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2019年1月13日 (日)

北海道の謎の鳥はクマタカだった

 タイマー録音でなくても、謎の鳥の声を録音することがあります。
 8年前に北海道東部にシマフクロウの鳴き声を取材いったおりです。
 早朝に森の中を探索すると、ハシブトガラやヤマゲラ、オオアカゲラのドラミングなど、次から次に録音してくれとばかりにいろいろな鳥が鳴いてくれました。このとき、遠くから大きな声が聞こえてきました。甲高い声で短い声を繰り返しています。
  PCM-D1で録音。ボリュームの増幅、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

「Hawk-Eagle10032602e.mp3」をダウンロード

 最初は、カモメの仲間を思い浮かべましたが、場所は海から離れた山の中、大きな川も湖もないところです。その場で録音した音源を聞いて、猛禽ではないかと思いました。北海道ですから、オオワシとオジロワシがいます。山のなかですから、オジロワシの可能性のほうが高いかなと思い、メモには「オジロワシ?」としておきました。家に帰ってから、オジロワシの鳴き声をいろいろ聞きましたが、どれとも一致しません。そのため、ファイル名は「不明」と書き直して保存しました。
 そして、ときどき思い出しては聞いていますが、どうしてもわかりませんでした。「朝の小鳥」で今年3月、北海道の早春の鳥たちをやろうと音源を探すと、この「不明」が気になりました。そのため、片っ端からいろいろ音源を聞いて当たりをつけて、たどりついたのは、クマタカでした。現在、クマタカの音源は、『野鳥大鑑』と『鳴き声ガイド日本の野鳥』に収録されているほか、バードリサーチのサイト『鳴き声図鑑』でA部さんが録音した音源を聞くことができます。しかし、どれとも完全に一致しませんでした。
 かろうじて、近いと思ったのは 、Xeno-contoのクマタカの4番目、ロシアで録音された声に雰囲気は似ていました。
 https://www.xeno-canto.org/384144
 今年になってS木♂さんのブログ「野原から」に謎の声がアップされました。
 http://blog.livedoor.jp/gnohara/archives/9249988.html
 これにも似ていたのでさっそくS木♂さんにメール。ところがS木♂さんは「この謎の声はこの謎の声を聞いたとき、姿は確認できなかったのですが、藪を移動しながら鳴いていて、私のイメージではクロツグミサイズの鳥」ということで、カケスの物真似ではないかということになりました。
 同時にS木♂さんから、動物園で記録されたYoutubeの動画を教えてもらいました。
 https://www.youtube.com/watch?v=WE7SgfJDo14
 これは、文句なくそっくりです。動画を見ると、2羽並んで大きな方が鳴いていますから、雌の声かもしれません。
 また、S木♂さんのお仲間で、クマタカを調べているY口さんにもお聞きいただき、クマタカで間違いないとのご連絡もいただきました。
 なんと、8年越しで謎の鳥がわかったことになります。
 それにしても、大きくて勇ましい感じのクマタカですが、姿に似合わない可愛い声をだすのですね。A部さんのは、さえずっているように聞こえるので雄かもしれません。そして、これが雌。この他、警戒の声や幼鳥の声など、他の鳴き方もあると思います。クマタカは、森のなかの鳥ですから当然、音によるコミュニケーションをとっているはず。それだけに、鳴き声による発見もあると思います。
 この鳴き声の雰囲気をおぼえておくと、クマタカとの遭遇があるかもしれません。
 S木♂さん、Y口さん、お世話になりました。おかげさまで、長年の喉のつかえが取れた感じです。ありがとうございました。
 

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