チゴモズ-山形県北部
野鳥録音を始めて、鳴かない鳥には興味がなくなりました。しかし、それでも見たい鳥のひとつがチゴモズです。チゴモズは、私がバードウォッチングを始めた1965年頃は多磨霊園で見ることができました。毎年、日本野鳥の会東京支部の探鳥会では記録されていました。ところが、板橋区の奥のほうに住んでいた私は始発のバスに乗っても探鳥会の集合時間には間に合わず参加することができませんでした。それに多磨霊園ならば、いつでも行けば見られると思っていたのですが、いつの間にか姿を消しました。その後、高尾山の山梨県側の藤野にいるとのことでした。しかし、カメラマンと農家の方ともめた話などを伝え聞き、行きそびれているうちにここもいなくなってしまいました。そして、気がついたらチゴモズの情報は皆無となり、もう一生会えない鳥かと思っていました。
毎年、お世話になっている山形県のバード・コンシェルジュ・Y川さんから、去年の来訪のおり「チゴモズなら少しだけどいる」とのこと、今年はチゴモズ狙いでガイドをお願いいたしました。事前情報では、2番を見つけていただいておりましたが、直前で1つは行方不明、残る1つにかけての来訪です。
Y川さんと待ち合わせをして車で30分、チゴモズの巣があるというマツ林に着きます。そして、離れて待つこと数分「来た!」との合図。見ると枝にとまっている雄がいます。なんと、あっけない出会いでしょう。50年近く会えなかったチゴモズに、Y川さんに会って1時間もしないうちに見てしまいました。もし、最後に盛り上げたい釣り番組ならば、最初に大物が釣れてしまって、こまる展開です。
やはりチゴモズは、魅力的な鳥でした。太い目を通る線の黒が、頭の灰色と顔から腹にかけての白に映えます。目が大きく、精悍な感じのモズとは違って、可愛い感じがします。
その後、少し離れた狩り場の畑に移動して観察していると、同時に雄2羽を見ることがあって、どうもこの周辺では2番が繁殖しているようです。ところが、巣の周りでも狩り場でも雄はいても雌を見ることがありません。雌は抱卵中ではと思っていましたが、それにしては雄が頻繁に食べ物を運んできますので育雛中と思われます。不思議なことです。
それにしても、林と畑。これは、かつて藤野にチゴモズがいた環境とよく似ています。いわば、日本中どこにでもある環境なのですから、いなくなった理由がわかりません。
また、チゴモズを観察していて思ったのは、まったく鳴かないのです。また、動きが速く、飛び方は直線でモズとは違います。白っぽく、尾が長めなので林のなかを飛んでいく時は、サンショウクイによく似ています。また、とまっているときにモズは尾を回しますが、チゴモズがまわすのを見ることがありませんでした。新鮮な発見が、つぎからつぎにあるチゴモズです。
この日は、雌に会えないままタイマー録音2台をしかけて撤収。翌朝も、同じ場所で観察しましたが、雌は見えません。他の場所にも行きたいので、タイマー録音を仕掛け直して移動をしました。
そして最終日の3日目、電車の時間を気にしながら録音機の回収に行きました。この間、30分ほどの観察です。なんと、Y川さんが雌を発見。雄とは違う可愛さのあるモズでした。最後に大物が釣れる釣り番組のように最高の展開となりました。
Y川さん、お陰さまで念願のチゴモズ雌雄を見ることができました。また、カミさんともども、お世話になりありがとうございました。
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