『朝の小鳥』10月放送分、スタジオ収録-話はデング熱
今日は、文化放送にて『朝の小鳥』の10月放送分のスタジオ収録でした。10月は、東京湾で録音したシギ・チドリたちです。シロチドリは、幕張の浜で録音したもので、今回はじめて取り上げます。ダイゼンとミヤコドリは三番瀬。チュウシャクシギは谷津干潟で録音したもので、いずれも新しい音源です。どうぞお楽しみください。
収録の後に、今話題のデング熱の話になりました。ディレクターのS木さんのお住まいは、代々木公園のそば。通勤でもイヌの散歩でも、代々木公園を通っています。ニュースで代々木公園の鉄扉の外に自転車が運び出されていているシーンがありましたが、なんとS木さんの自転車もあのなかにあったのです。もちろん、代々木公園で蚊には何度も刺されています。
私にとっては、昨日はたいへんめでたい日となります。私もNHKに行くときに代々木公園を抜けていきます。松田輝雄元アナウンサーに教えてもらった道です。ちょうど、デング熱を最初に発症した若者たちが蚊に刺されたところで、私も刺されました。蚊の種類は不明ですが、8月26日のこと。昨日は、デング熱のもっとも長い潜伏期である15日をクリアした記念すべき日となったのです。
もちろん、大丈夫だと思っていました。何しろ、NHKの社員だけで千人単位の人があそこを往復しています。1ヶ月とすれば10万単位となり、かなりの人が蚊に刺されるはずです。それでNHKの社員で発症したのはたった2人、何万分の1の確率となります。また、S木さんのように地元の人がたくさん公園を利用しています。その人数も1日万単位となりますから、さらに確率は低い数字となります。
デング熱の報道も見るにつけ、自然や生き物の理解が本当に欠如している内容が多くて気になりました。たとえば、蚊の行動範囲が50mから100mというのはどこから出てきた数字なのでしょうか。蚊が、上昇気流で舞い上がって数千m上空でアマツバメに食べられるということもあると思います。風に乗ったら、限りはないでしょう。
薬剤の散布も気になります。蚊だけ効く薬はありえませんので、クモやトンボと言った他の昆虫も被害を受けるでしょう。こうした天敵がいなくなったら、なおさら蚊が増えてしまう懸念があります。自然のなかには、蚊依存の生き物たちがたくさんいて、それで生態系が回っている部分もあることを理解しているのでしょうか。
自然のなかに入ったら蚊には刺されるもの、刺されることを前提にして活動すべきでし、覚悟すべきだと思います。ですから、自然に癒やしを求めるのはどうかと思いますし、自然のなかに入るときはそれなりの緊張感を持つべきだと思っています。デング熱を機会に、本来あるべき自然とのつきあい方を学ぶチャンスにならないものでしょうか。
2014年10月放送内容
10月5日 シロチドリ
12日 ダイゼン
19日 チュウシャクシギ
26日 ミヤコドリ
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本当に同感です。
もっと声を大にして、マスコミに働きかけて下さい。
投稿: 田澤一郎 | 2014年9月12日 (金) 18時28分
田澤一郎様
機会があるごとに言っていますが、賛同を得るのは難しいですね。皆さん、自然観そのものを学んでいなし、自然体験の希薄な方に理解を求めるのは、とてもとてもたいへんです。
でも、田澤さんのように賛同していただける方がいっらしゃることは、励みになります。ありがとうございます。
投稿: まつ | 2014年9月12日 (金) 21時01分
実は私もほぼ同じようなことを、よく採り上げてくれる某紙に投稿しかけていました。これをもって私のほうはボツにしましょう^^。
魚、水棲昆虫、野鳥がいる池は蚊は多くないですからね。
大人たちが生態系、つまり食物連鎖のことを理解していないのは、小中学校の理科で基本のはずのそれをあまり教えてこなかったからではないかと思っています。自然の知識が乏しいオトナたちが多いことは野鳥の会に入ってからとくに感じるようになりました。
ペット関連の動物愛護精神ばかりは浸透しているふうだけれど。
投稿: ひろ | 2014年9月13日 (土) 06時51分
ひろ様
自然を知ることで自然を守れると思います。自然の仕組みを理解していないで、自然は大切だといっても、それはムードだけで説得力がないでしょう。あるいは、宗教じみたものとなり、反発されてしまうことになると思っています。
これからも、ご意見をいただければ幸いです。
投稿: まつ | 2014年9月13日 (土) 22時25分