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2017年8月 7日 (月)

Audition CC 使用リポート-その2

 Cool EditからAuditionも引き継いだ機能に、波形とスペクトル表示が簡単に切り替えられることがあります。スペクトル表示させることで、バックのノイズと残したい鳥の声の音域の違いを見ることができて、ノイズの音域のボリュームを下げたり、フィルターをかけて、軽減することができます。
 かつては、ハードのイコライザーで段階的にそれぞれの音域のボリュームを調整していました。たとえば、蒲谷鶴彦先生のスタジオにはお亡くなりになった当時のまま機材が置かれています。そのため、先生のイコライザーの設定を今でも見ることができます。セッティングは、500Hz以下を段階的にさげています。『野鳥大鑑』などの先生の音源をスペクトルで見ると、このイコライザーの設定のとおりになっています。「ゴーッ」という環境音はだいたい500Hz以下なので、これでもかなり軽減することができます。
 しかし、録音をしていると環境ノイズは2,000Hzまで広がっていることが多いので、私は2,000Hzあたりから手を付けます。今考えると、いかに先生は静かなところで鳥に近づいて録音していたのか、ご苦労がこの設定からも推し量ることができます。
 たとえば、スペクトルをみるとノイズが2,000Hz以下にあって、500Hz以下が濃い色で表示されていることがわかります。そして、オオルリの鳴き声は、3,000Hz以上にあるとすると、2,000Hz以下のノイズを軽減し、500Hzをカットしてしまえば良いと判断することができます。あるいは、都会の公園で録音していると入りがちなのが救急車のサイレンです。だいたい1,000Hzあたりにありますから、スペクトルで表示してサイレンのパターンの部分を囲んで削除してしまえば、静かになります。また、その部分の音がなくなり不自然になったら、サイレンのないところの音をコピペして埋めます。これもスペクトルが見えることでできることです。このように音を目で見て加工できるのは、スペクトル表示のありがたさです。
 Audition3.0の機能の秀悦さに、ノイズリダクションがあります。ノイズリダクション機能の善し悪しで、音楽編集ソフトの価値が決まると言っても過言ではないでしょう。鳥の声のかからない低音ノイズは、ボリュームを下げたりカットすることができますが、全体にかかったノイズはこの方法では取ることができません。また、低音ノイズを軽減したことで高音ノイズが目立ってしまい全体に「シャーッ」という音がかぶってしまうこともあります。それを軽減してくれるのがノイズリダクションです。
 低音ノイズを軽減することで、目的の音がどれかソフトが理解するように下ごしらえしておくことがコツです。そして、ノイズリダクションでコントラストを付ける感じとなります。コーラス、あるいは波の音のようにノイズがいろいろあったり強弱があるものは、難しいのですが、全体にかかった音はきれいに取れます。問題なのは、取りすぎると堅い音になる、さらには「ボアボア」という不自然な音になってしまいます。また、たとえば「ホーホケキョ」とウグイスがさえずった場合、「ホケキョーーー」と響きがあるのですが、響きの部分をノイズと判断してカットされては困るのです。初期のノイズリダクションはこれが取れてしまいましたし、設定で強めにするとなくなります。このあたりは、波形表示をさせて目的の音の波形が損なわれず、目的の音のない部分の音量が下がっていることを確認しながら、少しずつ設定を変えて良いところを探すという作業になります。
 私は、Audition3.0では、ヒスノイズリダクションのコマンドで加工します。これ以外にリダクション機能がありますので、お好みでいろいろお試しいただければと思います。
 なかなかAudition CCの話にならなくてすみません。要するに、これらの機能が果たして受け継がれているか、チェックポイントとなるための前書きです。(つづく)

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