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2017年6月

2017年6月29日 (木)

テンの声か?-日光

 梅雨空が続くので、音源の整理をしています。
 ふと思い立ったのは、どこかにテンの声が入っていないかと思って探してみました。
 日光では、テンとの遭遇が多いです。だいたい、戦場ヶ原の木道の上には、かならずといって良いほどテンの糞があります。同様にキスゲ平の階段や遊歩道にもあります。小倉山の頂上付近の山道を歩いていた時、向こうからネコが歩いてくると思ったらテンでした。私に気がついて長い尾を翻し森のなかに消えていきました。大笹牧場の牧柵の上を歩いていたこともあります。夜明け前の暗い霧降道路を走っていると、ヘッドライトを受けたテンの目がピンポン玉が弾むように見えたことがあります。これだけいるのですから、どこかにテンの声が録音されているのではと思いました。
 まず、Youtubeで「テン 鳴き声」などで検索して、どんな声で鳴くか調べてみました。だいたいギャー系の鳴き声でした。とくに捕獲されてたものはよく鳴いていますし、比較する音源としては間違いありません。
 これらを頭に入れて、長時間録音のなかから、謎や不明とファイル名の付いた音源を聞いてみました。それらしい鳴き声がありました。
 YAMAHA W24でタイマー録音。2012年8月10日午前4時19分頃。ボリュームのアップをしています。



 いかがでしょうか。ネット上にあるテンの声に似ています。この前後には歩くような音も入っていますが、鳴き声はこれだけでした。少なくとも、フクロウの雌とも違いケモノ的な声だとは思います。
 哺乳類の鳴き声は、参照となる音源がなかなかないのが悩みです。こうして、アップしていくことで、ご意見などいただければと思います。
   

2017年6月26日 (月)

「ヒバリの高鳴き」って、あり?

 ネットで鳴き声についていろいろ調べていたら「ヒバリの高鳴き」という言葉が出てきました。かなり違和感をおぼえましたので、調べてみました。
 たとえば、ペット系のサイトに「(ヒバリの)オスは、春になると自分の縄張りを構えて縄張り宣言をします。これは『ヒバリの高鳴き』という仕草で、空中を高く舞い上がりホバリングしながら鳴き続けます。」とあります。”行動”というところを”仕草”、なわばりを巡回するので”ホバリング”はしてないでしょと突っ込みどころはあります。しかし、検索すると同じ言葉がバードウォッチャーや野鳥カメラマンらしい個人のサイトでも使われ、いくつも上がってきます。
 いろいろ検索方法を変えてみると、もっとも古いものが2004年のサイトで、それ以前の書き込みでは見つけることができませんでした。最近になって使われるようになった言葉なのでしょうか。
 違和感をおぼえたのは、高鳴きとはモズが秋に山から下りてきて平地でなわばりを構えるために鳴く声のことだと、ずっと思っていたからです。高い所にとまって鳴く、あるいは高い声で鳴くから高鳴きと思っていました。ですから、モズに対してのみに使う言葉として、今まで認識していました。
 そのため、ちょっと調べてみました。江戸時代の文書を集めた『古事類苑』(神宮司庁・1896-1914)のモズの項には、高鳴きという言葉はありませんでした。同様にヒバリの項にもなく、高鳴きそのものも言葉として収録されていませんでした。
 また、鳥の文化的な資料を羅列してある『鳥』(亀井紫雲、内田清之助・1929)のモズはもちろん、ヒバリの項にも高鳴きという言葉を使っての解説はありませんでした。てっきり野鳥についての俳句の季語を集めた『野鳥歳時記』(山谷春潮・1943)を見れば、秋の季語として載っているかと思ったのですが、モズ、ヒバリともありません。このあたりの本をざっくり調べていて、思い当たったのが川口孫二郎の『自然暦』(1943)です。やはり、「モズの高鳴き七十五日」がありました。信濃のことわざで、モズが高鳴きをしておよそ2ヶ月半後に霜が降りるという意味です。これ以降、このことわざの引用とともに高鳴きが流布した可能性があります。
 ということは、信濃の人たちはモズの高鳴きという言葉を大昔から使っていたが、野鳥関係で使われるようになったのは1943年以降、実質的に戦後であった可能性があります。ちなみに、『自然暦』に「ヒバリ高く上がれば晴天」はあるものの高鳴きはありません。
 すべての鳥関係の本を調べたわけではありませんので、ひょっとしたら他にもあるかもしれませんが、今のところヒバリの高鳴きは見つけることはできませんでした。
 高鳴きは、専門用語して定義されている言葉ではありまんので、混乱を招くこととなります。”笹鳴き”をウグイスのみに使用するのと同じで「藪のなかでミソサザイが笹鳴きをしていた」と言われると、違和感を覚えると同じです。
 私としては、やはり高鳴きはモズのみにか使いませんね。

2017年6月25日 (日)

アオバトが鳴いた-六義園

 一昨日(6月23日)、午前6時半に目が覚めて、まだぼっとしている6時40分。六義園からアオバトのさえずりが聞こえてきました。慌てて録音機を取り出し、録音開始。最後の「ホー」がかすかに録れました。アオバトのさえずりは20秒程度の長さしかありませんので、起きぬけにしてはかなりすばやい行動だと思いますが、録音し損ねました。
 この日は、出かける用がありましたが、この後も鳴くかもしれないと録音機を置いたままにしておきました。午前9時から2時まで、およそ6時間となります。ざっとチェックをしましたが、残念ながらはっきりアオバトとわかる鳴き声は録音されていませんでした。ただ、これはいかがでしょうか。YAMAHAW24で録音。ボリュームのアップ、800Hz以下のノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。



  アオバトの最後のところのように聞こえます。音の高さと声紋パターンは、よく似ています。これと同じ音は、これ以外にもう1回録音されていました。ちゃんとさえずらないで、地鳴きぽく「ポー」と鳴くことがあるのでしょうか。そういえば、アオバトの地鳴きって聞いたことがありません。いずれにしても、鳴き声の課題のひとつとして参考のためにアップしておきます。
 ところで、過去にも六義園でアオバトは記録されています。ただし、秋や春の渡りの時期や越冬期の冬、繁殖期に記録されたのは初。まして、さえずりを聞いたのは初めてのことになります。
 アオバトは、夏休みに御岳山で見たことがあります。栃木県日光あたりでは、標高600~1,000m前後の山地で初夏に鳴き声を聞くことがあります。関東地方では、山地の鳥と言えますが、海に海水を飲みに来る以外、夏の平地の記録は珍しいのではないでしょうか。

2017年6月20日 (火)

サンショウクイの幼鳥の声-地鳴き問題

 サンショウクイは、山椒の実を食べ辛くて「ヒリリンヒリリン」と鳴くので山椒食い、この鳴き声は、求愛と縄張り宣言の意味を持つ”さえずり”とされています。以前、エナガとケンカをしているサンショウクイが同じような鳴き方をしていたので、ほんとうにさえずりで良いのか疑問に思っていました。また以前、拙ブログにさえずりとして記事を書いたところ、越冬地の東南アジアでも同じ鳴き方をしていたという報告をもらいました。サンショウクイの地鳴きは、録音はもちろん聞いたことがないので、この鳥のさえずりと地鳴きの違いが気になっていました。
 先週、南信州在住のM松さんから、名前のわからない瀕死の雛を拾ったと相談を受けました。M松さんは、最初のバードカービングの入門書「バードカービング入門」(朝日ソノラマ・1980)に載っているツバメの作者で、当時は学生。ツバメの細くて長い尾を創り、木で羽毛を表現ができると確証する作品を作ってくれました。今は自然豊かな環境の地に根を下ろし、地元ではその風貌から監督の愛称で親しまれています。言っておきますが、現場監督ではなく映画監督です。
 ところで、瀕死の雛は写真を見るとサンショウクイでした。「クルマのボンネットにベッタリと張り付いていました。死んでいるものとばかり思い取り除こうとするとかすかに震えているので、とりあえず緊急保護して保温してみたところ元気を取り戻しました。」とのこと。誘拐か保護か微妙な状態ですが、夕方で放鳥しても親と遭遇する可能性は低いと判断、また青虫を与えたら食べたとのことでしたので、取りあえず一晩様子を見てもらうことにしました。
 ということで、鳴き声を録音してもらいました。なんとM松家には、子どもの音楽会を録音するために奥さんが購入したオリンパスの最新機種LS-P2があるというではないですか。それも一回も使用していなのですから、サンショウクイが録り下ろし。さっそく餌をねだる声を録音してもらいました。M松さんのご了解を得て、下記にアップいたします。
 オリンパスLS-P2で録音。1,000Hz以下のノイズを軽減、ボリュームの調整をしているだけです。



 なんと幼鳥もさえずりとあまり変わらない鳴き声です。幼鳥がさえずるとは思えず、サンショウクイは、さえずりと地鳴きの鳴き方にあまり違いがない鳥と言えます。
 以下は推測ですが、餌ねだりも求愛、縄張り宣言の意味で共通しているのは”自己主張”です。この自己主張の強弱、テンポなどで彼ら自身、鳴き分け聞き分けているのではないでしょうか。
 出会いの少ない鳥だけに、なかなかサンプルを集めることができませんが、今後野鳥録音が普及すれば、いろいろ解明できる可能性を秘めている鳥でもあります。
 ところで、放鳥をしようと外に出したところ、餌をねだって付いてくるほどなついてしまったとのこと。それならば、部屋のなかで追い回しリハビリをするなど、放鳥計画を立てていました。しかし、残念なことにM松家で10日生きながらえたサンショウクイの幼鳥は、娘さんの見ている前で息絶えてしまったそうです。野生動物は難しいですね。M松家には、いろいろ思い出を残してくれたことと思います。
 サンショウクイの幼鳥の冥福を祈ります。
 M松さん、いろいろありがとうございました。

追記:「サンショウクイ 地鳴き」でネット検索すると、Youtubeに権現山で8月に撮影された動画が投稿されていました。これでは、羽繕いをしながら「ピッ」という声で鳴いているようすが、撮影されており地鳴きとなっています。声紋を採って見ると、1声の「ピッ」に聞こえますが、実際は3~4音の連続で、「ヒリリン」の「ヒ」の部分に相当するパターンを示していました。いつも鳴いている声の断片という感じです。

2017年6月19日 (月)

夏のモズの鳴き声-日光→訂正追記あり

 先週の日光では、近場を歩きました。この季節は、つい戦場ヶ原やキスゲ平と上に行き、駅から近い山を歩くことは少なく、久しぶりです。意外と面白かったのは、幼鳥だらけ。スズメ、ムクドリをはじめ、ヒヨドリ、キセキレイ、モズなどの巣立ったばかりの幼鳥があちこちで見られました。キセキレイは、ペンションの軒下に巣があるなど、忙しそうでした。
 あと、モズが多いのに驚きました。駅近くの住宅地の空き地にもいて、ちょっとした草原があれば、かならずモズがいるという感じです。モズといえば、秋の高鳴きが野鳥録音の醍醐味です。しかし、繁殖期は鳴くことは鳴きますがあまり鳴きません。微妙な表現になるのをお許しください。たぶん、鳴かないと書いたら「聞いた」「録音できた」という方もいるでしょう。しかし、繁殖期のモズとの出会いは多いものの録音は、すべておぼえているくらいしか録れないのです。その程度の頻度しか鳴き声を聞けないという感じです。
 今回の出会いでも、あまり鳴きませんでした。鳴いていると思ったら、ハシブトガラスが近くにいて警戒の声のようでした。住宅地に幼鳥連れがいたので近くに録音機を置いて、40mくらい離れたところから15分観察していました。いずれも、影響のない距離と時間と判断しました。幼鳥は、3羽いて親鳥は雄のみが見えました。幼鳥は、住宅地の植え込みや低い電線にとまって親鳥を待ちます。親鳥は、隣接した畑で獲物を見つけては、運んできて与えていました。この間、ほとんど鳴き声は聞こえません。モズは鳴かないし、近くの配送センターのトラックのエンジン音や人声もうるさいので、これは録音を失敗と思って録音機を回収しました。
 ところが、帰ってからチェックしてみると、ずうっとモズの声が入っていました。YAMAHA W24で録音。ボリュームのアップ、2,000Hz以下のノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。



 幼鳥と録音機との距離は、10m以内です。15分間、ほとんどこの「ギチギチ」と鳴く声が入っていました。幼鳥は、鳴き続けていたのです。そして、ときどき「キイキイ」があり、親鳥も鳴いていました。
 モズは、秋の高鳴きから大きくて鋭い鳴き声のイメージがありますが、繁殖期は意外と小さな声で鳴いていることになります。どうも、あまり鳴かないというより、小さな声で聞こえにくいと言った方が良いのかもしれません。

訂正追記:アップした音声は、ナキイナゴではないかとの指摘をG戸さんからいただきました。声紋で確認したところ、音が、4,500Hzあたりから10,000Hzを越えてあること。1秒間に12~14回鳴いていることから、ナキイナゴであると判断いたしました。録音機を置いた近くの藪のなかで、ナキイナゴがいたことになります。「キイキイ」の成鳥の声は間違いなく、高鳴きとは違うという主旨はかわりありません。
 なお、記事そのものを削除も考えましたが、このような間違いが生じることがあるという戒めを含めて訂正してお詫びいたします。また、G戸さんにはご指摘を感謝いたします。ありがとうございました。
 

2017年6月17日 (土)

ツバメの土運び-日光

 野鳥録音で、録音の難しい鳥NO.1は、ツバメです。身近な鳥の代表でもあるのですが、それだけに騒音の多いところにいるためクリアな音で録るのが難しいのです。それでも、さえずりはなんとか録れますが、地鳴きとなると飛びながら鳴くことが多いために、より録音は難しいことになります。
 週末、日光に行ったら空き地の水たまりにツバメたちが集まっていました。どうやら、巣材の土を取るためにやってきたようです。この水たまりの近くの草むらに録音機を置いて、散歩の続きをしてきました。
 YAMAHA W24で録音。ボリュームを少しアップ、2,500Hz以下のノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。



 難易度の高いツバメの地鳴きが録れました。録音は、全部で1時間40分。ときどき、ツバメたちはやってきては鳴き合っています。飛び立つ時の羽音も聞こえます。近くで鳴くウグイス、巣立ったばかりのハシブトガラスの幼鳥の声など、良い感じに入っています。
 難しいツバメの声も、ちょっとした工夫でゲットすることができました。

2017年6月14日 (水)

『朝の小鳥』スタジオ収録-7月は北海道の草原の鳥

 本日は、浜松町にある文化放送にて、『朝の小鳥』のスタジオ収録でした。7月の日曜日は、5回あるので各局の分を含めると10本録りとなります。ところが、珍しいことに機械が動かなくなるなど、トラブルに見舞われました。それでも、いつも通り1時間15分で終了したのですからスタッフの皆さん、お疲れ様でした。
 ところで、担当のSさんからこの先、MOでの音源提供がなくなるとの話がでました。なんと、文化放送はじめ一部のラジオ局では、いまだMOで音源を保存しているのです。もはやMOをご存じない方も多いかと思います。MOとは、CD半分くらいの大きさの円盤にレーザー光と磁場を用いて記録し、レーザー光で再生を行うメディアです。発売当時は、1G程度の情報量が何度も書き込めるメディアとして重宝されました。当時の他のメディアに比べれば、ミスが少なく安定していたことが、放送現場での使用につながったのでしょう。しかし、『朝の小鳥』用の音源5分×5本をコピーして保存するとなると15分くらいかかります。今やUSBメモリ、あるいはSDカードならば一瞬で書き込めるのですから、MOはもはや化石的な存在となりました。
 ちなみに蒲谷鶴彦先生の時代は、オープンリールでした。文化放送が、四谷から浜松町に移転するにあたりアナログからデジタルになり、私が引き継いだといういきさつがあります。ですから、音源の納品は11年以上にわたってMOだったのです。考えてみれば、私が使っているMOドライブもメディアも11年間、そのまま使っていることになります。その間、メインのコンピュータは2台半くらい世代交代しているのですから、丈夫なメディアであることは、間違いありません。またスタジオ収録では、万が一のためにMO2枚に同じ音源を保存して持って行くのですが、バックアップが必要になったことはありませんでした。
 といっても、いつか壊れるのではないかという不安がありました。壊れたら、まだアマゾンで売っているので入手は可能ですが、高いですね。しかし、これも解消され、これからはUSBメモリかSDカードで納品ということになります。
 ということで、来月は北海道の草原でさえずる野鳥たちです。少しでも、さわやかな音を感じてもらえれば幸いです。

2017年7月の放送内容
 7月 2日 シマセンニュウ(野付半島)
      9日 ノビタキ(霧多布湿原)
     16日 ベニマシコ(ポロト沼)
     23日 エゾセンニュウ(サロベツ原野)
     30日 ノゴマ(天売島)

2017年6月12日 (月)

夜の鳥セット

 昨日の英彦山の録音を聞くと、わずか数秒間のオオコノハズクの声の合間にコノハズクとトラツグミが鳴いています。報告では、夜鳴く鳥としてヨタカ、アオバズク、ジュウイチも録音されていたそうです。こうして夜の鳥を録音していると気がついたのは、夜に鳴く鳥はセットになっていることです。
 たとえば、日光ではコノハズクのいるところにはオオコノハズクがいて、トラツグミ、ヨタカも鳴くといったようにです。雲龍渓谷というところで野宿したときは、午前2時にヨタカとホトトギスの鳴き合う声で目が覚めました。戦場ヶ原ならば、フクロウにオオジシギとヤマシギの声が加わります。東京西部の山地では、フクロウは必ずいてトラツグミ、ヨタカ、アオバズク、そしてときどきオオコノハズク、ミゾゴイというセットとなります。兵庫県北部の山地も、トラツグミ、ヨタカにジュウイチ、ホトトギスが加わっていました。
 当たり前のことかもしれませんが、夜の鳥が1種類だけということは希で、だいたい複数種の鳴き声が聞こえてきます。
 多いのは、フクロウとトラツグミ。トラツグミの替わりにジュウイチかホトトギスが、鳴けば、ポーカーで言えばツーペア。標高の低い所ではアオバズクが入って、スリーカード。標高、高めでヨタカがいればコノハズクがいて、希にミゾゴイやオオコノハズクが加わります。これだけそろえば、ロイヤルストレートフラッシュになる感じです。
 関東地方の山地、森林環境ではホトトギス>トラツグミ>ジュウイチ>フクロウ>アオバズク>ヨタカ>コノハズク>オオコノハズク>ミゾゴイという順序が難易度の傾向かな。これは、あくまでも私の限られたフィールドでの経験からの個人的な感想です。要するにコノハズクのいるところは、ヨタカ以下の鳥の声がするということになります。ただし、オオコノハズクは声が小さいこと、ミゾゴイはさえずりの頻度が少ないことで、この通りにはならないことがあります。
 ただ、これらの鳥がいっせいに鳴いてコーラスにはなるようなことはありません。日没から日の出まで、それぞれ好みの時間帯があってまるで時間を割り当てられたように鳴き分けている印象があります。
 こうした夜の鳥のセットが充実しているところは、早朝のコーラスもにぎやか。それだけ、自然が豊かであることの証拠にとなります。

2017年6月11日 (日)

九州でオオコノハズク繁殖か?

 「とうとう」と言うか、「いよいよ」と言ったら良いのか、全国で行われいる全国鳥類繁殖分布調査のいっかんとして行われているタイマー録音の成果が出てきました。日本野鳥の会筑豊支部のS田さんから、九州福岡県の英彦山に置いた録音機にオオコノハズクらしい鳴き声が入っていたと報告がありました。
 かつてオオコノハズクは、いわゆるミミズクとして親しまれ里山の鳥として全国にいたようなのです。しかし近年、繁殖期に確認されている都道府県は、福島県、栃木県、新潟県、岐阜県、鳥取県、広島県ていど。このほか、対馬にいるとされています。これらの情報は、ネットや私信などわずかな記録からのものです。今回の全国鳥類繁殖分布調査で、たくさんデータが集まり、大きく実態が塗り変わる可能性のある鳥でもあります。
 なお、南西諸島を除く九州での繁殖期の記録は、過去の文献では『日本鳥類大図鑑』(1965・清棲幸保)では、分布に「九州」とあるだけ。『日本産鳥類目録改訂7版』(日本鳥学会・2012)では、九州は「RB=留鳥で繁殖」と、繁殖している印象で書かれているのですが、元のデータは不明です。少なくとも、1974~1978年、1997~2002年に行われた全国鳥類繁殖分布調査では、九州での記録はありません(注1、注2)。ですから、今回の録音記録が近年の繁殖期の記録としては、より確実なものとなります。
 今後、幼鳥の鳴き声や雄のさえずりである木魚鳴きなどが、録音できればさらに繁殖の確度が高くなります。タイマー録音への期待も高まります。
 課題としては、現状では亜種オオコノハズクと亜種リュウキュウオオコノハズクの笑い鳴きでの区別が明確でないことです。話題の筑前沖ノ島にリュウキュウコノハズクがいたり、リュウキュウサンショウクイが分布を広げているなかで、記録の取り扱いにはより慎重になる必要があると思っています。
 なお、詳しい報告をはじめ、録音された音源が支部のWebサイトにアップされていますのでご覧いただければ幸いです。
 http://yacho.org/cbird/pages/2_oshirase/mrc.htm

注1:亜種リュウキュウオオコノハズクの繁殖期の記録は、沖縄本島であり、このほか屋我地島、西表島に留鳥として分布していると言われています。
注2:筑豊エリア以外の九州各県のリストは、確認していません。

2017年6月 9日 (金)

ハシブトガラスの幼鳥、給餌の鳴き声-六義園

ハシブトガラスの 梅雨に入ったら梅雨の晴れ間が、続いています。まだ、咲き残ったサツキが美しい六義園を歩いてみました。今日は、シジュウカラ、エナガの幼鳥の群れに2つ遭遇しましたメジロやコゲラも入れると、10数羽の群れで森のなかを移動していきました。
 森の中からハシブトガラスの幼鳥の鳴き声も聞こえて来ました。まだ声は小さく、巣立ったばかりのようです。実は、六義園では駆除業者により巣落としが行われています。しかし、業者には見つけられなかった巣があって巣立つことができました。
 最初は、親鳥と鳴き合っています。そして、食べ物をもらうときの声で鳴きました。この声は、親鳥が求愛給餌のときに出す声と同じように聞こえます。
 PCM-D100で録音、ボリュームを少しアップ、1,500Hz以下の低音を軽減、ノイズリダクションをかけています。



 ひさびさの六義園産ハシブトガラス幼鳥の鳴き声でもあります。

2017年6月 7日 (水)

ムササビの鳴き声

 10年くらい前までは、不明の鳴き声の問い合わせNo.1はガビチョウでした。大きな声で目立つし録音しやすく、CDやネットにも情報が少なかったためでしょう。このところ、おたずねで多いのが、鳥の声ではなくムササビです。ひとつに、繁殖調査でパナソニックのXS-455が全国で100台以上稼働していることがありますが、それだけ夜の録音をしている方が増えたことは喜ばしいことです。
 日が沈み暗い森のなかで活動するムササビは、相手の姿が見えないので鳥とおなじように鳴き声でコミュニケーションをとっています。そのため、聞く機会も多いのですが、いかんせん暗くなってからのため姿が見えず、謎の声となってしまいます。そのため、ここではムササビの鳴き声のパターンのいくつかを紹介しておきますので、ご参考にしてください。
  いちばん、よく聞く声は「グルル・・・」という声です。日が沈み、最初に活動を開始するときによく鳴きます。存在の確認の声だと思います。



 警戒と思われる「キュルキュル」と聞こえる声です。強弱、連続の頻度など、違いがありますが、警戒の度合いによるものでしょう。



 これは、なにか機械音のように聞こえましたが、ムササビです。最初の「グルル」が、変化したものでしょう。存在の確認で良いかと思います。



 このほか、こんな声も出します。長いので後ろのほうはカットしていますが、警戒の「キョキョ」が入っているので、ムササビとしました。ケンカそれとも求愛、想像はいくらでもできます。



 夜の静寂のなか、ムササビの鳴き声は遠くで鳴いても良く聞こえます。録音も比較的しやすい鳴き声です。生息の確認、生態の解明、いくらでも課題のある魅力的な生きものだと思います。

参考文献
安藤元一、倉持有希 2008 ムササビの音声コミュニケーション 東京農大農学集報 53(2),176-183  [下記URLで読めます]
https://nodai.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=332&file_id=19&file_no=1

2017年6月 4日 (日)

エナガとシジュウカラの幼鳥の声-六義園

 夏鳥の通過が一段落して六義園は、繁殖している鳥たちの幼鳥たちであふれています。ここ数年は、エナガが子育てに加わりました。
 シジュウカラとエナガの幼鳥の鳴き声は、今まで意識したことがありませんが、良い機会なので比べてみました。幼鳥たちは、親鳥を追いかけながら「チチチ」あるいは「ツツツ」という短く連続したよく似た声で鳴き合っています。たぶん、カタカナで書いたら同じになってしまう声です。いずれも高い声なので私には聞き取りにくい音です。群れの動きを見て先回りして待っていると、近くに来てくれて録音できました。
 録音しているときは、エナガのほうが細い声に聞こえ、多少の違いがあるかなと思いました。編集して声紋を見ると、大きな違いは倍音でした。シジュウカラは、6,500~8.500Hzにメインの音があり、下は4,000から上は1,8000Hzまで倍音が広がっています。それに対して、エナガは7,500~8.500Hzと少し音は高いのですが、倍音がほとんどありません。エナガの声が細く聞こえたのは、ほぼ同じ高さでも倍音がないために澄んだ声に聞こえるためでした。
 まず、シジュウカラの幼鳥です。PCM-D100で録音、4,000Hz以下のノイズをカット、ボリュームはそのまま、ノイズリダクションをかけています。



  エナガの幼鳥です。PCM-D100で録音、7,000Hz以下のノイズを軽減、ボリュームのアップ、ノイズリダクションをかけています。



 「チッ」と「ジュリリ」と言う声は、親鳥の鳴き声です。
 もちろん、幼鳥の成長具合で鳴き声も変化していくことと思います。森の中から聞こえる幼鳥のささやくような声から、シジュウカラとエナガの幼鳥の鳴き声を区別する目安があることがわかりました。

2017年6月 3日 (土)

伊香保の謎の鳥・考

 謎の声が蒲谷鶴彦先生に送られたのは、2001年6月のことだったと思います。私の手元にある音源ファイルの日付が、2001年6月7日になっています。音源は、カセットテープだったと記憶しています。群馬県の伊香保森林公園で野鳥録音のベテランのM野さんがこの年の2001年、そして翌年の2002年にも収録しました。
 野鳥録音の仲間のTさんが、Birder誌の編集長をしていた2003年5月号の特集「バードリスニング入門」に、コラムネタとして紹介されていたと思います。思いますというのは、バックナンバーを本の山の中から見つけ出せないのでもうしわけございません。
 また、検索すると下記のURLが出てきますが、残念ながら音源へのリンク先にはつながりませんが、大まかの状況が書かれています。

http://www.kimuhiro.sakura.ne.jp/homepagekimuhiroSakura/kimuhiro50/newbird43/newbird842.html

 そのため、記憶と手元の音源から概要を書きます。謎の声は「ポ、ポ、ポー」と3声で柔らかい音質の声です。音は600~900Hzの間にあり、最後が尻上がりに聞こえます。4月下旬から鳴いていたとのこと。私が最初に聞いた印象では、ヤツガシラの声に似ていると思いましたが、姿を見たという人がいて「カッコウの仲間だった」と伝え聞いています。蒲谷先生は、この鳥のために伊香保に一度行っていますが、録音できませんでした。先生は「伊香保の謎の鳥ってなんだろう」と、ときどき気にとめておられました。そのため、先生がお亡くなりになってからも機会があれば解明したいと思っていました。
 今までの事実から、夏鳥、森林性の鳥、「ポポ」系の声で鳴く、そしてカッコウの仲間となるとツツドリが思い浮かびます。ただ、ツツドリのさえずりは2声で、それが3声になるようなバリエーションは、聞いたことがないので懸案となっていました。
 最近、ツツドリの分類に動きがあり、チェックしてみました。かつて、ツツドリはヒマラヤから中国、ロシア、そして日本まで広く分布する学名Cuculus saturatus、英名Oriental Cuckooとされてきました。ただ、マーク・ブラジルさんの”Birds of East Asia”によると、中国、台湾のものを学名Cuculus saturatus、英名Himarayan Cukkoo(Hymarayan Cukkoo)[和名:ヒマラヤツツドリ(暫定)]として、ロシアから日本のものを学名Cuculus optatus、英名Oriental Cukkoo[和名:ツツドリ]に分けています。これは、亜種といわれていたものを別種にしたものです。問い合わせのあった当時もネパールのカセットテープを買ったりして、ヒマラヤツツドリの声を探したのですが、聞くことができませんでした。ヒマラヤやインドの図鑑には、鳴き声が4声とか書かれていたのですが、実際の声を聞かないことには話になりません。
 そうなると、ヒマラヤツツドリの鳴き声が気になります。あれから10数年たって、今では聞くことができます。まずは、”Birds of East Asia”のe-Book 版をお持ちの方は、聞いてみてください。収録されているのは、中国のHunanで録音されたもので「ポ、ポ、ポ、ポ」と4声のパターンで鳴いています。この音質が、伊香保の謎の鳥によく似ていることに気がつきました。
 そのため、xeno-cantoのCuculus saturatusの声を聞いてみました。中国、インド、ネパールで収録された音源がアップされています。
 http://www.xeno-canto.org/explore?query=Cuculus+saturatus
 たしかに4声が多いのですが、5声もあります。ということは、3声もあるかもといったところです。
  ここまで書いたところで、Tさんからコーネル大学のサイトに音源がアップされているとの情報をいただきました。
https://search.macaulaylibrary.org/catalog?date.beginMonth=1&searchField=species&hotspot=&date.beginYear=1900&date.endYear=2017&hotspotCode=&taxonCode=&view=Gallery&regionCode=&action=show&date.yearRange=YALL&date.endMonth=12&onlyUnrated=false&includeUnconfirmed=&behaviors=&sex=&date.monthRange=M1TO12&start=0&count=30&mediaType=Audio%2CPhoto%2CVideo&sort=upload_date_desc&userId=&q=Cuculus+saturatus&species=&region=&user=&age=
 4声が多いのですが、3声もありました。ただ、尻上がりになっていない平坦な鳴き方をしています。この鳥の分布域はバードウォッチングがさかんとも思えず、アップされている件数は多くありませんので、まだバリエーションがある可能性があります。ということで、解明とまでは行きませんが、伊香保の謎の鳥として、ヒマラヤツツドリを可能性のひとつとしてあげておきます。
 じつは、伊香保のM野さんとは、以前メールのやりとりをしていましたが、音信不通となってしまいました。そのため、肝心の謎の鳥の声をアップすることができませんが、これらサイトにアップされている音源を聞いていただき、頭の片隅にでも記憶しておいていただければと思います。鳴き声で発見できる、出るかもしれない種となります。
 ということで、鳴き声から日本産の鳥が1種増えるかもしれないと思うと、わくわくします。

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