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2017年6月11日 (日)

九州でオオコノハズク繁殖か?

 「とうとう」と言うか、「いよいよ」と言ったら良いのか、全国で行われいる全国鳥類繁殖分布調査のいっかんとして行われているタイマー録音の成果が出てきました。日本野鳥の会筑豊支部のS田さんから、九州福岡県の英彦山に置いた録音機にオオコノハズクらしい鳴き声が入っていたと報告がありました。
 かつてオオコノハズクは、いわゆるミミズクとして親しまれ里山の鳥として全国にいたようなのです。しかし近年、繁殖期に確認されている都道府県は、福島県、栃木県、新潟県、岐阜県、鳥取県、広島県ていど。このほか、対馬にいるとされています。これらの情報は、ネットや私信などわずかな記録からのものです。今回の全国鳥類繁殖分布調査で、たくさんデータが集まり、大きく実態が塗り変わる可能性のある鳥でもあります。
 なお、南西諸島を除く九州での繁殖期の記録は、過去の文献では『日本鳥類大図鑑』(1965・清棲幸保)では、分布に「九州」とあるだけ。『日本産鳥類目録改訂7版』(日本鳥学会・2012)では、九州は「RB=留鳥で繁殖」と、繁殖している印象で書かれているのですが、元のデータは不明です。少なくとも、1974~1978年、1997~2002年に行われた全国鳥類繁殖分布調査では、九州での記録はありません(注1、注2)。ですから、今回の録音記録が近年の繁殖期の記録としては、より確実なものとなります。
 今後、幼鳥の鳴き声や雄のさえずりである木魚鳴きなどが、録音できればさらに繁殖の確度が高くなります。タイマー録音への期待も高まります。
 課題としては、現状では亜種オオコノハズクと亜種リュウキュウオオコノハズクの笑い鳴きでの区別が明確でないことです。話題の筑前沖ノ島にリュウキュウコノハズクがいたり、リュウキュウサンショウクイが分布を広げているなかで、記録の取り扱いにはより慎重になる必要があると思っています。
 なお、詳しい報告をはじめ、録音された音源が支部のWebサイトにアップされていますのでご覧いただければ幸いです。
 http://yacho.org/cbird/pages/2_oshirase/mrc.htm

注1:亜種リュウキュウオオコノハズクの繁殖期の記録は、沖縄本島であり、このほか屋我地島、西表島に留鳥として分布していると言われています。
注2:筑豊エリア以外の九州各県のリストは、確認していません。

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