鹿威しの音-日光
昨日今日は、目の不自由なMさんと、日光で野鳥録音を楽しみました。
以前、Mさんから「鹿威しの音を録りたいが、どこかにないか」と聞かれたことがあります。なんでも、都内の公園にあるのを見つけて行ったが、車の音がうるさくて録音できなかったそうです。私自身、録音を始めてから鹿威しに遭遇したことはなく、録ろうと思ったことはありませんでした。環境音にこだわるMさんならではの希望です。
ネット検索をして探してみると日光にあることがわかりました。田母沢にある「奥の院 ほてる とく川」です。Mさんは、このホテルに泊まることになり、私も便乗して鹿威しの音を録らせてもらいました。
鹿威しの音を録るのは、簡単に考えていたのですが、かなり難しいと思いました。水が竹に溜まり、その重さで重心が移動してただ石を叩く音なのですが、奥が深いのです。ひとつに「カコーン」という音がある程度、響いてくれないと趣がありません。さらに、この音があるがゆえに静けさを感じるのが理想です。音が静かな感じを醸し出すのですから矛盾しています。しかし、これが日本の音風景の興味深いところ、こだわりどころのある録音となります。
ホテルは渓流沿いにあり、沢音が聞こえます。周辺は、森の中という感じです。細い行き止まりの道があるだけですから車はときどき来るだけで、静かです。ただ、ホテルですから換気の音や人声が入ります。録音機を鹿威しの近くに置けば、周辺のノイズがかなり軽減されるはずです。しかし、近すぎると反響や周囲の静けさを感じる音にはならないでしょう。ある程度の距離を置くことも必要で、マイクポジションがかなり要となります。
また、鹿威しの音はほぼ30秒間に1回鳴ります。音は急に入り、なおかつ大きいのでそれに合わせて録音レベルを絞ると、まわりの静けさを感じさせる音が録れません。音量レベルと動きを見ながら、微妙な調整が必要でした。
録音は、10分間で20回分録れました。この10分のなかで、換気がとまっているところ、人声がないところ、ヒヨドリの声が入ったところを抽出して編集加工してみました。
PCM-D100で録音、ボリュームはそのまま、300Hz以下のノイズを軽減、それに日光で録音した水音をミックスしてみました。
「sisiodosi140531.mp3」をダウンロード
30秒間というのはけっこう長くて、他に音がないと間が持てない時間となります。不自然にならない程度に水音を足すことで、雰囲気を少しでも醸し出せたらと思いました。
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