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2016年10月29日 (土)

謎の解決と新たな謎-『鳴き声ガイド日本の野鳥』メーキング

 『鳴き声ガイド日本の野鳥』の制作にあたって、謎の解決と新たな謎が生じました。解決は、トカラの謎の鳥です。これは、アカコッコとわかりましたので、森林総合研究所の関伸一さんからトカラ列島で録音した音源をお借りして収録することができました。アカコッコは、三宅島とトカラではまるで違う鳥のように聞こえることをCDで実感してもらえると思います。これで、今まで”トカラの謎の鳥”だったものが、解決されることでしょう。
 今回、制作中に課題となったのは、北海道におけるハシブトガラとコガラのさえずりです。ハシブトガラのさえずりは尻上がり気味に「チ、チ、チ、チ」、コガラはゆっくり「ツーチー、ツーチー」で区別できます。しかし、図鑑やサイトの記述を読むとハシブトガラのさえずりが2パターンあるみたいなのです。今回、音源の提供で協力していただいたH田さんが、ヒントをくれました。H田さんから「北海道のコガラは、亜種のカラフトコガラの可能性があり鳴き方が違うのでは?」というものです。地域によっては、カラフトコガラが生息している可能性が出てきました。では、カラフトコガラはどのようにさえずるのでしょう?
 今のところ、カラフトコガラの公開されている音源は織田敏雄さんがサハリンで録音したものがあるだけです。これは日本野鳥の会札幌支部から発売されているCDに収録されています。これを聞くと、コガラより早口で金属的な声で「ピーチ、ピーチ、ピーチ」と聞こえます。ハシブトガラとはまったく違いますが、コガラとも思えない鳴き方です。
 CD『サハリンの野鳥』は、下記URLから。
  http://homepage3.nifty.com/sapporo-wbsj/osirase/osirase0505.html
 どうも、本州などから北海道を訪れたバードウォッチャーは、ハシブトガラとコガラとは鳴き声が違ういう知見から、違って聞こえるカラフトコガラをハシブトガラと誤認してしまった可能性があるのではと思いました。
 今回、確実なカラフトコガラの音源を入手することができませんでした。今後、野鳥録音が普及することで、北海道のコガラがどのように鳴くのか解明されていくことでしょう。改訂版では、やることがたくさんありそうです。

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