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2017年7月

2017年7月30日 (日)

セグロセキレイのさえずり-日光

 考えてみると、セグロセキレイのさえずりを録音できたのは4回くらいしかありません。セグロセキレイは、珍しい鳥ではありませんし、記録的には一年中さえずっている鳥なのですが、なかなか良い音が録れない難題の鳥です。
 理由は、他のセキレイ類に比べて”流れ”依存が強いために水音があって、なかなか思うように録音できないのです。たとえば、キセキレイは細い流れのため水音が小さい、さらに高いところにとまってさえずるので、空ヌキとなりノイズが少なくてすみます。セグロセキレイは、河原の岩の上などにとまって鳴き、空ヌキにはなりません。ハクセキレイは、水音より車の騒音のほうが多い環境にいますが、数が多いのでチャンスもありなんとかなります。
 今まで、録れたセグロセキレイのさえずりは、流れから離れたがれきのような上でさえずっていたことが1例、貯水池や湖などで流れの音がなかった3例です。このうちの1例は、声量が少なく小刻みで複雑な節の鳴き方をしていたのでサブソングのようです。残り3例は、しっかりとした同じ節を2,3回繰り返したあと、別の節をまた2,3回繰り返す鳴き方です。たとえば、ホオジロは同じ節を何度も間を開けて繰り返します。クロツグミは、たえず違い節で鳴き続けます。数回同じ節を繰り返し、また別の節、そして今度は前の節を繰り返すという鳴き方は、セグロセキレイ特有の鳴き方かもしれません。
 ところで今回、日光の大谷川の河原散歩で、セグロセキレイのさえずりが聞こえて来ました。セグロセキレイとの距離は20m、中州の岩の上にとまって鳴いています。間に緩いながらも流れがあり、40mくらい先は堰で盛大に音を立てています。PCM-D100で録音、音量などすべてそのままです。

「japanese_wagtail170728_002org.mp3」をダウンロード

 「ゴーッ」という水音のなかで、かすかにセグロセキレイのさえずりが聞こえると思います。だいたいセグロセキレイのさえずりの出会いは、このような状況です。人は脳で音をいているので聞きたい音は増幅され、現場ではもう少し鳥の声がはっきり聞こえましたが、これに近いです。録音は無理だと判断しましたが、試しに録音してみたものです。
 これを現場で聞いたように編集加工してみます。まず、鳥の声は高い音域にあるため低いノイズを軽減します。4,000Hz以下のノイズを段階的にフィルターをかけて取ります。さらに、ノイズリダクションをかけて「ゴーッ」という音を少なくします。

「japanese_wagtail170728_002edit.mp3」をダウンロード

 長めの同じ節を3回、短い同じ節を2回繰り返しているセグロセキレイ風のさえずりであることがわかります。この程度の加工で、声紋のパターンを読み取ったり、さえずりの構造を調べることができると思います。
 しかし、環境の音がないので不自然に聞こえてしまいます。番組には使えません。これに、別に録音した流れの音をミキシングしてやります。このとき、現場でどのように聞こえたか、しっかりと記憶してないと再現できません。目をつぶって録音したときの状況を思い出し、音がその情景にあっているかどうか、それぞれの音の大きさのバランスを調整します。

「japanese_wagtail170728_002mix.mp3」をダウンロード

 だいたい、ここまでの加工編集は30分くらいでできます。もっと時間をかけてていねいにやれば、よりきれいな音にすることもできます。ちなみに、編集ソフトはAudition CCを使用しています。もちろん、いろいろなやり方があると思いますが、その簡単な1例をしてご紹介したものです。
 こうして、録音した野鳥と自然を思い出しながらの作業を繰り返すことで鳥の声を忘れることはありません。
 

2017年7月29日 (土)

増えた日光のガビチョウ

 今日まで日光でした。天気が悪く、遠出ができず近場を歩きました。
 大谷川の河原を久しぶりに歩いてみました。JR日光駅の裏あたりから600mくらいを下流に向かって歩き、往復しました。録音する前はよく歩いたのですが、録音するになってからは川音が気になって足が遠のいていました。また、晴れるととても暑い道です。藪に覆われた道は、暑いと草いきれがすごいです。幸いにして、曇り空で快適です。
 川沿いでは、ウグイスやホオジロのさえずりがたえず聞こえます。おどろいたのは、ガビチョウが多いことです。600mの間に5ヶ所でさえずりが聞かれました。いずれも、100mは離れていたり、鳴き合っていたり、あるいは2羽対1羽で追いかけたりしているので、別のなわばりのようです。
 ガビチョウは、藪が広がりところどころに樹木のあるようなところにいました。森の中だと姿の見づらいガビチョウですが、ときおり道を横切ったり、藪の上を低く飛んだりするので、見つけやすかったです。
 仲間から鬼怒川の河原にガビチョウが入ったと報告を受けたのは、数年前。支流の大谷川に入り登ってきたことになります。さらに、仲間からは大谷川に流れ込む鳴沢でもよく鳴いていたと聞いています。これから、沢沿いに山を登っていくのでしょうか。
 いつかガビチョウの鳴き声のしない野鳥のコーラスが、貴重な音源になるのは困ります。

2017年7月22日 (土)

今年の『夏休み子ども科学電話相談』は中村さんと川上さんです

 私は、少なくとも1999年の手帳に「NHKラジオ」とスケジュールが書かれているので17年間『夏休み子ども科学電話相談』に出演していたことになります。ということは、50才からだったのですね。
 NHKラジオの『夏休み子ども科学電話相談』が、来週から始まります。今年からは、私に替わって森林総合研究所の川上和人さんが担当いたします。日本鳥学会の参加者でひときわ目立つ川上さんとは、控え室でのおしゃべりが楽しみです。貴重な情報を教えていただいたりしています。豊富な知識とずばぬけた表現力で番組を盛り上げてくれることでしょう。葛西臨海公園鳥類園のスタッフの中村忠昌さんとともに、野鳥の質問に答えてくれます。
 いずれにしても野鳥の質問が少ないので、お子さん、お孫さんに電話させてくださいね。
 お二方の出演スケジュールは下記です。
 7月26日 中村忠昌先生
     28日 中村忠昌先生
 8月 1日 川上和人先生
      4日 川上和人先生
     24日 中村忠昌先生
 詳しくは、下記URLでお確かめください。
  http://www.nhk.or.jp/radiosp/kodomoq/index.html

2017年7月20日 (木)

雹の被害-六義園

 一昨日の雹は、池袋から日暮里の東西10km、南北はわずか1kmに渡って通過したことになります。このなかに、もろに六義園が入ります。
 本日、午前中に行ってみました。千里場からつつじ茶屋など、まだ整備されていないので立ち入りが禁止されていました。池の周りなど歩けますが、職員総出に加えて業者も入って後片付けに追われています。
 まずは、名物のシダレザクラです。最初の写真は今年5月30日撮影したものです。

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  そして、これが今日の惨状。まるで、スキバサミですいたようになってしまいました。

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 集められた落ち葉です。これでも、まだまだ一部となります。

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 マツなど葉の小さな植物は被害が少ないのですが、アジサイなど大きな葉はぼろぼろになり壊滅的な被害となっています。ホウ、アカメガシワなども同様です。モミジも場所によっては葉がなくなっており、今秋の紅葉のライトアップが心配です。
 鳥にとってはミズキの実が落ちてしまったのが、困ります。今年は、花がたくさん咲いて豊作、この実を目当てに秋の渡り鳥が立ち寄ってくれるかと期待していただけにがっかりです。

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2017年7月19日 (水)

『朝の小鳥』スタジオ収録-8月は富士山五合目の鳥たち

 本日は、浜松町にある文化放送にて『朝の小鳥』のスタジオ収録でした。担当のS藤さんが栄転されたために、スタッフ新旧がそろいました。そのため、総勢6名が狭いスタジオに集まり、和気藹々の収録となりました。
  本日、関東などでは梅雨が明けたとか。これ以上の暑さが続くのかと思うとぞっとします。そのため、8月は少しでも涼しさを感じていただこうと富士山五合目にある奥庭山荘付近で録音した野鳥たちの鳴き声です。標高2,400mの朝晩は寒いくらいの場所です。少しでも涼しさを音から感じてもらえれば幸いです。
 文化放送に入る時に気になっていたのですが、エントランスに古い録音機が展示されていました。収録後に、確認するとなんとM-4ではありませんか。

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 解説板によると、このM-4はソニーの前身の東京通信工業の製品の1号機だそうです。この録音機はある意味、野鳥録音に革命をもたらした機器です。というのは、それまでは100ボルトの電源がなくては稼働しなかったものが、ゼンマイが動力のために野外にどこにでも持って行けるようになったのです。1954年、この革命的な恩恵にあずかったのは野鳥録音では蒲谷鶴彦先生だけであったのですが、軽井沢はもとより北海道など全国各地に取材に行ける行けるようになり、当時の貴重な録音がこのM-4によって残されています。また、初期の文化放送『朝の小鳥』でもM-4で録音された音源が流されたはずです。
 『野鳥大鑑』の「鳥声録音50年の歩み」によれば「忘れもしない14万円。当時、大卒の初任給が1万2,000円だから、現在の価格だと200万円以上というたいへん高価な機械である」と書いています。ただ、故障が多かったのでバックアップにもう1台用意しての取材だったのですから、当時の野鳥録音はお金がかかりました。
  しかし、電源コードのしばりから解き放された蒲谷先生が、自由に飛ぶ鳥のように録音をすることができるようなったようすが目に浮かぶようです。

2017年8月の放送内容
 8月 6日 ルリビタキ
     13日 ビンズイ
     20日 ヨタカ
     27日 ホシガラス幼鳥

2017年7月18日 (火)

雹の音-駒込

 いやあ、怖かった。今まで野外で荒天による怖い思いをしたことは何度もあります。しかし、家のなかにいて身の危険を感じたことは初めてです。また、これだけ大きな雹体験も初めてです。
 駒込地方は、午後3時10分頃から大粒の雨が降り出し、あっという間に土砂降りとなり大粒の雹が降ってきました。ベランダから数m先にある六義園のクスが見えないほどの大ぶりとなりました。そのうちに、ベランダを越えて雹が窓ガラスにバチバチあたります。ガラスにはワイヤーが入っていますが、ワイヤーの入っていない窓もあり、万が一を考えて厚手のカーテンを閉めておきました。それでも「バキッ、バシン」という大きな音がして恐怖をおぼえます。
 窓ガラスに雹がぶつかる音です。これでも、ピークを過ぎています。あまりの事態に録音をするのを思いつき損ねました。PCM-D100で録音。編集加工は、フェードインとフェードアウトのみです。

「hyou170718_005.mp3」をダウンロード

 雹が降った時間は、おそらく10分間もなかったのですが、その間の音による恐怖は半端ではありませんでした。
 一段落したところで、ベランダを見たら雹が積もっていました。大きな物は、ゴルフボールとまではいきませんが、かなりの大きさです。

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 おかげで、ベランダに置いてあった植物は枝が折れたり丸坊主になっていました。六義園のクス、エノキ、ケヤキも上のほうの葉がなくなっていました。網戸に穴もあいていました。
 本郷通りは、雪景色。そして、街路樹のイチョウの葉が雹によって落とされ芝生のように一面緑色になっていました。

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  まだ、本郷通りは大渋滞。その間を救急車両が、何台も抜けていきます。最新情報では、JR駒込駅のホームの屋根が壊れたそうです。けが人など、大きな被害がないことを祈ります。

2017年7月14日 (金)

今朝のヒグラシ

 昨夕、六義園からヒグラシが聞こえて来ました。遅めですが、今シーズンはじめてです。
 そのため今朝、六義園に録音機を向けてタイマー録音をいたしました。午前3時~6時の3時間です。天候は4時15分に目が覚めた時のもの、この季節特有の強風は早朝もありました。
2017年7月14日 午前3時~6時  雲の多い晴れ・強めの風
03:00 録音開始
03:55 ハシブトガラス鳴き始める
04:10 ヒヨドリの鳴き始める
04:11 ニイニイゼミ鳴き始める
04:24 ヒグラシ鳴き始める
04:24 メジロ地鳴き
04:29 ヒグラシ鳴きやむ
04:35 ハシブトガラス幼鳥起きる
04:36 東京都23区の日の出時間
04:48 メジロさえずり
04:54 ニイニイゼミ鳴きやむ
05:02 ハシブトガラス幼鳥、食べ物をもらえたようだ
05:13 シジュウカラの幼鳥の鳴き声
06:00 録音終了

 4時頃には、明るくなっているはずです。この季節の平地でも、野鳥たちは日の出30分前が活動開始の時間となっていました。ヒグラシは、明るさ(照度)で鳴くので夕方ばかりではなく早朝も鳴きます。人工音の少ない朝に録音するのが、コツとなります。なお、まだ2匹くらいしか鳴いていませんでした。ですから、鳴いている時間も短めでした。YAMAHA W24でタイマー録音。15,000Hz以下のノイズの軽減、ニイニイゼミの音域(6,000~10,000Hz)のボリュームを下げ、ヒグラシの音域(3,800~4.800Hz)のボリュームを上げています。

「higurasi170714-1.mp3」をダウンロード

 ちなみに、ハシブトガラスがいちばん早起きです。また、幼鳥は家の前にこのところ1日いて「食物乞い」をしています。幼鳥は、成鳥に比べて40分寝坊して30分断続的に鳴き続け、やっと食べ物をもらうことができたようです。
 

2017年7月10日 (月)

デジスコ通信に投稿-プロの野鳥カメラマンとのお仕事

 デジスコが普及し高額だったデジタル1眼がそこそこの値段となり、野鳥カメラマンが爆発的に増えました。都会の公園で石を投げれば、野鳥カメラマンに当たります。そして、今まで撮れなかったような瞬間を捕らえた写真がSNSにアップされ、タダで野鳥の見事な写真を楽しめるようになりました。
 私は、これでプロの野鳥カメラマンは絶滅するだろうと思っていました。内心しめしめとかざまあ見ろとか、思わなかったと言ったらウソになります。ただ、私は紙媒体=書籍にこだわって情報発信していきたいと思っています。ですから、もしプロのカメラマンがいなくなったら仕事がやりにくくなるのは間違いなく、困った時代になるかもしれないという懸念もしていました。
 ところが、プロの野鳥カメラマンたちは元気に活躍しています。写真集や新しい図鑑が発行され、新境地が切り開かれています。バードウォッチングの普及にプロの野鳥カメラマンの活躍があるのは、間違いないと思います。
 友人知人にプロの野鳥カメラマンが何人かいます。話をする機会も多いのですが、いずれも野鳥、写真、そして仕事に対する思いの強さ深さを感じます。やはりプロはプロであり、アマチュアとの違いを歴然と感じます。アマチュア野鳥カメラマンの増殖が、プロにプロとしての存在感を見いだそうと刺激になっていることもあるかもしれませんが、良い傾向だと思っています。
 今回、文一総合出版の『鳴き声から調べる野鳥図鑑』の制作にあたり、新鋭のカメラマンS原さんと仕事をしました。プロの仕事のエピソードのひとつをデジスコドッドコムのメールマガジン、デジスコ通信に投稿しました。下記URLで、ご覧ください。
  http://www.digisco.com/mm/dt_101/toku1.htm
 S原さんのようなプロが活躍してくれれば、とうぶんプロの野鳥カメラマンとの仕事が、できることは間違いないですね。

2017年7月 9日 (日)

本場のニッコウキスゲ

 以前、日光のバスの中でご婦人の会話が聞こえて来たことがあります。道ばたに咲いた外来種のオオハンゴウソウの黄色い花を見て「わーッ、きれい!」「黄色い花だから、ニッコウキスゲね」「きっとそうよ。きれいね」。それは「違うだろ!」と声をかけるのはあまりにも楽しそうでしたので、そのままにしておきましたが、日光と言えばニッコウキスゲが有名です。
 ということで、本場の日光キスゲ平園地でニッコウキスゲを見てきました。平日の午前中とは言え、駐車場のあきはわずか。ぎりぎり止めることができました。花は、まだ下の方でも咲き始めたばかりで、枯れた花が少ないのでとてもきれいです。なにより、上まで登らないですんで楽ちんでした。

Kisuge170707

  ニッコウキスゲにいちばん似合う鳥は、この声。カッコウです。木のてっぺんにとまっては鳴いては、また移動して鳴くという行動を繰り返していました。PCM-D100で録音、ボリュームを少しアップ、600Hz以下のノイズを軽減しています。

「Cuckoo170707.mp3」をダウンロード

 同じ仲間のホトトギスも良く鳴いていました。同じくPCM-D100で録音、ボリュームをアップ、600Hz以下のノイズを軽減しています。

「lesser_cuckoo170707.mp3」をダウンロード

 ニッコウキスゲの花とカッコウやホトトギスの声の中で、いちだんと輝いて見えました。あのバスのなかで会った方たちにも、ぜひ本物のニッコウキスゲを見て欲しいと思いました。

2017年7月 3日 (月)

不明のムシクイ類の鳴き声-六義園

 アップしようがどうか悩みましたが、参考のために記事にしました。
 5月の中旬、夏鳥の立ち寄りがさかんな六義園で、記録された鳥が謎です。
 見つけたのは常連さんたちで、私が合流したときも鳴いていると教わりましたが、私には聞こえない高い声でした。そのため、録音機にイヤーフォンと付けて聞くと、聞いたことのないが聞こえ慌てて録音しました。
 PCM-D100で録音。ボリュームのアップ、3,000Hz以下のノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

「arctic_warbler170516_004.mp3」をダウンロード


 mp3ファイルに変換したため音が変質していますので、ご了承ください。5声目と6声目の間に「ビッ」という声が聞こえますが、最初はこの「ビッ、ビッ」とよく鳴いていたそうです。ですから、「あの『ビッ、ビッ』鳴く鳥はなあに?」というのが、常連さんたちの質問でした。
 カメラを持っている人もいたので撮影もされましたが、葉陰にいてしっかりと撮影できた人はいませんでした。ただ、ムシクイ類とわかる程度の画像は得られており、見た人も「ムシクイのように見えた」とのことでした。
 そのためコムシクイとあたりを付けて、いろいろ音源を聞いてみました。xeno-cantoには、学名:Phylloscopus borealis、英名:Arctic Warblerの音源は山ほどアップされています。このサイトの分類では、ユーラシア大陸の西から東、そしてアメリカ大陸のアラスカまで広く分布している種ということになっています。そのために、フィンランド、ロシア、モンゴル、アメリカなど各地で録音された音源が並んでいます。
 ひととおり聞いてみたのですが、そのバリエーションの多さには驚きました。かなりメボソムシクイに近い「ジュリジュリ」系もありました。これだけ、分布が広いのですからいろいろな鳴き方があっても仕方ないです。ただし今回、六義園で録音されたものと同じように聞こえる音源を見つけることはできませんでした。
 なお、最大公約数としては「ビッ、ビッ」を交えること、3,000~6,000Hzに基音があること、声紋が”ん”あるいは筆記体の”h”のようなパターンに見えることなどがあります。
 今回のものは、3,800~4,800Hzと範囲には入ります。パターンはどちらかというと、筆記体の”n”ですが似ています。また、前述のように「ビッ、ビッ」はありました。
 コムシクイの記録は、旧称のコメボソムシクイ、そしてオオムシクイとの混乱があるのでなかなか検索しきれません。確かなところでは、福岡県福津市、長崎県対馬や日本海側の離島程度、太平洋側の記録は見つけられませんでした。少なくとも最新の東京都の鳥類目録には載っていません。サイト上の目黒区の野鳥リストに入っていましたが、どうもオオムシクイのようです。
 となると、確定するのには慎重にならざるを得ません。現状では、可能性の一つとしてコムシクイの名前をあげておきます。今後、鳴き声による新知見により確定できるか、あるいは訂正するかもしれませんという前提でのご呈示です。

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