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2015年4月

2015年4月30日 (木)

OLYMPUS LS-14-サードインプレ

 野鳥録音は、都会の公園でも楽しめます。ただ、ノイズが多い都会では加工編集して、聞きやすくすることが必要なことがあります。LS-14で録音した音源を加工編集してみました。
 録音は、昨日の六義園です。鳥はメジロ、さえずっている木の下にLS-14を上に向けて置いています。録音ボリュームは最大、ローノイズカットはOFFです。およそ鳥との距離は、20mほどです。グランドノイズが、-24dbのなかでメジロの声が-21db前後ありました。波形で見る限り、さほど差がないレベルです。そのため、メジロの声以下のノイズを3,500Hz、2,000Hz、500Hzと段階的に軽減しました。そして、メジロの声の部分をピークで-15dbまでボリュームをアップしました。結果、ノイズは、-30db以下となり音のコントラストが明確になりました。明確になったところで、ノイズリダクションをかけてさらに明確してみました。それをmp3に変換してアップします。
「mejiro150429_0019.mp3」をダウンロード
 ノイズの多い都会の公園でも、加工編集すれば聞くに堪える音になっていると思います。安くて簡単な録音機でも、ここまで録れると言うことで野鳥録音を試みてくれる人が増えれば幸いです。

2015年4月29日 (水)

OLYMPUS LS-14-セコンドインプレ

 本日は、六義園でOLYMPUSのLS-14を使ってみました。
 ジャマーを付けようとして気がついたのですが、オプションのジャマーには左右にタグのようなものが付いています。Tシャツの襟などの付いている大きさの表示が書かれているようなものです。1つならば、メーカー名が書かれていることで納得できますが、こんな小さなものに2つ、それも何も書かれていません。
 パッケージを見ても、このタグの使用法は書かれていませんでした。そのため、勝手にこれは録音機に装着するものと判断いたしました。左右のタグにゴムを付けて録音機に付ければ、しっかりと装着できてはずれることは少なくなります。
 実は、ジャマーを落として無くしたことは何回もあります。D-50は、数回使って無くしました。D-1のものは、後ろを歩いていた仲間が拾ってくれたことがあります。六義園では、2回落とし翌日探して回収できたこともあります。W24のスポンジに至っては、いくつ無くしたか覚えていないほど。だいたい、多くのジャマーは付けにくく取れやすい傾向があります。そのため、マジックテープで留めたり、帽子が風で飛ばされないようにシャツの襟に留めておくハットピンで繋いだりしています。
 ですから、もしこれがジャマー落下防止のためのものならば、かなり工夫されていることになります。実際に野外で使用した経験のある設計者が企画したのではと推測いたします。
Ls14150429

 とりあえず、輪ゴム2本で留めたのですが、少し長さが足りないのと留めるやすくするために片方をゼムクリップで繋いでみました。現状では良い感じです。
 少なくとも、今日は外れることはありませんでした。

2015年4月28日 (火)

OLYMPUS LS-14ーファーストインプレ

 タイマー録音ができて、そこそこの性能だったYAMAHAのPOCKETRAKシリーズからタイマー機能が無くなってしまいました。現在販売されているめぼしいPCM録音機のなかにタイマー機能があるものはありません。録音仲間から、タイマー録音ができる機種はないかとよく聞かれます。
 それならば、長時間録音ができる機種を替わりに使えないか、確かめることにしました。ということで、先週末の日光行きに間に合うようにOLYMPUSのLS-14を入手しました。

Ls14150427

 LS-14は、カタログ値ではアルカリ乾電池単三2本、44.1kHz/16bitで46時間録音できることになっています。ざっと2日間録音できることになります。データの量は16Gとなり整理はたいへんですが、整理できる範囲です。ちなみに、W24は単三1本使用で38時間ですからLS-14は電池の本数が多いもののより長時間録音できることになります。
 ちなみに価格は、2万円を切っています。先週の価格コムの最安値は15,646円。ただし、最安値のショップは3~5営業日かかるため、ムナグロで試し日光で本番に間に合いません。そのため、翌日配送のアマゾンにて17,982円で購入しました。オプションの専用ジャマーが4,200円、合計22,182円でした。
   さっそく霧降高原で一晩、置いてみました。メモリーはSanDisk Extremeの32G、電池はeneleep proで充電したばかりのものを使用。録音設定はマニュアルで録音、ボリュームは最高、リミッターはON、ローノイズカットはOFF、48kHz/16bitで録音しました。スイッチを入れ、音が来ていることとカウンターが進んでいることを確認して、ホールドをかけて置きます。同時に、W24も並べて置いておきました。午後4時50分に置いて翌日の午前7時15分に回収、およそ14時間録音をしました。カタログ値の半分です。いずれも電池残量のマークは、減ってませんでした。2Gが4ファイル、1.35Gが1ファイルできていました。
 以下、録音できた音源をアップします。いずれも、近くで鳴いてくれた部分を切り出しました。ボリュームのアップをはじめ、低音ノイズのカットやノイズリダクションをかけるなどの加工はしていません。アップするためにmp3に変換しているだけです。
 高い声のミソサザイです。
「Wren150425-LS14.mp3」をダウンロード

 低い声のフクロウです。
「Owl150425-LS14.mp3」をダウンロード

 すごく近くで鳴いてくれたルリビタキです。
「redflanked_bluetail150426ls14.mp3」をダウンロード

 比較して録音したW24との違いは、フルボリュームの録音でW24のほうが少し大きく録れます。そのため、鳥の声の波形が大きく、グランドノイズの「ゴーッ」という音も大きく聞こえます。全体には、クセのない自然な音、鳥の声に聞こえると思います。
 また、操作性ではメニューはとても使いやすく、液晶も大きく見やすいです。ただ、ダイゼンでは録音を1回失敗しました。これは、プレレックが2秒設定。そのため、2秒間はカウントが動いていたため稼働していると勘違いしてしまい、そのまま置いてしまったためです。プレレックの秒数以上にカウンターが進んでいるのを確認すれば、よかったことになります。また、アネッターなどの設定がメニューにあるために、スイッチが動いていしまい誤作動を誘引することがないのは好印象です。
 まだ、2回しか試していません。季節を通じ1年くらい使用してみないとなんともいえませんが、まずは野鳥録音に使用は可能、長時間録音の機能を生かして野鳥録音を楽しめる機種と言えると思います。

2015年4月24日 (金)

今年もムナグロ

 今年も江戸川のほとりの田んぼにムナグロが来ているとS木♀さんから教えていただきました。
 さっそく出かけて、観察とタイマー録音を仕掛けてみました。ムナグロは、200羽近くいました。田んぼの荒起こしをしたところに降りていると、まったくの保護色で数えてみて、こんなにいるのかと驚きます。私が鳥を見ていると、近所の人が何をしているのか不思議に思って声をかけてきます。「ムナグロという鳥がいる」と言って望遠鏡をのぞかせてあげると皆おどろきます。
 ただ、去年降りていた田んぼと違って、録音機を隠すところがない田んぼに降りていました。かろうじて1台を1晩、置いておきました。
 YAMAHA W24で録音。2,000Hz以下のノイズを軽減したあと、500Hz以下のノイズをさらに軽減。ノイズリダクションをかけています。
「150423_05150.mp3」をダウンロード
 この音源は、午前5時15分頃です。今回は、カエルがにぎやかで、録音開始の午前3時30分にはよく鳴いていました。そして、そのカエルが4時25分に鳴きやみます。日の出が5時頃ですから、日の出前30分ごろから夜と昼が入れ替わることになります。
  S木♀さん、今年もムナグロに会えました。情報ありがとうございました。

2015年4月22日 (水)

『鳴き声ノート』完成

 「鳴き声から鳥の名前がわかったら」という動機でバードウォッチングを始める人も多いと思います。実際、野鳥は良く鳴きますし、鳴き声で居るのがわかることが多いのも事実です。ですから、鳴き声に気がつき、鳴き声がわかれば、かなりバードウォッチングを楽しめて、さらに深めることができるはずです。ということから、日本野鳥の会では鳴き声についてのパンフレットを作りました。
 考えてみると、私が日本野鳥の会に在職中はずいぶんパンフレットを作ったものです。ところが、このパンフ作りのノウハウが途切れてしまっているのは残念です。ということで、私も協力させていただき完成いたしました。
 パンフレットのタイトルは『鳴き声ノート』、とてもきれいなパンフレットに仕上がりました。これも、担当者I田さんの努力のたまもの、お疲れさまでした。
Songnote150422
  現在、無料でプレゼント中です。下記の日本野鳥の会のサイトに行き、申し込みのフォーマットに必要事項を記入すれば、このパンフレットを送ってもらえます。どうぞ、たくさんのご応募、お待ちしております。パンフレットのQRコードと下記サイトからでも、私の音源を聞くことができます。
  http://www.wbsj.org/activity/spread-and-education/supervisor-and-lending/nakigoezukan2015/

2015年4月21日 (火)

数打ちゃ当たるタイマー録音

 先週末の日光では、YAMAHA W24を4機投入してタイマー録音を行いました。
 お気に入りの森に置きました。別荘地がおわり、森が始まるところです。標高は800mほど、広葉樹の林とスギの人工林が交互に続くエリアです。
 タイマー録音では、いつも置く場所に悩みます。まず、人家に近いと車や人声が入る可能性があります。森もスギ林より広葉樹の林のほうが鳥が多そうなので、広葉樹の林を選びます。また、沢から離れていること、窪地に置くことで環境音を軽減します。さらに万が一、雨が降っても大丈夫なように岩の下、倒木の下に置きます。低い位置だと風の影響を受けにくいので地面や地面に近いところを探します。基本、人の来るところではありませんので人に取られる可能性はないのですが、タヌキやカラスが興味を持ちますので、ヒモで木や岩にくくりつけておきます。
 そしてなんといっても、もし私がオオルリだったら、あのモミの木のてっぺんでさえずったら気持ちが良いだろうなあ想像しながら置く場所を考える楽しみがあります。
 ということで、1機目は比較的人家に近い明るい林の木の根元です。去年、トラツグミが近くで数声鳴いてくれたポイントです。
 2機目は、1機目よりさらに森の奥50m入った山の斜面、岩の下です。先週、カラ類が多かったので、できたらエナガ狙いです。
 3機目は、さらに1kmほど林道を行った場所で、標高も50mほどあがります。やはり広葉樹の林です。倒木の下に置きました。
 4機目は、3機目から50mほど離れた岩の下に置きました。ちかくに良い感じにモミの木があります。
 タイマー設定は、午前4時~7時の3時間です。なお、この日の夜明けは午前5時です。
 それぞれの場所の録音状態を波形で表示してみました。実際はステレオですが、モノラルにしています。
 1機目
 Hakei11_3

  2機目
Hakei12_2

 3機目
Hakei21_3

 4機目
Hakei22_2

 1機目のはじめの方と真ん中にある大きな音は、風の音で鳥の声ではありません。夜明けと共にセンダイムシクイが鳴き始め、ヒガラやハシブトガラスが入っています。ただ、波形にはっきり現れないほど遠い声です。
 2機目は、うまく風が避けられ、夜明けと共にセンダイムシクイがかなり近くで鳴き始めています。ただ、あとはヒヨドリが遠くで鳴いている程度です。しかし、6時27分に哺乳類と思われる謎の声が入っていました。
 3機目は、録音開始から30分間フクロウの鳴き続けています。そして、トラツグミも鳴いています。夜明けと共にゴジュウカラが鳴き始め、カケス、アオゲラの声が聞こえますが、近い声はあまりありません。大きな波形の近い音は、キツツキのドラミングなのですが、種類は不明。5時30分にヤブサメが数声鳴いています。今年初めてのヤブサメです。オオルリ、ヒガラなどもさかんに鳴いていますが、波形は小さくいずれも遠めです。
 4機目、最初のぎざぎざに見える波形はフクロウです。4時50分頃からゴジュウカラがさかんに鳴き始めます。そして、日の出5時と共に大きく見える波形はキツツキのドラミングとゴジュウカラ、そしてクロツグミのコーラスです。クロツグミが鳴きやんだあとの小さな波形はホオジロ、このホオジロは休憩しながらずっとさえずっていました。そして、6時30分には森は静かになりました。
 こうして見ると同じエリアの森でも、ずいぶん鳥の声のにぎやかさに違いがあることがわかります。タイマー録音は運任せ、複数の録音機を置いて近くで鳴いてくれる鳥に出会う確率を高めるというのが、コツとなります。 

2015年4月19日 (日)

夏鳥が来てしまった-オオルリ

 週末は日光でした。
 ちょうど日光の町のなかはサクラが満開、山はヤシオツツジのピンク色が艶やかでした。
 ほんとうは、夏鳥が来る前の早春の音が録ろうと思っての来訪でしたが、もう夏鳥がやって来ていました。今日は、オオルリ、クロツグミ、センダイムシクイを生で聞くことができました。
 今朝、仕掛けたタイマー録音には、夏鳥ではヤブサメ、漂鳥ではアオバト、イカル、ホオジロなどが入っていました。まずは、オオルリのさえずりです。
 YAMAHA W24で録音。ボリュームのアップ、1,500Hz以下のノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。
「blueandwhite_flycatcher150419.mp3」をダウンロード
 このさえずりを聞くと、多くの人は癒やされると思います。しかし、野鳥録音をしていると、いよいよシーズン到来、忙しくなるぞという覚悟をしなくてはならない声となります。

2015年4月18日 (土)

小林重三-イワシャコの原画

 ネットオークションで、小林重三の原画が出ていました。A井さんのご協力もあって、ちょっとの競りでゲットできました。この間、町田市で行われた小林重三展に行くことができませんでした。その分、今回の原画購入で重三の絵を堪能いたしました。
 以下、「開運なんでも鑑定団」の銀河万丈さんのナレーション風に解説します。

 小林重三の原画である。サインはもとより画風、時代を感じさせる紙質から間違いはない。
 描かれているのは、イワシャコである。日本の鳥ではない。ユーラシア大陸に広く分布するウズラの仲間である。そのため中国の一部が日本の領土であった時代、戦前の作と思われる。
 原画は額装に隠れているが、上にあと数cmある。そのため、実際には天地がもっとあり、雑誌や本の比率と一致する。額装された状態でも空の部分が広いが、さらに上に空間があるのは不自然である。これは、空の部分にタイトルを入れるためのスペースを取っているものと思われる。そのため、表紙や扉のために描かれた可能性がある。いずれ、印刷物が見つかるであろう。
 改めて原画を見ると、絵のタッチや表現の仕方がわかる。全体には、さほど描き込んではいないのだが、ポイントポイントで細かく描くことで、精密感を醸しだしている。たとえば、最初に目が行く顔は、細かく描かれ、目は生き生きと表現されている。また、脇腹の模様は一筋黒く塗り、面相で白を入れる事で、細かい羽毛を表現している。
 左の雌、遠景の群、さらに風景は思いのほか、あっさりと描いている。そのため、緊張感を与えることのない、癒やされる風景の絵となっている。額装し壁に掛ければ、そこに自然への窓が開かれたような錯覚さえ与える絵である。
Sigekazu1504181
 額装は、きわめて質素である。額に絵の具が飛び散っていることから、以前の持ち主も絵に関わっていた可能性がある。

Sigekazu1504182
 イワシャコの顔はていねいに描かれている。目にスポットを入れることで生き生きとした表情になっている。

Sigekazu1504183
 脇腹の模様の表現、黒地に白を入れることで羽毛を表現している。印刷されると、このタッチはわかりにくい。

Sigekazu1504184
 雌と遠景の群は簡単に描いているが、動きや表情は見事である。

2015年4月17日 (金)

ネコに襲われたハクセキレイ-六義園

 六義園の若葉が、呼んでいる感じのする朝でした。そのため、園内を一回りしてみました。サクラのライトアップで混んでいた六義園を避けていましたので、久しぶりの来園です。シジュウカラがさかんにさえずり、センダイムシクイのさえずりが聞こえました。シロハラもいて、夏鳥と冬鳥が交差する季節です。
 ベンチに腰を下ろしていると、ハクセキレイの雄がすぐ近くまでやって来ました。もう1羽もやって来て、さかんに歩きながら虫を捕らえています。2羽とも夏羽の雄で、1羽は翼に少し褐色の部分があるので、若いのかもしれません。さえずってくれるかもしれないと、録音機を2羽に向けて置いておきます。
 茂みに隠れていたネコが、1羽に飛びつきました。ネコの身体は地面から50cmは舞い上がったことでしょう。ハクセキレイも飛び上がり、数cmのところでネコをかわしました。一瞬の出来事です。見ている限りネコの勝利と思われましたが、ハクセキレイの素早さは見事でした。
 録音中は絶対に声を出さない私ですが、思わず「うあっ」と言ってしまいました。
 PCM-D100で録音。ボリュームはそのまま。300Hz以下のノイズを軽減しています。
「blackbacked_wagtail150417.mp3」をダウンロード
 最初のかすかに聞こえる「カサッ」という音がネコが飛びついた音です。驚いたハクセキレイが悲鳴のように地鳴きして飛び立ちます。私の「うあっ」、そして地面に降りたハクセキレイが、興奮したように「ビュ」と間を開けて鳴いています。最後は、2羽が鳴きながら飛び去るときの声です。
 野生動物は毎日、いつもこうした緊張感のなかで生きていることになります。野生の厳しさを垣間見た思いがいたしました。  

2015年4月12日 (日)

谷津干潟探鳥会-あしだちの会

 今日は、久しぶりの晴れの日曜日となりました。これ幸いと、以前から予定していた足立自然にふれあう会(あしだちの会)の谷津干潟探鳥会へ行きました。ところが、朝から山手線がストップ、出鼻をくじかれた感じです。それでも、せっかくの晴れの日曜日ですからタクシーで日暮里駅まで行き、なんとか集合時間に間に合いました。
Yatuhigata150412

 久しぶりの谷津干潟で、いろいろな変化がありました。いっけんして、アオサが減ったようです。以前は、まるで緑したたるゴルフ場のように緑色のアオサに覆われた干潟でしたが、緑に覆われているのは10パーセントくらい、かなり減っています。
 また、順路を歩いているとまず出会ったのが、エナガです。谷津駅側の半分ほどを歩いただけで、3ヶ所で出会いました。このうち1羽は、尾が”し”字になっていましたので巣ごもり中の証拠、繁殖をしていることになります。後で知ったのですが、谷津干潟自然観察センターのまわりでも巣が見つかっています。エナガが、こんな高密度で繁殖しているのを見たのは初めて、シジュウカラよりも優占種になっています。なにが、エナガを谷津干潟の緑地に引きつけたのか、知りたいところです。
 肝心なシギやチドリの渡りはまだ早いせいか、数は少なめ。それでも、大きなホウロクシギは存在感がありますし、夏羽のメダイチドリ40羽の群はとてもきれいでした。あと、ハジロコチドリの幼鳥がいて、コチドリかどうか悩みました。目にリングがないこと、くちばしの付け根が少しオレンジ色なこと、脚もオレンジ色なこと、眉斑の白が額まで伸びていないことが、ハジロコチドリの特徴と一致していました。ただし、近くに来たコチドリとほぼ同じ大きさであることが、ひっかかりましたが、間違いないでしょう。
 あと、谷津干潟自然観察センターの管理者が変わり、干潟茶屋のレイアウトが変わりました。

2015年4月 9日 (木)

もうクロツグミ-ついでにiPhone6とGALAXY S5 Activeの比較

 今朝、六義園のまわりを散歩していると、クロツグミのさえずりが聞こえました。六義園におけるクロツグミの過去の記録は、たとえば5月15日(1995年)ですから、きわめて早いことになります。栃木県日光でも、おおむねゴールデンウィーク中に渡来しますから、やはり早いと思います。各地からオオルリやキビタキといった夏鳥の渡来が報告されていますが、昨日今日の寒さが影響を与えないか心配になります。
 ところで、持っていたスマートフォンで録音をしてみました。私はGALAXY S5 Active、カミさんはiPhone6です。GALAXYはm4a、iPhoneは動画としてMOVというファイルが形成されます。いずれも、モノラルです。iPhoneは15,400Hzまで、GALAXYは20,000Hzまで、カバーしていました。
 これらのファイルをwavファイルに変換し、2,500Hz以下のノイズの軽減をしています。ボリュームは、そのままです。さらにアップするために、mp3に変換しています。なお、クロツグミとの距離は、目測でおよそ30~40m離れています。
 GALAXYで録音
「G-JapaneseThrush150409e.mp3」をダウンロード

 iPhoneで録音
「i-JapaneseThrush150409e.mp3」をダウンロード
 GALAXYのほうが「ゴーッ」というグランドノイズが大きく感じ、iPhoneのほうがそれが小さく、クロツグミの声が立って聞こえることからマイクの指向性があることがわかります。反面、風音がゴボゴボと入りやすく、風防を付けるか加工処理が必要となります。
 いずれも、野鳥の声を録ることができます。不明な声、珍しい鳥の声など、とにかく記録として録音しておくことができます。スマートフォンの普及により、これからいろいろな発見があるかもしれませんね。

2015年4月 8日 (水)

「朝の小鳥」スタジオ収録-山形県の鳥たち

 今日は、文化放送で「朝の小鳥」のスタジオ収録でした。5月の放送のテーマは、山形県の酒田市の防風林と羽黒山の野鳥たちです。去年、収録した音源などを元に構成しました。
 うれしいこと2題。サンコウチョウの収録では、ディレクターのS木さんが鳥の声に聞き惚れて時間を読み間違えてしまいました。こんなこと、初めてです。私としては以前、スポンサーのF田社長が、鳥の声を聞きながら眠ってしまった以来の快挙です。
 もう一つは、地方局での放送が増えました。それも、近畿圏は今までありませんでしたので、とてもうれしいことです。放送局はABCラジオ(ABC朝日放送)、放送は毎週土曜日の午前 5時~5時5分です。どうぞ、お聞きいただければ幸いです。
 なお、5月の放送内容は下記の通りです。
5月 3日 クロツグミ
   10日 アリスイ
   17日 アカショウビン
   24日 サンコウチョウ
   31日 キビタキ

2015年4月 6日 (月)

野鳥録音がテーマ・松本清張の『二つの声』

 記憶の底にあって、どうしても確認できないことがいくつかあります。何かの本で読んだのだけど、どうしても出てこないという現象がありますね。
 その一つが、20代の頃に読んだ推理小説です。父から、鳥が好きならば読んでご覧と渡された本です。記憶しているのは、文庫本で筆者は松本清張。あらすじは、軽井沢で野鳥を録音していると男女の会話が録音されて、それがきっかけとなり殺人事件がわかるというような内容でした。以前、気になって「松本清張 軽井沢 野鳥録音 殺人事件」などのキーワードを入れて検索をしたことがありますが、タイトルを見つけることができませんでした。さらに、蒲谷鶴彦先生がご存命のときにおたずねしたことがありますが、ご存知ありませんでした。40年、歳月が経過して記憶の底に埋もれていました。
 そんな話を後輩のKさんにしたら、あっという間に調べてくれて『二つの声』というタイトルを見つけてくれました。この小説は、週刊朝日に連載され、その後文庫や新書、全集に収録されているとのことでした。私が読んだのは文庫と記憶していますので、文春文庫の『弱気の虫』(1977年発行)に入っているのを入手、さっそく読んでみました。
Futatunokoe150406
 文庫本で214ページ、昔の文庫は活字が小さいので現在の1冊分くらいのボリュームがありました。記憶どおり、3人の男性が軽井沢に野鳥を録音に行きます。当時のことですから、パラボラとオープンリールの録音機です。パラボラを外に置いて、コードを別荘に引き、そこで一晩録音をすると設定です。この3人は、たいへん風流な方たちで野鳥の声を聞きながら連歌も詠みます。ヨタカ、フクロウ、ホトトギス、トラツグミが鳴いて、夜が深まるなか、男女の声が入ります。気になった3人は、放送局の知人を頼って、人の声を増幅してもらい内容を知ります。たいした会話ではなかったのですが、同時に3人が行きつけのバア(まま)のなじみの女性が行方不明に。あまり書くとネタバレになりますので、このあたりにしておきます。
 録音の手配をしてくれる軽井沢のタクシー会社の社長で土地持ち、野鳥の会幹事の名前が福地嘉六で、1文字同じ星野温泉の星野嘉助さんを彷彿、息子がどら息子という設定も、星野家からヒントを得ている可能性がありますね。
 野鳥の生態や鳴き声の表現には違和感がなく、清張さんがしっかりと取材されていることがわかります。録音のテクニックも書かれているのですが、これも間違いはありません。ただひとつ、パラボラから別荘まで300mのマイクコードを引く設定になっています。これは、無理ですね。途中に増幅器を入れてやらないと減衰してしまって、聞こえないでしょう。また、私が持っているモノラルのマイクコードは、1mで60gです。ですから、300mとなると18kgとなります。設定では、中軽井沢駅まで電車で行っていますので、他の装備も加えれば、持って行くのはたいへんです。男女の会話が聞こえても、夜の別荘地を歩いて行く気にならない距離として、300mは妥当な数字ですから、そこからの無理無理の設定なのかもしれません。
 また、くだんの音源を放送局に持ち込み、人の声だけを増幅してもらいます。同じ音域で鳴くフクロウの声が大きく響くなど、これも正しい記述です。野鳥と野鳥録音に興味のある者にとって、楽しめる内容でした。ただ、この小説の記憶のため、タイマー録音を仕掛けるたびに事件性のある音が入っていないか気になっています。
 Kさん、ありがとうございます。おかげで長年、喉に刺さった魚の骨が取れた思いをしています。

2015年4月 5日 (日)

早春の音-日光

 3ヶ月ぶりに日光に行ってきました。
 鹿沼あたりまでは車窓から見えるサクラは満開、それが日光に近づくとウメとモモの花に変わります。一ヶ月季節が戻った感じです。市街地に近い丘陵はさすがに雪はなく、ミツマタ、キブシ、サンシュユと言った早春の花が咲き誇っていました。
 去年、トラツグミが良く鳴いていた森に録音機を仕掛けてみました。YAMAHA W24を3台、タイマー録音です。設定は、日の出がだいたい午前5時30分なので、1時間前の午前4時30分から開始、7時30分終了といたしました。
 天気予報では雨はないはずだったのですが、5時40分頃から降り始め、さえずりのピークの6時頃には本降りの雨となり、7時に小ぶりとなりました。長い経験のなかでは、こんなこともあります。さらに悪いことに、1台が設定ミスで稼働していませんでした。重ねて長い経験のなかには、こんなこともあります。
 それでも、録音開始と当時に、フクロウとトラツグミが鳴き合い、ミソサザイ、ゴジュウカラ、シジュウカラ、エナガ、ヒガラ、コゲラの声が入っています。さらに、アカゲラの声とドラミングが、すぐ近くで行われていました。雨さえ降っていなければ、番組にも図鑑にも使える音ですが残念です。
 アップするのは、ミソサザイのさえずりです。バックでトラツグミも鳴いています。時刻は5時10分、まだ薄くらいなか、雨の降る前の鳥たちの共演です。
 YAMAHA W24で録音、ボリュームはそのまま、3,000Hz以下のノイズを軽減、ノイズリダクションを軽くかけています。
「WinterWren150405_0430.mp3」をダウンロード

2015年4月 1日 (水)

今日から連載開始-毎日新聞

 毎日新聞の環境関連の紙面では、以前から自然に関してのコラムが連載されていました。今年度から野鳥についての連載となり、日本野鳥の会の岡本裕子さんが段取りをしてくれています。
 連載のタイトルは”Bird Listening”となり、今日のテーマはヒバリです。タイトルどおり、なんと音の出る紙面となります。野鳥がきれいな声で鳴くことは大きな魅力です。それを誌面で伝えたいという企画です。まず、スマホに「毎日AR」というアプリをインストールします。これを紙面に掲載された写真にかざすと、モノクロの写真がカラーになり、鳴き声を聞くことができます。スマホが、掲載された写真に隠されたコードを読み取り、音が出る仕組みだそうです。スマホからヒバリのさえずりが聞こえたときは、ちょっと感動ものでした。ちなみに、音源提供は私です。
 毎日新聞をとっている方で、スマホをお持ちの方はぜひお試しください。この仕組みは、すでにポスターやカレンダーで使用、将来は図鑑に使えそうですね。
 なお連載は、隔週の水曜日に掲載予定です。次回は、ツバメです。どうぞ、お楽しみに。

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