『増補改訂新版・フィールドガイド日本の野鳥』出来!
昨日は、日本野鳥の会の評議員会と理事会でした。評議員、理事、監事の改選が行われ、一部新旧の交代が行われました。ちなみに私は再任されました。
日本野鳥の会としては今までになく堅調で赤字決算、赤字予算とはならず、会議はほっとした雰囲気のなか進行。そのなかで、安西英明理事から『増補改訂新版・フィールドガイド日本の野鳥』の紹介があり、事務局から1冊いただきました。
手にとって「なんだ変わってないじゃん」と言うのが第一印象。表紙のレイアウトも色、厚さもほとんど変わりないし、ぱらぱらめくっても内容に違いあるように見えないのです。
ところが、ページ数は376ページから392ページと16ページ増えています。それにも関わらず5mmは薄くなり、重さでは450gから375gと75gも軽くなっています。
肝心の内容は外見とは異なり、かなり書き換えられています。新しい分類に準拠しているほか、新記録の鳥が収録されています。本書は、高野伸二さんが心血を注いで作られたバードウォッチャーのための図鑑です。バードウォッチャーのご本人が、バードウォッチングに必要な内容を盛り込み制作いたしました。初版から30年以上たった今でも、この図鑑を超える図鑑は出ていないと思います。いわば、日本野鳥の会というより野鳥業界に残してくれた高野伸二さんの遺産と言えるでしょう。
そのため、手を加えるとか、いじることすらためらわれたことと思います。しかし、時代とともに分類は変わるし、新記録の鳥の発見から新知見も発表され、変えざるをえませんでした。高野さんの意向を尊重しつつ、変えるという難事業を安西さんはじめ関係者の方々が尽力されたことになります。
ですので、いずれの旧版をお持ちの方でも新版があると便利です。外見は同じでも、中身の違いを比較することで、野鳥とバードウォッチングの知識をより補強するという使い方もできます。
出版社であれば、売れればそのまま出版していくだけでしょう。そして売れなくなれば、あるいは著者がお亡くなりになれば、改訂を行わずお蔵入りです。小まめに改訂し、なおかつ時代に即した著作にしていくことができるのは、日本野鳥の会の組織ならではと思いました。
なお、 価格は3,600円(税別)です。書店で入手可能です。
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