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2017年11月

2017年11月29日 (水)

無音と水音-日光キスゲ平

 暖かくなるという天気予報に誘われて日光に行って来ました。
 南斜面の霧降高原キスゲ平園地は、風もなくおだやか。標高1,600mの山地、11月最終週とは思えない暖かさです。みごとな青空が、季節感を狂わせます。

Kisuge170029

 足下を見るとクモが歩いているし、羽虫も飛んでいます。いつの間にか、身体にテントウムシがとまっていました。暖かさに誘われて、虫たちが活動しています。鳥は、ウソ、コガラ、ハシブトガラス、ジョウビタキ、カケスの姿や声が聞こえました。
 ただ、音的にはとても静でした。いつもは、車の音がうるさい霧降道路ですが、今日はたまにしか車がとおりません。キスゲ平の往復とも前後に車やバイクがおらず、ゆっくり風景を楽しみながらドライブができたほどです。ですから、無音体験ができました。PCM-D100で録音。そのまま、切り出しただけです。

「171129_001.mp3」をダウンロード

 以前、夜の無音体験を記事にしました。そのときの音と同じでした。ご興味のある方、下記のリンクでお聞きください。

http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2010/06/post-9e37.html

 実は、静けさというのは音があることによって、より感じます。順路に一ヶ所だけ、水が湧いているところがあります。雨の少ない季節になって、流れがかなり細くなっていました。それだけに、水音も小さく静けさを醸しだしていました。PCM-D100で録音。100Hz以下の低音を軽減しています。

「171129_002.mp3」をダウンロード

2017年11月28日 (火)

『フィールド図鑑 日本の野鳥』のご紹介

 著者の水谷さんから、さっそくいただきました。
 2007年、拙著の企画でイラストをお願いしたら「今、図鑑のイラストの仕事をしているから、忙しいので残念」と水谷さんから断られたことがあります。あれから11年、ずっとこの本に関わっていたことになります。その間、何度か電話やメールで、だんだんできあがっていく様子を伝えられましたが、ついに完成しました!

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 ざっと仕様を。日本の野鳥635種+外来種22種、合計657種が収録されています。サイズは縦21cm横12.8cm、432ページ、ペーパーバック、厚さは2.4cm、重さは680gです。中型の双眼鏡をもう1台持って行く感じになります。フィールドで名前がわからなくて家に帰って調べようと思っても結局、不明でそれまでのことがよくあります。図鑑の重さの分、名前がわかるのですからフィールドに持って行く価値のある図鑑だと思います。
 イラストは、とまっている横からの姿だけでなく、飛んでいるイラストが多数載っているのに気が付きました。鳥は飛ぶものなのですから、飛んでいる状態での出会いが多いのは当たり前、その当たり前のイラストが載っているのですから、一瞬で飛び去た鳥の名前がわかることになります。このほか、冬羽、幼鳥、亜成鳥といったバリエーションも載っているので、これからもわからなかった鳥がわかることになるでしょう。

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 また、識別の難しい猛禽類のイラストがこれでもかというくらい収録されています。バリエーションが多くて悩まされるハチクマでは、なんと見開き2ページに12パターンも描かれているのはおどろきました。

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 解説は、叶内さん。識別の鬼と言われる方ですから、識別のポイントがわかりやすく解説されています。私としては、世界分布の図が載っているのも好ポイントです。日本では珍鳥でも、世界的に見れば普通種ということがわかります。
 水谷さんとは、1980年代に一世を風靡したアウトドアブームのなか、雑誌『Outdoor』(山と溪谷社)のバードウォッチング特集が、最初の仕事でした。私は、手慣れたイラストを拝見して、すでに野鳥のイラストで仕事をされているだと思っていたのですが、本格的な企画はそのときが初めてだったそうです。たしか、バードウォッチングもそれを機会に始められ、野鳥を見続けること30年余り。その経験と知識が昇華したのが、この図鑑ということになります。
 水谷さんのバードウォッチング人生そのものと言っても良い図鑑を手にすることができる、この時代。バードウォッチャーにとっては、良い時代になったものです。

タイトル:フィールド図鑑 日本の野鳥
イラスト:水谷高英
解説:叶内拓哉
単行本: 432ページ
出版社: 文一総合出版
定価:3,800円+税

アマゾンのURL.
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E5%9B%B3%E9%91%91-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E9%87%8E%E9%B3%A5-%E5%8F%B6%E5%86%85-%E6%8B%93%E5%93%89/dp/482998810X/ref=sr_1_2?s=books&ie=UTF8&qid=1511050975&sr=1-2&keywords=%E9%87%8E%E9%B3%A5&dpID=51U0XbqQzLL&preST=_SY291_BO1,204,203,200_QL40_&dpSrc=srch

2017年11月23日 (木)

柳沼さんの『 野鳥カレンダー』のご紹介

 隣町の巣鴨在住の野鳥カメラマン柳沼俊之さんから来年の『野鳥カレンダー』をいただきました。柳沼さんは、カミさんが昔お世話になった動物カメラマンの内山晟さんの事務所に所属、巣鴨にあったジャックウルフスキンのバーゲンで会ったかと思うと北海道のサロベツでばったり会ったりもしました。このところ、病院で会うことがちょっという仲です。そんなご縁で、毎年きれいなカレンダーを送っていただいております。
 私も昔、カレンダーの制作に関わっていましたので、カレンダーの写真にはうるさいです。ただ鳥が大きく写っているだけでは、カレンダーの写真には使えないのです。月がかわったときに「今日から○月か」と思えるような季節感がなくてはなりません。また、1ヶ月毎日見ても飽きの来ない写真が良いです。自然のなかの写真ですから、どうしても植物の緑と空や水の青が多くなってしまいます。そのため、黄色や赤がところどころにないと・・・などといろいろあります。
 このあたりはすべてクリアしてます。それに加えて画面のなかでの鳥の大きさがほぼそろっていますので、安定感のある構図となっています。
 表紙です。

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 カレンダーの表紙は、これまた難しいですね。1月まで飾らないでしょうし、1月になれば見ることはありません。しかし、お店に並んだときはインパクトないと売れないのですから、もっとも良い写真を選ばなくてはなりません。
 中身の例です。スケジュールを書き込むのに使いやすいデザインです。

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 ということで、来年1年間。楽しませていただきます。

タイトル:2018野鳥カレンダー
監修:内山晟動物写真事務所
写真:柳沼俊之
装丁: 28ページ、34.5 x 26 x 0.6 cm
出版社: 労働教育センター
定価:1,200円+税

アマゾンのURLです。
https://www.amazon.co.jp/2018-%E9%87%8E%E9%B3%A5%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC-%E5%A3%81%E6%8E%9B%E3%81%91-%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC-%E5%86%85%E5%B1%B1%E6%99%9F%E5%8B%95%E7%89%A9%E5%86%99%E7%9C%9F%E4%BA%8B%E5%8B%99%E6%89%80/dp/4845007800/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1511404221&sr=1-1&keywords=%E9%87%8E%E9%B3%A5%E3%80%80%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC

2017年11月22日 (水)

『長岡野鳥の会50年誌』をいただきました

 まずは、50周年おめでとうございます。

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 前回40周年にお招きいただき、カラスの講演をしたのはついこの間のように思えます。あっと言う間の10年、その間にも充実した活動も積み重ねて来たことになります。ということで、長岡野鳥の会から『長岡野鳥の会50年誌』をいただきました。
 50年、半世紀も前に発足したことがまず凄いですね。私の関わっているグループは創立20年前後、20年前は日本野鳥の会の会員が5万人を突破した頃で、いわばバードウォッチングバブルの時代。それだけに、あちこちにバードウォッチングを楽しむグループができた頃です。
 しかし、50年前の1968年は日本野鳥の会の会員数すらわからない時代で、1,000~2,000人の間だと思います。当時は、事務局がないために正確な数字が残っていないのです。1970年に財団法人となり事務局を構えるのですが、それでも会員数は2,500人前後でした。ですから、日本野鳥の会の名前は知られていませんし、バードウォッチングという言葉もない時代です。そのなかで、鳥好きが集まってグループを作るというのは、今とはまったく違った苦労があったことでしょう。今なら「良いご趣味ですね」と理解してもらえますが、鳥は取るもの食べるものという感覚がまだ残る時代ですから、会の説明をするだけでもたいへんだったと思います。まして、地方ではなおさらだったのではないでしょうか。
 『長岡野鳥の会50年誌』には、そんな苦労話は載っていませんが、その分50年間楽しんできた会員の方々の文章が収録されています。また、長岡の良いところは、探鳥会だけでなく調査や研究もされていることです。私がカラスの話をいたしましたが、すでにカラスについての調査をされていて、私自身も勉強させていただきました。そのような、研究報告も収録されているのは、長岡野鳥の会ならではでしょう。また、これから先もさらなるご発展をお祈りいたします。
 残念ながら本誌は流通していませんので、目にとまる機会がありましたら、お手にとっていただきたいと思います。

2017年11月21日 (火)

『BINOS Vol.24』のご紹介

 日本野鳥の会神奈川支部から『BINOS Vol.24』が送られてきました。毎年のことながら、ありがとうございます。なかなか読みのである論文集なので、いただいてすぐに報告できませんでした。

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 巻頭を飾った畠山義彦さんの「ヤマガラの営巣時の行動について」は、巣箱内に赤外線カメラを設置して観察した結果です。繁殖のようすが、事細かに記録されています。
 こまたんの「喉周辺が赤くなっているアオバトの飛来について」は、喉の赤いアオバトがいるのによく気が付いたと思います。そして、その理由を調べたくなるのは当然のこと。理由は読んでのお楽しみです。
 私的には大坂英樹さんの「配偶様式の違いが現れたメジロとウグイスの夜明けの鳴き声頻度」がとても興味深かったです。神奈川県大磯町丘陵にて2014年07月から2016年03月まで間、メジロとウグイスの鳴き出し時間とそれに続く鳴き声の頻度を記録して、太陽の高さや天気から両種の繁殖期と非繁殖期の鳴き出す明るさを推定したのです。録音をすることで、野鳥たちの生態を解明することができる好例となるでしょう。
 このほか、多数の観察記録が収録されています。そのなかで、増えた増えたと言われながら記録をちゃんと録った報告が少ないオオバンの横浜市野島の記録がある意味、貴重な報告だと思いました。
 いずれにしても、これだけ中身の濃い論文集が1,200円(+送料300円)で入手できるのですから安いものです。詳しい内容とお申し込み方法は、下記の日本野鳥の会神奈川支部のURLで。
http://kanagawashibu002.blogspot.jp/2017/11/binos24-31051153-1201020161686101770.html

2017年11月20日 (月)

『鳥さんぽをはじめよう』のご紹介

 次いで、♪鳥くんからいただいた『鳥さんぽをはじめよう』です。
 ♪鳥くん流バードウォッチングの入門書です。

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 私が鳥を見始めた頃、バードウォッチングの入門書はありませんでした。あるのは、中西悟堂や内田清之助のエッセイ集ばかり。さすが大御所のエッセイですから、野鳥の魅力はとてもよくわかり伝わってきました。しかし、大きな双眼鏡を買ってしまったり、野田の鷺山に軽登山靴で行ってしまいました。それに、いつまでもツグミの名前がわからなかったし、オオルリとハクセキレイを間違えるという今では考えられないことをしていました。もし、入門書があったらもっと効率よく野鳥に親しみ学ぶことができたのではないかと思います。今では数年おきに入門書が出版され入門書も選べる時代になったのですから、初心者にとって良い時代になりました。
 この本の「散歩をしながら身近なところでバードウォッチングをしてみよう」というコンセプトは、バードウォッチングを始めてみようという方にとっては取り付きやすいですね。図鑑的な要素は、身近な鳥がたくさん収録されているので基本、身の回りの鳥たちの名前と習性はまずわかると思います。そのほか、双眼鏡も選び方から探鳥会の参加の仕方まで必要な項目は押さえられていると思います。初心者にとって戸惑う多くのことがわかりやすく解説されていることになります。
 入門書の評価って難しいですね。経験者は、ついあら探しをしてしまいます。初心者の方にとってわかりやすいか、バードウォッチングを楽しめるようになったか、それが入門書の価値になると思います。でも、初心者の方は意見をいう場もないし言う自信もないことでしょう。ただ、何年かたって「私がバードウォッチングを始めたのは、あの本のおかげです」と言ってくれることが著者の大きな喜びです。『鳥さんぽをはじめよう』もそんな1冊になると思います。

タイトル:鳥さんぽをはじめよう
著者:♪鳥くん(永井真人)
出版社: 主婦の友社
装丁:A5、128ページ
定価:1,400円+税

アマゾンのURL.
https://www.amazon.co.jp/%E9%B3%A5%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%BD%E3%82%92%E3%81%AF%E3%81%98%E3%82%81%E3%82%88%E3%81%86-%E2%99%AA%E9%B3%A5%E3%81%8F%E3%82%93%EF%BC%88%E6%B0%B8%E4%BA%95%E7%9C%9F%E4%BA%BA%EF%BC%89-ebook/dp/B076S4G74V/ref=sr_1_10?s=books&ie=UTF8&qid=1511067824&sr=1-10&keywords=%E9%87%8E%E9%B3%A5

2017年11月19日 (日)

『新・日本の探鳥地 首都圏編』のご紹介

 ブログの更新をさぼっているうちに、紹介しなくてはならない本が溜まってしまいました。
 まずは、蒲谷剛彦さんからいただきました『新・日本の探鳥地 首都圏編』です。

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 文一総合出版社から、2004年に『日本の探鳥地』シリーズとして地方ごとに6冊出版されています。このとき買いそろえましたが、あれから10数年たって「新」と銘打っての出版です。私自身、探鳥地ガイドの編集、執筆、監修で8冊に関わってきましたが、正直たいへんです。鳥は変わらなくても、電車がなくなったり施設が変わったりで、あっと言う間に情報が古くなってしまうからです。この手のガイドは情報が命ですから、新しい本が出れば入手しておくことになります。
 本書は、関東地方の東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県の探鳥地91カ所が取り上げられています。執筆は地元の方たちですから、コースや鳥の情報は最新です。また、皆さんばりばりのバードウォッチャーですから、バードウォッチャーにとって必要な情報がていねいに書かれています。ちなみに蒲谷さんは、御岳、氷川、雲取山を担当しています。
 この本を見て、私自身「ずいぶんあちこちに行っているなあ」という思いと「こんなところがあるんだ。行って見たい」という気持ちになれました。よりご自身のバードウォッチングを深めるために手元に置いておいて欲しい本です。

タイトル:新・日本の探鳥 首都圏編
装丁:A5判、192ページ
出版社: 文一総合出版 (2017/10/5)
探鳥地収録数:東京都(20カ所)、千葉県(15カ所)、埼玉県(13カ所)、神奈川県(15カ所)、群馬県(8カ所)、栃木県(12カ所)、茨城県(8カ所)
定価:1,900円+税

アマゾンのURL.
https://www.amazon.co.jp/%E6%96%B0%E3%83%BB%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%8E%A2%E9%B3%A5%E5%9C%B0-%E9%A6%96%E9%83%BD%E5%9C%8F%E7%B7%A8-%E2%80%94%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E3%80%81%E7%A5%9E%E5%A5%88%E5%B7%9D%E7%9C%8C%E3%80%81%E5%9F%BC%E7%8E%89%E7%9C%8C%E3%80%81%E5%8D%83%E8%91%89%E7%9C%8C%E3%80%81%E8%8C%A8%E5%9F%8E%E7%9C%8C%E3%80%81%E6%A0%83%E6%9C%A8%E7%9C%8C%E3%80%81%E7%BE%A4%E9%A6%AC%E7%9C%8C-BIRDER%E7%B7%A8%E9%9B%86%E9%83%A8/dp/4829975067/ref=sr_1_17?s=books&ie=UTF8&qid=1511064966&sr=1-17&keywords=%E9%87%8E%E9%B3%A5

2017年11月15日 (水)

『朝の小鳥』スタジオ収録-12月はコマドリの仲間

 今日は、2ヶ月ぶりの『朝の小鳥』のスタジオ収録でした。それだけに、スタジオに大きな変化がありました。音源メディアが、文化放送が浜松町に移って以来12年間使用されていたMOから、USBなどのメモリ対応になりました。前回の収録時に渡しておいた音源は、文化放送のサーバーに入っていてスタジオではサーバーにアクセスして取り出し使用するという感じです。もちろん、収録され編集された放送される音源もサーバーに保存されていくことになります。
 また、スタッフも若返り、オペレーターは20代のN場さんが担当。初めての番組で、まだ使い慣れていない機材であるのに関わらず、しっかりと番組ができて行き、いつもと変わらぬ時間で収まりました。
 12月は日曜日が5回あるので5本録り。冬は、さえずりが寂しいのでテーマをコマドリの仲間として、歌声の美しい鳥たちを紹介いたしました。放送内容は、下記のとおりです。
2017年12月の放送予定
3日 コマドリ
10日 シマゴマ
17日 タネコマドリ
24日 アカヒゲ
31日 コルリ

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