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2017年8月

2017年8月31日 (木)

親離れしないハシブトガラス-六義園

 今年、六義園ではハシブトガラスが3番、繁殖に成功しました。いずれも複数羽を巣立たせましたが、面白いことにこの巣立った幼鳥がなかなか親離れしないのです。今日も、幼鳥が親鳥に食べ物を乞うための声で鳴き、親鳥は私に威嚇します。今日は涼しくてセミが鳴いていないため、録音することができました。
 PCM-D100で録音、ボリュームはそのまま、600Hz以下のノイズを軽減、ノイズリダクションをかけています。



 親子がいるのは西と東のはじになわばりをかまえる2つの親子です(南にいたもう一つの親子は、姿を消しています)。いずれも、幼鳥の声が聞こえ始めたのは6月初旬です。拙ブログでは、6月9日に記事にしています。
 ハシブトガラスの子別れというか親離れの期間はいろいろです。それでも、1,2週間で親離れしていまうか、なわばりからいなくなってしまいます。ただ、過去の最長記録では53日間というのがあります。2ヶ月弱です。
 過去の記録と今年では観察頻度や気の入れ方が違いますので、いちがいに比較はできませんが、すでに3ヶ月になろうとしています。私が家にいるかぎり、東の親子は毎日鳴いています。ですから、親子が入れ替わったとは考えにくいのです。また、西のはじの親子は私が六義園に行けばいつも同じところにいて鳴いていますので、これも同じ親子だろうと思っています。
 例年との違いは、雨が多く日照の少ない天候があります。しかし、六義園だけでの例なのでなんともいえません。いずれにしても、あとあとの記録のために記事にしておきます。

2017年8月27日 (日)

粘菌びより-六義園

 今年は雨が多いため、六義園ではキノコやカビが例年にましてたくさんでています。また、粘菌類も見つけることができて、鳥のいない季節だけに自然観察の楽しみを補ってくれています。今日も、切り株の残っているところを探すとありました。ただ、図鑑となかなか一致するものがなく、蔵書の『日本変形菌類図鑑』(萩原博光、山本幸憲・1995)を元にネットで画像検索しての識別です。もし、間違っていたらご遠慮なくご指摘をいただければと思います。
 ムシホコリでよろしいでしょうか。

Nenkin1708271

 ムラサキホコリかな。

Nenkin1708272

 フサホコリの胞子体かも。

Nenkin1708273

 観察会でも粘菌の話をしますが、なかなか理解してもらえないのが困りものです。知識のある人は、南方熊楠の名前とともに知っていますが、生物の知識のない方には説明するのに一苦労します。動物か植物かと言われても粘菌は粘菌、あるいは変形菌といってもわかってもらえないですね。とくに粘菌にしても変形菌にしても”菌”が付いていることや形から、どうしてもカビとかキノコをイメージしてしまい、なかなか動物らしい移動体、植物らしい胞子体の生活史があることまで思い浮かべてもらえません。また、種名も”ホコリ”が付いているのでカビを連想してしまうようです。
 以前、粘菌研究会の方から六義園は「粘菌の穴場だ」と言われたことがありました。ですから、私が見つけられる粘菌は、ほんの一部にすぎないことでしょう。それでも、今日はたっぷりと楽しむことができました。

2017年8月25日 (金)

日光でイソヒヨドリ-参考記録

 日光市内で、イソヒヨドリの幼鳥を見ました。
 前もって言っておきますが、証拠になる写真も音源もありません。また、観察の条件もけしてベストではないことをあらかじめお断りしておきます。
 8月24日午後4時頃、場所はJR日光駅に隣接するマンションのベランダです。双眼鏡なし、ガラス越し、観察時間は数10秒たらずです。今日は、カミさんがそれらしい鳥をチラっと見ています。
 イソヒヨドリと判断したのは、特有のシルエット。ヒヨドリ大で、ヒヨドリより短い尾、丸みのある頭のラインなどからです。また、しゃっくりをするような動作をしていました。青やオレンジ色は見えませんでしたので雌、また翼に斑点が見えたので、幼鳥ではないかと思いました。
 日光には、1991年から通っていますが、イソヒヨドリには26年間で2回遭遇している程度です。フィールドノートをひっくりかえすのが面倒なので、記憶で書いておきます。最初は通い始めた1990年代で、同じマンションで雄がさえずっていました。次が2000年代、日光駅の構内で雌、これは確か秋の渡りの季節だったと記憶しています。ですから、今回で3回目となります。
 ちなみに『日光の植物と動物』(東照宮・1936)には、イソヒヨドリの記述はなし。『栃木の野鳥図鑑』(日本野鳥の会栃木・2015)には「2012年には宇都宮のビル街でひとつがいが春から夏にかけて観察され、繁殖が示唆」とあります。また、バードウォッチャーから「中禅寺湖で見た」という話を聞いたことがあります。
 今回は、身体に斑点がある幼鳥なので、周辺での繁殖の可能性もゼロではありません。ただ、今年は毎週のように日光に通っていましたので、もし雄がさえずっていれば、気が付いたと思います。少なくとも、駅周辺で繁殖した可能性はないと思っています。
 以上、観察時の条件をご理解の上、参考にしていただければと思います。しばらくして、あのときの記録がさきがけだったのかと、なるかもしれないと思っての備忘録です。

2017年8月20日 (日)

カミナリにおどろくハシブトガラス-六義園

 昨日の夕方、東京都23区北部は雷雨に襲われました。あたりが真っ暗になり、たえず空対空のカミナリが「ゴロゴロ」と鳴り続け、ときどき空対地が「ドカーン」と鳴り響きました。
 ちょうど、六義園はハシブトガラスのねぐら入りの時間で、数100羽のハシブトガラスが集まっていました。どうも、カミナリのために落ち着かないようで、いつも以上ににぎやかに鳴き合っていました。
 そして、空対地のカミナリが落ちると、いちだんと鳴き声をあげて飛び交っていました。PCM-D100で録音。ボリュームを下げたです。



 大きなカミナリの音の後に、ハシブトガラスの鳴き合う声がいちだんと高くなっているのがわかります。考えてみれば、今ねぐらには今年生まれの幼鳥たちが集まっています。彼らのカミナリ体験は初めてか、2回目のはずです。それだけに、カミナリの音に敏感に反応していたのでしょう。
 面白いのは、セミたちの声はカミナリにはまったく動じることなく、同じ調子で鳴き続けていたことでした。

2017年8月16日 (水)

『朝の小鳥』スタジオ収録-9月はねぐらに集まる鳥

 今日は、文化放送にて『朝の小鳥』のスタジオ収録でした。
 9月のテーマは、ねぐらに集まる鳥たちです。
 今まで見たねぐら入りでいちばん凄かったのは、9月中旬に渡良瀬遊水地で見たツバメのねぐら入りです。ツバメの大群が、渦を巻くように空を舞い飛び交っていました。今まで長い間、鳥を見てきましたが私の網膜に写った最多数の鳥となりました。ただ、このときは高いところを飛んでいるので音らしい音は録れず、ただ見守るだけでした。その後、なんとかツバメのねぐらの声を録りたいと思って、訪れた多摩川のねぐらで構成しました。
 谷津干潟のチュウシャクシギは、苦労しました。ねぐらに集まる時間の夕方になって、風が強くなり最悪のコンディションとなってしまったからです。それでも、風の合間に鳴き合う声を拾って構成しました。
 ハクセキレイは、ねぐら入りの時にふだんの声とは違った鳴き声を出します。これに気が付いてから、ねぐら入りの声が気になり、ねぐらの録音を試みるようになったのです。そんなきっかけになった鳴き声です。
 スズメは、ねぐらにつくとき、あたかもハイになっているかのように鳴き合います。ケンカのとき声によく似ています。町中では、電柱のトランスの下に入ろうと鳴き合うところを何度か録音しました。しかし、街の騒音は町中の雰囲気にすることができず、少しでも静かなところ。葛西臨海公園のヨシ原に入るスズメたちの鳴き合う声で構成しました。
 鳥にとってのねぐらは、秋から冬の生活にかかせない行動です。そのとき、どんな声で鳴き合うのか、お聞きください。

2017年9月 放送予定
 9月 3日  ツバメ
   10日 チュウシャクシギ
   17日 ハクセキレイ
   24日 スズメ

2017年8月15日 (火)

マダニが増えた理由

 今日のNHKニュースで「マダニ媒介の感染症SFTS、ここ5年で最多に」がありました。今月6日で、統計があるここ5年間で最も多い発症例64人が報告されているとのことでした。
 私自身、何度もマダニに刺されているので人ごとではありません。フィールドでの作業、じっとしていなくてはならない野鳥録音では、マダニに刺される危険があります。一度は、私に向かってマダニが歩いて来るのが見えたことがあります。それでも、動けず刺されました。
 去年、日光の中禅寺湖のほとりでシカが2頭いました。見ると、2頭とも両耳に黒い小さな塊が10個ほど付いていました。おできか皮膚病かと思ったですが、よく見るとシカの血を吸って大きくなったマダニが付いていたのです。
 今思えば、なんで写真を撮らなかったのか、あまりの気持ち悪さに撮る気にならなかったというのが正直な気持ちです。これだけ、シカがマダニにたかられているのならば、以前に撮った写真の中にあるかもしれないと探してみました。
 シカの耳がわかるように近くで撮れた写真は多くはないのですが、ありました。2010年7月12日大笹牧場付近で撮ったものです。

Sika100712

 写真をクリックして、拡大して見ていただければと思います。耳の後ろに血を吸って大きくなったマダニが2匹が付いています。毛のない耳が吸血しやすいのか、それとも耳に付いているのが見えやすいのか、わかりません。そのため、身体の他の部分にも付いている可能性もあります。少なくとも多いときで片耳で10匹、1頭が20匹も付けていることがあるのですから、ちょっとした数になります。
 マダニは、吸血のために数日は付いているので、シカの広い活動範囲にマダニが拡散されていくことになります。日光でマダニが活動をするのは4月から10月の約7ヶ月間、何千頭というシカがマダニをばらまいているのですから増えるわけです。
 これが、全国のシカの生息地で行われていることになります。その結果、マダニが増え、SFTSも拡散していく可能性があるわけです。
注:マダニには何種類かあります。種の特定ができないため、マダニといたしました。

2017年8月13日 (日)

Audition CC 使用リポート-その6

 CCは、3.0に比べて全体の動きが早くなっています。詳しく述べませんでしたが、よく使う機能のミキシングも調整しやすくなって、ファイルの形成も早くなりました。。
 問題点をあげれば、3.0との兌換性が失われている機能があることでしょう。たとえば、ファイルを読み込むと同時に、3.0ではPK、CCではpkfという拡張子がついたファイルが形成されます。このファイルができることによって、ファイルを読み込む速度が格段とあがります。このところ、長時間録音による大きなファイルを扱うことが多く読み込みに時間がかかるため、とてもありがたいファイルです。しかし、3.0で一度読み込んでPKファイルができていてもCCでは反映されず、新たにpkfファイルが作られます。そのため、再度読み込みに時間がかかるのは、面倒です。
 また、野原からさんが見つけてくれたマーカー機能があります。これも、長時間の音源にマーカーを付けることで、一瞬にしてその場所に飛ぶことができる便利機能です。たとえば、ウグイスの鳴き始めたところにマークを付けておき、あとでその場所に行きたければマーカー・リストを呼び出しウグイスをクリックすれば、一瞬でカーソルが目的の場所に移動してくれます。この機能のおかげで、あの声どこにあったかなと後で探すことがなくなります。ただ、CCで付けたマーカーを3.0で読み込むと文字化してしまうことがわかりました。逆に3.0で付けたマーカーは、位置を示してくれるものの説明欄は空欄、または文字化けをおこしていました。ただし、unknownなどの半角英数字は生きていました。仲間同士のデータのやりとりでは、相手が違うバージョンを使っている場合は不便です。
 CCそのものの不具合もあります。スペースキーは、PlayとStopにショートカットが割り当てられています。これは、とても便利でよく使うショートカットです。ところが、たとえばマーカーリストを呼び出す、FFTフィルターを使う、ノイズリダクションをかけるなど何かコマンドと使うと、このショートカットが無効になってしまいます。CCを終了させ、再度起動すれば元通りになるのですが、これも不便です。
 CCを使用して、まだ3ヶ月間です。10年近く使い続けた3.0でさえ、私の知らない機能を録音仲間が見つけてくれ教えてもらうことがあります。Auditionそのものが奥の深い機能を持つソフトですから、使いこなすまでには至っていないところでのリポートあることをお許しください。
 また、あまり編集ソフトを使ったない方は、リポートからソフトでこんなことができるのだということをわかったいただければと思います。編集することで、より野鳥の鳴き声を楽しむことができると思います。そして、編集加工で何ができるかわかると野外での録音の仕方も変わってくるはず、一度はお試しいただければと思います。(終了)

2017年8月12日 (土)

Audition CC 使用リポート-その5

 全体にかぶったノイズや鳥の鳴き声の音域にかかってしまったノイズを軽減することができるのが、ノイズリダクションという機能です。Auditionでは、バージョンを重ねるごとにノイズリダクションの機能が向上していったと思います。3.0も、それまでのバージョンに比べれば効果はまずますでした。それでも、私はなっとくできずノイズ取り専用のソフトのiZotopeを使用していました。このソフトは、編集機能では3.0にかないませんが、De-noiseというコマンドは秀悦で、今まで捨てていたような音源を生き返られることができました。そのため、3.0で音源を下ごしらえして、iZotopeでノイズを取り、また3.0で仕上げるという作業をすることがよくあります。iZotopeは、初期バージョンは7万円を超え、現在使用しているRX-5が4万円台です。アップグレードを続けてきましたのでiZotopeには10万円以上つぎ込んで来たことになりますが、それだけの価値を生み出してくれるソフトだと思っています。
 ノイズリダクションの機能の善し悪しは、ノイズと残したい音、私の場合は鳥の声を区別して軽減してくれるかどうかにかかっています。以前もお話しましたように、鳥の鳴き声は響きがあります。いわば余韻があります。この余韻の音量は、低いのでバックのノイズに埋もれてしまっています。iZotopeではどういう仕組みかわかりませんが、この余韻とノイズを区別して残してくれるのです。
 さて、CCのノイズリダクションもかなり良いです。わかりやすい例を示します。カッコウの鳴き声です。まずは、元音源のカッコウのスペクトル表示です。モノラルに変換しFFTフィルターで300Hz以下のノイズを軽減、鳴き声の部分をクローズアップしています。

Auditionnoisere1

 この下ごしらえした音源を、エフェクト→ノイズリダクション/リストア→ヒスノズ除去をしてみました。設定は、ノイズフロアが12.7db、削減度17.7dbです。

Auditionnoisere2

 余韻がより明瞭になっているのがわかると思います。「カッコウ」の「カッ」の余韻は「コウ」が始まってもまだ響いていて、さらに「コウ」の後にはっきりと余韻があることがわかります。ちなみに、この「コウ」の余韻は、0.31秒もあります。バックのノイズが薄くなり余韻のコントラストがはっきり見え、残っています。ノイズがなくなって「カッコ」と余韻もなくなっていないことがわかると思います。
  元の音源を見てもらうと、余韻はバックのノイズの濃さと同じ、ということはノイズと判断して取られてしまう可能性のある音量なのです。プレビューを聞きながら、設定をいろいろ変えノイズが弱くなり鳥の声が立ち、さらに不自然にならないところを探します。また、Auditionのノイズリダクションには、このほかにもコマンドがあります。お好み、使いやすさでお試しいただければと思います。(つづく)

2017年8月10日 (木)

Audition CC 使用リポート-その4

 自然の中は、ノイズだらけです。野鳥録音をしていると、風はいつも吹いている、航空機がいつも飛んでいる、人はほんとおしゃべりだと実感します。
 そのため、いかにきれいに録音をするか工夫をして、きれいにノイズを取って編集するのかするか腐心します。しかし、ノイズを取り過ぎるとスタジオで録音をしたような不自然な音になってしまいます。空に向けてさえずっているオオルリの鳴き声が、森の中に広がっていく感じに聞こえてるような音にするのが理想的です。このひろがりを感じさせてくれるのはノイズなのです。ノイズは取るのではなく自然に聞こえるように残すというのが、正解だと思っています。
 ノイズを調整する機能は、かつてはイコライザー。編集ソフトでは、FFTフィルターとかグラフィックイコライザーというコマンドです。Audition CC(以下CC)では、エフェクトのなかにあります。私は、3.0ではFFTファイターを使用していました。CCでは、このFFTフィルターがとても使いやすくなっていました。
 CCのFFTフィルターです。オオルリのさえずりを加工しているところです。

Audicitonccfilter_2

 横が、Hz(音の高さ)で0~2KHzまで表示されています。縦が、db(音量)で上から3/1ほどのところが0です。これが、元の音の大きさとなります。図では、2kHzまでは元の音の大きさ、2kHz~100Hzまで段階的に軽減、100Hz以下をカットしています。ありがたいのは、図のしたのほうにギザギザに表示されている音の状態です。2,2kHzあたりから3,5kHzあたりにとがった山が見えますが、これがオオルリの鳴き声です。左下の▶をクリックするとリアルタイムで表示されます(図では、動いているので■と表示)。この動きを見て、オオルリの鳴き声がどの音域にあるのか確認することができます。オオルリの声は損なわれず、さらにオオルリの声より低い部分の音も残っていることがわかります。プレビューして聞きながらカーブをかえて音の感じを確認し、より自然に聞こえる部分を探します。
 このとき、録音したときを思い出しながら作業をすることになりますが、それが楽しいです。(つづく)

2017年8月 8日 (火)

Audition CC 使用リポート-その3

 それにしても野鳥録音に関連した編集ソフトの情報が少ないには困ります。試用でも使用でもリポートがあるとありがたいのですが、ほとんどありません。録音仲間のブログや仲間同士のメールのやりとりから、誰が何を使ってどう苦労しているか知ることができます。しかし、これから野鳥録音を初めて編集を手がけようとした方は、情報を得るのに苦労していることと思います。
 野鳥録音を初めて戸惑うのは、現場で聞いた音と録音された音の違いの差です。思ったより鳥の声が小さい、「ゴーッ」というノイズのなかにかすかに鳥の声が聞こえるというものでしょう。人は、耳で音を聞いているようで聞いていません。実は、聞きたい音を聞いたり、聞きたくない音は聞かないように、脳が増幅したり軽減して音を認知しているのです。しかし、録音機は正直にそのまま録音しているための戸惑いです。
 さらに、「ゴボゴボ」という風の音、「ガサガサ」という自分の立てる音、「プッチ」となんだかわからないけど気になる音などなど、自然の中にはノイズがいっぱいです。
 ですから、現場で聞いたような音にするため、また必要のないノイズを取るために、どうしても音を編集加工するソフトが必要になります。ということで、長々とまえがきじみたものが続きました。
 さて、AdobeのソフトはCDやDVDによる販売を止めて、すべてダウンロード販売です。メリットは、アップグレードが行われればすぐに反映され、たえず最新バージョンが消費者に届けられることにあります。デメリットは、価格。パッケージで売っていないですから価格コムで安いところを探して買うことができません。たとえばAudition CC(以下CC)単体の場合、月額3,180円(税別)ですから1年間で税込み41,208円となり、Audition 3.0(以下3.0)のアカディミック版より高くなります。ちなみに、年間一括払い26,160円(税別)、年間プランの月々払い2,180円×12ヶ月=26,160円(税別)のプランがあり、割引がされます。このほか、Photoshop CC、illustrator CCなどのセットもあり、割安になっていますが、すべてのセットを購入すると年間10万円前後となります。ということで、いずれも30 日以内は無料で体験が可能できますので、まずはお試しください。夏休みに集中して作業をするには良いかと思います。ちなみにAdobeでは、いろいろなキャンペーンをやっていて、Adobeに登録してあればダイレクトメールが来ます。キャンペーン価格では、月1,000円くらいは安くなると思います。
 CCは、インストールも簡単、認証もスムーズにできました。起動させると3.0に比べると、暗く文字が小さくなった感じです。使っていたコマンドが深いところにあったり、探すのに最初はとまどいました。しかし、慣れれば大きな違いはなく、3.0を使い慣れた方であれば小1時間もあれば修練できるでしょう。
 画面は、デフォルトではなく私が使いやすいようにテンプレートを左、左下にレベル、右下に選択/レビューを配置してみました。

Auditioncc1708081_2

 まず、CCはファイルの読み込みが早いです。3.0の場合、最初に波形表示されますが、それと同じくらいの時間で最初にスペクトル表示されます。2G、3時間のファイルはさすがに1分30秒ほどかかりますが、それでも早いです。一度、読み込めば補助するRKファイルができて、次からは1瞬で読み込まれます。また、スペクトル表示が早いです。3.0では10分ほどのファイルならばスムーズに表示されますが、20分を越えると時間がかかりました(グラボの性能による)。そのため、波形表示であらかじめ10分程度の範囲を表示させてから、スペクトル表示をさせるという作業をしていました。CCの場合、時間を気にしないで切り替えてもストレスがありません。
 また、当時に上のバーに波形が細く表示されますので、音の強さも把握することができます。また、長尺のファイルであればこの波形表示の部分で、時間の縮小拡大ができて、どの部分が拡大されているかよくわかります。それに連動してスペクトル表示も縮小拡大されていきます。全体を見回して必要な部分を探すためには、とても便利だと思いました。
 また、保存も早いです。コンピュータの能力にもよると思いますが、体感的にはサクサク感が3.0よりあるという印象です。
 ちなみに、3.0で障害であった音源ボードのドライバーも順調、問題なく作動しています。加えて、ハングしてしまった囲みやバンドエイド機能も大丈夫でした。
 まずは、これで3.0と同様に作業ができることがわかりました。(つづく)

2017年8月 7日 (月)

Audition CC 使用リポート-その2

 Cool EditからAuditionも引き継いだ機能に、波形とスペクトル表示が簡単に切り替えられることがあります。スペクトル表示させることで、バックのノイズと残したい鳥の声の音域の違いを見ることができて、ノイズの音域のボリュームを下げたり、フィルターをかけて、軽減することができます。
 かつては、ハードのイコライザーで段階的にそれぞれの音域のボリュームを調整していました。たとえば、蒲谷鶴彦先生のスタジオにはお亡くなりになった当時のまま機材が置かれています。そのため、先生のイコライザーの設定を今でも見ることができます。セッティングは、500Hz以下を段階的にさげています。『野鳥大鑑』などの先生の音源をスペクトルで見ると、このイコライザーの設定のとおりになっています。「ゴーッ」という環境音はだいたい500Hz以下なので、これでもかなり軽減することができます。
 しかし、録音をしていると環境ノイズは2,000Hzまで広がっていることが多いので、私は2,000Hzあたりから手を付けます。今考えると、いかに先生は静かなところで鳥に近づいて録音していたのか、ご苦労がこの設定からも推し量ることができます。
 たとえば、スペクトルをみるとノイズが2,000Hz以下にあって、500Hz以下が濃い色で表示されていることがわかります。そして、オオルリの鳴き声は、3,000Hz以上にあるとすると、2,000Hz以下のノイズを軽減し、500Hzをカットしてしまえば良いと判断することができます。あるいは、都会の公園で録音していると入りがちなのが救急車のサイレンです。だいたい1,000Hzあたりにありますから、スペクトルで表示してサイレンのパターンの部分を囲んで削除してしまえば、静かになります。また、その部分の音がなくなり不自然になったら、サイレンのないところの音をコピペして埋めます。これもスペクトルが見えることでできることです。このように音を目で見て加工できるのは、スペクトル表示のありがたさです。
 Audition3.0の機能の秀悦さに、ノイズリダクションがあります。ノイズリダクション機能の善し悪しで、音楽編集ソフトの価値が決まると言っても過言ではないでしょう。鳥の声のかからない低音ノイズは、ボリュームを下げたりカットすることができますが、全体にかかったノイズはこの方法では取ることができません。また、低音ノイズを軽減したことで高音ノイズが目立ってしまい全体に「シャーッ」という音がかぶってしまうこともあります。それを軽減してくれるのがノイズリダクションです。
 低音ノイズを軽減することで、目的の音がどれかソフトが理解するように下ごしらえしておくことがコツです。そして、ノイズリダクションでコントラストを付ける感じとなります。コーラス、あるいは波の音のようにノイズがいろいろあったり強弱があるものは、難しいのですが、全体にかかった音はきれいに取れます。問題なのは、取りすぎると堅い音になる、さらには「ボアボア」という不自然な音になってしまいます。また、たとえば「ホーホケキョ」とウグイスがさえずった場合、「ホケキョーーー」と響きがあるのですが、響きの部分をノイズと判断してカットされては困るのです。初期のノイズリダクションはこれが取れてしまいましたし、設定で強めにするとなくなります。このあたりは、波形表示をさせて目的の音の波形が損なわれず、目的の音のない部分の音量が下がっていることを確認しながら、少しずつ設定を変えて良いところを探すという作業になります。
 私は、Audition3.0では、ヒスノイズリダクションのコマンドで加工します。これ以外にリダクション機能がありますので、お好みでいろいろお試しいただければと思います。
 なかなかAudition CCの話にならなくてすみません。要するに、これらの機能が果たして受け継がれているか、チェックポイントとなるための前書きです。(つづく)

2017年8月 6日 (日)

Audition CC 使用リポート-その1

 野鳥録音の楽しみは自然のなかで野鳥たちと接し、その魅力を堪能できることあります。ただ、録りぱなし、あるいは録音したそのままの音を人に聞かせるには難があります。風の音が「ポコポコ」入っていたり、録音した人の衣擦れの音が「がさごそ」したり、「ゴーッ」というノイズのなかにかすかに鳥の声が聞こえる音を聞かされるのは困ります。人に聞いてもらえる音にするためには、編集加工を行うための編集ソフトが必要となります。
 このソフトが、なかなか難題です。今やIC録音機が1万円台で買える時代になったのですが、市場の狭さのせいか音楽関係の編集ソフトはとても高いのです。もちろん、無料のものもありますが、必要な機能がそろったものは有料となります。
 私は、ITと日光の自然の先生であるe村さんから、教えてもらったCool Editを長い間使っていました。今、調べたらWindows 95対応ですから、もう20年以上前になります。記憶ですが、シェアウエアで5,000円くらいだったと思います。このソフトの良いのは、波形とスペクトルの表示ができて、波形で音の強さを判断しスペクトルでノイズの様子を見て除去できることです。
 ところが、Cool EditがAdobeに買収され、Auditionと名前を変えて発売されました。値段も数万円となりましたが、3.0では日本語対応となり機能も充実してまずまずのソフトとなりました。私は、をちょうど立教大学で非常勤講師をしていましたので、Audition 3.0のアカデミック版を2008年に購入、2万円ほどした記憶があります。その後、10年近く使い続けてきたことになりますから、かなり安い買い物です。
 Adobeは、最近AdobeIDの所有者には、古いソフトを自由に使えるように解放しました。そのなかに、Audition 3.0も入っており録音仲間には紹介してきました。なにしろ、アカデミック版でも2万円したソフトが無料で使えるのですから、ありがたいものです。
 私は、Audition 3.0の対応が基本Window7なので、去年わざわざWindow7が入っているマシンを探して買ったほどです。ところが、今年になって、Auditionで編集していると、絆創膏など囲みツールを使うと、終了してしまう症状がでるようになりました。続いて、ハイレゾをやってみようとタスカムのHi-res Editorをインストールしてからおかしくなりました。「オーディオデバイスがみつかりません」と表示され、まったく起動しなくなってしまったのです。もとから、現在の音源ボードとの相性がイマイチだったのですが、まったく起動しなくなったのははじめです。
 そのため、アカデミック版を取り出し再インストールしてみると、認証ができません。いろいろ調べてみたら「無料開放しているので、そちらをダウンロードして添付のシリアルナンバーを使ってインストールしろ」ということになっていました。もちろん、サポートも終了していますから、問い合わせることもできません。この他、音源ボードのドライバーを入れ替えたり、最後は音源ボードをはずしたりしてみましたが、症状はかわりません。
 ということで、解放されているシステムをダウンロードしてインストールすると、1度は起動をするものの終了させてもう一度起動させようとすると、次には起動してくれません。そのため、使うときはインストールしなおして起動させるというなんともめんどくさいことになっていましました。
 ある意味、5年周期でハードもソフトも買い換えるコンピュータの世界ですから10年も使い続けることができたAudition 3.0はありがたい存在です。とはいえ、使うたびにインストールするのはたいへんなので、最新版のAuditionCCを導入しました。(つづく)

Koumori_2
 Audition 3.0のスペクトル表示の画面。40,000Hzの高音域にコウモリの鳴き声が入っているのが、わかります。

2017年8月 3日 (木)

トラツグミの一声鳴き

 1ヶ月前の日光、ニッコウキスゲが満開のキスゲ平を記事にしたことがあります。この時のことです。まだ、梅雨のさなかでしたのでキスゲ平は、空は厚い雲に覆われ、今にも霧がまいてきそうな天候でした。
 このとき、近くの木立の中からトラツグミのさえずりが聞こえて来ました。トラツグミは、夜に鳴く鳥のイメージがありますが、昼間も鳴くことがあります。霧や曇りのときには、ときどき鳴きます。一度だけですが、晴天のなかウグイスの声をバックに鳴いていたことがありました。
 少し距離はありますが、トラツグミのような音域の狭い鳥は加工しやすく、遠くても増幅することが可能です。これ幸いと録音機を取り出し、ポーズをはずし録音開始。しかし、もう鳴き声は聞こえませんでした。なんと、一声「ヒュー」と鳴いただけで終わり。しばらく、じっと待っていましたが、数分経っても鳴き声は聞こえず、この一声だけでした。普通、トラツグミは鳴き始めれば、鳴き続ける鳥です。長いと数10分間、鳴いてくれます。遠かったので私の動作によって警戒し鳴きやんだとは思えず、トラツグミが一声だけで鳴くことがあることがわかりました。
 というのは、過去のタイマー録音にはこのトラツグミらしい「ヒュー」が一声だけ入っているということがあるのです。とくに六義園の越冬期の録音で何度かあります。ただ、「ヒュー」と1音だけなので、ひょっとしたら人工音、あるは何かのノイズかもしれないと思って消してしまったり、あるいは膨大な音源の山のなかに埋もれてしまっています。
 かろうじて探し出しのが、これです。YAMAHA W24でタイマー録音、トラツグミの音域のボリュームを増幅、ノイズリダクションをかけています。



 少し遠くで鳴いているためボリュームをアップして加工していますので、多少音が替わって聞こえますが、トラツグミでよろしいでしょう。録音は2016年10月16日午前5時52分、ハシブトガラスのネグラ立ちが一段落して、ヒヨドリがにぎやかに鳴き始める頃です。当日の日の出時間は5時48分、ほぼ日の出の時刻に一声鳴いたことになります。
 さえずってみたものの何かのジャマが入って鳴きやんだものなのか、それとも地鳴きの1パターンなのでしょうか。トラツグミの地鳴きは、『鳴き声ガイド日本の野鳥』に収録したTさんの警戒の声がある程度です。警戒の声は、さえずりとはまったく異なる音域、鳴き方です。私自身、トラツグミの地鳴きは、この警戒の声も含めて聞いたことがありません。
 夜活動することが多いトラツグミだけに、まだまだわからないことが多いですね。

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