YAMAHA W24のタイマー録音に入っていた音源です。こちらのほうが、少しボリュームがありました。オオコノハズクの声の音域100~350Hzの音を増幅、ノイズリダクションをかけています。

「JapaneseScops-Owl140426.mp3」をダウンロード

 実際は、このようにはっきりとは聞こえません。音はかすかな感じで、わずかに耳に音圧を感じるという鳴き方なのです。ですから、隣の部屋にスピーカーを置いて耳をすませたら聞こえるくらいのボリュームにして流したら、実際の音に近くなるかもしれません。
 タイマー録音のデータは、12時間×3台=36時間あります。ざっとしたチェックですが、オオコノハズクは一晩中、断続的に鳴いていました。鳴き始めると、数分鳴き続けます。また、イヌのような声、ネコのような声も入っています。イヌのような声が聞こえた後に木魚鳴きをするなど、彼らなりにルールがあるようですが、意味は不明です。
 オオコノハズクのさえずりは、100~350Hzが中心です。人が聞こえる低い音の限界に近い音域です。鳥同士は私たち以上に聞こえている可能性がありますが、それにしても音量の低さは驚異的です。日本の鳥のなかで、地味なさえずりベスト1でしょう。どうりで、オオコノハズクのさえずりを聞いた人がいないはずです。これでは、頭の上で鳴いてくれない限りわかりません。
 トラフズクも同じように音量が低いさえずりでしたが、飛びながら翼を打ち鳴らし音と動作で補います。オオコノハズクも、さえずり以外に何か動作をしているのでしょうか。課題はつきません。
 今、日本全国でオオコノハズクが、この声で鳴いていることでしょう。ただ、この季節に日没後、山でじっと耳を澄ませている人なんていないですから、出会えないだけなのかもしれません。オオコノハズクは、思っている以上に数の多い鳥なのかもしれません。
 A部♂♀さん、ありがとうございます。お陰さまで、念願のオオコノハズクのさえずりを聞くことができました。

2014年4月28日 (月)

オオコノハズクの鳴く頃-その1

 まず、オオコノハズクについて興味を持ったいきさつは、下記の記事をご覧ください。
 謎の木魚鳥
  http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2011/03/post-6902.html
 というわけで、オオコノハズクはもとより、亜種リュウキュウオオコノハズク、三宅島のオオコノハズクが気になって、たびたび記事にしてきました。
 しかし私自身、木魚鳴きをするオオコノハズクの声を聞いたことがなく、ぜひ聞いてみたいと思っていました。去年、日光在のA部♂♀さんとOさんが、以前コノハズクの録音に成功した栃木県北部のダム湖で聞こえたと報告してくれました。ただ、この時はA部♀さんとOさんには声が聞こえたのですが、A部♂さんは聞こえませんでした。録音をしていたので音源をお借りしてチェックしましたが、残念ながら聞きだすことができず、本当に鳴いたのか大いに疑問となりました。
 そして、先週末が去年とほぼ同じ日時となります。そのため、A部♂♀さんの案内で、月之座さん、義弟と私で同じダム湖へ行きました。
 現地に着くと雨。それも、かなり大粒です。しばらく、車のなかで待機していると、雨はやみ、さわやかな山の空気がいちだんと気持ちよく感じる夕暮れとなりました。
 早めにマーケットで買ってきた弁当を食べて待機です。月之座さんが「もうすぐ国際宇宙ステーション(ISS)が見えるはず」との情報。暗くなった空を見上げていると、すべるように光点がひとつ流れていきます。それと同時に、コノハズクが鳴き始めました。A部♂さんの話では、今年初めてとのことでした。オオコノハズクに期待が膨らみます。
 渡って来たばかりのコノハズクは、良く鳴いてくれます。しばらく、コノハズクの声を録音して皆のところへ戻ると「オオコノハズクが鳴いていた」とA部♀さん。ところが、他の3人には聞こえていません。私がいたところからも聞こえて良いはずなのですが、気がつきませんでした。
 日曜日は自然観察会を控えていますので、もう少し頑張るというA部♂♀さんを残し私たちは撤収。私は、念のためにYAMAHA W24を3台、一晩中のタイマー設定で鳴きそうなところに置いて帰りました。
 家に帰ってしばらくすると、A部♀さんから電話で私たちの帰ったあと、オオコノハズクが鳴いたとのこと。A部♂さんは、耳では聞こえなかったけれど、録音機を通してイヤーフォーンで聞こえ、鳴いたのは間違いないとのことでした。それならば、今日A部♀さんが鳴いたと言ったときに、回っていた録音機の音源に入っているかもしれないとチェックしてみることにしました。イヤーフォーンで聞くと、かすかに「ホ、ホ、ホ・・・」という木魚のテンポで鳴く、オオコノハズクの声が入っています。月之座さんと義弟も確認。あまりにも低く、かすかな声のため、増幅された状態でないと聞こえないのです。
 年取ると高音が聞こえないと、良く言われます。事実、私は5,000hz以上の音が聞こえづらくなっています。ヤブサメ、キクイタダキ、キバシリは、よほど近くで鳴いてくれないと聞こえません。それと、同じように低音も聞こえなくなっているのでしょうか。このメンツでは私が最高齢ですが、ほぼ同年代。個人の耳の特性が、聞こえ具合に影響するのでしょうか。
 いずれにしても今日のところは、ここまで。翌日、録音機の回収をかねて再挑戦です。とにかく、一人聞こえるA部♀さんがたよりです。いったいどうやって、鳴いたのを知らせてもらうか、思案のしどころです。
 続く・・・

2014年4月27日 (日)

デジスコ通信に投稿-野鳥写真の発表の場

 いろいろ意見はあると思いますが、バードウォッチング業界では野鳥写真がブームになっていると思います。バードウォッチャーより野鳥カメラマンのほうが多い、珍鳥ポイントや有名探鳥地を見るにつけ、そう思います。  ブームを支えているのは、デジタル化や機材の発展、安い機材の普及などがあると思います。これに加えて、インターネット上に数々の発表の場ができたからではないかと思っています。そんな、考証をデジスコドットコムの「デジスコ通信」のコラムに投稿いたしました。  下記のURLで読むことができます。
  http://www.digisco.com/mm/dt_78/toku1.htm

2014年4月25日 (金)

ムナグロ録音成功

 本日は、昨日仕掛けた録音機を回収に行きました。まず、朝5時に目が覚めたので風がないことを確認。どんな音が録れているのかと思うと、わくわくしてそのまま目が覚めてしまいました。
  午前9時30分、現地に着くとすでに風が出始めていて、あちこちで耕耘機が動いています。やはり、田んぼでの録音は、早朝でないと難しいですね。
 現在、チェック中ですがムナグロは良く鳴いています。YAMAHA W24でタイマー録音、ボリュームはそのまま、2,000Hz以下の低音の軽減、軽くノイズリダクションをかけています。

「pacific_goldenplover140425.mp3」をダウンロード

 本日の日の出は午前4時50分頃、そのため4時から録音を開始いたしました。この時刻で、すでにムナグロの声が入っています。アオサギ、カルガモも同じように鳴いていますから、4時前から起きていると思います。ハシブトガラスが鳴き始めるのは4時33分、ムクドリが44分、ヒバリはさらに遅く5時40分からさえずりが聞こえます。近くの農道を自動車が走っていったのは6時40分となり、鳥たちがいかに早起きかわかります。
 また、水路の前に置いた録音機のほうには、「バシャバシャ」という音が録音開始の4時から入っています。これは、コイが集まって産卵するときの音です。夜明け前から、こうした行動がおこなわれていることを知りました。田んぼでのタイマー録音は、初めてでしたが、早朝の雰囲気が伝わってくる良い音が録れました。
 また、ムナグロの「キビヨ」と言う声は、あまり出さないことがわかりました。「キビヨ」は、飛び立つの鳴き声のようです。ですから、田んぼに下りてのんびりしているときには、鳴かない声となります。昔、ムナグロが「キビヨ」と鳴くと教えられましたが、どうも飛び立たせている人から教わったようです。
 重ねて、鈴木ad♀さんにお礼申し上げます。

2014年4月24日 (木)

コチドリの雌雄の鳴き合い

 昨日のムナグロ録音ができなかった記事を読んでS木ad♀さんから、ムナグロならば近くにたくさんいると教えていただきました。千葉県西部の田んぼです。
 さっそく本日、出向きました。教えていただいたポイントに行く途中の田んぼに40羽ほどのムナグロがいるのを発見。ただし、隣の田んぼではトラクターによる荒起こしが行われています。しばらく見ていましたが、ムナグロたちは羽繕いをしたり何かをついばんだりして、のんびりムード。鳴いてくれません。
 トラクターの音もうるさいので、教えていただいたポイントへ。こちらにも、50羽ほどの群れが下りていていました。周りには単独でいるのもいますから、このエリアだけで100羽を超えてムナグロがいると思います。ただ、こちらのポイントは道路際で、車の行き来がけっこうあります。それに、こちらも鳴きません。
 地面で鳴くヒバリを録ったりしていたら、見慣れたトラクターとすれ違いました。さきほどの荒起こしをしていたトラクターが移動して行ったのです。さっそく、元の田んぼへ戻り持久戦を覚悟して録音機を設置して待ちます。
 その後、鳴いたのは一声。3時間待ってたった一声です。数ある体験のなかには、こんなこともあります。ただ、田んぼ1枚の距離ですので、かなり音は大きく入っています。とにかく鳴いてさえくれれば、良い音が録れそうです。
 今日のところは、作戦を変更して田んぼを囲むように録音機を仕掛けてタイマー録音することにしました。
 ところで帰り道、コチドリがさかんに鳴いていました。ソニーPCM-D100で録音。ボリュームを少しアップ、2,000Hz以下のノイズを軽減、ノイズリダクションを軽くかけています。

「little_ringed_plover140424.mp3」をダウンロード  

 コチドリは、飛びながら鳴くことが多く、侵入して来た仲間を追い出すための威嚇と思われる鳴き方です。そのため、けたたましい声が多いですね。今日の声は、2羽が水のはられた田んぼのなかで 寄り添うように歩いている時に聞こえてきた声です。おそらく雄が、鳴き続けています。そして、1回2羽が鳴き合ってくれました。いつものような、けたたましさを感じない鳴き方です。番を確かめ合うデュエットかもしれませんね。

2014年4月23日 (水)

オオヨシキリ初認-大久保農耕地

 2年半ほど、ご無沙汰をしていた埼玉県さいたま市の大久保農耕地へ行って来ました。以前、ここでムナグロのディスプレイらしい声を録っているのですが、よく聞く「キビヨ」と鳴く良い音源がありません。なんとかものにしたいと思っての来訪です。しかし、行ってみるとまだ田んぼには、ほとんど水が入っていません。土手の上から小1時間ほど眺めていましたが、ムナグロの群れが飛び交うこともなくあきらめました。数ある体験のなかには、こんなこともあります。
 でも、キジの砂浴びを観察し、ツグミ50羽の群れの鳴き合い、タシギの声を2声が録音できました。そして、わずかに残ったヨシ原のなかからオオヨシキリの声が聞こえてきました。今シーズン初めての記録となります。ソニーPCM-D100で録音、ボリュームを上げて2,000Hz以下の低音ノイズを軽減、ノイズリダクションをやや強めにかけています。

「OrientalReed-Warbler140423_007.mp3」をダウンロード

 まだ、節に力がありません。また、バックに運動場で野球をする人たちの声が聞こえます。この音があると、大久保農耕地らしい環境音になりました。
 私としては、かなり早い初認の印象があります。以前にも記事にしましたが、昔はもっと遅かったと思います。高校時代、東京都板橋区新河岸付近の荒川と新河岸川の記録では、1965年5月4日、1966年5月5日、1967年5月2日、1968年5月10日です。いずれも5月に入ってからです。ここは、通学路でほぼ毎日通っているところですから、かなり精度の高い記録です。
 大久保農耕地は、高校時代に住んでいたところから10kmほど上流の同じ荒川の流域になります。大久保農耕地に行くと昔を思い出します。行政区画は変わりますが、環境はよく似ています。
 2年半ぶりの来訪の大久保農耕地と毎日通っていた通学路の記録と比較するのは、いささか乱暴です。ただ、少なくとも本日4月23日には来ていることになり、50年前と比べてオオヨシキリの渡来が早くなっているかもしれないくらいは、言えると思います。

2014年4月21日 (月)

ハチジョウツグミの地鳴き

 話は前後しますが、S木♂さんからハチジョウツグミがいると情報をいただきました。なんとご自宅と仕事場の間にある公園に見つけてくださいと、いわんばかりに出現したのです。S木♂さんからは「皆、人気のウタツグミに行ってしまっているので空いています」とのこと、結局3~4月に3度通いました。
 このハチジョウツグミは、背中の灰色とお腹のオレンジ色のコーディネイトが、とてもうつくしい雄でした。これまで、こんなにきれいなハチジョウツグミは、見たことがありません。あわよくば、さえずってくれればと期待しての来訪です。
Hatijyothrush140408

 ウタツグミは、ヨーロッパでは普通種ですので、さえずりも地鳴きも音源はネット上にたくさん出回っています。ハチジョウツグミの分布はシベリアなどですから、あまり録音されていない鳥で野鳥録音的にはウタツグミより貴重となります。
 ツグミのさえずりについては、アカハラのような音質で複雑な節だと思っていますが、標準の鳴き方が不明です。ハチジョウツグミは、xeno-cantoでアップされているさえずりは、単純で短い同じ節の繰り返し鳴くことが共通し、マミジロの音質でクロジの鳴き方に聞こえます。なお、日本ではハチジョウツグミは亜種ですが、世界的には種として扱われています。さえずりを聞く限り、別種扱いがなっとくできます。そのため、xeno-cantoでは、ツグミは英名Dusky Thrush、学名Turdus eunomus、ハチジョウツグミは英名Naumann's Thrush、学名Turdus naumanniとなっています。
 xeno-cantoのハチジョウツグミのURL。さえずりもあります。
 http://www.xeno-canto.org/explore?query=Turdus+naumanni
  地鳴きしかないツグミのURL。
  http://www.xeno-canto.org/explore?query=Turdus+eunomus
 しかし、くだんのハチジョウツグミは、なかなか鳴いてくれない鳥でした。S木♂さんは、動画と共にぐぜりを録音できました。私は、飛び立つ時の地鳴きをなんとか録ることがことができました。YAMAHA W24で録音、ボリュームのかなりの増幅、低音ノイズをかなりカットし、ノイズリダクションを強めにかけています。
「hatijyoThrushC140323.mp3」をダウンロード

 地鳴きは、聞く限りツグミとほとんど変わりありません。
 芝川第1調節池で2014年4月17日に録音したツグミの地鳴きです。
「DuskyThrush140309e.mp3」をダウンロード

 ツグミの地鳴きには、いくつかのパターンがありますので、いちがいに比較はできません。ハチジョウツグミの地鳴きは飛び立つ時の声でしたので、同じような声を探しての比較してみました。ハチジョウツグミのほうが少し金属的に聞こえます。声紋で見ますと、ハチジョウツグミの基音が3,500Hzあたりにあり、ツグミが3,000Hzにあります。また、パターンはハチジョウツグミが平坦なのに対し、ツグミは山型、逆U字型のパターンに見えます。その違いが、多少ニュアンスが違って聞こえることになります。違いはあるものの、野外で聞き分けられるほどの大きな違いはない思います。
 S木♂さん、貴重な音源を録ることができました。毎度、ありがとうございます。

2014年4月20日 (日)

ヤマガラのさえずりのバリエーション

 昨夕は、S木♂さんのご案内で奥多摩に夜の鳥の探索に行きました。夕闇ととともに温度がどんどん下がり、雨も降ってくるという悪条件となり、残念ながら早めに引き上げることになってしまいました。数ある体験のなかには、こんなこともあります。
 でも、夕闇のなかを飛ぶオシドリや渡って来たばかりのクロツグミのさえずりを聞くことができましたので、まんざら成果がなかったわけではありません。そして、もうひとつは変わった声でさえずるヤマガラです。
 SONY PCM-D100で録音、ボリュームはそのまま、2,000Hz以下の低音ノイズを緩やかに軽減、軽くノイズリダクションをかけています。

「VariedTit140419.mp3」をダウンロード

 ふつうヤマガラのさえずりは「ツツ、ピー、ツツ、ピー、ツツ」などを一節として間を空けて繰り返します。ところが、このヤマガラは「ピー」の部分が最初に来て、間に入る音は「ビュー」と震えるような声になっています。そのため「ピー、ビュー、ピー、ビュー、ピー」と聞こえます。また、ふつう「ピー」の部分は3,500Hzくらいなのですが、5,000Hzと高く、「ビュー」の部分も4,000Hzに基音があり倍音が20,000Hzまで伸びていて、全体的にとても高いのです。ですから、老耳の私には録音しているときは音が小さく聞こえましたが、家に帰ってきて波形で見ると音割れしそうなくらい大きなボリュームで録音されていました。また、「ビュー」の部分は0.4秒の間に20回振幅があり、とてもデリケートな音になっています。
 それにしても、あまりさえずりにはバリエーションがないと思っていたヤマガラですが、こんな鳴き方もあることを知りました。
 S木♂さん、寒いところご案内いただきありがとうございました。

2014年4月17日 (木)

ホウロクシギの声か-谷津干潟

 本日は、へクロツラヘラサギを録りに行きました。午前中、目の前によく来てくれましたが、一声も鳴かず。日に焼けただけでした。
 午後は、先日谷津干潟で長時間にわたって録音した音源のチェックを行いました。もし、そのまま聞いてチェックしたら24時間かかります。ですので、Adobe Audition3.0で声紋表示をしてチェックします。波形表示では、ノイズ以上の音量の音があれば見つけることができますが、ノイズの音量以下だと音があってもノイズにまぎれて見えません。Audition 3.0で、声紋表示をすると濃淡で表示されるので音があるのがわかります。色の濃い部分だけ音を聞いて、なんであるかチェックすればよいことになります。まず、5,000Hz以下を中心に表示して流すように見ていきます。そして、終わりまで見たら逆に5,000Hz以上を見て往復します。2G、3時間の音源であれば、20分ぐらいでチェックすることできます。今回のように、夜は音のないところが多いので、もっと早くチェックすることができます。
 ところで、目的のホウロクシギらしい声が録れていました。場所は、小学校近くのハイドの裏に置いた録音機に入っていたもので、14日午後10時14分頃に鳴いていました。YAMAHA W24でタイマー録音、ボリュームを少し下げています。1,500Hz以下の低音ノイズをゆるやかに下げています。軽くノイズリダクションをかけています。
「far_eastern_curlew140414.mp3」をダウンロード
 そうとう大きな声です。この前後でダイゼンが時折鳴いていますが、同じような声が応えることはありませんでした。また、この声と同じような声は、他には録音されていませんでした。
 ホウロクシギの音源は、蒲谷鶴彦先生の『野鳥大鑑鳴き声420』(2001・小学館)と上田秀雄さんの『野鳥の声283』(1998・山と溪谷社)にも収録されていますが、雰囲気は似ているものの、ぴったりとは一致しません。蒲谷先生と上田さんのもの自体、雰囲気はにているものの違って聞こえます。
 世界の鳥の声がいちばんアップされているxeno-cantoには、ホウロクシギが1件だけアップされています。ロシアの北朝鮮国境近くのPrimoryeで収録されたもので、callとなっています。これを聞くと、少しは雰囲気が似ていることがわかります。
 http://www.xeno-canto.org/93921
 声紋で比較してみます。まず、谷津干潟の音源です。左右が約7秒、天地は11,000Hzです。
Far_eastern_curlew140715
 xeno-cantoに収録されているPrimoryeで録音されたものです。天地と左右は、同じです。
Xcfar_eastern_curlew
 いちばん音の強い基音が2,000Hz付近にあること、倍音が幾重にも重なっていること、最初の部分は倍音がつながって縦に一筋になっていることなどのパターンが、よく似ています。それが、聞いたときに同じような音質に聞こえるのだと思います。
 ただ、他のシギで同じような声で鳴くものがいる可能性がありますので、確定とまでは言えません。
 ホウロクシギの英名は、Far Eastern Curlew=極東のシギです。それだけに、分布が東アジアに限られています。ダイシャクシギが、ユーラシア大陸に広く分布しているのに対してたいへん狭いのです。そのため、ダイシャクシギの音源はヨーロッパのCDにも収録されていますし、xeno-cantoには87件もアップされています。しかし、ホウロクシギの音源は、CDにも収録されておらず、xeno-cantoでは1件、貴重です。このような鳥がどう鳴くのか、解明するのは極東に住む私たちの仕事だと思います。

2014年4月16日 (水)

ハクセキレイのさえずり-六義園

 最近、とみに野鳥との距離が近くなったと感じます。六義園のベンチに座っていたら、ハクセキレイの雄が近くにやって来て、さえずってくれました。それも、そっと置いた録音機のそばで、鳴いてくれました。
Blackbacked_wagtail140116
 1970年代は、東京ではハクセキレイは繁殖していませんでした。当時、青森県のむつ小川原湖へ行った時に、田んぼの畦でハクセキレイがさえずっているを見て、ずいぶん遠くへ来たものだと思いました。それが、今では家の近くで聞けるのですから時代がかわったものです。YAMAHA W24で録音、ボリュームはそのまま。低音のノイズを軽減し、ノイズリダクションを少しかけています。

「blackbacked_wagtail140410e.mp3」をダウンロード

 ハクセキレイのさえずりは、いくつかのパターンがあると思います。同じ節の繰り返しと、いろいろな節を不規則に繰り返す鳴き方です。これは、後者です。今まで聞いた中で、もっとも複雑な鳴き方だと思います。

2014年4月15日 (火)

3日通った谷津干潟

 日曜日の足立自然にふれあう会の谷津干潟探鳥会のおりに録音機を3台、谷津干潟に仕掛けておきました。ここ数日は大潮、ということは満月です。明るい夜の干潟で渡り途中のシギやチドリが饗宴を繰り広げているはずなので、その音を録りたいと思いました。
 YAMAHA W24を谷津干潟自然観察センターの横に1台、淡水池のハイドの近くに1台、そして対岸にある小学校のそばの植え込みに1台を置いておきました。タイマーは、干潟に向けたものは午後9時から午前3時、淡水池は小鳥が鳴く可能性があるので午前3時から6時に設定。これで、OKなはずです。
 そして昨日、回収に行きました。月曜日は、センターが休館なのは知っておりました。しかし、ゲートが閉まり敷地の中にも入れないとは。門の前でしばらく、呆然としておりました。周りを見ると、門は乗り越えられないこともなさそうです。しかし、センサーが仕掛けてあって通報されても困ります。さらに、防犯カメラがあって写ってしまうのも顔を知られているだけにまずいですよね。
 ということで本日、また谷津干潟に行きました。3日間続けて通うことで、面白いことがわかりました。13日は、ホウロクシギがおらず、その代わりハマシギ、オオソリハシシギ、メダイチドリの群れがいました。ダイゼンも干潟全体にいて良く鳴き合っていました。14日は、ホウロクシギ2羽がいたもののハマシギやオオソリハシシギの群れがいませんでした。ダイゼンはいます。そして、今日15日はホウロクシギ2羽とメダイチドリの群れがいたものの、ダイゼンやハマシギの群れはいませんでした。オオソリハシシギの群れはいたものの干潟茶屋でアサリラーメンを食べている間にいなくなってしまいました。とくに、今日はカモ類も含めて鳥がいちばん少ない日でした。どうも、オオタカかハヤブサといった猛禽類が出現したようです。それから、今日は富士鷹なすびさんがいました。
 では、昨夜はどうだったのでしょうか。YAMAHA W24でタイマー録音、2,000Hz以下のノイズを大幅に軽減、ボリュームのアップ、ノイズリダクションを中程度かけています。

「grey_plover140415.mp3」をダウンロード 

 ダイゼンが鳴き合い、ハマシギの群れがにぎやかです。このほかのところを聞くと、ハマシギの群れは千羽はいるかもしれません。夜の干潟は、シギやチドリで大賑わい、昼とは違った顔があることがわかります。夜は、猛禽類がいないので思い切り、干潟の恩恵を味合うことができるからでしょうか。
 おかげで2日にわたって録音ができました。そのため、これから24時間以上の音源をチェックしなくてはなりません。ホウロクシギの声が入っていたら良いのですが。

2014年4月13日 (日)

鳥の見える喫茶店-干潟茶屋

 1987年、NHKテレビのドラマに『友だち』がありました。倍賞千恵子、河原崎長一郎が出演、バードウォッチングで知り合った中年の男女が、友だちとしてお付き合いしていくお話しです。ふつうならば不倫となる当時の風潮のなか、バードウォッチャーだけに清いお付き合いとなるわけで、今思い出すとなんともゆるい流れのドラマだったと思います。
 ところで、この2人がバードウォッチングしていたのが、現在の東京港野鳥公園のあるあたり、当時の大井埋立地の”汐入の池”でした。男性が羽田空港の航空整備士という設定のため、いちばん近い探鳥地が選ばれようです。また、2人が喫茶店で鳥談義に興じる場面では、喫茶店の窓の外をヨシ原のバックしてユリカモメの群れが飛んでいきました。要するに、汐入の池の前に喫茶店があることになり、これは合成でした。
 当時、日本野鳥の会に事務所には「あの喫茶店は、どこにあるのか」という問い合わせが何件もありました。それだけ、バードウォッチャーにとっては、コーヒーを飲みながら鳥が見られる喫茶店というのは、あこがれであったわけです。
 本日は、足立自然にふれあう会の谷津干潟探鳥会におじゃまし、シギやチドリを堪能いたしました。そのあと、谷津干潟自然観察センターのなかにある干潟茶屋で一休みをいたしました。考えてみれば、ここが鳥が見える喫茶店、バードウォッチャーあこがれのロケーションになっています。
Higatatyaya140413
    窓辺の席に座っていると、目の前をセイタカシギがゆっくりと歩いて行きます。ハクセキレイが、忙しそうに窓の前を飛び交います。クイの上には、池のほとりにはダイサギとコサギがのんびりとたたずんでいます。コガモの群れがいっせいに飛び立ちました。オオタカでも出現したのでしょうか。こうしたドラマが、私がいた小一時間の間につぎからつぎに起きていきます。まるで窓の外は、大型画面で見る自然番組のようです。
 干潟茶屋は、今までセンターに入るための入館料を払った上にさらに代金が必要でした。最近、窓口で「干潟茶屋に行く」と言えば黄色いリボンを渡され、タダではいることができるようになりました。コーヒーは380円、それで目の間でセイタカシギを見られるのですから安いものです。
 今日は一人でまったりとしていたら、所長をはじめ旧友のBチャンがやってきて、話が弾みました。私の場合、男友だちばかりなのが少し寂しいです。

2014年4月12日 (土)

コガモの雌の声-芝川第1調節池

 昨夕、芝川に録音機を3台仕掛けに行き、本日回収に行ってきました。K久保さんと月之座さんも同行してくれました。今日の芝川は、風が強かったものの暖かく風の当たらないところはポカポカ、ハイキング日和でした。チュウヒも2羽飛び交い、たえず鳥の姿が見られました。しかし、バードウォッチャーは私たちくらいで、貸し切り状態。なんとももったいない感じでした。
 タイマー録音は午前4時から7時までで3台ですから、音源は9時間分あります。まだ検証中です。現状までのチェックで、思いのほか良く入っていたのがコガモの雌です。コガモの雄が「ピリッ、ピリッ」と小鳥のような可愛い声で鳴くことはご存知だと思います。では、雌はどんな声で鳴くか、ご存知でしょうか。
 YAMAHA W24でタイマー録音。ボリュームはそのまま、500Hz以下の低音を軽減、軽くノイズリダクションをかけています。

「Teal140412.mp3」をダウンロード

 コガモの雌の声は、カタカナで書けば「ジップ、ジップ」あるいは「ウィップ、ウィップ」と聞こえると思います。最後のほうで「ピリッ」あるいは「ピルッ」と聞こえるのが雄の声です。
 雄の声はよく聞きますし、録音もたくさんあります。しかし、雌の声は雄の声の合間にときどき聞こえるくらいです。雌だけの単独の声もあることはありますが、遠くてこれまたコンディションはよくありません。ですから今回のように雌が、良く鳴いている上に近くで鳴き、クリアに録音できたのは初めてです。
 なお、録音されていた時刻は午前4時20分です。今日の日の出は午前5時13分、日の出の1時間ほど前となります。まだ、暗い水面でコガモたちが語り合っていたことになります。

2014年4月11日 (金)

キンクロハジロの雌の声-六義園

 ここ1週間ほど、六義園の池にはキンクロハジロが多い時で200羽ほど入りました。今日は、20羽ほどに減っていましたので、南から北へ移動する群れが通過していったことになります。
 ところで、かなりのベテランでもキンクロハジロの声を聞いたことのない人がいます。蒲谷鶴彦先生が人生のなかで録音した鳥の声のうち、最後から2,3番目がキンクロハジロだったと思いますから、録音的にも難しい鳥と言えるでしょう。
 それでも、雄は餌付いている群れであれば近くに来るので、「クルル・・・」と言う声を聞くことがあります。注意さえしていれば、聞き逃すことはないと思います。しかし、雌の声はなかなか聞くことも録音することもできません。まず、関東地方では雌が少ないことがあります。さらに雄はディスプレイで鳴くわけですが、雌は鳴く必要がないので、まず声を上げることはありません。私の数少ない雌の音源は、六義園の池に1羽だけポツンといたものが、数声小さな声で鳴いていたものです。距離もあったので、あまりよいコンディションではありませんでした。
 今回、ツグミ系の録音のために池のほとりに置いておいた録音機に、キンクロハジロの声が良く入っていて、雌も鳴いていました。YAMAHA W24でタイマー録音、音量の増幅はなし、600Hz以下の低音を軽減、ノイズリダクションを中程度かけています。また、1分ほどを切り出し、声と声の間隔を詰めています。

「tufted_duck140410.mp3」をダウンロード

 後ろで「キュウルル」と、可愛い声で鳴いているのが雄です。雌の声は、カタカナで表現したら「ギューッ、ギュルル」、あるいは「ビューッ、ビュルル」でしょうか。少し濁っているものの深みのある不思議な声です。たったこれだけの声でも、表現するのに苦労する声です。

2014年4月10日 (木)

ツグミ系の不明な声-六義園

 留守にしていた先の日曜日に、カミさんが六義園から聞いたことのない声が聞こえてきたとYAMAHA C24で録音しておいてくれました。大型のツグミ系のさえずりに聞こえるのですが、遠いために分かりません。それではと言うことで、昨日の朝にベランダにタイマー録音をしかけて置いたところ、同じ声が録されていました。しかし、これも遠くてわからず。そのため昨夕、六義園のなかにYAMAHA W24を3台しかけタイマー録音をしてみました。ベランダからの録音の音源をヘッドフォーンで聞くと、やや音が左の方向から聞こえてきているので、その方向にあたりをつけてまず1台。さらに、正面に1台。池の辺に1台置いておきました。
 午前4時30分から録音設定で、もうハシブトガラスが鳴き合っています。不明の声は、5時7分30秒から鳴き始め、5時13分までの5分30秒ほど続いていました。YAMAHA W24でタイマー録音。上はヒヨドリの声、下はハシブトガラスとキジバトの声の音域に挟まれていました。その幅は、2,000~3,500Hzであったため、この音域のボリュームを上げています。このほか、低音域の2,000Hz以下のノイズを段階的にゆるやかに軽減、ノイズリダクションを中程度かけています。

「dusky_thrush140410_0430e.mp3」をダウンロード

  音色は、アカハラに似ていますが、節はアカハラに比べてとても複雑、それに長いです。六義園にはシロハラもいます。シロハラのさえずりは、アカハラによく似ています。現状での区別のポイントは、終わりの節の「チリリ」が短いか、ないという傾向があると思っています。アカハラもシロハラも、しばらく聞いていれば節の終わりの方に「チリリリ」という鈴を振るような音を交えると思うのですが、それがありません。
 あと六義園にいるのは、ツグミなのです。しかし、ツグミのさえずりの標準となる音源がありません。グゼリ様のものは何度か聞き、録音もしています。拙ブログでも紹介しています。しかし、ツグミがはっきりとした節で、さえずりをしているのを姿を確認しつつ録音したことはないです。
 なお、ヨーロッパのCDやWebサイトを探しても、ツグミ=Turdus eunomusのさえずりは見つけられませんでした。あるのは、ハチジョウツグミ=Turdus naumanniで、短い節で静かに鳴いています。いわば、マミジロのさえずりの断片のような短い節をゆっくりと間を空けてさえずっています。
 各地から夏鳥のたよりがよせられています。もう鳥たちの渡りの季節が始まっているわけで、何が出現してもおかしくないことになります。
 これだけはっきりと録音できたのに、何か分からないもどかしさを感じます。それにしても、このところ不明な声ばかり増えていますね。野鳥の声の奥の深さと浅学不明の輩であることを思い知らされています。皆さんからヒントをいただければ幸いです。

2014年4月 9日 (水)

『朝の小鳥』スタジオ収録-ツグミやヒタキの仲間

 今日は、文化放送にて『朝の小鳥』のスタジオ収録でした。5月は、いろいろな鳥が鳴いているので、どれを取り上げようか迷う季節です。いっそのこと、声のきれいな鳥ばかりを選んでみようと、ツグミとヒタキの仲間といたいました。かつては、ツグミもヒタキ科で、すべてヒタキの仲間でよかったのですが分類が変わってしまったので「ツグミとヒタキの仲間」といたしました。
 音の編集もさくさくとでき、シナリオもスラスラと書けて本番を本日迎えたことになります。鳥たちのきれいなさえずりのおかげで、5月はとても楽しい番組作りができました。野鳥たちに感謝です。
5月の放送内容
2104年5月 4日  ツグミ(埼玉県芝川第一調節池)
    5月11日  クロツグミ(栃木県日光)
    5月18日  ノビタキ(北海道霧多布湿原)
    5月25日  アカハラ(栃木県川俣)

2014年4月 7日 (月)

カケスからのクイズ-日光

 久しぶりの日光で、久しぶりに録音仲間のTさんと飲んで食べて話しました。同好の士との録音談義、話は尽きません。おかげで、喉が痛くなりました。
 翌日は、山で探索。いきなり、聞いたことのない声が聞こえてきました。PCM-D100で録音。ボリュームのアップ、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションを中程度にかけています。

「Jay140406_001.mp3」をダウンロード

 声が聞こえて来たのは、別荘地を外れたスギの植林地です。姿は見えず、木の上のほうで葉が動いています。声は、木から木へ移動していますので鳥であることは間違いありません。
 顔を見合わせると、Tさんも首をかしげています。2人とも聞いたことがない声なので、大珍鳥ではないかと色めき立ちます。少しでも大きな音で録りたいですが、ずかずかと近づいて一気に飛んで行ってしまっては元も子もありません。不用意に近づいた1歩のため、鳥が山を越えて飛んでいってしまったという体験をしていますから慎重です。
 少しずつ近づいて録ります。1歩近づいてはしばらく録り、また1歩近づいては録るという、”始めの一歩”のような動きをして録ります。
 5分ほど録音ができたので少し気を抜き、姿の確認ができたか話し合います。2人とも見えてません。では、近づいて姿の確認をしようかと思ったら「ジャーッ」と一声。カケスでした。
 しかし、カケスがこのような声で鳴くのは、初めて聞きました。カケス出題の自然からの”イントロ・ドン”のクイズでした。今回の声は、今までなく難題でしたね。
  この後、前日に仕掛けたタイマー録音を回収。それにも、カケスの奇妙な声が入っていました。この鳴き方は、聞いたことがあり姿も確認したことがありますのでカケスに間違いありません。また、ちゃんと終わりの方で答えを言ってくれているのはうれしいです。
 YAMAHA W24で録音。ボリュームのアップ、低音ノイズの大幅の軽減、ノイズリダクションを強めにかけています。

「Jay140406_002.mp3」をダウンロード

 繁殖のカケスは、いろいろな声で鳴きます。カケスからのクイズは、とうぶん続きます。

2014年4月 6日 (日)

PCM-D100とPCM-D1の比較-ウグイス

 久しぶりに、日光へ行って来ました。1991年から日光に通い始めて、3ヶ月近く行かなかったのは初めてです。そのため、日光でやらなくてはならない課題がたくさんたまっていました。まずはこの間、購入したソニーのPCM-D100を静かなところで録音して、性能を確かめてみました。
 いつもの散歩道を歩いていると、ウグイスがさえずっていました。さっそく、PCM-D100(以下、D100)とPCM-D1(以下、D1)を並べて録音してみました。設定は96Khz/24bit。録音ボリュームは7/10。2台を地面に置いての録音です。同じ所を38秒切り出しています。編集は、フェードインとフェードアウトのみで加工はしていません。ただ、mp3でないとアップできませんので変換しています。そのため、15,000Hz以上の音がカットされているなど、かなり損なわれています。
 D100
「BushWarbler-D100140405.mp3」をダウンロード

 D1
「BushWarbler-D1-140405.mp3」をダウンロード

 ウグイスとの距離は、5,6mです。録音ボリュームが7/10で、だいたい6db以上のレベルが得られます。この2機種の感度は、大きいですね。波形を見ると、D1は左右のバランスが違って見えます。このとき、ウグイスは正面より左にいましたので、D1のほうがマイクの指向性が高いことになります。
 ウグイスの鳴いていないところ、グラントノイズの大きさは、D100が-30db、D1が-36db、となり、D100のほうが大きいことになります。D100は、じっくりと聞くと「ゴーッ」という音が大きい聞こえます。比較して、D100が低音を捉えていることになります。
 声紋を見ると、D100は全体に濃淡がなくフラットです。D1は、7,000~9,000Hzが薄くなっています。また、右チャンネルの19,500Hzにノイズがあるほか、薄いものが何本かあります。ただ、D1は9年近く使用していますので、かなり経年劣化している可能性があります。
 単純にウグイスの声を比べて聞くと、私には違いがわかりません。いずれも、ウグイスのふくよかな艶のある音質をちゃんと捉えていると思います。
 購入金額は、D100が8万円、D1が16万円と倍近い差がありましたが、少なくとも音質には倍の違いはないと感じます。D100が小型軽量であること、電池の寿命がもつこと、192kHz/24bitやDSD録音ができることなども加味したら、きわめて魅力的な機種だと言えるでしょう。

2014年4月 3日 (木)

また不明の声-芝川第1調節池

 一昨日の♪鳥くんの取材の前日、夕方の芝川に行きタイマー録音を仕掛けておきました。
 1台を池側、2台を内陸のヨシ原側に向けて置いておきました。池側ではクイナやカイツブリ、内陸側ではアリスイや小鳥の声を狙いました。
 結果、池側ではカイツブリがよく録れました。内陸側ではキジが近くで鳴いてくれ、音が割れるほど近くで入っていました。警戒心の強いキジのこと、手持ちではこんな近くで鳴いてくれません。タイマー録音ならではの近さです。ただ、アリスイは鳴いてくれたものの遠くて音にならず残念でした。また、チャレンジします。
 また、今回はかなり不明の声が入っていました。そのひとつがこれです。YAMAHA W24で録音。ボリュームの増幅、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

「unknow140401.mp3」をダウンロード

 声はたいへん高く4,500~5,000Hzに基音があり、10,000Hzまで幾重にも倍音が伸びています。そして、3.6秒の間に50回近い音を出しています。なお、ホオジロの地鳴きとキジの声がかぶっています。前後には、シジュウカラの声が入っています。
 周辺にいて、この声の質にいちばん近く可能性のあるのはメジロだと思います。しかし、ちょっとニュアンスが異なります。また、いろいろな声を出すモズもいますので、その可能性もあります。いずれにしても、今まで聞いたことのない声です。
 もし、ご存知の方でヒントをいただければ幸いです。 

2014年4月 2日 (水)

カイツブリのいろいろな声-芝川第一調節池

 昨日は、♪鳥くんと芝川第1調節池に。彼が執筆中のバードウォッチングに関する本の取材です。私は、野鳥録音家として登場します。芝川を、ゆうゆうと飛ぶチュウヒを見て、さかんに鳴くキジの声を聞きながらの取材です。なんだか、これで仕事になるのかと思っていたら、近くのファミレスに行って真面目なインタビューを受けました。世の中、そんな甘いものではありませんでした。
 その後、ひと仕事終ったので、ゆっくりと芝川調節池を歩きました。良い天気なうえにサクラも満開なのに散歩をしている人がチラホラ、トビをチュウヒと間違えて一生懸命に写真を撮っている双眼鏡を持っていないカメラマン約2名がいるだけでした。
 カイツブリが盛んに鳴いていました。そして、さえずり以外の声で鳴くカイツブリがいましたので、さっそく録音しました。この声は、いぜん芝川の謎の声として記事にしたものです。S木♂さんから、YouTubeに上がっているヘビに警戒しているカイツブリの動画に収録されている声と一致していると教えていただいたものです。
 PCM-D100で録音、ボリュームのアップ、低音ノイズの軽減、プチノイズ、ガサノイズのカット、ノイズリダクションを軽くかけています。

「LittleGrebe140401.mp3」をダウンロード

 最初のほうに鳴いているカイツブリの番に対して怒っているのか、あるいは警戒しているという感じでした。そのため、私がかなり近づいているのですが、気にせず鳴き続けているという状態です。
 カイツブリの鳴き声のバリエーションは少ないものだと思っていましたが、こんなにいろいろな声を出すとは、認識を新たにいたしました。

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