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2019年5月11日 (土)

長期滞在したコマドリ-六義園 追記あり

  まず、お断りしておきますが、この情報は1週間前のものです。ですから今、六義園に来てもいません。と書いておかないと、以前も珍しい鳥の情報をだいぶたってから上げたら、来てしまった人がいるのでご注意です。
 六義園の常連さんたちからコマドリが鳴いていると情報をいただいたのは、4月下旬です。ところがこのコマドリ、今まで六義園で出現したコマドリとちょっとようすが違いました。
 まず、声が小さい。鳥が鳴いている藪と順路との距離は、わずか10mほど。この距離でコマドリのさえずりならば、はっきりと聞こえ録音機の録音レベルを下げないと音が歪んでしまうはずです。以前、六義園に出現したコマドリは少なくとも50m先から聞こえ、そのとき六義園にいたバードウォッチャーが全員集まったほどです。
 ところが、私をはじめ高齢者は、言われて耳をそばだててやっと聞こえる小さな声なのです。耳の良い人が、鳴いていると教えてくれないとわかりません。録音しても、街の騒音のなかにかろうじて聞こえる程度の音にしか録れません。
 つぎは、姿が見えない。おそらく10日以上、2週間は滞在したと思うですが、誰も姿を見ることができませんでした。もちろん、写真を撮った人もいません。毎日、来ている常連さんたちもお手上げです。かろうじて、見えたのはスズメより小さな鳥の影がチラッ程度でした。人がぞろぞろ通る順路から、わずか10m離れた藪の中なのですから人を恐れているわけでもなく、ひたすら藪から出てきませんでした。
 ちなみに、順路にそった30m、幅10mの藪のなかに2週間いました。とにかく、この場所がお気に入りでした。
 コマドリのさえずりは「ヒンカラカラ」と言われますが、高い低い、長い短いなどのバリエーションがあります。また、渡り途中、あるいは繁殖地でも小声で短い鳴き方をします。今回の鳴き方は、渡り途中でもあるし練習歌だと思いました。
 しかし、2週間もいれば本格的な鳴き方になると思うのですが、最後まで小さな声でした。そのため、私はかろうじて聞こえた声から、シマゴマをうたがってしまうほどでした。シマゴマのさえずりは、コマドリとよく似ています。私が、カムチャッカや粟島で録音した声は、コマドリより声量がなく節が長い、尻下がり、最初の「ヒン」が複数音あり長いなどの違いがあります。ただ、コマドリのバリエーションのなかにあるかもしれません。
 とにかく姿が見えないのですから、鳴き声がたよりです。そのため、近くに来たところで鳴いてくれないか、録音機を1日置いておきました。
 TASCAM DR-07で録音。ボリュームの増幅、2,000Hz以下のノイズのカット、かるくノイズリダクションをかけています。

 大きく聞こえますが、おそらく録音機との距離は1、2mのはずです。こうして大きく録音できた音声を聞くと、コマドリであることは間違いないと思います。ただ、ここに上げたものだけでも、皆高さも長さも調子も違います。全体では、もっと複雑で変化に富んでいますから、とても多才なコマドリといえるでしょう。
 今頃は、繁殖地に到着してよき伴侶に恵まれることを祈ります。

追記:森林総合研究所の関伸一さんから、この鳴き声だとコルリの可能性もあるとのご指摘をいただきました。たしかに、誰も姿を見ていないこと、姿を見せないことからもコルリの可能性がゼロではないと思いました。下記URLにて、訂正記事アップいたしましたので、ご覧いただければ幸いです。
http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2023/04/post-c2a56f.html

 

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コメント

はじめまして。よく拝見してます。
早くも5月6日には奥日光某林道に到着してる個体がいて、間隔が空きつつけたたましく鳴いていました。
珍しく姿も悠々と見せてくれる個体でした。
新調したSONY PCM-D10で録音でき良かったです。

あつぼー様
 コメント、ありがとうございます。
 昨日、早朝のタイマー録音では、霧降高原も到着していました。いよいよ忙しくなります。
 PCM-D10、最新機種ですね。まだ、仲間で購入した人はいません。野鳥録音に向いているか、いつか教えていただければと思います。

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