不明のムシクイ類の鳴き声-六義園
アップしようがどうか悩みましたが、参考のために記事にしました。
5月の中旬、夏鳥の立ち寄りがさかんな六義園で、記録された鳥が謎です。
見つけたのは常連さんたちで、私が合流したときも鳴いていると教わりましたが、私には聞こえない高い声でした。そのため、録音機にイヤーフォンと付けて聞くと、聞いたことのないが聞こえ慌てて録音しました。
PCM-D100で録音。ボリュームのアップ、3,000Hz以下のノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。
「arctic_warbler170516_004.mp3」をダウンロード
mp3ファイルに変換したため音が変質していますので、ご了承ください。5声目と6声目の間に「ビッ」という声が聞こえますが、最初はこの「ビッ、ビッ」とよく鳴いていたそうです。ですから、「あの『ビッ、ビッ』鳴く鳥はなあに?」というのが、常連さんたちの質問でした。
カメラを持っている人もいたので撮影もされましたが、葉陰にいてしっかりと撮影できた人はいませんでした。ただ、ムシクイ類とわかる程度の画像は得られており、見た人も「ムシクイのように見えた」とのことでした。
そのためコムシクイとあたりを付けて、いろいろ音源を聞いてみました。xeno-cantoには、学名:Phylloscopus borealis、英名:Arctic Warblerの音源は山ほどアップされています。このサイトの分類では、ユーラシア大陸の西から東、そしてアメリカ大陸のアラスカまで広く分布している種ということになっています。そのために、フィンランド、ロシア、モンゴル、アメリカなど各地で録音された音源が並んでいます。
ひととおり聞いてみたのですが、そのバリエーションの多さには驚きました。かなりメボソムシクイに近い「ジュリジュリ」系もありました。これだけ、分布が広いのですからいろいろな鳴き方があっても仕方ないです。ただし今回、六義園で録音されたものと同じように聞こえる音源を見つけることはできませんでした。
なお、最大公約数としては「ビッ、ビッ」を交えること、3,000~6,000Hzに基音があること、声紋が”ん”あるいは筆記体の”h”のようなパターンに見えることなどがあります。
今回のものは、3,800~4,800Hzと範囲には入ります。パターンはどちらかというと、筆記体の”n”ですが似ています。また、前述のように「ビッ、ビッ」はありました。
コムシクイの記録は、旧称のコメボソムシクイ、そしてオオムシクイとの混乱があるのでなかなか検索しきれません。確かなところでは、福岡県福津市、長崎県対馬や日本海側の離島程度、太平洋側の記録は見つけられませんでした。少なくとも最新の東京都の鳥類目録には載っていません。サイト上の目黒区の野鳥リストに入っていましたが、どうもオオムシクイのようです。
となると、確定するのには慎重にならざるを得ません。現状では、可能性の一つとしてコムシクイの名前をあげておきます。今後、鳴き声による新知見により確定できるか、あるいは訂正するかもしれませんという前提でのご呈示です。
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