ヤブサメの長鳴き
以前から、渡って来たばかりのヤブサメは長く鳴く、夜は長く鳴くなど、バリエーションがあることをヤブサメの研究家のK沖さんから教えてもらっていました。私が、日光で録音している限り「シリシリシリ・・・」という、尻上がりの鳴き方ばかりで、長く鳴く声を聞いたことも録ったこともありませんでした。
ところが先日、東京郊外里山での録音に長く鳴くヤブサメのさえずりが入っていました。ご案内のように、ヤブサメのさえずりは8,000Hz前後であるためにmp3に変換すると高い音なのでカットされてしまいます。mp3しか受け付けない拙ブログでは、聞くことができません。そのため、声紋で表示します。左右の幅が時間で、どちらも4分です。天地が音の高さで、0~22,000Hzまで表示されています。
上が、2015年5月23日栃木県日光市で録音したもの。YAMAHA W24で録音、44.1kHz/16bitモノラルに変換しています。ヤブサメは、間を空けて6回鳴いています。1節は約3秒です。
下が、先日の2016年4月19日東京都郊外で録音したもの。Panasonic SX455で録音、モノラルに変換しています。4分間に断続的に鳴き続け、長い節は32秒あります。また、全体では約30分にわたり鳴いています。
長い鳴き方は30秒、短い鳴き方は3秒と、10倍も長さが違います。また長い方は平坦、短い鳴き方は尻上がりです。30分にわたり鳴いていますが、音の強弱があって移動しながら鳴いていることがわかります。
ちなみに音のある音域と音の幅がほぼ同じであること、節のなかの一声ずつを見ると声紋パターンは同じであること、聞く限り同じ声に聞こえるのでヤブサメであることは間違いないと思います。
日光ではヤブサメがやってくるのは5月に入ってからです。もう高い音が聞こえない私には、タイマー録音がたよりで仕掛けるとよく入っています。しかし、入っているのは短い尻上がりの声ばかりです。ですので、4月のヤブサメの声というのは今回初めて録音できました。
故・蒲谷鶴彦先生も「渡って来たばかりは長く鳴く、録音してみたい」とおっしゃってましたが、とうとう録音はできませんでした。今回、S木♂さんの情報のおかげで、念願の音が録れました。感謝です。
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