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2014年8月 1日 (金)

ソニーEM-3を試す

 某所からソニーのEM-3をいただきました。1970年代に一世を風靡したオープンリールのレコーダーです。当時の街頭インタビューといえば、このレコーダーというほど放送現場ではよく使われた機種です。
 1976年のソニーのカタログで、330,000円した代物です。私の月給が5,6万円の頃ですから、当時の年収の半分くらいはしたことになります。ときどきネットオークションでアップされますが、いずれも放送現場で使い倒されたもののためジャンク品扱い。今回いただいたものは、ほとんど使った形跡のない美品でした。試しに、電源を入れると稼働しました。貴重な逸品です。
 じつは、いただいてもう1年近くなるのですが、なかなか試す機会がありませんでした。まず、準備としてオープンテープと、受けとなる空リールを入手しなくてはなりませんでした。テープの入手に苦労した話は記事にしています。
 http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2013/09/post-7af9.html
 EM-3の第一印象は、重いです。本体だけで5kgあります。それに、単一の電池を8本入れるのですから、プラス1kgとなります。これに、ソニーのパラボラPBR-330、サンケンのマイクMS-7C、三脚、コードを加えて8kg。双眼鏡など、その他の装備が必要ですから10kgにはなります。肩と腰にずっしりとくる重さです。
 機構は、質実剛健。簡単です。たぶん40年以上、動かされることのなかった機種ですが、電源を入れればすぐに稼働すること自体、驚異です。本体には、テープの走行のスイッチ、再生と録音のスイッチ、ボリュームのつまみ、レベルメーター、バッテリチェックのボタン。これに、マイク端子とイヤーフォンジャックがあるだけです。筐体は、金属製でいかにも丈夫そうな造りをしています。
 じつは、先週の日光行きのときに、試し録音をするつもりでした。ところが、マイクを接続しようと思ったら、端子が合わないのです。現行機種の多くは、レコーダーのマイク端子=キャノンプラグの受けは♀なのですが、EM-3は♂でした。そのため、前記事のようにトモカ電気で変換プラグを購入した次第です。
 やっとこれで、準備万端整いました。まだウグイスやホトトギスの鳴いている日光のきすげ平で実験です。ここは、遊歩道が整備されているため、重い機材を担いでも楽だろうという思惑です。ところが、いつもは軽く歩ける遊歩道ですが、10kgもの機材を背負って歩くと、汗びっしょりとなりました。涼しげな高原の風がなければ、途中で引き返したかもしれません。
 まずは、水の流れの音を録音してみました。ところが、録音ボリュームがとても小さいことに気がつきました。イヤーフォンで聞くと、かすかにしか聞こえません。もちろん、ボリュームはいっぱいに上げています。実際の音とイヤーフォンから聞こえて来る音かどうかの判断が、難しいほど小さな音でしか録れないのです。
 ですから、さえずっているウグイス、ホオジロにパラボラを向けましたが、イヤーフォンでは聞き取れないほどにしか録音できませんでした。なお、同時に録音したPCM-D100では、ふつうに取れていました。
 また、テープの走行音がとても大きいのです。ですから、マイクコードの長さぎりぎりのところに置いて録音しました。もし、大きな音で録音できたら、きっとこの音をノイズとして拾ってしまうことでしょう。
Em3140731_3

 次回は、ガンマイクで実験してます。さらに、マイクアンプを使って見るなど、まだまだやってみたいことがあります。往年の録音家たちが使用したEM-3、かなりの難物ですが、それだけにどんな音が録れるのか楽しみです。

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コメント

ご存知かも知れませんが、
左側のガイドローラーのプラスネジを取り、ローラー上部のローラーのストッパー板を取ると、ローラー上面にストロボが現れます。(50Hz、60Hz)
EM2やEM3はキャプスタン軸がサーボコントロールされており、基板上に回転をコントロールする半固定VRが付いています。
これでストロボを見ながらスピードを調整します。ただし、最近の照明はLEDなので反応しません。
また、テープに与えるバイアスもVRで調整できるので便利です。

EM2,EM3は、イヤーフォンの為のアンプは設けられていないので高インピーダンスのもの(クリスタルイヤフォン)を接続します。
また、録音の音質は厚みがあり良好ですが、再生の音質はいまいちかもしれません。
私は1980年台に音楽を生録していました。

池田晃一様
 EM-3の情報、ありがとうございます。
 師匠が愛用しておりましたが、私が教わったのはDAT時代でしたので、このような使い方は教わり損ないました。
 筐体の頑丈さは、今の機材にはない信頼感を持てます。
 まずはお礼申し上げます。

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