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2017年6月20日 (火)

サンショウクイの幼鳥の声-地鳴き問題

 サンショウクイは、山椒の実を食べ辛くて「ヒリリンヒリリン」と鳴くので山椒食い、この鳴き声は、求愛と縄張り宣言の意味を持つ”さえずり”とされています。以前、エナガとケンカをしているサンショウクイが同じような鳴き方をしていたので、ほんとうにさえずりで良いのか疑問に思っていました。また以前、拙ブログにさえずりとして記事を書いたところ、越冬地の東南アジアでも同じ鳴き方をしていたという報告をもらいました。サンショウクイの地鳴きは、録音はもちろん聞いたことがないので、この鳥のさえずりと地鳴きの違いが気になっていました。
 先週、南信州在住のM松さんから、名前のわからない瀕死の雛を拾ったと相談を受けました。M松さんは、最初のバードカービングの入門書「バードカービング入門」(朝日ソノラマ・1980)に載っているツバメの作者で、当時は学生。ツバメの細くて長い尾を創り、木で羽毛を表現ができると確証する作品を作ってくれました。今は自然豊かな環境の地に根を下ろし、地元ではその風貌から監督の愛称で親しまれています。言っておきますが、現場監督ではなく映画監督です。
 ところで、瀕死の雛は写真を見るとサンショウクイでした。「クルマのボンネットにベッタリと張り付いていました。死んでいるものとばかり思い取り除こうとするとかすかに震えているので、とりあえず緊急保護して保温してみたところ元気を取り戻しました。」とのこと。誘拐か保護か微妙な状態ですが、夕方で放鳥しても親と遭遇する可能性は低いと判断、また青虫を与えたら食べたとのことでしたので、取りあえず一晩様子を見てもらうことにしました。
 ということで、鳴き声を録音してもらいました。なんとM松家には、子どもの音楽会を録音するために奥さんが購入したオリンパスの最新機種LS-P2があるというではないですか。それも一回も使用していなのですから、サンショウクイが録り下ろし。さっそく餌をねだる声を録音してもらいました。M松さんのご了解を得て、下記にアップいたします。
 オリンパスLS-P2で録音。1,000Hz以下のノイズを軽減、ボリュームの調整をしているだけです。



 なんと幼鳥もさえずりとあまり変わらない鳴き声です。幼鳥がさえずるとは思えず、サンショウクイは、さえずりと地鳴きの鳴き方にあまり違いがない鳥と言えます。
 以下は推測ですが、餌ねだりも求愛、縄張り宣言の意味で共通しているのは”自己主張”です。この自己主張の強弱、テンポなどで彼ら自身、鳴き分け聞き分けているのではないでしょうか。
 出会いの少ない鳥だけに、なかなかサンプルを集めることができませんが、今後野鳥録音が普及すれば、いろいろ解明できる可能性を秘めている鳥でもあります。
 ところで、放鳥をしようと外に出したところ、餌をねだって付いてくるほどなついてしまったとのこと。それならば、部屋のなかで追い回しリハビリをするなど、放鳥計画を立てていました。しかし、残念なことにM松家で10日生きながらえたサンショウクイの幼鳥は、娘さんの見ている前で息絶えてしまったそうです。野生動物は難しいですね。M松家には、いろいろ思い出を残してくれたことと思います。
 サンショウクイの幼鳥の冥福を祈ります。
 M松さん、いろいろありがとうございました。

追記:「サンショウクイ 地鳴き」でネット検索すると、Youtubeに権現山で8月に撮影された動画が投稿されていました。これでは、羽繕いをしながら「ピッ」という声で鳴いているようすが、撮影されており地鳴きとなっています。声紋を採って見ると、1声の「ピッ」に聞こえますが、実際は3~4音の連続で、「ヒリリン」の「ヒ」の部分に相当するパターンを示していました。いつも鳴いている声の断片という感じです。

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コメント

こんにちは。
日に日に飛び方も上手になり、エサを自分で探せるようになれば放鳥も可能か、と思った矢先でしたので、突然の死はショックでした。

また、幼鳥の保護に、体温を奪われないような工夫が有効であることを学びました。

鳴き声は、ノイズリダクションをかけるだけで随分と見違えるものになりましたね。
わが家は鳥の声を録音するには恵まれた環境なので、またチャレンジしてみたいと思います。

色々とご指導ありがとうございました。

M松様
 このたびは、たいへんお世話になりました。おかげさまで、疑問がひとつ解決し、また謎が生まれました。これが楽しくて止められません。
 せっかくの録音機で、鳥のたくさんいるところにいらっしゃるのですから、どうぞ野鳥や自然の音を録音してみてください。いろいろ発見があると思います。
 まずは、お礼まで・・・

お世話になっております。福岡のS田です。いつも興味深く拝見しております。
少々話が違うかもしれませんが、福岡では亜種リュウキュウサンショウクイが勢力を広げており、筑豊地区などを中心に、季節を問わず観察されるようになってきています。声は亜種サンショウクイよりやや高く、ヒリリリリッと一本調子な声ですが、年間通してこの声しか聞いたことがありません。
今回、亜種の違いはありますが、雛も同じ声ということで、驚きと共になんとなく納得もしました。ありがとうございます。

S田様
 だんだんはまってきましたね。
 実は、リュウキュウサンショウクイは、東京や埼玉でも記録されるようになりました。
 リュウキュウサンショウクイも冬に同じように鳴くのであれば、どのように鳴くのか知られるようになれば、もっと見つかるかもしれませんね。

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