« 2018年12月 | トップページ | 2019年2月 »

2019年1月

2019年1月30日 (水)

アライグマか?-六義園

 現在、六義園では中之島のまわりの杭を打ち直しています。そのため、池の水位が下げています。裏の山陰橋付近は、浅いために水がなくなり干潟状になっていました。本日、気が付いてよく見ると、いろいろな足跡が付いてました。いちばん目立つのは、アオサギの大きな足跡で干上がったところで、魚を効率よく捕らえることができたのでしょう。
 そして、この足跡。

Track190130

 泥深くてわかりにくいのですが、左下のほうのはっきりした足跡には、指があるのがわかります。大きさは、モミジの葉よりやや大きいくらいです。
 六義園には、ネコ、タヌキ、ハクビシンがいますが、このような細い指の持ち主はいません。可能性としては、アライグマです。Facebookに上げたところ、アライグマだというコメントいただきました。
 都心でもアライグマの記録が多くなっているという話は聞いていましたが、まさか六義園にいるとは思いませんででした。タヌキとハクビシンがいるのですから、アライグマも生きていけるのは不思議ではありませんね。

2019年1月27日 (日)

三味線をはじめて手にする-日光で新年会

 週末は、日光野鳥研究会の新年会でした。大雪の予報でしたが、さほど降らず。地元の人の話では、こんなに雪の少ない日光は珍しいとのことでした。
 別荘地を歩くと、アトリとマヒワといった冬の日光ならではの小鳥たちの群れが飛び交っていましたが、雪がないとは言え、さすがに日光の寒さはきついです。
 新年会は、もちろん室内なので楽ちんです。
 ペンション・トロールの森さんのお世話になり、おもいきり食べて飲んで、おしゃべりする会です。
 今年は、例年にない趣向として、会員のK井さんと月之座さんの三味線講座が開かれました。K井さんはお師匠さんです。昔ならば、横町の稽古場に町の若い衆が列をなして通ったことでしょう。月之座さんは、30年ぶりにバチを持ったとか。三味線の基礎の基礎を教わりました。私も三味線を手にしましたが、考えてみたら生まれて初めてことでした。
 師匠連の奏でる古今亭志ん生の出ばやしの「一丁入り」です。太鼓のかわりに壁を叩いて音を出しているのは私です。

「ittyouagari190126.mp3」をダウンロード

 トロールの森のフィンチホールは、20人程度入れる小さなホールです。ここでは、ピアノなど音楽系の合宿に利用されるだけあって、音響効果が良いですね。三味線の音が良い感じに響きました。
 PCM-D100をどこに置こうか、かなり悩みました。近くに置くとお二方のどちらかの音が大きくなっていますし、後ろに置くと観客の息遣いや衣擦れに入りますし、右にはストーブ、左にはエアコンがあるということで困りました。いずれにしても、全体の雰囲気を録ろうということで後ろに置いて、ボリュームを絞り気味にして録ってみました。まずまずの音になったと思います。
 昔、十条に下宿していたとき大家さんのお婆さんが、ときどき三味線を練習していました。つま弾く三味線の音が、下町の風情にぴったりと合う音であったことを思い出しました。
 いずれにしても、粋な音です。

2019年1月23日 (水)

ジョウビタキの日向と日陰-六義園

 六義園では、野鳥の姿が多く見られるようになりました。山に雪が降ると里に鳥たちが下りてくるのでしょう。
 常連のメジロやシジュウカラの群れも大きくなりました。六義園では、下草を刈って里山のような環境が増えたために、ジョウビタキやルリビタキがよく見られるようになりました。以前は、この2種は梅林の周辺から吹上茶屋にかけてしか生息環境がなくて、ジョウビタキかルリビタキ、どちらか1羽しか生息できませんでした。ジョウビタキとルリビタキが追い掛け合い、翌日にはどちらか1羽が残っているというのが25年前の状況でした。今シーズンは、少なくともジョウビタキ1羽とルリビタキ4羽、合計5羽がいる可能性があります。
 ジョウビタキは、雌のほうが多いのですが、今年は雄が滞在しています。
 観察していると面白いことに気が付きました。
 以前、同じアカハラを日陰と日向で撮影したら、色がまったく違って見えたことを記事にしたことがあります。
  http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2011/01/post-ce61.html
 とくに、頭の黒さが違って見えました。頭の黒は、構造色のために光の加減によってこうも違って見えるのでしょう。もし同じ時に見なければ、これで個体識別できると思ってしまったかもしれません。
 今年、よく見られるジョウビタキの雄を日向と日陰で撮ってみました。どちらも正面顔での比較です。
 日向のジョウビタキです。

Daurian_redstart1901202

 日陰のジョウビタキです。

Daurian_redstart1901201

 顔の黒は同じように黒いのですが、頭の色がこんなにも違って見えるとは、気が付きませんでした。露出やISOの設定は自動ですので、その影響もあるとは思いますが、別の個体だと思ってしまうほどの違いです。
 まさに、日向は尉鶲の尉の語源となった翁の白髪に見えます。日陰は、ごま塩ですね。

2019年1月15日 (火)

クマタカを探す-日光

 クマタカの鳴き声のパターンがひとつわかりましたので、日光での録音のなかにないか探してみました。
 とにかく、あちこちでタイマー録音を仕掛けていますので、とりあえずは見たことのある場所、あるいは仲間が見つけた場所での音源を探してみました。
 なんとありました。
 ここでは、一度クマタカを見ています。飛んでいるクマタカを見ていたら鳴きましたので、さっそく録音。鳴き声は、ノスリにそっくり。クマタカの声はノスリ似かと思ったら、飛んでいた猛禽がいつの間にかノスリになっていました。木々の間を飛び交う鳥を見ていたため、いつの間にか入れ替わってしまったようです。おかげでノスリの警戒する声が録れた思い出があります。
 環境は、別荘地のはずれで、ここから日光連山に広がる森が始まるところです。標高は、700mほど。ここでヤマドリを見ましたので、母衣打ちが録音をしようと録音機を仕掛けたなかに入っていました。
 録音は、2014年5月4日午前3時に仕掛けたタイマー録音です。実際に鳴き声が入っていたのは、5時27分頃。かなり明るくなった時刻です。
 YAMAHA W24で録音。ボリュームのアップ、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

「mountain_hawkeagle140504.mp3」をダウンロード

 まわりでは、渡って来たばかりのキビタキやセンダイムシクイが鳴いています。水がしみ出ているところですので、タゴガエルも鳴いていました。
 いかかでしょうか。先日、アップした鳴き声とよく似ていますので、クマタカで間違いないと思います。この調子ですと、まだ他にもあるかもしれません。また、シーズンが始まったらここに録音機を仕掛けてみたいと思います。

2019年1月13日 (日)

北海道の謎の鳥はクマタカだった

 タイマー録音でなくても、謎の鳥の声を録音することがあります。
 8年前に北海道東部にシマフクロウの鳴き声を取材いったおりです。
 早朝に森の中を探索すると、ハシブトガラやヤマゲラ、オオアカゲラのドラミングなど、次から次に録音してくれとばかりにいろいろな鳥が鳴いてくれました。このとき、遠くから大きな声が聞こえてきました。甲高い声で短い声を繰り返しています。
  PCM-D1で録音。ボリュームの増幅、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

「Hawk-Eagle10032602e.mp3」をダウンロード

 最初は、カモメの仲間を思い浮かべましたが、場所は海から離れた山の中、大きな川も湖もないところです。その場で録音した音源を聞いて、猛禽ではないかと思いました。北海道ですから、オオワシとオジロワシがいます。山のなかですから、オジロワシの可能性のほうが高いかなと思い、メモには「オジロワシ?」としておきました。家に帰ってから、オジロワシの鳴き声をいろいろ聞きましたが、どれとも一致しません。そのため、ファイル名は「不明」と書き直して保存しました。
 そして、ときどき思い出しては聞いていますが、どうしてもわかりませんでした。「朝の小鳥」で今年3月、北海道の早春の鳥たちをやろうと音源を探すと、この「不明」が気になりました。そのため、片っ端からいろいろ音源を聞いて当たりをつけて、たどりついたのは、クマタカでした。現在、クマタカの音源は、『野鳥大鑑』と『鳴き声ガイド日本の野鳥』に収録されているほか、バードリサーチのサイト『鳴き声図鑑』でA部さんが録音した音源を聞くことができます。しかし、どれとも完全に一致しませんでした。
 かろうじて、近いと思ったのは 、Xeno-contoのクマタカの4番目、ロシアで録音された声に雰囲気は似ていました。
 https://www.xeno-canto.org/384144
 今年になってS木♂さんのブログ「野原から」に謎の声がアップされました。
 http://blog.livedoor.jp/gnohara/archives/9249988.html
 これにも似ていたのでさっそくS木♂さんにメール。ところがS木♂さんは「この謎の声はこの謎の声を聞いたとき、姿は確認できなかったのですが、藪を移動しながら鳴いていて、私のイメージではクロツグミサイズの鳥」ということで、カケスの物真似ではないかということになりました。
 同時にS木♂さんから、動物園で記録されたYoutubeの動画を教えてもらいました。
 https://www.youtube.com/watch?v=WE7SgfJDo14
 これは、文句なくそっくりです。動画を見ると、2羽並んで大きな方が鳴いていますから、雌の声かもしれません。
 また、S木♂さんのお仲間で、クマタカを調べているY口さんにもお聞きいただき、クマタカで間違いないとのご連絡もいただきました。
 なんと、8年越しで謎の鳥がわかったことになります。
 それにしても、大きくて勇ましい感じのクマタカですが、姿に似合わない可愛い声をだすのですね。A部さんのは、さえずっているように聞こえるので雄かもしれません。そして、これが雌。この他、警戒の声や幼鳥の声など、他の鳴き方もあると思います。クマタカは、森のなかの鳥ですから当然、音によるコミュニケーションをとっているはず。それだけに、鳴き声による発見もあると思います。
 この鳴き声の雰囲気をおぼえておくと、クマタカとの遭遇があるかもしれません。
 S木♂さん、Y口さん、お世話になりました。おかげさまで、長年の喉のつかえが取れた感じです。ありがとうございました。
 

2019年1月11日 (金)

ソニーPCM-D10に触ってきました

 今日は暖かくなる天気予報だったので、どこかに行こうかと思っていたら、けっこうな強風。この強さだと録音は無理と、ソニーの新製品の録音機PCM-D10を見に行ってきました。

Pcmd10190111

 現在、ソニービルが無くなったので銀座4丁目交差点の日産の上がソニープラザになっています。情報の確認もせずに行ったのですが、なんと今日からPCM-D10が展示開始ということでした。
 第一印象は「でかい!」です。かつての名機PCM-D1より大きく厚さがあります。ただ単4電池込みで、PCM-D1が525g、PCM-D10が395gですから、100gは軽いことになります。それだけに手に取ると、思ったより軽く感じます。デザインがPCM-Aシリーズを踏襲しているので、てっきり小型ICレコーダーを想像していたため、びっくりな大きさでした。写真の横にあるのが、AシリーズのPCM-A10です。その大きさの違いがわかると思います。軽いのは、筐体がプラスチック製のためです。プラスチックとはいえ、かなりしっかりした感じですのでチープ感はありません。
 大きくなったのは、本格的な外付けマイクが付けられるように端子(XLR/TRSコンボジャック)が底についていることと、多くの設定がフロントやサイドにあるスライドスイッチによって操作することができるためにスペースがとられているためだと思います。私はマイク端子は使いませんが、いちいちメニューをおこさないでもちょっとしたことが、スイッチで設定を変えられるのはうれしい設計です。
 いちばんかんじんのマイクは、PCM-D100に匹敵する大きさで、指向性があり角度を変えられます。また、金色の縁取りが高級感を醸し出していました。高品位録音は、192kHz/24bitまで。PCM-D100が、98kHz/24bitなのですから、もう1段上を行く高性能です。ただ、PCM-D100でできるDSD録音ができません。他の機材が追いついてこないなかでカットされたようです。
 今までない機能として、高S/Nモードというのがあってノイズを軽減できること。また、内蔵メモリーがいっぱいになったら自動的にSDカードに録音先が変わるクロスメモリー機能がうれしいです。
 リモートは、Bluetoothでスマホから操作します。距離は、10mていどとのこと。野外で10mは、ちょっとたりない感じですが、無いよりましかなという距離となります。
 あと野鳥録音に必要なタイマー録音機能は、ありませんでした。タイマー機能を補う長時間録音はカタログ値では、たとえば48kHz/24bit(STEREO)で約44時間(録音モニターなし)となっていますから、十分一晩放置は可能です。
 発売は、1月26日より。販売価格はオープンですが、ソニープラザでは49,880円+税、アマゾンも同じ価格で予約受付中でした。5万円といえば10年前のPCM-D50の価格帯です。当時に比べれば性能が格段に向上した機種が同じ金額で買えるのは感慨深いものがあります。
 まずは、手に触っての個人の感想です。実際に野外で録音してのインプレッションではありませんので、ご承知おきいただければと思います。
 メーカーのPCM-D10のURLです。

 https://www.sony.jp/ic-recorder/products/PCM-D10/?fbclid=IwAR3l-twZcWIvXkEfdFFOCoYOB-cgc1UwXrpVWBvpOjBEA8ZXbJNUTFjtZBA

 まずは、参考まで・・・
  

2019年1月 9日 (水)

『朝の小鳥』スタジオ収録-2月は葛西の鳥・追記あり

 今日は、文化放送にて『朝の小鳥』のスタジオ収録、実質的な仕事始めです。
 2月に放送される分を収録しました。テーマは、去年の秋にラムサール条約の登録湿地になった葛西です。実際は、沖にある東なぎさと西なぎさが含まれる葛西海浜公園が登録されたことになりますが、手前の葛西臨海公園の鳥を含んでの番組内容です。
  葛西は思い出多い場所です。私は、葛西で鳥を見たり数えたりした初期の1人だと思います。最初に注目したのは、蓮尾純子さん(当時は古川姓)です。江戸川本流を挟んだ千葉県側の新浜が埋め立ててダメになっていくのを見て、葛西に鳥が移動しているのではないかということで、カウントを依頼されました。また、ちょうど東西線が開通して葛西に行きやすくなったこともあります。それでも、東西線葛西駅を午前9時に出発して鳥を数えながら歩いて行くと、現在のなぎさの前にたどり着くのは昼頃。堤防の上でおにぎりをほおばるというスケジュールでした。
 下掲は、昔のフィールドノートのコピーです。

Kasai700823

 1970年8月23日の記録です。当時としては、珍しいミヤコドリがすぐ近くにいて感動したのをおぼえています。また、幼鳥がいたことでオオバンの繁殖が確認され、当時繁殖の南限だった新浜より、数100m南下したと仲間内で話題になりました。
 地図の堤防が尖ったように見える部分の先が、現在の東なぎさと西なぎさの間くらいになります。
 これ以前にも葛西には行っているはずです。春の干潟にツルシギが100羽単位いたのを数えていますから、この年の初め頃から葛西通いが始まったことになります。
 思えば50年近く葛西の鳥たちを楽しんできました。そのほんの一部ですが、音として楽しんでいただければ幸いです。

2019年2月 放送予定
3日  ダイゼン
10日  クイナ
17日  オオジュリン
24日  ハジロカイツブリ

追記:M柳さんから、葛西の現在との位置関係についてご指摘がありました。「地図の堤防が尖ったように見える部分」は、現在の湾岸道路の内側になります。ですから、葛西臨海公園自体、すべて埋め立てられたことになります。記憶で書いてしまいたましたが、埋め立て工事中をしっかりと見ていることを思い出しました。訂正いたします。M柳さん、ありがとうございます。

2019年1月 5日 (土)

こいつは春から縁起が良いや

 今日の六義園は、暖かい上に人も少なく落ち着いた正月の日本庭園の風情です。
 一回りすると、キクイタダキに会えたもののいつもより鳥は少なめという印象です。ルリビタキとジョウビタキが出てくるというポイントで待っていると、ガイドボランティアの方がハシブトガラスに追われるタカを見つけてくれました。カラスとの大きさの対比からハイタカ♀のサイズの鳥です。六義園ではハイタカのウワサはあったものの、私は見たことがありません。過去のセンサスでも記録のない鳥です。
 木々の枝越しの観察なので特徴は見えず、写真を撮ることができませんでした。
 しばらくして、場所を移動すると頭の上を先ほどのタカが飛んでいきました。ゆっくりと旋回をしてしますが、意外と早いスピードでなかなかピントが合いません。身体を丸めて、急降下をしかたと思うと森のなかに飛び込んでいきました。

Sparrowhawk190104

 やっと撮れた一枚です。カメラ目線でした。
 胸の鷹斑の細かさ、尾羽の模様のパターン、大きさからハイタカ♀でよろしいかと思います。
 今日の小鳥の少なさなさは、ハイタカのせいだったのでしょう。
 今まで六義園では、ツミとオオタカによる鳥の反応の経験があります。今日のハイタカで、また違う反応をしているので面白かったです。
 以下、猛禽類の出現による鳥の反応の傾向です。

            ハシブトガラス         カモ類        小鳥
ツミ            無反応              無反応      姿を潜める
ハイタカ      単独                 無反応      姿を潜める
オオタカ      総動員         警戒態勢       無反応

 あくまでも個人の感想ですが、鳥たちはちゃんと猛禽類を識別しているのですね。   

2019年1月 3日 (木)

六義園のお正月

 明けましておめとうございます。

 関東地方は、元旦から良い天気でおだやかな三が日となりました。
 六義園は、昨日から開園でした。さっそく訪れ、常連さんの皆さんにご挨拶をして、野鳥たちにも新年の挨拶です。
 今まで「鳥がいないね」というのが合い言葉でした。しかし、北関東に雪が降り、六義園のライトアップも終わったこともあって、鳥たちの姿が急に増えました。そのため、ルリビタキがいたけど2羽かも、カワセミも2羽みたい、ジョウビタキの雄が警戒心がないね、キクイタダキがホバリングしていたなどなど、鳥の話題で挨拶ができるようになりました。
 六義園ではお正月の間、目黒流貫井囃子保存会による獅子舞と神田囃子に実演が行われています。お囃子の音が聞こえてくると、正月を迎えた実感がわいてくるのは少しは江戸っ子の血が流れているからでしょうか。
 ヒヨドリの鳴き合う声と神田囃子、少しはお正月気分が伝われば幸いです。PCM-D100で録音、ノイズリダクションをかけています。

 「190102_002.mp3」をダウンロード

« 2018年12月 | トップページ | 2019年2月 »