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2017年5月

2017年5月31日 (水)

夜行性の鳥って?

 S木♂さんのお誘いで、東京西部に生息するミゾゴイなど夜行性の鳥の調査をお手伝いしています。
 ミゾゴイの研究家・川名国男さんの『ミゾゴイ-その生態と習性』(2012・自費出版)によれば「ミゾゴイは夜行性の鳥ではない。夜に鳴くが雛には昼間、食べ物を持ってくるし活動している」という主旨のことが書かれています。たしかにその通りで、鳴くのは日没から夜明けまでですが、昼間に姿を見ることがあります。林道を車で走っていると前を横切ったり、登山道からふわっと舞い上がったり、昼間も活動していることは間違いありません。
 同じように夜行性の鳥と言われるトラツグミは、いかがでしょうか。鳴くのは、かなり暗くなってからです。だいたい初夏の森ならば午後9時以降、多くの夜行性の鳥が日没とともに鳴き始めるのに対して、完全に暗くなってから鳴く傾向があります。鳴く時間だけで見れば、完全な夜行性の鳥です。しかし、昼間も良く出会います。越冬期ならば、明るい海辺の防風林でさかんに地面を歩いているという出会いです。繁殖期、ミミズを口いっぱいに加えて雛に与える写真を見たことがありますが、昼間です。また、林道の際でミミズを探す姿を見ることがあるのではないでしょうか。これを見れば、トラツグミも夜行性とは思えない姿です。
 このほか、ゴイサギはいかがでしょうか。日没後にねぐらから飛び立ち、活動を始めますが、昼間もよく動いています。ゴイサギの研究家・E藤さんは、薄暮性という言い方をしていますが、そんな分け方も面白いと思います。
 フクロウやコノハズクが昼間鳴いているのを聞いたことがあります。このほか、夜行性と言われている鳥を見ると、いろいろ例外が出てきそう。
 今後の課題としての話題でした。

2017年5月28日 (日)

渡ってきて2週間しかさえずらない鳥たち

 まだ、ヤイロチョウのさえずりを録音したことがありません。なんでも、4月中旬に渡ってきて、その後2週間しかさえずらないと聞いています。同じく、ミゾゴイも4月下旬のみ。半月間しかさえずらないと言われていましたが、やっと録音できました。その後、同じ場所で録音をしつづけたS木♂さんによると毎日は鳴かないことがわかりました。雨や風の日もあるでしょうし、他の仕事を考えたら2週間も半月も一瞬です。きわめて録音のチャンスの少ない鳥たちということになります。
 2週間は、ほんとに短いと思いますが、サンショウクイ、コサメビタキといった鳥たちはだいたい5月いっぱいで鳴きやみます。さえずり続けるのは、1ヶ月がいいところでしょう。オオルリ、キビタキが6月まで鳴き、さえずりの期間が長い鳥たちです。それでも、7月になったらもう録音のネタは、標高の高いところへいくか、北海道など北へ行くかありません。
 1970年代学生の頃、夏休みに入ると軽井沢に飛んでいきました。夏休みですから7月10日以降です。それでも、昼間たくさんの鳥が鳴いていて、姿と声を確認してバードウォッチングの腕を磨きました。それが、今ではシーンとしてます。
 前回の「小鳥は、夜明け前後しか鳴かなくなったのか?」とも関連するのですが、基本は数の減少でしょう。結果、密度が低くなり競争する必要がなくので、さえずる必要がない、そのために早く鳴きやんでしまうのではないかと思います。
 たくさんいれば、独身雄がいて雌を求めて鳴く。となりのなわばりの既婚雄は、それにつられて、あるいは雌を奪われないためにさえずらざるを得ないということになると思います。
 これから、さらに密度が減れば、さえずる期間が短くなる種類が増えるでしょう。それと、同時に競争が減るわけですから、さえずりが単純になったり短くなる可能性もあります。現在の音と未来の音と比較すると、違いが出るかもしれません。まずは、今を録音しておくことかな。

2017年5月26日 (金)

小鳥は、夜明け前後しか鳴かなくなったのか?

 奄美大島のオオトラツグミは「夜明け前10分間しか鳴かない」と言われています。これを聞いて、これは貴重、録音するのはたいへんだと思いました。実際、奄美では録音機をどこに置こうか、あたふたしているうちに鳴きやんでしまった経験をしています。
 ところが、夜明け前の録音をするようになると、オオトラツグミのように早朝の短い時間しか鳴かない鳥がけっこういることに気がつきました。
 最初に気がついたのは、マミジロです。夕方、森のなかで日が沈む瞬間に鳴き始め、周辺でも数羽のマミジロが呼応するように鳴き、数分で鳴きやんでしまいました。このときの録音は、わずか3分でした。同じように早朝にも鳴きます。しかし、朝はアカハラなどの大合唱にまぎれてわかりにくいのですが、やはり10分程度です。オオトラツグミとよい勝負です。
 タイマー録音をするようになると夜明け前後の録音が驚異的に増えましたので、このような鳥が多いこともわかりました。意外と思われるかもしれませんが、コジュケイも場所によっては夜明けに1回鳴いて、あとは「シーン」というパターンがありました。減ったと言われてるコジュケイ、昼間は鳴かないので気がつかないだけかもしれません。
 実は、奄美大島のオオトラツグミも、繁殖期初期には長くさえずり続けることがあるそうです。同じように、夏鳥たちも渡ってきたばかりの時は、長く鳴くけれど、なわばりが安定するとさえずりの頻度は減っていき、夜明け前後に少し鳴いて終わりになるのではと思います。
 あと、ポイントは密度で、さえずりって周辺の仲間が多く反応があれば鳴き続けますが、それがないと鳴かないことがあると思います。録音を聞くと、さえずっている奥には必ず別のさえずりが聞こえます。鳴き合う雄がいないと、鳴きやむか、短いのです。また、密度が高ければ独身雄がいて雌を求めて鳴き続けるので、それにつられて既婚雄が昼間も鳴くのではとも思っています。密度が低ければ朝、周辺の雄と存在を確認しあったら終わりというパターンではないかと推測しています。
 だいたい、私がタイマー録音をしかけた録音機を森に回収に行くのは、午前9時頃です。そのころの森は、しーんと静まりかえっています。しかし、夜明け前後の録音を聞くと、うるさいくらい鳴いています。
 それを聞くと昼間、私たち見ている鳥相って、そこに住む野鳥の種類も数も反映していない可能性が高いことを実感します。
    

2017年5月23日 (火)

再び「良いですよ」と鳴くクロツグミ-日光

 いつも行く日光の雑木林で、節の中の「良いですよ」と聞こえる節のあるクロツグミに気がついたのは2006年のことです。その後、5年間同じ場所で同じ節を入れてさえずっていました。ということから、同じクロツグミが同じ場所に渡ってきた鳴いている可能性があると思っていました。その後、「良いで」くらいで途切れるようになり、代替わりをしたのかもしれないと思っていました。
 先日、いつもの雑木林で日没を迎えました。日が沈むと鳴くフクロウやヨタカに会えないかと思っての来訪です。この日の日没は午後6時30分頃、山間ですから6時前には太陽は山陰に入り、森は静まりかえっていました。しかし、日没時間になるとアカハラがさえずり始め、ヤマガラが目の前を行き来、そして頭の上にクロツグミがやってきてさえずり始めました。
 PCM-D100で録音、ボリュームのアップ、2,000Hz以下のノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

「japanese_thrush170430.mp3」をダウンロード

 頭の上なので、まるでさえずりのシャワーです。クロツグミは、ひとしきりさえずると森のなかに消えていきました。そのあとは、森は静まりかえり一段と夕闇が濃くなった感じでした。
 ところで、このクロツグミのさえずりをよく聞くと何度も「良いですよ」が入っていました。以前と同じ節です。11年も前ですから、クロツグミの寿命としては代替わりは間違いないでしょう。それと、今回のクロツグミのほうが節がこまやかで音色がまろやかな感じがします。また、アップしていない部分には、キビタキの物まねでしょうか「ちょっとこい」もあって節も多様です。
 さえずりの節がどのように伝承されていくのか、面白い課題だと思います。

 ご参考までに過去の記事のURLです。
「良いですよ君の帰還」
 http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2010/04/post-acad.html
「さえずりは伝承される-日光のクロツグミ」
 http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2013/04/post-556c.html

2017年5月21日 (日)

ホンセイインコの繁殖期の鳴き声-六義園

 現在、六義園では3ヶ所でホンセイインコが鳴いています。面白いことに、3ヶ所の位置が六義園を三等分するかのように離れているので、ひょっとしたら3番が繁殖しているかもしれません。前にも繁殖期に鳴き声を聞いたり見たりしたことがありますが、短期間でした。今回のように数週間にわたって聞かれるのは珍しく、繁殖の可能性は高いと思っています。
 以前、ホンセイインコの鳴き声はねぐらで待ち構えて録音したり、越冬期の鳴き声でした。いずれも、鋭い「キュル」や「ギュル」という声で、どちらかというと癒やされない声です。ところが、今日は可愛い声で鳴いていましたので、録音をしてみました。
 PCM-D100で録音、ボリュームのアップ、1,500Hz以下のノイズのカット、ノイズリダクションをかけています。

「Rose-ringedParakeet170521_003.mp3」をダウンロード

 なにか、甘えるような鳴き声を交えて鳴いています。鋭い大きな声と違って、声量も少なく近くでないと録音しづらい鳴き方でした。
 葉陰にいるので雌雄の識別はできません。雌雄によって違うのか、季節によっても異なるのか、ホンセイインコと言えどもバリエーションがあることがわかりました。

2017年5月20日 (土)

「焼酎一杯グィーッ」と鳴かないセンダイムシクイ-日光

  日光では、夏鳥が到来して定位置につき始めました。そのため、さかんにさえずっています。この季節は、少し寝坊してもさえずりが聞かれるのが良いですね。
 お気に入りの森で聞こえた声から、一瞬名前が浮かびませんでした。しばらく聞いて「ビー」が聞こえたので、センダイムシクイと判明しました。姿も確認できたので間違いありません。
 PCM-D100で録音。ボリュームはそのまま。3,000Hz以下の低音を軽減、ノイズリダクションをかけています。

「Crowned-Warbler170510_008.mp3」をダウンロード

 10m以内で録音できたので、とてもクリアな音になりました。センダイムシクイは、枝先をどんどん移動しながら鳴いて行きます。ですから、飛び立たせないようにそっと後を追うのですが、そのため「ガサガサ」というノイズが盛大に入ります。それをカットすると、半分くらいしか残らないのが悩みです。その一部をアップしました。
 ところで、このセンダイムシクイ、最初に名前が浮かばなかったのは「焼酎一杯グィーッ」と、なかなか鳴かないからでした。「チヨチヨ」のあとはいろいろ変化があって、とても複雑な節回しです。そして、数回に1回「ビー」を付けた節で鳴きます。面白いのは、隣のなわばりの雄は「焼酎一杯グィーッ」と鳴いていました。ですから、この地域特有の鳴き方でもないでしょう。どちらが、雌にとって効果のある鳴き方なのか興味のあるところです。
 じつは、センダイムシクイの3~4割は「焼酎一杯グィーッ」と鳴きません。ただし、これは関東地方の話で、北海道に行くと「焼酎一杯グィーッ」と鳴くものはさらに少なくなります。ですから、センダイムシクイは「焼酎一杯グィーッ」と鳴くと思い込んでいると、名前がすぐにでてこないことになります。自戒を含めての記事でした。
 

2017年5月17日 (水)

イノシシが増えた-日光

 日光でイノシシの痕跡に出会うようになりました。
 写真は、行きつけの雑木林で登山道がイノシシにより掘り返されたと思われる跡です。

Inosisi170510

 わかりにくい写真で、もうしわけございません。人が道の上を掘り返すことはありえないし、シカもやらないと思います。この1週間前は、1ヶ所数10cmの木の根が掘り返されていただけでした。ところが、今回は数m四方にわたり、掘り返されていました。味をしめたという感じです。
 私が日光に通い始めた1990年代は、イノシシの噂すらありませんでした。ハンターと話してもイノシシはいないといわれました。ところが2000年代に入って、今市の山の中でイノシシらしい痕跡を見つけたのが最初でした。環境としては、里山の風景が広がる雑木林で、腐葉土が広範囲に渡って掘り返されていました。
 そして2006年6月、戦場ヶ原のとなりの小田代原で大きなイノシシが昼間、撮影されて新聞記事になりました。戦前に発行された『日光の植物と動物』(1936・日光東照宮編)には、イノシシはかつて中禅寺湖畔の丸山付近に多く生息していたものの、明治中期にブタコレラや狩猟のために絶滅し「いろは坂の上にはいない」と書かれています。それだけに、びっくりでした。
 それから10年経って、日光ではイノシシの分布が広がり数も増えた可能性があります。夜行性で姿を見せないだけに、このような痕跡から判断するしかないのが、もどかしいところです。今後、日光の自然がどのような影響を受けるのか、心配です。

2017年5月14日 (日)

六義園で数10年ぶりのカエル

 六義園でカエルの声を聞いたのは、何年ぶりでしょう。
 録音データに2001年7月8日のウシガエルの音源がありました。いっしょにハシブトガラスが鳴いているので六義園、記憶と一致しています。これは、人が持ち込んだものではないかと推測いたしました。
 それ以前には、ヒキガエルを見たり、アマガエルの声を聞いていますが、録音をする前のことで、1995年以前となります。いずれにしても、六義園では数10年ぶりということになります。
 PCM-D100で録音。ボリュームを下げています。1,500Hz以下のノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

「Schlegelfrog170514_001e.mp3」をダウンロード

 鳴き声の主は、シュレーゲルアオガエルでよろしいかと思います。今頃の郊外の里山に行くとたくさん鳴いているカエルです。
 バードウォッチャーの常連さんによれば「3,4日前から鳴いていた、最初はただたどしかったけれど上手になった」とのこと。最初はカエルだとは思わず、鳥の声だと思って木の上を探したそうです。
  子ども頃は、庭でアマガエルが鳴いていたものです。緑の多い公園ならば、ごく普通に声を聞いたり姿を見ました。それが、いつの間にかいなくなってしまいました。
 さて、このシュレーゲルアオガエル、人為的に持ち込まれたものなのでしょうか。あるいは、鳥が運んできたのでしょうか。いろいろ想像すると楽しくなります。

2017年5月12日 (金)

カタクリの大群落-日光キスゲ平

 このシーズンは、日光に入り浸り。それなのに、今までどうして行かなかったのでしょう。それだけ見所の多い季節なのですが、これを見逃していたのはうかつでした。

Katakuri170512
 
  日光霧降高原にあるキスゲ平園地のカタクリの大群落です。
 キスゲ平の斜面のいたるところ、まるで薄紫の絨毯をしいたようにカタクリの花が咲いていました。これが、入口から避難小屋のあるなかほどまで延々と続いていました。階段でいくと群落を突っ切り上から見下ろす感じになります。しかし、つづれ織りの遊歩道を行くと目の前で花を観察することができます。カタクリの花はひたむき、いや下向きに咲いているので、遊歩道を行けば下からのアングルで見ることができます。
 カタクリの大群落があると聞いてはいたのですが、まさかこんなに一面に咲いているとは思ってみませんでした。あまり宣伝もされていませんし、写真も公開されていませんので、つい見逃していたことになります。キスゲ平といえば、ニッコウキスゲばかり取り上げられています。また、もうしばらくすると千手ヶ浜のクリンソウに観光客が押し寄せます。人が植えたクリンソウよりも、こちらのカタクリのほうがナチュラルですし、空いています。私が行ったときは、駐車場はガラガラ。遊歩道ですれ違ったのは数人でした。
 今週末でも、上のほうに行けばまだ花を楽しめると思います。機会がありましたら、ぜひお出かけください。
  

2017年5月10日 (水)

ヤマビルに噛まれた!

 連休明け頃から危ないとは聞いていましたが、今日は寒かったので油断をしていました。まさかのヤマビルです。家に帰ったら、Gパンの裾が固まった血でゴアゴアになっていました。日光の山道を歩いていたのは午前中ですから、噛まれて6時間以上経っていると思います。歩いていて、ふくらはぎの下のほうでチクッと痛みを感じたのをおぼえています。今日は靴下はもちろん、Gパンの上には雨具のズボン、さらにスパッツを着けて登山靴という装備です。この装備を着けている時にとりつき、その関門を通り抜けての吸血です。すでに、ほとんどかさぶたになっていますが、まだ出血しています。
 以前の経験ですと、カットバンは血が染みてきて役に立ちませんでした。タオルを巻いて血止めをして、血の染みたタオルを破棄しました。今回は、時間が経っているので多少は出血の量は少なくなっています。そこで一考、防水性のあるカットバンでであれば、水が染みないだけに血も染みてこないではないかと思いました。
 探すとバンドエイドの”ウォーターブロック”がありました。「完全防水、高い通気性」とパッケージには書いてあります。

Bindaid170510

 今のところ、バンドエイドから血が染み出ていません。出血の量と経過時間にもよると思いますが、防水性のバンドエイドは有効でした。
 スギ花粉の季節が終わったと思ったら、今度はヤマビルの季節となりました。皆さまもどうぞお気を付けください。
 

2017年5月 9日 (火)

不明ムシクイのさえずりは?

 六義園を常連さんのK藤♂さんと歩いていたら、ムシクイらしい声がすると教えてくれました(2017年4月20日)。私には聞こえない高い音で鳴いているようで、とりあえず彼の指さす方向に録音機を向けて録音しました。このような声です。
 PCM-D100で録音、ボリュームのアップ、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

「unknown70420_005e.mp3」をダウンロード

 「ツツツツツ・・・」あるいは「チチチチチ・・・」でしょうか。カタカナでは表すのが難しい音色です。間を開け、長くて24回、短いと10回程度連続しています。音の高さは、4,500~7,500Hzと高く、私には聞こえづらい音域です。声紋のパターンは、への字に似た高い音と低い音が重なり合うように交互にあり、それが「ツ」という一つの音に聞こえます。さて、何でしょう。
 連続音で鳴く鳥としては、ムシクイ類が多いです。たとえば、コムシクイやアムールムシクイが頭に思い浮かびました。そのため、まずは『鳴き声ガイド日本の野鳥』をチェック、続いてBrazilさんの”Birds of East Asia”e-Book版のムシクイ類のページに載っている鳴き声をかたっぱし聞きました。このほか、ここ2週間はヒマをみつけては、ネット上にアップされている音源も聞きましたが、ぴったりと一致するものを見つけることができませんでした。
 ちなみに、コムシクイだと多少尻上がりになり、ピタッと鳴きやむ感じです。アムールムシクイは、だんだん強くなり弱まるという抑揚があります。このような鳴き方のみならず、声紋のパターンも一致しません。ただし、バリエーションもあると思いますので、いちがいに言えないところが難しいところです。そのため、飛島でムシクイ類を聞き慣れているY川さん。ロシアで実際にムシクイ類を聞き録音している北見のH田さんにおたずねしました。お二方とも「コムシクイやアムールムシクイではない、何かはわからない」と異口同音に返事をいただきました。
 ただ、Y川さんからは「一本調子で鳴く変なシジュウカラに聞こえたというのが第一印象です」とのコメント。その後、K藤♂さんからも「同じ声が聞こえたので、姿を探したらシジュウカラがいた」との報告を受けました。さらに、5月3日にテストのため置いた録音機に、遠いものの同じパターンの声が入り、その前後にシジュウカラが鳴いていました。渡り途中のムシクイ類が2週間も滞在するとは思えず、現状ではシジュウカラ説が濃厚です。
 もし、シジュウカラだとすると、バリエーションの多さには驚かされます。また、それぞれには意味があり、いずれは解明されるかと思うとわくわくします。

2017年5月 6日 (土)

アカハラの群れのさえずり-六義園

 六義園にアカハラの10数羽の群れが数日間、逗留してくれました。
 面白いのは、群れでさえずっているのです。PCM-D100で録音、ボリュームのアップ、2,000Hz以下の低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

「brownheaded_thrush170502_001e.mp3」をダウンロード

 アカハラたちは、木の上の方を移動しながら鳴き合っています。ときどき地鳴きの「キョキョ」を交えて、とてもにぎやか。六義園の森全体が、アカハラのさえずりに包まれた感じになります。
 アカハラのさえずりといえば、1羽が長い間、木のてっぺんにとまって鳴き続ける印象があります。アカハラの典型的なさえずりというのは難しいのですが、多いのは同じ節を2回繰り返して「チリリ」など、別の音を入れるパターンです。
 ところが、今回のさえずりは、どんどん移動ながら鳴いています。また、「キョロン」が1回で終わり、あるいは「チリリ」だけとかなり変則的な鳴き方です。まだ、完全なさえずりではなく、練習をしている段階なのかもしれません。
 また、姿の見えたアカハラの多くは、身体の色が薄め、喉が白く翼の雨覆の先が白い、あるいは淡い眉線があるなど、若い鳥の印象があります。それだけに、さえずりが不完全なのかもしれません。
 このアカハラの群れのさえずりは、ほぼ毎年聞くことができる年中行事です。六義園では、これからは渡りが遅めの鳥たちの姿が見られるようになります。

2017年5月 5日 (金)

カイツブリの威嚇の声-葛西臨海公園

 今日の良い天気に誘われて葛西臨海公園に行きました。
 とにかく気持ちが良い。日差しも風も湿度もバランスが良いのですから、最高です。
 連休だけあって公園はとても混んでいましたが、鳥類園のほうはいつもの休日程度で、ゆっくりと探索ができました。プラス、バードウォッチングフェスティバル春のシギチ祭り開催中で、富士鷹なすびさんやらリトルターン・プロジェクトコアジサシ応援隊の皆さまにも会えて幸いでした。そして、なんと言っても今年はじめてのオオヨシキリのさえずりを聞け、初夏を迎えたことを実感することができました。
 ところで、ウォッチングセンターにいると、聞き慣れない声が淡水池のほうから聞こえて来ました。さっそく、近くに行ってPCM-D100で録音、2,000Hz以下の低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

「little_grebe170505_003.mp3」をダウンロード

 かなり大きな声です。声は、池のなかのヨシ原から聞こえています。この録音は4分ほどですが、前後10数分は鳴き続けていました。
 以前、拙ブログでも記事にした芝川第1調節池で録音した謎の声でした。
   http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2013/11/1-b226.html
 このときは、いろいろな方からクイナ、アリスイなどの意見をいただきました。そのなかで、S木♂さんがYouTubeで、カイツブリがアオダイショウを威嚇する映像を見つけてくれて、声の主がわかったしだいです。それ以来聞く機会はありませんでしたが、カイツブリの威嚇の声です。まず『鳴き声ガイド日本の野鳥』に収録されているか不安になって確認すると、ちゃんと入っていたので一安心です。それにしても、カイツブリは数10分間にわたり威嚇を続けていたことになり、いったい何が起きていたのでしょう。
 ところで、周辺には10数人のカメラマンやバードウォッチャーがいたのですが、この声に反応を示していたのは1人だけでした。私やコメントをいただいたベテランの方たちもわからなかった声です。ですから「カイツブリだからいいや」ということはないと思います。聞いたことのない声がしたら「なんだろう?」と思わないものなのでしょうか。

2017年5月 4日 (木)

高い声で鳴くヤマガラ

 先日(4月25日)、シジュウカラが高い声で鳴くことを記事にしました。
 日光で録音したもので「ツーツーツー」あるいは「チーチーチー」と聞こえ、ヤブサメなみの7,000~8,000Hzの高くて狭い音域で3声づつ鳴いていました。このあと、シジュウカラ独特の「ツピー、ツピー」と鳴き、シジュウカラが高い声で鳴いていると判断いたしました。
 先日のミゾゴイポイントでのタイマー録音の音源を整理していたら、ヤマガラが同じように高い声で鳴いているのが収録されていました。YAMAHA W24でタイマー録音。モノラルに変換。ボリュームのアップ、2,000Hz以下のノイズの軽減をしています。

「varied_tit170421_0553.mp3」をダウンロード

 高音を残すために高品位のmp3フォーマットにしています。バイト数が多くなるので、モノラルに変換しています。再生環境によっては、聞きづらいかもしれません。
 この同じ部分の声紋表示です。

Varied_tit170504

  左右が51秒、天地が10,000Hzです。高い声は、7,000~9,000Hzでシジュウカラよりやや高く上下のばらつきがあります。そのあとのヤマガラ特有の声が聞こえ、同じ距離で鳴いていて声紋を見ても同じ鳥がそのまま鳴き続けているように見えます。そのため、高い声は、ヤマガラでよろしいかと思います。
 今まで、ヤマガラはあまり録音したことがなく、同じように鳴く音源を見つけることができませんでした。ただ、ヤマガラがジュウカラと同じように高音で鳴くことがわかりました。
 それにしても、カラ類の鳴き声は奥が深いですね。

2017年5月 3日 (水)

『朝の小鳥』スタジオ収録-6月は氷ノ山の野鳥

 連休中は、どこへ行ってもどうせ混んでいるだろうということで、文化放送の『朝の小鳥』スタジオ収録を今日にしてもらいました。しかし、本日は良い天気になったので、ちょっと悔しいかなということで、スタジオに向かいました。羽田に向かうお客さんで大混雑の浜松町駅と閑散とした放送局のギャップがなんとも連休でした。
 ということで、来月は去年の6月に取材をした兵庫県氷ノ山周辺で録音した音源で構成してみました。

2017年6月の放送内容
 6月 4日 オオムシクイ
      11日  サンコウチョウ
      18日  ツツドリ
      25日  オオルリ

2017年5月 2日 (火)

オオルリの声を聞きながらランチ-日光

 日光に新しいレストランができたので、入ってみたら知人がシェフでした。
 日光駅前を通り霧降大橋を渡り、霧降に向かう急な坂の途中、左にあるCafe&Kitchen K です。カントリーウエスタン風の建物で、中も西部劇風の絵や置物がたくさん飾られています。開店したのは去年の11月で、連休を迎えてやっと忙しくなったとのこと。

Kicink170501

 鳥を見ながら、あるいは野鳥の声を聞きながら食事ができるのは、バードウォッチャーにとって至福のときです。Cafe&Kitchen Kのテラスに座ると、遠くに男体山と大真名子を望み、目の前には淡い新緑に包まれた小倉山が広がっていました。鳴沢沿いの小倉山は、キビタキ、オオルリの多いところ、私が見つけたオオルリのソングポイントが見えますから、きっと鳴き声も聞こえることでしょう。少なくとも、私が訪れたときはウグイスやカワラヒワのさえずりが聞こえ、カケスとヒヨドリが目の前を通っていきました。
 ランチメニューは、ビーフシチュー、カレー、ハンバーグなど1,000円前後。いずれもホテルで長年鍛えたシェフの味を楽しめました。夜は、予約をしてくださいとのこと。今度は、テラスで夕日を見ながらビールを飲んでフクロウの声が聞けたらと思います。
 お店のWebサイトのURL。
  http://gkuromaku.wixsite.com/cafeandkitchen-k
 FacebookのURL。
 https://www.facebook.com/CafeAndKitchenK/

2017年5月 1日 (月)

アオゲラの巣穴を掘る音-日光

 休日の移動をさけての日光、それでも滞在中は連休なので、道路渋滞は避けられません。そのため、近場を探索していました。
 はじめは、誰かが大工仕事をしているのかと思いました。
 日光の別荘地をはずれたスギ林です。この先には、建物はないはずです。そして、音は木の上のほうから聞こえています。
 PCM-D100で録音。ボリュームのアップ、300Hz以下のノイズのカット、ノイズリダクションを軽くかけています。

「japanese_woodpeckernest170430_003.mp3」をダウンロード

 キツツキの立てる音だろうとあたりをつけて、そっと近づくとアオゲラが飛んでいきました。飛び立ったあたりを探すと枯れたスギの木に大きな穴、その下には木くずが散乱していました。どうも、巣穴を掘っていたいたようです。
 音は、かなり遠くから聞こえましたので、森中にこの音が鳴り響いたことになります。巣を作っているのが、森の住民みんなに、ばれてしまいそうなほど大きな音でした。

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