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2016年8月16日 (火)

日本野鳥の会のマークが付いた双眼鏡

 バードウォッチングの現状チェックのため「双眼鏡」や「日本野鳥の会」などのキーワードを組み合わせて検索していたら日本野鳥の会札幌支部のブログに行き当たりました。まず、こちらをご覧ください。
  http://sapporo-wbsj.jugem.jp/?month=200602
  このページの2006年2月27日の「レアもの双眼鏡?」の記事です。グーグルの画像検索では、トップに出てくると思います。
 双眼鏡は、8×35。日本野鳥の会の昔のマークと「日本野鳥の会」と刻印されています。このマークは戦後に制定されたもので、彫刻家の村田勝四郎のデザインです。投稿者の方から「亡くなった大阪のおじさまの形見だということです。この双眼鏡のいわれを知っている人はいないでしょうか」との問い合わせです。
 思わぬ懐かしい双眼鏡との出会いに、札幌支部のI田さんに「どなたに伝えたらよろしいでしょうか。わかりましたら」とFacebookのメッセージで問い合わせたところ、I田さんからは「双眼鏡の持ち主は、当時の仕事先の人らしく現在連絡はつかない」とのこと。懐かしさに、双眼鏡の来歴をお伝えすることになりました。
 まず、私が住んでいた東京都板橋区の地場産業は光学機器です。志村坂上や蓮沼といった一帯には、カメラシャッターの大手コパルをはじめ中小企業がたくさんありました。双眼鏡や天体望遠鏡のメーカーもあり、昔は職人技の世界でしたから板橋はマニアにとっては聖地のようなところでした。
 そのひとつ高橋製作所の高橋さんが、日本野鳥の会の会員でした。高橋製作所は下記。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E6%A9%8B%E8%A3%BD%E4%BD%9C%E6%89%80
 これによると1970年当時、私がお会いした社長は高橋喜一郎さんになります。私が大学生の頃で、東京支部の名幹事とうたわれた川田潤さんが、この双眼鏡を持っていました。川田さんから「板橋の双眼鏡メーカーの社長が作ってくれた、双眼鏡は製作の段階で当たり外れがあり、当たりを選んで日本野鳥の会のマークを付けてくれる」と教えてもらいました。値段は、5,000円くらいだったと思います。当時、ニコンの8×30が2万数千円していたでしょうか。私の1ヶ月の小遣いが5,000円、1日のアルバイト代が1,000~1,500円の時代ですから、現在の5万円前後の感覚でしょう。
 何台かまとまると安くなった記憶があり、大学の同輩や後輩たちの希望を募って板橋まで取りに行った記憶があります。高橋さんは、ジェントルマンという感じの方で、応接間に通され、双眼鏡の話をした記憶があります。私が質屋で買った質流れの双眼鏡がすぐ壊れたという話をしたら、それは職人が残った材料の組み立てて横流しした可能があるなど、業界の裏話をしてくれました。その後、津田沼にある大学まで5台持って行ったのですが、ひたすら重かったのを覚えています。
 当時は、もっとも良い双眼鏡といえばニコンのポロタイプの8×30で、それ以外はろくなものはありませんでした。私が持っていただけでも、テレスター、キング、タイガーという名の知れないブランドばかり。鳥仲間がもっとも多く持っていたブランドはオメガ。これは、板橋一帯の双眼鏡メーカーが使ったブランドです。この情報も高橋さんに教わったかのもしれません。
 ところで、高橋製作所の双眼鏡は手にしっくりと来る大きさ、ワイドな視野で見やすかった記憶があります。少なくとも、金のない学生にとっては安くて良い双眼鏡でした。私のものは、その後ニコン7×35を入手したので誰かにあげてしまい、現在は手元にはありません。製作台数は、当時のバードウォッチャー人口から数10台だったかもしれません。
 私が日本野鳥の会の職員の時代に一度、ショップに修理で持ち込まれたことがありました。誰もいきさつもわからず、知っていた私が説明をして修理ができないことをお伝えしたことがあります。今ならば登録商標違反などいろいろありそうですが、当時はおおらかな時代だからこそできたことだと思います。
 昔は、双眼鏡を入手するのに苦労しましたが、現在は選り取り見取り、良い時代になったものです。おかげで、昔を思い出すことができました。I田さん、ありがとうございます。

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コメント

私も使いました。
まつさんと同じで後輩にあげてしまいました。残念。

GEM様
 やはりね。
 双眼鏡とともに、当時いっしょに鳥を見た同年代の皆さんの顔を思い出しました。

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