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2019年3月11日 (月)

声紋は表示の仕方で変わる-ミソサザイ

 ドラマでは、声紋で犯人がわかったりしています。まるで指紋やDNAのように簡単便利に識別できそうです。同じように野鳥の鳴き声から種類もわかるととても便利なのですが、これがそう簡単ではないと思っています。
 先日、カミさんが神奈川県の大山に行ったら、ミソサザイが変わった声で鳴いていたと録音してきました。このような声です。YAMAHA W24で録音。ボリュームのアップ、2,000Hz以下のノイズの軽減をしています。

「winter_wren190308_1421.mp3」をダウンロード

 「チャ、チャ」あるいは「ジャ、ジャ」と聞こえる地鳴きとは違う、鋭く連続した鳴き方です。近くに来て鳴いたということから、警戒、威嚇の意味があるのかもしれません。この前には、一声複雑なさえずりでも鳴いていますので、雄の鳴き声で間違いないと思います。
 これを、声紋で見ると次のように見えます。

Winter_wren1_2

 中央に大きな山型、前後に音は不明瞭ですが山型です。ちなみに魚の骨のように見えるパターンは、ヒガラのさえずりです。この図は、左右が時間で33秒、天地は音の高さで0~24,000Hzを表示しています。
 つぎに、同じ部分を5秒に拡大すると、このように見えます。天地は同じです。

Winter_wren2

 細かい山型が連続していることがわかります。なんと、2.7秒の間に50回鳴いていることになります。また、上下に倍音があって深みのある音であることもわかります。
 時間の表示によって、こんなにもパターンが違って見える例です。同じように、天地の幅によってもまったく違って見える場合もあります。
 鳥の声は、何分も続く長く鳴くものから、1秒もない短い一声までいろいろです。また、音の高さも100Hzから10,000Hzまで幅広いので、それぞれ声紋表示を変えないとわかりにくいものがあります。ですから、一律に統一することはできません。
 表示を変えることで、いろいろなパターンを見せてくれる鳥の声紋、鳴き声と同じようにとても美しいと思います。
 

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コメント

こんにちは。いつも楽しみに拝読しています。
この声、春先にはよく聞きます。ということは頻繁に警戒、威嚇させてしまっているのかも知れませんが…。この後に続いてさえずりになるときもあります。巣が近くにあるときの雄の鳴き声だと思います。

タムラ様
 拙ブログ、お目にとまり恐縮です。
 このときも1声ですが、さえずっていました。おっしゃるとおり威嚇の印象のある鳴き方だと思っています。
 ただ、私になのか、私の見えないところに他のミソサザイがいたのか、不明でした。

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