« 2019年1月 | トップページ | 2019年3月 »

2019年2月

2019年2月28日 (木)

シロハラの木の葉返しの音か-六義園

 六義園では、鳥の姿が多くなったのでタイマー録音を仕掛けようとずっと思っていました。しかし、このところ夜から朝に雨という日がすごく多いのにお気づきですか。今日は、一日雨ですし、朝回収に行ける私の用事とのタイミングともなかなか合いません。
 先日、やっと一晩録音機を置くことができました。タイマーは、日の出時刻が午前6時16分でしたので、5時30分から開始で入園時刻のまえの8時30分終了の設定です。
 もちろん、ヒヨドリの朝の挨拶からハシブトガラスのねぐら立ちがたくさん。六義園でも不明の鳴き声が入っていて、宿題をもらった感じです。実は、そろそろトラツグミの鳴き声が入っていないかなと思って、地面に枯れ葉の多い所に置いてみたですが、残念ながらトラツグミはまだ来ていないようです。
 ご紹介するのはシロハラと思われる鳥が、木の葉を頭ではね除けて下にいる昆虫などを探す音です。YAMAHA W24で録音。1,000Hz以下のノイズの軽減をしています。

「pale_thrush190226.mp3」をダウンロード

 アカハラかもしれませんが、六義園ではアカハラとシロハラがいるところが、分かれています。録音機を置いたところは、よくシロハラがいるところですので、シロハラの可能性が高いと思います。時刻は、7時45分。もうかなり明るくなっています。ちなみにこの音は、1分20秒ほど続いていました。
 最近、シロハラがとても近くになりましたので、以前にもシロハラが立てる音を録音したことがあります。これと同じような音です。近いと言っても、鳥との距離は5mは離れていたでしょうか。私には大きな音に聞こえるのですが、じっさいに録音してみるととても小さな音でした。聞きたい音を脳が増幅して、大きく聞こえてしまうからでしょう。
 ですから、この音の感じだと録音機と鳥との距離は1mもないでしょう。目の前でやってくれたことになります。タイマー録音ならではの音です。

2019年2月26日 (火)

コゲラのキョキョキョ-六義園

 コゲラのドラミングを録った後、別のところでコゲラが「キョキョキョ」と鳴いているのに気が付きました。実は、私には聞こえなくてカミさんに教えてもらって録音機を向けて録りました。
 YAMAHA W24で録音。ボリュームのアップ、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

「pygmy_woodpecker110901_0221.mp3」をダウンロード

 コゲラの「ギーッ」という鳴き声も高い音なので聞こえません。「ギーッ」は、だいたい5,000~7,000Hzの高さに音の中心があって、ヤブサメに匹敵する高さなのです。同じように、この「キョキョキョ」も6,000~7,000Hzと高く、私には聞きづらい音です。いずれも、頭の上で鳴いてくれるとなんとか聞くことができますが、遠いとダメです。
 ところで、六義園の過去の記録から 「キョキョキョ」という声を聞いた時期を調べて見たら、早い年で1月に聞いたことがありましたが、3~4月に多く、7月まで鳴いていることがわかりました。1987~1993年の5年間15例の記録からの傾向です。要するに「キョキョキョ」は、繁殖期の声であり、繁殖に関わる鳴き声といえると思います。
 ドラミングは、低めで700~1,200Hz。低い音は遠くまで聞こえると特性がありますから、ドラミングはなわばり宣言。高い鳴き声は、遠くまでは聞こえないけれど葉の間をすり抜けて聞こえる音なので、近くにいる雌への求愛と鳴き分けているのではと思っています。

2019年2月23日 (土)

ウグイス、さえずり初期の声-六義園

 今日は多少、風のあるものの暖かくてバードウォッチング日和でした。
 六義園では、週末の常連さんたちと出会います。やっと、ツグミが芝生に現れるようになり春らしくなってきました。キンクロハジロは数が減って、これも春のきざしでしょうか。
  10日以上前から、ウグイスがさえずっていたという情報をいただいていましたが、今日やっと聞くことができて録音しました。YAMAHA W24で録音。1,500Hz以下の低音の軽減、ウグイスの音域のボリュームアップ、かなり強めのノイズリダクションをかけています。

「Bush-Warbler110901_0206.mp3」をダウンロード

 まだ、おぼつかない鳴き方です。ウグイスとの距離は、10m以下ですから本来ならばもっと大きな音に録れます。まだ、声量も少なく小さな声で鳴いていたことになります。それだけに、ノイズの除去にとても苦労しました。
 六義園の過去の記録を見ると、1月13日(1986年)というのがもっとも早いのですが、これは飛び抜けた記録で、ほとんどが3月に入ってからです。
 ですから、今年の2月中旬は比較して早い記録となります。
 また、10日もさえずればかなりうまくなるはずですが、まだおぼつきません。10日前に鳴いていたというのは、別の場所でですから別のウグイスの可能性があります。このウグイスは、今日からさえずりはじめたのかもしれません。
 いずれにしても、春がまた近づいてきたことを知らせる音、今年もまた忙しい季節がやってきました。

2019年2月22日 (金)

カエルのような声-コゲラのドラミング

  数日前に六義園の外を歩いているときに、園内からコゲラのドラミングの音が聞こえてきました。シジュウカラやウグイスがさえずりはじめ、いよいよ春本番という感じの六義園です。
 本日、園内でコゲラのドラミングを録音することができました。YAMAHA W24で録音、500Hz以下のノイズのカット、ドラミング部分の音域の音量を上げて、全体にノイズリダクションをかけています。

「pygmy_woodpeckerd110901_0038.mp3」をダウンロード

 録音をしていると最近、六義園でよく会うカメラマンの方から「あのカエルのような声は何ですか?」と質問されました。なるほど、低い声なのでそう聞こえたのかとなっとく。写真を撮りたかったようですが、ちょうど園路から見て幹の裏側でドラミングしていたので飛び立つまで姿は見えず、残念そうでした。
 そんなに低い音なのかと思い、声紋を見ると700~1,200Hzでした。高めの人の声、女性の声の高さに近いと言ったら良いでしょうか。思いの他、高い音でした。
 『鳴き声ガイド日本の野鳥』に収録されている音も見てましたが、音の中心は850~1,100Hzにあり、全体には800~2,800Hzと高い音域までありました。もちろん、叩く木の枯れ具合、大きさ、響き具合によってことなりますが、意外と高い音の要素もあることがわかりました。低い音は遠くまで、高い部分は木の葉の間をすり抜けて遠くまで聞こえるという音の特性が生かされたドラミングの音といえるでしょう。
 

2019年2月19日 (火)

千鳥笛・再録

 先日の千鳥笛について記事にしました。Facebookのコメントやメールでのおたずねがありました。たしかブログの記事にしたと思いリンクさせようと検索しても出てきませんでした。あとで、『野鳥を録る』(2004・東洋館出版社)のコラムに書いたことを思い出しました。
 ということで、再録しておきますので、ご参考にしていただければと思います。

 蒲谷コレクションのなかに、宮内庁新浜鴨場の千鳥笛の録音が残っています。1970年代に収録されたもので、千鳥笛の実演とともに昔の新浜のようすを語るインタビューも録音されています。
 千鳥笛は千鳥猟のときに鳥たちを呼び寄せるためのもので、今では失われてしまった猟法です。千鳥猟は、堀内讃位の『鳥と猟』(1945年、昭森社)によると「岸に近い川底を掘り掘り取った泥土を一方に盛り上げ、幅2間(注: 1間は1.8m)、長さ4間ほどの傾斜地を築く。これに略同大の網を、開帳したまま張る。」もので無双網に近い猟法であると、詳しく紹介されています。
 そして、千鳥笛は「頃合いを見はからって、鳥舎に潜んでいた福田名人が笛を吹く、それは恰も水上に頭を出している築場を差して、此所に来れと云わんばかりである。」とあり、そして網を引くとまさに一網打尽に捕らえるとあり、さらにこの作業は続けて行われ、笛に誘われて何度も捕らえることができるとあります。これを読めば、一度は聞いてみたい、吹いて見たいと鳥好きなら思ってしまいます。
 蒲谷の録音は、福田名人のものではなく峰崎寒太郎さんのものですが、すでに故人。貴重な録音です。録音を聞く限り、チドリの声の雰囲気はかなり近いものがありました。また、この録音にはチドリばかりではなくシギの仲間のキアシシギ、アオアシシギ、チュウシャクシギなども吹き分けられており、いろいろな種類のレパートリーがあることもわかります。
 数本の笛から、それぞれの鳥の特徴を捉えて吹き分けている技術はたいしたものです。さらに、シギチドリ類ばかりではなくクイナ笛もあり、これまたヒクイナの声によく似ています。
 なお、千鳥笛はシノタケの茎を短く切って音が出るように小さな穴があいているだけのごく簡単なものです。シノタケは今でも新浜鴨場のまわりに今でも生えていますし、手先の器用な人ならば作れそうです。しかし、鳥を呼べるだけの音を出すためには、本物のシギやチドリの声が頭にしっかりと入っていなくてはなりませんし、それなりの練習と年期がいりそうです。

2019年2月16日 (土)

デジスコ通信に投稿-何種類みましたか?

 若い頃は、仲間同士で種類数を競っていました。
 種類数を稼ぐために、狭山湖のカンムリカイツブリ、越谷のシラコバト、手賀沼のオカヨシガモ、吉見のタゲリ、新浜のセイタカシギなどを見に行ったものです。
 しかし、今では越谷のシラコバト以外、いずれの鳥も増えて簡単に見ることができるようになりました。
 逆に、軽井沢のアカモズ、多磨霊園のチゴモズ、高尾山のアカショウビン、御岳山のコノハズクがいなくなって、これらを稼ぐのが一苦労するようになりました。
 時代とともに鳥たちのようすも変わりました。しかし、種類にこだわるバードウォッチャーは、相変わらず多いですね。
 ということで、ライファーについて考えてみました。デジスコ通信に投稿しています。
 http://www.digisco.com/mm/dt_111/toku1.htm

2019年2月15日 (金)

最後の千鳥猟かも

 古い写真を整理していたら、カミさんのアルバムから1枚の写真がはらりと落ちました。

Tidoriryo

 モノクロ写真です。わかりにくい写真で恐縮ですが、よく見ると千鳥猟のようです。
 時代は、1970年代のはじめ頃。1970,1年だと思います。
 なんとサンドパイプの上で千鳥猟をしているのです。
 身を隠すための木の葉のついた枝を並べ、このなかに編み笠をかぶった男性が1人、その後ろに帽子をかぶった人が1人います。このうち、どちらかが笛を吹いてシギやチドリを呼んでいたはずです。笛の音に釣られて来たシギやチドリに、長い竹竿に張ってある網をぶせて捕らえる猟です。
 それを横から撮影しています。どうも、現在の行徳野鳥観察舎があるあたりから保護区内に向けて写した感じです。現在の保護区内のレイアウトを作るために、干潟だった場所にサンドパイプで土砂を入れました。その土砂が、まだ乾かないでドロドロだった頃です。このような状態のときには、干潟のなかの生物の死骸や栄養があるために大量のハエの仲間が発生しました。それを食べるために、ハマシギやトウネンなど小型のシギが群れでやってきていました。それを、取ろうということで千鳥猟でしょう。
 造成された土地は、1年くらいで乾いてしまうので鳥はこなくなります。周辺の干潟もなくなり、新浜での千鳥猟をやっていた風景も話も聞かなくなりました。
 もしかしたら、この写真が最後の千鳥猟かもしれません。

2019年2月12日 (火)

NANGAの羽毛服

 このところ寒いですね。
 野鳥録音では、音を立てないようにじっとしていなくてはなりません。なにより、バードウォッチングでは鳥を驚かさないようにしていますし、さっさと歩いたら鳥は見つかりませんのでゆっくり歩きます。それだけに、なかなか身体は温まりません。そのための防寒具が必要です。
 今はやりのカナダグースは高いし重め。ユニクロは安いけれど機能的には今ひとつ。ということで、シュラフのメーカーNANGAが作ったという羽毛服の紹介です。この羽毛服を手に入れて3シーズン目の冬を迎えました。

Nanga1902122

 とにかく軽いです。通販で購入したのですが、宅配便のオジさんが箱を手渡しくれたときにはあまりの軽さに中が空ではないかと思ったほどです。
 私が購入したのは、NANGA Whitelabel TypeⅠです。今、ネットで検索したら3年前に買ったときよりも値上げしております。でも、カナダグースよりは安いです。
 暖かいです。東京周辺での冬のバードウォッチングではまったく問題がありません。もっとも上に着るアウターが暖かいため、下着やシャツを薄いものでもしのげます。そのため、建物の中に入ったり乗り物に乗ったりという都会周辺のバードウォッチングでは、羽毛服を脱げば良いのですから楽です。暑くて下着が脱げないで大汗をかくという苦労をしないですみます。
 暖かいだけに、すきま風がつらいです。羽毛服と手袋の間とか、足がとても寒く感じます。それだけ、羽毛服が暖かいということなのですが。
 私はこの手の服ですとSサイズですが、Mサイズでも少し小さめでした。ちなみに私の身長は167cm、体重56kgです。基本、通販ですので書かれている寸法をよく確認したほうが良いでしょう。
 難点は、私の買ったモデルは、ファスナーが弱いです。ファスナーが小さいため、寒くて手がかじかんでいるときに操作がしづらいです。また、周りの布を噛んでしまい痛んでしまいました。
 あとひとつ、シルエットがどうみても映画『ハートロッカー』、爆弾処理班に見えてしまうことです。 
Nanga1902121

2019年2月 6日 (水)

『朝の小鳥』スタジオ収録-3月は早春の北海道

 本日は浜松町にある文化放送にて『朝の小鳥』のスタジオ収録でした。浜松町は、ビル風がすごくて雨が横殴りでした。
 3月は、5回日曜日があるため地方局の分も含めると10本録りです。
 収録を終わってスタジオを出ると、なんと廊下にダミーヘッドが置いてありました。

Dummyhead190206

 ダミーヘッドは、バイノーラル録音をするためのものです。ステレオマイクや2本マイクを使ってのステレオ録音では、再生すると頭の上から聞こえて来ることになります。バイノーラル録音では、音は水平になり、より立体感を得られます。自分の耳にマイクを付けて録音するのが本来ですが、このような頭の形をしたものにマイクを仕込んで録音もします。
 なんでスタジオでダミーヘッドを使っていたのかうかがったところ、耳元でささやくという設定で録音したのだそうです。ステレオ感は、あまり関係なかったですね。
 ところで、ドイツ製のダミーヘッドは5,60万円していました。このダミーヘッドは、発泡スチロール製で日本製のはずですが、それでも10万円はします。そのため、私や録音仲間は、美容院でいらなくなったマネキンの頭で作ったり楽しんでいます。
 このダミーヘッドは、色が黒いので自然の中に置くとけっこう目立ちます。迷彩に塗装して、使ってみたいですね。
 ところで、3月の放送内容は、北海道の芽登温泉と温根沼で取材して、今まで登場したことのないヤマゲラ、ヤマシギ、クマゲラ。使ったことのない音源のヒガラとシロハラゴジュウカラです。早春の北海道の音をお楽しみいただければ幸いです。

3月の放送内容
3月 3日 ヤマゲラ
 10日 ヒガラ
 17日 ヤマシギ
 24日  クマゲラ
 31日 シロハラゴジュウカラ

2019年2月 3日 (日)

舎人公園-あしだちの会

 今日は、あしだちの会の舎人公園探鳥会に参加いたしました。

Toneripark190202

 舎人ライナーの駅から直結の公園です。園内に入ったとたんにシジュウカラのさえずりが迎えてくれました。今シーズンはじめてのさえずり、初鳴きです。
 探鳥会の参加者もいつもになく多め。公園を歩く人もたくさんいるなかでの探鳥会です。 今日の暖かさは、シジュウカラばかりでなく人もウキウキさせるようです。
 探鳥会が始まって、最初にきれいなジョウビタキの雄が目の前に出現。見てくれと言わんばかりに飛び回ってくれました。
 池では、他では少なくなったバンが、普通にいました。以前と比べて、カモ類が少なめです。ヒドリガモはいつもどおりだそうですが、なにしろキンクロハジロとホシハジロといった潜水性のカモ類がいないのです。おかげで、識別ポイントネタを披露できませんでした。
 ヨシ原にアトリがチラチラ見えて、このあと樹木のあるところでも見ることができました。以前、六義園ではツグミがいなくて、舎人公園では普通にいたことありました。ところが、今シーズンは舎人公園でも少なく、やっと2羽を見つけることができました。
 春めいた水辺でのバードウォッチング、あっというまにお昼になって終了。今シーズン中に、またじっくりと訪れてみたいと思います。 

2019年2月 2日 (土)

菅原さんの写真展「SNAP! BIRDS」-フジフイルムスクエア

 本日は、六本木の東京ミッドタウンのなかにあるフジフイルムスクエアで開催されている菅原貴徳さんの写真展に行って来ました。

20190202_120933

 久しぶりの六本木です。アマンドがどこだかわからなくなりましたし、東京ミッドタウンができて初めてです。
 写真展は、小粒ながら中身の濃い写真ばかりです。「暮らしの中にある“鳥風景”」という副題が付いているのですが、人のそばで生活している鳥たちの姿をていねいに追った写真で構成されています。日本はもとより、彼のライフワークである海外取材で撮影したノルウェイやアラスカなどの風景のなかの鳥たちです。いつも見ているキンクロハジロやマガモも、彼の手にかかるとよりいっそう素晴らしい鳥に見えてくるのですから不思議です。
 菅原さんとは『鳴き声から調べる野鳥図鑑』以来のおつきあいですが、ますます腕を上げ、菅原ワールドを確立した感があります。ここ1年で写真展は2回目、加えて海外取材も行っているのですから、ものすごいエネルギーです。
 どうぞ、いっけんの価値のある写真展です。
 詳しくは、下記のURLで、ご確認してからおたずねいただければ幸いです。
 http://fujifilmsquare.jp/detail/19020103.html

« 2019年1月 | トップページ | 2019年3月 »