思うように録音ができない鳥のひとつが、イカルです。まず、あまり鳴かない鳥です。なわばり分散が顕著でないために、さえずりを頻繁にしないし短い、さえずりポイントが決まってないので待っての録音ができないこともあります。さらには、警戒心が比較的強いため、近くで録音できないということも加えて、難題の鳥の一つです。
とくに録音を始めた頃のDATのレコーダーでは、操作をしているうちに鳴きやんでしまうことが何度もありました。操作の早いメモリ録音機になって、イメージに近い録音が録れるようになりました。
また、録音していてイカルは秋にさかんにさえずることを知りました。これをさえずりと言っていいかは議論のあるところです。なにしろ、群れのなかで複数羽がさえずることがあるのですから、さえずりの意味のテリトリー宣言や求愛があるのか考えさせられてしまいます。また、春の鳴き方と違いがあるのかなど、課題も多い鳥です。
先日の日光は、ひさしぶりの晴れ。西の男体山から東の霧降高原まで、雲のかかっていない日光連山は、今シーズン初めてかもしれません。大谷川の河原で、イカルによく会いました。2羽や数羽の群れが、河畔林や河原を飛び交っています。日光では、どちらかというと別荘地からその周辺の森の鳥で、開けた河原で見るのはちょっと新鮮です。
聞こえて来たのは、イカルのさえずり。節は短く春に聞くものとは、かなり違います。
PCM-D100で録音、-2,500Hz以下のノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。
「GrosbeakS170910_003.mp3」をダウンロード
秋のさえずりと春の違いのサンプルが録れて、ネタができたと喜んでいました。しかし、帰り道、またイカルがさえずっていました。ところが、今度は春の鳴き方と同じです。
PCM-D100で録音、2,500Hz以下のノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。
「GrosbeakS170910_006.mp3」をダウンロード
音の高さや音質はよく似ています。だいたい2,000から3,800Hzの間に音があり、倍音がありません。節は、尻下がりで高い部分は3,800から3,000Hzに下がっています。
違いは、最初の鳴き声は3音、それも1音目はとても短いので2音に聞こえると思います。長さは0.87秒です。次のものは7音で、いずれも明瞭で抑揚を持って尻下がりになっています。1.56秒です。音の多さ、長さともほぼ倍となります。
短いさえずりのほうは姿は見えませんでしたが、長いほうは成鳥であることは確認できました。幼鳥、成鳥の違いなのか、それとも状況の違いなのでしょうか。いずれにしても、秋に春と同じように鳴くイカルがいるわけで、春と秋の違いがあるかどうかもわからなくなりました。
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