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2016年6月 8日 (水)

コマドリひと声-兵庫県北部の山

 兵庫県北部にある山のひとつ、頂上の標高は約1,000m、その少し下の林道の際に録音機を仕掛けておきました。7年前に来た時、最高のコーラスが録音できた場所です。
 今回、気になったのはシカによる食害です。以前、うっそうと茂っていた笹が完全になくなり、地面が露出しています。残っているのは、タケニグサなどシカの食べない植物ばかりです。かつての最高のコーラスには、藪を好むウグイスはもちろんのこと、クロジやコルリが入っていました。ちなみに、関東地方ではクロジは、1,500mを越えないと出会えない鳥です。それもうっそうとモミが生い茂る亜高山帯の鳥です。しかし、ここでは最高峰が約1,000mで明るい森です。共通するのは下生えが豊富な程度で、クロジがいるとは思えない環境なのです。
 今回も、素晴らしいコーラスが録れましたが案の定、コルリやクロジのさえずりは聞こえませんでした。ところが、思わぬ声が録音されていました。YAMAHA W24でタイマー録音、ボリュームを少しアップしています。

「Robin160604.mp3」をダウンロード

 この声は、午前4時41分に入っていました。鳴き続けていたトラツグミが鳴きやんで、少したった時刻です。そして、キビタキが鳴き始めたのは4分後、そして多くの鳥たちが鳴き始めてコーラスとなりました。夜の鳥から昼の鳥に変わる瞬間です。最初は、以前もいたコルリかと思いましたが、前奏がありません。また、コルリにくらべてしっかりした節なのでコマドリでよろしいかと思います。
 関東地方では、コマドリはクロジと同じように1,500mを越えないと会えない亜高山帯の鳥です。それが、ここでは1,000mたらずの標高、加えてかなり明るい林にいました。クロジがいたのですから、コマドリがいてもおかしくはありませんが、不思議です。
 ただ、この1声だけなのです。それ以降、かなり探しましたが、鳴いていません。コマドリは、さえずり始めれば何度も鳴き続けるのが、鳴き方の特徴です。昨日のオオムシクイのようにまだ移動して行く夏鳥がいますので、渡っていく途中のため、本来のさえずり方と違うのかもしれません。
 また、もしここで繁殖しているのならば、コマドリの常識を覆す環境に思えてなりません。それとも、たとえば亜種のタネコマドリは海岸近くでもいます。標高は数mです。それを思えば、1,500mと1,000mはたいした違いではないのかもしれません。

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