« 鹿威しの音-日光 | トップページ | 一枚の羽から-CSI駒込 »

2014年6月 1日 (日)

Mさんの録音ー日光

 目の不自由なMさんといっしょにいると、いろいろ勉強になります。今回の日光では、彼の録音する姿に感動いたしました。小さな三脚にオリンパスLS-100を付けて、音声ガイドを確認して、すぐ前に置きます。その後は、微動だもしません。じっと、音を聞いています。鳥が鳴きやむか遠くへ行くまで、そのままの姿勢なのです。ですから、オオルリが20分間さえずっていたときは、20分間そのままの姿勢でした。
 そのオオルリのさえずりをさっそくご自身のWebサイトにアップしています。拙ブログの左にあるリンク「ようこそ佑太のページへ」へ行き、「野鳥の声」のなかの「オオルリの声」と「しかの声」が、その時に録音したものです。
 私は録音機を置いたら自分の立てる音が入らないように、そっと離れて待ちます。その間は、他の鳥がいないかまわりを見回したりして動きます。考えてみれば、彼は録音機から離れてしまえば見つけられないのですから、手の届く範囲に置かなくてはならないのです。そうすると、必然的に身じろぎでもすれば、その音が入ってしまうので動けないのです。その姿は、自然のなかで座禅を組んでいる修行僧のようでもあります。
 また、この姿はどこかで見たことがあると思いました。野鳥録音の大家・蒲谷鶴彦先生が録音をしていた姿と同じなのです。蒲谷先生の時代は、録音機はオープンリールですから「ガサッ」と音が入ったからと言って簡単にはカットできません(Mさんもマウスを使う細かい編集は、できませんので同じです)。また、テープやバッテリーの残りを絶えずチェックしていないとなりません。そのため、音を立てずに録音機のそばにいなくてはならないのです。その習慣は、DATの時代になっても変わりませんでした。傍らに録音機とパラボラにセットしたマイクを置いて、手を添えてじっとされていました。
 ある人が「先生が録音をしている方へ、鳥が寄っていく」と言われました。たしかに、双眼鏡を振り回しているバードウォッチャーを避けて、じっとしている先生の方へ鳥が飛んでいく理由は納得できます。自然に溶け込むことで、野鳥が近づきより良い音で録音ができます。Mさんの録音の仕方を見て、いかに自然と一体となるかが野鳥録音のコツのひとつであることに改めて気がつきました。
 きっと、いつかMさんの身体に小鳥がとまってさえずることがあると思います。

« 鹿威しの音-日光 | トップページ | 一枚の羽から-CSI駒込 »

徒然」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/556172/59743676

この記事へのトラックバック一覧です: Mさんの録音ー日光:

« 鹿威しの音-日光 | トップページ | 一枚の羽から-CSI駒込 »

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

最近のトラックバック

無料ブログはココログ