待望の『六義園の庭暮らし-柳沢信鴻「宴遊日記」の世界』
以前より楽しみにしていた『六義園の庭暮らし-柳沢信鴻「宴遊日記」の世界』をさっそく入手、読了しました。
わがフィールドの六義園については、資料や書籍があまりありません。おかげで、ちょっと調べたり確認しようと思うと苦労します。江戸時代に記録され1977年に活字本として発行されていた「宴遊日記」の存在自体を知ったのも、21世紀になってからのことです。
「宴遊日記」は、柳沢信鴻(のぶとき)の個人的な記録です。信鴻は、六義園を造園した柳沢吉保の孫、津山藩の大名でしたが、50才で隠居し六義園で暮らします。その間の1773年(安永2年)から1792年(寛政4年)まで、69才で亡くなるまでの記録の一部です。基本、個人の備忘録なので「誰から○○をもらった」「○○を上げた」という記述が目に付きます。それと、歌舞伎の好きな殿様なので、その日の演目から出演者、感想までを記録しています。そのため、三一書房の『日本庶民文化資料集成』の13巻「芸能記録(2)」に収録されていました。もし、自然系や『甲子夜話』のように日記という分野に入っていたらもっと早く見つけることができたと思うのですが、芸能資料までは手を伸ばしきれませんでした。
いずれにしても、江戸の20年間の天候から天変地異まで、記録されている膨大な資料となります。研究者のなかには、この日記の中から信鴻の女性関係だけを引き出して、一冊の本を書いているほどです。
著者の小野佐知子さんは、『江戸の花見』(1992年・築地書館)で初めて知りました。それまで江戸のことを調べたいと思っていたのですが、とっかかりが掴めないで困っていました。『江戸の花見』から『東都歳時記』や『江戸名所花暦』などの資料があることがわかりました。今思えばメジャーな資料なのですが、そんなことも最初はわからなかったのです。おかげで、霧に覆われていた資料探しが、いっきに晴れた感じがしたものです。
それだけに、出版情報を得てから手にするまで楽しみにしていました。
内容は、期待通り。江戸時代の六義園の風景から信鴻の生活のようすまで、よくわかります。本日、この本を読んでから初めて六義園を歩いてみました。ここで、信鴻がハツタケを採ったかも、このあたりのマツの手入れをしたはず、ここでトキが巣作りしていた、クリの実をたくさん採っていたからクリの木が多い武蔵野の雑木林のような風景だっただろうなあなどと思いを巡らすことができました。
この本を読んで六義園を歩けば、気分はお殿様です。
『六義園の庭暮らし-柳沢信鴻「宴遊日記」の世界』
小野佐和子・著
252ページ
平凡社
アマゾンのURL。
https://www.amazon.co.jp/%E5%85%AD%E7%BE%A9%E5%9C%92%E3%81%AE%E5%BA%AD%E6%9A%AE%E3%82%89%E3%81%97-%E6%9F%B3%E6%B2%A2%E4%BF%A1%E9%B4%BB-%E5%AE%B4%E9%81%8A%E6%97%A5%E8%A8%98-%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%95%8C-%E5%B0%8F%E9%87%8E-%E4%BD%90%E5%92%8C%E5%AD%90/dp/4582544592/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1504431513&sr=8-1&keywords=%E5%85%AD%E7%BE%A9%E5%9C%92
« 親離れしないハシブトガラス-六義園 | トップページ | 『朝の小鳥』スタジオ収録-2ヶ月分 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 奥入瀬のきのこ図鑑-紹介(2023.05.09)
- 鳴き声のモノサシ鳥-Birder誌(2023.04.15)
- 『朝の小鳥』スタジオ収録-5月は日光25年間の録音(2023.04.12)
- フォノシート『信州の野鳥』(2023.02.09)
- 『鳥屋の本読み』卒業(2023.01.24)
コメント