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2016年1月

2016年1月29日 (金)

NHK・ラジオ深夜便収録

 野鳥録音のために夜明け前の暗い林道を車で走っている時、ラジオをつけるとやっているのが「ラジオ深夜便」。以前ラジオをつけたら、たまたま山岸哲さん(当時・山階鳥類研究所所長)が出演されていました。話が途中なのに現地に着いてしまって、泣く泣くラジオを切ったことがあります。そのあこがれの番組に、出演することになりました。
 本日は、NHKにてスタジオ収録でした。インタビューは、遠田恵子さんです。遠田さんは、以前「夏休み子供科学電話相談」の前の情報番組を担当されていました。そのため、私がスタジオ入りすると「お疲れさ~ま」と言って、すれ違うことがよくありました。去年の秋、目の不自由な森さんの番組を機会にお話しする機会があり、今回の企画となりました。
 タイトルは「僕と野鳥の50年」です。野鳥との出会いから野鳥録音にいたるまでを野鳥の声を織り交ぜながらお話しいたします。遠田さんのインタビューにただ答えるだけで、番組ができてしまうので、とても楽ちんでした。スタジオの写真です。

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  放送は2月10日(ラジオ深夜便は9日午後11時より)、午前4時台の「明日へのことば」のコーナーです。40分程度の出演となります。
 番組のサイトです。
 http://www.nhk.or.jp/shinyabin/

2016年1月25日 (月)

新年会-大河ドラマでガビチョウ

 週末は、日光でした。日光野鳥研究会の新年会です。霧降にある「ペンション・トロールの森」さんを貸し切りで、食べ放題、飲み放題、野鳥を見放題のイベントです。ただ、今年は、この間の雪が大量に残っているうえに大寒波の襲来で、鳥の姿はチラホラ。見放題のほうは、来月の観察会までお預けです。
 写真は、日の出。大きなつららが寒さを物語っています。

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 話題豊富な人たちなので、夕方から三々五々集まって深夜まで話が尽きません。そのなかの一つ、OさんからNHKの大河ドラマ「真田丸」を見てたら、ガビチョウの声が聞こえたと言う話で盛り上がりました。なんでも、真田の里の風景でガビチョウが鳴いていたそうです。日本各地でガビチョウのさえずりが聞こえるようになったのは、ここ数10年のこと。天正年間には、ありえません。
 「真田丸」のロケ地には、ネット上では予想をはじめ諸説が出回っています。風景とガビチョウがいることで、山梨県から長野県南部と推定されます。
 昨夜、またガビチョウが鳴くのではないかと番組を見ましたが、ガビチョウの声は聞き取れませんでした。そのかわりハシボソガラスがハシブトガラスの声で鳴き、変なフクロウが鳴いていました。

2016年1月17日 (日)

嘴全体がオレンジ色の雌のカモ-六義園

 雪の降る前に六義園を一回りしました。冬の鳥たちのレギュラーがそろい、シロハラなどは数が増えました。池のカモ類も増えてきました。そのなかで、嘴の色がおかしい雌型のカモを見つけました。
 マガモの雌は、くちばしの縁がオレンジ色で中心が黒く見えます。この雌は、くちばしのほぼ全体がオレンジ色をしています。
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 左のマガモの雌は、典型的ではありませんが、オレンジ色と黒のくちばしパターンがマガモ的です。右が、ほぼ全体がオレンジ色のくちばしをした♀タイプのカモです。
 2羽を並べて見ると、くちばしから頭のラインや目の位置は同じで、左がマガモなのですからマガモの可能性が大です。ただ、くちばしのオレンジ色のほうは身体全体が黒みが強いことがわかります。オカヨシガモの雌は、マガモに比べてれば黒く見えます。加えて、マガモよりオレンジ色の部分が広くあります。ただ、上くちばしの峰の部分は黒いのが普通です。多少ではありますが、オカヨシガモが少し入っているのでしょうか。
 家に帰ってから、古典の『雁と鴨』(黒田長禮・1939)と最新刊の『決定版日本のカモ識別図鑑』(氏原巨雄、氏原道昭・2015)なども見ましたが、同一の形のカモを見つけることができませんでした。あと、海外の図鑑を見ると、北アメリカのアメリカガモが日本のカルガモのくちばし全体を黄色にしたような感じのカモです。また、身体は黒みがあって似ています。ただ、くちばしの色がオレンジ色ではないので違うように思いました。それとも、アメリカガモが、少し入っているのでしょうか。
 いずれにしても六義園のカモ類の動きを見るのには、わかりやすい個体なので今後も注意をしていきたいと思います。

2016年1月16日 (土)

薮内竜太さんの講演会-谷津干潟自然観察センター

 本日は、谷津干潟自然観察センターで行われた薮内竜太さんの講演会に行ってきました。めちゃ面白かったです。
 驚いたのは定員100人で事前予約制とのことでしたが、きっと空いているだろうと昨日思い立って出かけたのです。ところが、なんと満席。なんとか潜り混ませていただいて拝聴できました。

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 竜太さんより、父・薮内正幸さんが絵を描くきっかけから画家になったいきさつまでユーモア交えてご紹介いただきました。それにしても、薮内さんは動物と絵がほんとうに好きだったのですね。生半可な好きさではないことは知っていましたが、息子さんから語られると説得力があります。
 私が、日本鳥類保護連盟に入って表紙裏の絵の依頼と原稿取りにうかがったのは、1972年からとなります。今日、薮内さんはその前の年に福音館を辞めてフリーになったばかりの頃であることを知りました。
 当時、高野伸二さんなど先輩の口ぶりから、薮内さんはすでに野鳥画家の第一人者としての地位を確立していた感がありました。そのため、私はかなり緊張して最初は原稿取りにうかがったと記憶しています。しかし、新人で10才年下の私に対してもとてもフランクに接してくれて、その後もお友だちというつきあいをさせていただいたことになります。
 この時の絵がサントリーの目にとまり、その後の愛鳥キャンペーンに展開して行ったと思うと感慨深いものがあり、ちょっと目頭が熱くなりました。
 今日は、そのフリーになる前まで薮内さんの人生を知り、薮内さんの半生の歴史を埋めることができました。日本の野鳥史のなかで大きな足跡を残した薮内さん、その秘密を垣間見た思いです。

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 竜太さん、お疲れさまでした。また、谷津干潟自然観察センターのスタッフの皆さん、お世話になりました。おかげで、たっぷりとネタを仕入れることができました。ありがとうございます。

2016年1月11日 (月)

地鳴り-その後

 2016年1月5日の地鳴りは、思わぬ展開となりました。テレビ3社の取材を受けるなど、地鳴りだけに反響があったので驚いています。今後のために、ここでは事実のみを明記しておきたいと思います。それぞれの専門家が、地鳴りの原因を解明するヒントなれば、とも思います。
場所:東京都文京区六義園
天候:晴れ。気温は10~13度。風はほとんど無い。
時間:1月5日午前10時近くに第1弾を聞く。この時は、録音はしていません。 その後、もう一度聞こえたので、録音を行いました。46秒録音しました。音の半分ほどをとらえてました。ファイルが形成された時間は10時7分となっています。録音機の時間が10分進んでいたので、実際は9時57分でした。ですから、音は9時56分にしたことになります。そのため、最初の音は9時55分頃となります。
 次にまた音がしたので録音、ファイルが形成された時間は9時59分、ここでは56秒録音しました。音は58分にしたことになります。やはり、音の半分ほどを捕らえることができました。
 この調子だと、まだ鳴るだろうということで、録音を開始。4分47秒録音しました。10時9分から14分まで録音したことになります。その時の波形が下図、音の強さを表しています。実際の音は、1月5日の記事で聞いてください。

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 4回大きな振幅があり、これが地鳴りとされる音です。この図の左1つの山から2つめの山に行く間のギザギザに見える波形は、私の歩く音。2つ目より録音機を置き録音しています。また、最後の波形の前の小さな波形はハシブトガラスの声です。
 1つ目の音が27秒、2つ目が30秒、3つ目が28秒、4つ目が36秒。1つ目と2つ目の間が49秒、2つ目と3つ目の間が35秒、次が51秒の間隔があいています。
 ステレオ録音をしており、上が右チャンネル、下が左チャンネルです。左右とも音に違いがなく、音が左右には動いていないように見えます。
 波形の細いところが環境音となります。地鳴り部分との音の大きさ差は、環境音-27db、地鳴り-6dbで、環境音の5倍近い大きな音になります。録音機の5,6m前で、人が「わーっ」と大きな声を上げたくらいの音に匹敵します。
 音の高さを下記に示します。

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 これは、4つ目の音をモノラルに変換して、低い音域の0~500Hz(天地)までを示しました。左右は、時間で1分です。左半分ほどが、環境音の状況です。地鳴りが黄色で表示されています。音は、40~140Hzに中心があり、0~220Hzくらいまで広がっていることがわかります。また、音は最初の10数秒で、そのあとに余韻が30秒ほど続いていることがわかります。
方向:音が聞こえた方向は、西と南の間で、少し西寄りになります。西南西となります。六義園からは、新宿や渋谷の方向です。
その他1:録音にハシブトガラスの比較してのんびりした声が入っているように、野鳥たちの反応はありませんでした。池には、ハシビロガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、マガモ、カルガモなど数10羽がいましたが、これらも無反応でした。
その他2:私自身は、このような低音のノイズを聞いたことはありません。仕事上、航空機の音には敏感になっています。しかし、音質が違う、音源が動いていない、低い方向から聞こえた、これだけ大きな音を立てて飛べば見えたはずで、航空機とは違うと思いました。また、腹に響くような音圧は感じなかったので遠い印象がありました。恐怖感は、感じませんでした。
その他3:Facebookのお友達のコメントでは、Sさんが皇居で野鳥の調査中、同時刻に聞いており、「皇居から見て真西、新宿、渋谷方面から」。Mさんが多摩川の六郷橋付近でバードウォッチング中、やはり同時刻に聞いており「上流方向すなわち西の方向から」聞こえたそうです。
その他4:1月7日午後6時台のフジテレビ系「みんなのニュース」では、日本音響研究所の鈴木創氏が代々木で聞き、低く大きな音で、不明とコメントしていました。
その他5:栃木県日光在住のA部♂さんから、ブログのコメント欄に「1月5日午後3時過ぎ頃、奥日光中禅寺湖畔の部屋の中で、地鳴りを聞きました。この時、私のいた部屋は私だけだったので、隣の部屋にいる人達の反応を見にいったのですが、特にさわいでいなかったので、気のせいかと思っていました。しかし、家に帰って妻に聞くと、やはりそのころに地震があったとのことでした。15時07頃に栃木県南部震源、日光は震度1とのことです。」という情報をいただきました。
 以上が、事実関係のみです。
 6日たち、今のところ何事もありません。今後とも、何事もないことを祈ります。相変わらずツイッターにさまざまな情報が錯綜していますが、早く鳴りを潜めて欲しいものです。

2016年1月 6日 (水)

「朝の小鳥」スタジオ収録-2月は沖縄の鳥

 本日は、文化放送にて「朝の小鳥」の収録でした。
 2月は、まだ鳥のさえずりは静かなので、南の地方の鳥たちで構成しました。今まであまり取り上げなかった鳥たちです。シロハラクイナは南国らしい雰囲気の声です。そして、ズアカアオバトは、これを聞いたらまた寝てしまうのではと思うほど、超のんびりしたさえずりです。反面、ヤンバルクイナのけたたましい声は目覚まし替わりとなるでしょう。ちなみにリュウキュウハシブトガラスは、普通の声ではなく「おはよう」と鳴いている声です。シナリオは予め送ってあったのですが、ほんとうに「おはよう」と鳴くのかスタッフ一同、興味津々でした。
 皆さまもほんとうに「おはよう」と聞こえるのか、放送でお確かめいただければと思います。

2016年2月の放送内容
 2月 7日 シロハラクイナ
      14日  ズアカアオバト
      21日  ヤンバルクイナ
    28日  リュウキュウハシブトガラス

2016年1月 5日 (火)

地鳴り

 今日は初六義園でした。シロハラやツグミの姿が多くなり、ウグイス、アオジもいました。シジュウカラ、メジロの活動が活発で、今日は鳥を探す必要がないくらい出会いました。
 ところで、バードウォッチングをしていると重低音が聞こえました。午前10時5分頃のことです。腹に響くような音で、飛行機にしては音が低いうえに移動して行きません。また、音は西のほうから、上空というより水平から聞こえる感じです。
 最初の音は、30秒ほどして消えました。この時は、録音ができませんでしたが、その後しばらくしてまた聞こえ録音、これをくりかえした結果、7回音がしました。音はやはり1回目と同じように30秒ほど続き、音と音の間は1分ほどの間があいています。
 このときの六義園の環境音が-30~27dbほどで録音され、重低音は最大-6dbでした。音のエネルギーとしては8倍となり、かなりの音量ということになります。PCM-D100で録音、ステレオをモノラルに変換しているだけです。かなり低い音のため、スピーカーによっては適切に再生できない場合もあります。

「noise160105.mp3」をダウンロード

 最初の5秒ほどが六義園の環境音の状態です。そのあとハシブトガラスが鳴き、重低音が始まります。ピークは15秒ほどですが、余韻という感じでそのあと20秒ほど聞こえます。周波数の中心は0~150Hzで、200Hzまであります。かなり低い音です。鳥で言えば、ヤマドリの母衣打ち、サンカノゴイのさえずりのような低さです。
 今、ネットでいろいろ検索したら「地鳴り」がしたという報告が相次いでいました。同じような音が午後にも聞こえたそうです。また、Twitterの書き込みに「10時ごろ、目黒・世田谷・渋谷辺りで、複数の人が大きい地鳴りが聞こえた・数回もの人も、聞いた事もない音」とあり、六義園から西の地名が上がっていますので、私が聞いた音と同じでしょう。
 ネット上では、地震の前触れと盛り上がっていますが、今のところ気象庁のような公式な機関からの発表は見当たりません。東日本大震災のときに、中禅寺湖畔にいたA部♂さんは「地鳴りとあとに地震が来た」と言っておりました。地鳴りと地震は、関係がありそうですが、そのときは地鳴りと地震とのタイムラグはたいしてありませんでした。
 関東地方では、今のところ地震はありません。今回の地鳴りは、いったい何なんでしょう。

2016年1月 4日 (月)

オオルリの羽毛を拾う

 正月は、日光でした。2日は霧降高原のキスゲ平、3日は戦場ヶ原、4日は小倉山と毎日1万歩を越える歩きをしました。それにしても、暖かい正月です。元スキー場のキスゲ平は、雪はなし。かつてクリスマスにはスキー客で大賑わい、去年でも正月にはスノーシューができました。それが、一面の枯れ野です。
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 戦場ヶ原のクロカンのコースも、ひとかけらの雪もありません。ササが風に揺れて、乾いた音を立てていました。
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 今日、小倉山を歩いたら暑くて着ていた羽毛服を手に持って歩かなくてはなりませんでした。ただ、いずれも鳥は少なめ。冬鳥は、戦場ヶ原でツグミが1羽、小倉山ではカワラヒワの群れに入っていたアトリが1羽いただけでした。
 小倉山の雑木林を歩いていると、枯れ葉の1枚の羽毛が落ちていました。根元の方が白く羽弁の片側が青、もう一方が黒い羽毛です。これだけの特徴がはっきりしていれば、落とし主は、すぐにわかります。青い鳥と言えば、オオルリ。オオルリの尾羽です。
Blueandwhiteflycatcher

 帰って来てから『原寸大写真図鑑 羽』(2004年・高田勝、叶内拓哉)で確認しましたので間違いありません。しかし、いくら暖かいとは言え、夏鳥のオオルリがいたとは思えません。去年の晩夏、換羽期に落としたものが、たまたま枯れ葉の上に乗っていたのでしょう。
 こいつは、春から縁起が良いです。

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