『フィールド図鑑 日本の野鳥』のご紹介
著者の水谷さんから、さっそくいただきました。
2007年、拙著の企画でイラストをお願いしたら「今、図鑑のイラストの仕事をしているから、忙しいので残念」と水谷さんから断られたことがあります。あれから11年、ずっとこの本に関わっていたことになります。その間、何度か電話やメールで、だんだんできあがっていく様子を伝えられましたが、ついに完成しました!
ざっと仕様を。日本の野鳥635種+外来種22種、合計657種が収録されています。サイズは縦21cm横12.8cm、432ページ、ペーパーバック、厚さは2.4cm、重さは680gです。中型の双眼鏡をもう1台持って行く感じになります。フィールドで名前がわからなくて家に帰って調べようと思っても結局、不明でそれまでのことがよくあります。図鑑の重さの分、名前がわかるのですからフィールドに持って行く価値のある図鑑だと思います。
イラストは、とまっている横からの姿だけでなく、飛んでいるイラストが多数載っているのに気が付きました。鳥は飛ぶものなのですから、飛んでいる状態での出会いが多いのは当たり前、その当たり前のイラストが載っているのですから、一瞬で飛び去た鳥の名前がわかることになります。このほか、冬羽、幼鳥、亜成鳥といったバリエーションも載っているので、これからもわからなかった鳥がわかることになるでしょう。
また、識別の難しい猛禽類のイラストがこれでもかというくらい収録されています。バリエーションが多くて悩まされるハチクマでは、なんと見開き2ページに12パターンも描かれているのはおどろきました。
解説は、叶内さん。識別の鬼と言われる方ですから、識別のポイントがわかりやすく解説されています。私としては、世界分布の図が載っているのも好ポイントです。日本では珍鳥でも、世界的に見れば普通種ということがわかります。
水谷さんとは、1980年代に一世を風靡したアウトドアブームのなか、雑誌『Outdoor』(山と溪谷社)のバードウォッチング特集が、最初の仕事でした。私は、手慣れたイラストを拝見して、すでに野鳥のイラストで仕事をされているだと思っていたのですが、本格的な企画はそのときが初めてだったそうです。たしか、バードウォッチングもそれを機会に始められ、野鳥を見続けること30年余り。その経験と知識が昇華したのが、この図鑑ということになります。
水谷さんのバードウォッチング人生そのものと言っても良い図鑑を手にすることができる、この時代。バードウォッチャーにとっては、良い時代になったものです。
タイトル:フィールド図鑑 日本の野鳥
イラスト:水谷高英
解説:叶内拓哉
単行本: 432ページ
出版社: 文一総合出版
定価:3,800円+税
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