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2018年5月 8日 (火)

エナガのさえずりって?-その1

 エナガのさえずりが課題です。このシーズンになると、なんとか解明しようとするのですが、なかなか思うようにサンプルの収集ができないでいます。
 まず、エナガは群れで生活し、繁殖期も仲間同士が近くで巣作りをするので、いわゆる縄張りを構えず、そのための縄張り宣言となるさえずりがないか、頻度が少ないということになると思っていました。
 たとえば、ネットで「エナガ さえずり」のキーワードで検索して調べてみると「地鳴きは『ジュリリ』『チュリリ』と濁った声を出します。さえずりは高い声で『チー』と鳴きます」や「『ジュリ、ジュリ、ツリリ、チーチー』と繁殖期に関係なく1年中さえずっている。」から「さえずりはない」まであって、あてになりません。また、音声をアップしているバードリサーチの「鳴き声図鑑」にはエナガの項目にさえずりはありません。また、海外のXeno-contoでは、ほとんどがcallとなっていて数少ないsongを聞いてもよく聞くことのある「ジュリリ」という声でした。
 ざっと文献を調べてみると、鳴き声研究の創始者・川村多実二さんは「(さえずりは)地鳴きに紛らわしい高音のほうは『チー チー、ジー ジー』、または『ヂュルリ、ヂュルリ』という声」(1947)。清棲図鑑には「チリチリチリ」と可憐な声でさえずり「ジュリ、ジュリ、ジュリ、ジュリ」と地鳴きする(清棲幸保・1965)と書かれています。
 また、エナガと言えば中村登流さん。著書の『森のひびき』(1972)には、「エナガはサブソングを持ちながらソングのない鳥です」と書かれています。しかし、サブソングで鳴いていたという表現があるものの、どのような声なのか記述を見つけることができませんでした。
 さらに、野鳥誌への投稿された『エナガの言語的発音表現について』(1959)には「さえずりに相当するものはないようだ」とし「小囀りとしてぐぜりのように聞こえ、シジュウカラの小囀りに似たもので、頻繁に『チルルルルル』のような顫音が入り長々と歌うものだ」という。ちなみに、本種の声を5系統に分け「あまり意味のない単音の『チッ』『ツッ』『ツュッ』。今までの行動をやめる警戒の意味もある『ツリュリュ』、これは『ジュルリ』とも聞こえ警戒の意味も持つ。移動を主張する『ピーピピ』。結集を要求する『チルルルル』。争いを含めた自己主張の意味の『ツピッ』である」としています。
 『森のひびき』の”サブソング”と『エナガの言語的発音表現について』の”小囀り”は同じことを言っているようです。年代は児童書のほうが新しいので、当時使われ始めた言葉を使ったのでしょう。そのため、サブソングは「頻繁に『チルルルルル』のような顫音が入り長々と歌うもの」で、基本さえずりはないというスタンスです。
 つづく。

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