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2017年6月 3日 (土)

伊香保の謎の鳥・考

 謎の声が蒲谷鶴彦先生に送られたのは、2001年6月のことだったと思います。私の手元にある音源ファイルの日付が、2001年6月7日になっています。音源は、カセットテープだったと記憶しています。群馬県の伊香保森林公園で野鳥録音のベテランのM野さんがこの年の2001年、そして翌年の2002年にも収録しました。
 野鳥録音の仲間のTさんが、Birder誌の編集長をしていた2003年5月号の特集「バードリスニング入門」に、コラムネタとして紹介されていたと思います。思いますというのは、バックナンバーを本の山の中から見つけ出せないのでもうしわけございません。
 また、検索すると下記のURLが出てきますが、残念ながら音源へのリンク先にはつながりませんが、大まかの状況が書かれています。

http://www.kimuhiro.sakura.ne.jp/homepagekimuhiroSakura/kimuhiro50/newbird43/newbird842.html

 そのため、記憶と手元の音源から概要を書きます。謎の声は「ポ、ポ、ポー」と3声で柔らかい音質の声です。音は600~900Hzの間にあり、最後が尻上がりに聞こえます。4月下旬から鳴いていたとのこと。私が最初に聞いた印象では、ヤツガシラの声に似ていると思いましたが、姿を見たという人がいて「カッコウの仲間だった」と伝え聞いています。蒲谷先生は、この鳥のために伊香保に一度行っていますが、録音できませんでした。先生は「伊香保の謎の鳥ってなんだろう」と、ときどき気にとめておられました。そのため、先生がお亡くなりになってからも機会があれば解明したいと思っていました。
 今までの事実から、夏鳥、森林性の鳥、「ポポ」系の声で鳴く、そしてカッコウの仲間となるとツツドリが思い浮かびます。ただ、ツツドリのさえずりは2声で、それが3声になるようなバリエーションは、聞いたことがないので懸案となっていました。
 最近、ツツドリの分類に動きがあり、チェックしてみました。かつて、ツツドリはヒマラヤから中国、ロシア、そして日本まで広く分布する学名Cuculus saturatus、英名Oriental Cuckooとされてきました。ただ、マーク・ブラジルさんの”Birds of East Asia”によると、中国、台湾のものを学名Cuculus saturatus、英名Himarayan Cukkoo(Hymarayan Cukkoo)[和名:ヒマラヤツツドリ(暫定)]として、ロシアから日本のものを学名Cuculus optatus、英名Oriental Cukkoo[和名:ツツドリ]に分けています。これは、亜種といわれていたものを別種にしたものです。問い合わせのあった当時もネパールのカセットテープを買ったりして、ヒマラヤツツドリの声を探したのですが、聞くことができませんでした。ヒマラヤやインドの図鑑には、鳴き声が4声とか書かれていたのですが、実際の声を聞かないことには話になりません。
 そうなると、ヒマラヤツツドリの鳴き声が気になります。あれから10数年たって、今では聞くことができます。まずは、”Birds of East Asia”のe-Book 版をお持ちの方は、聞いてみてください。収録されているのは、中国のHunanで録音されたもので「ポ、ポ、ポ、ポ」と4声のパターンで鳴いています。この音質が、伊香保の謎の鳥によく似ていることに気がつきました。
 そのため、xeno-cantoのCuculus saturatusの声を聞いてみました。中国、インド、ネパールで収録された音源がアップされています。
 http://www.xeno-canto.org/explore?query=Cuculus+saturatus
 たしかに4声が多いのですが、5声もあります。ということは、3声もあるかもといったところです。
  ここまで書いたところで、Tさんからコーネル大学のサイトに音源がアップされているとの情報をいただきました。
https://search.macaulaylibrary.org/catalog?date.beginMonth=1&searchField=species&hotspot=&date.beginYear=1900&date.endYear=2017&hotspotCode=&taxonCode=&view=Gallery&regionCode=&action=show&date.yearRange=YALL&date.endMonth=12&onlyUnrated=false&includeUnconfirmed=&behaviors=&sex=&date.monthRange=M1TO12&start=0&count=30&mediaType=Audio%2CPhoto%2CVideo&sort=upload_date_desc&userId=&q=Cuculus+saturatus&species=&region=&user=&age=
 4声が多いのですが、3声もありました。ただ、尻上がりになっていない平坦な鳴き方をしています。この鳥の分布域はバードウォッチングがさかんとも思えず、アップされている件数は多くありませんので、まだバリエーションがある可能性があります。ということで、解明とまでは行きませんが、伊香保の謎の鳥として、ヒマラヤツツドリを可能性のひとつとしてあげておきます。
 じつは、伊香保のM野さんとは、以前メールのやりとりをしていましたが、音信不通となってしまいました。そのため、肝心の謎の鳥の声をアップすることができませんが、これらサイトにアップされている音源を聞いていただき、頭の片隅にでも記憶しておいていただければと思います。鳴き声で発見できる、出るかもしれない種となります。
 ということで、鳴き声から日本産の鳥が1種増えるかもしれないと思うと、わくわくします。

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