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2016年3月 9日 (水)

パナソニックXS455を試す-ウグイスのさえずり

 すでに『野鳥』誌がお手元に届いている方は、ご存知かと思いますが、パナソニックが今年から始まる繁殖調査のために日本野鳥の会に録音機を100台寄付していただけることになりました。同じ号には、すでにヤマハから寄付していただいた40台の録音機を活用して、シマフクロウの新たな生息地を発見し、保護への道筋ができたという記事も掲載されています。このように、野鳥録音が野鳥たちの保護に役立つとは、なんともうれしい限りです。
 ところで、パナソニックから寄付していただける機種は、XS455というICレコーダーです。実売価格7,000円台、小さくて録音モードは44.1kHz/16bitまでとやや非力、ただしタイマー録音機能、単4アルカリ電池で19.5時間(付属の単4形ニッケル水素充電式電池で12.5時間)持つという機能は、魅力的です。
 さっそくアマゾンで購入。7,380円でした。秋葉原のトモカ電気でスポンジ製ジャマーを入手、余っていた16GのマイクロSDを装着したものの野鳥は静かな季節のため、ながめるだけでした。昨日、やっと北本自然観察公園で試し録りをしてみました。
 以前も書いたことがありましたが、ウグイスのさえずりが試し録りには最適です。ウグイスのさえずりは聞き慣れていますので、録音機の性能はもとよりスピーカーなどの善し悪しの判断もできます。いずれにしても、ウグイスがさえずり始めるのをまってのインプレです。
 会議やインタビューのためのICレコーダーだけに、操作は簡単です。スイッチを入れて、録音ボタンを押せばただちに録音できます。16Gのメモリーが刺さっていても、起動はあっという間、すぐに録音できました。
 さらに簡単に録音するために、録音シーン設定があり「語学学習、カラオケ、楽器演奏、会話、会議、講義」などがあります。残念ながら野鳥録音はありません。また、センターの音を強調しノイズキャンセル機能を組み合わせたズームモードがあり、左右のマイクの間にあるスイッチで切り替えて使うことができます。
 いろいろ試した結果、野鳥録音では録音シーンは”楽器演奏モード”が合致、ズームモードは1,000~10,000Hzの間の音で大きな音が強調されることになり、グランドノイズが軽減されます。そのため、近くで鳥が鳴いてくれればクリアに録れますが、遠い音が薄くなってしまいますので、調査目的では使わない方が良いと判断いたしました。また、録音時のサンプリング周波数は、この機種で最高品位の44.1kHz/16bitで録音することとしました。
 実際に録音してみると、軽量なので手のひらに載せて録音できます。また、近くの茂みに載せても、軽いので落ちることはありませんでした。肝心の音ですが、野鳥の声の音域をフォローしているので、調査での種類の識別には十分な音源を得ることができるでしょう。比較するのはあまりにも、失礼かもしれませんが、ソニーのPCM-D100(現状での実売価格80,000円台)と並べて録音してみました。
 XS455では録音ボリュームをフルにして、PCM-D100の録音ボリュームの目盛り7にほぼ相当します。今までの多くの機種を比較して、ソニーとOLYMPUSの録音機に感度の高い機種がありますが、それ以外がだいたい7とフルで同じくらいとなります。
 ここでアップするためには、mp3に変換しなくてはならないため、音質は劣化しての比較となります。なお、PCM-D100は96kHz/32biで録音し、それを44.1kHz/16bitに変換、さらにmp3に変換しています。マイクの位置は、左右のマイクを内側に向けて交差させるXY方式です。XS455は、前述のように44.1kHz/16bit、楽器演奏モードでzoomは使用せずに録音しました。同時に録音して同じ部分を切り出し、フェードイン、フェードアウトをしているだけで編集加工はしていません。
 PCM-D100の音源
「D100-160308_004.mp3」をダウンロード

 XS455の音源
「pana160308_1129A0.mp3」をダウンロード

  ウグイスは、3~5m離れています。野外では、もっとも近いところで鳥が鳴いてくれていることになります。また、50mほど先には北里研究所の大きな建物があって、ダクトが唸りを立てて稼働しています。鳥の近さは好条件、ノイズはかなり悪条件のなかでの録音です。
 音が録音機の価格の10倍以上に違って聞こえるということはないと思います。しいていうと、7秒あたりで聞こえる遠くで鳴くウグイスのさえずりが、PCM-D100では聞こえるけど、XS455では聞きづらいという違いがあります。なお、この鳴き合っているウグイスは、およそ50m離れて鳴いているものです。また、グランドノイズの「ゴーッ」という音の聞こえ方に違いあります。このような違いは、大きなスピーカーで鳴らし音にこだわる方には気になるのではないでしょうか。しかし、どんな鳥が生息しているか、鳴き声からの調査には使えると思いました。
 もう一つの機能としては、声によるガイドは便利です。音声ガイドは、目の不自由な方にとってはなくてはならないものです。同様に、健常者も目が見えない夜の録音では便利な機能となります。
 現状、まだ1日使っただけですし、タイマー録音は室内で実験しただけです。これから、野鳥の鳴き声の季節を迎え、いろいろ試してみたいと思います。

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