BINOS Vol.25-日本野鳥の会支部の論文集
日本野鳥の会神奈川支部の研究年報『BINOS Vol.25』をいただきました。
毎度のことながら、ありがとうございます。
今号の巻頭を飾るのは、こまたんの「大磯町高麗山におけるタイマー録音によるアオバトの鳴き声調査」です。
アオバトが海水を飲みに来るのは有名ですが、海岸に行くまでに立ち寄る場所があります。そこに、録音機を仕掛けて鳴き声を録音したら、いろいろなことがわかったという論文です。なんと、199日間タイマー録音をして、悪天等で録音ができなかった分を除いて164日分のデータを得ることができたとのこと。録音機は、OLYMPUSのLS-7を2台使用。日の出前30分から毎日5時間録音。5日周期で録音機を交代させて、録音したそうです。
この間アオバトが鳴いたのは、合計15,209。タイマー録音を使って、ここまで詳細な調査ができるとはびっくりです。
この鳴き声を分析すると、季節による鳴き出し時間や回数の変化、天候による影響などなどがわかったというのです。また、アオバトのさえずりはワンパターンだと思っていたのですが、4タイプあるそうです。幼鳥の鳴き声や「ポポポ」という鳴き方もあって、多様なこともわかりました。ただ、標準的な鳴き方が99%だそうですから、バリエーションはあるもののあまり他の声は鳴かないようです。などなど、このようなことがわかるとやめられませんね。
それにしても、膨大はデータの解析には、時間がかかったと思いますが、そこはこまたんのチームワークのなせるわざなのでしょう。いずれにしても、読み応えのある論文です。
この論文の影響を受けて、他の小鳥でやってみたら、さえずりが発達した野鳥たちの生態がわかるのではないかと思います。いずれにしても、録音から野鳥たちの素顔を知ることができる良い見本の調査だと思いました。
今号には、今井智康さんの「仏果山におけるアオバトの鳴き声観察記録」など、合計10編が収録されています。いずれも、一読の価値のある論文だと思いました。
詳しい内容、お申し込みは下記のサイトでご確認いただければと思います。
https://kanagawashibu002.blogspot.com/2018/11/binos25-2km-60m2017-4301120199ic3055302.html
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