先日、台湾の呉さんという方から、面白い質問が来ました。浅学ながら、私なりに質問に答えました。ご本人の了解を得てご紹介いたします。このレコードは、戦前の野鳥誌だったかで、広告が載っていたのをかすかに記憶している程度です。私の知っているかぎり、以前このブログで紹介した壽と言う名前のウグイスのレコード以前であり、日本で最初の鳥のレコードだと思っています。
このタイトルや書かれていることをキーワードに検索すると、国会図書館の所蔵リストのなかに出てきます。後述のように転記ミスがあるのですが、1930年代のものであることがわかります。戦前の昭和5年ですから、レコードとしてもかなり初期の作品ということになります。
国会図書館のURLです。
http://rekion.dl.ndl.go.jp/search/searchResult?viewRestricted=1&searchWord=%E9%B6%AF%E4%BB%99%E4%BA%BA&filters=6%3A0
呉さんのメールに添付されていた写真です。
呉さんの質問です。
1.レコードの上に、「稲継」と書いてありますが、それは兵庫県丹波の稲継ですか。
(答)推測ですが、ここに来る言葉はウグイスの名前ではないかと思います。鶯仙人と称する調鶯軒稲葉という人が所有するウグイスのため、自分の名前の1文字の稲を取って、それを継ぐという意味の命名ではないでしょうか。
2.「地付け用」はどういう意味ですか。「鶯仙人 調鶯行稲葉鑑定」とは収録者の意味ですか。「調鶯行」とは職業ですか。
(答)この前後に出た同じメーカー、同じ制作者のものに「羽衣・上げ付け用」「文字の友・土用付け用」というのがあります。いずれも意味がよくわかりませんが、「文字」は文字口というウグイスの鳴き方がありますので、それぞれ飼い鳥のウグイス特有さえずりの鳴き方が収録されているものと思います。ですから「地付け」は地の声、もともとのウグイスのさえずりを練習させるものの意味だと考えられます。
鶯仙人は、そのように自称しているものだと思います。調鶯行稲葉鑑定は、調鶯”軒”稲葉鑑定と書かれています。国会図書館のデータにある調鶯行稲葉鑑定は、転記ミスでしょう。調鶯軒が姓で、ウグイスを調教するという意味かもしれません。稲葉は名だと思います。日本では、講談師がこのような名前の付け方をします。
ちなみに、添付されている写真にある「筑紫閑□庵愛鳥」の□(4文字目)が読めませんが、筑紫は現在の福岡県の古い地名です。福岡県にある小鳥屋さんの名前ではと思います。
ざっと調べてのご返事ですので、推測や推定が多いです。ウグイスの鳴き方のいろいろは調べれば出てくると思いますので、もう少し時間をください。
呉さんは、日本がお上手なので、日本人と同じように書いてしまっています。もし、わかりにくいところがありましたら、ご遠慮なくおたずねください。
なお、このレコードは、日本の市場でもまず出ることはない貴重なレコードです。所有者の方に大切にされるようお伝えいただければ幸いです。
以上です。
皆さまにお願いです。もし、このレコードについての情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ご一報いただければと思います。
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