ホトトギスの雰囲気のある音-日光
録音をはじめた頃、ホトトギスが少ない年が数年続いたため、なかなか良い音が録れませんでした。あるとき、車を止めるとホトトギスが頭の上で鳴いてくれ、やっと録音することができました。このとき、あまりのけたたましい声に驚いたものです。
しかし、ホトトギスの鳴き声は万葉の歌人を魅了し、江戸川柳でも大人気な鳴き声です。なぜ、こんなけたたましい鳴き声が良いのか、詫び寂びを感じるのか疑問に思ったものです。その後、しばらくして日光で里山の風景が広がるエリアで、農家からはニワトリの声が聞こえ、山の向こうからホトトギスの鳴き声が聞こえたことがありました。このときのホトトギスの鳴き声は、日本人の心に響く里山の風景に溶け込んだ音でした。古来より日本人を魅了してきたホトトギスの鳴き声は、これなのだと思いました。ホトトギスの鳴き声は、遠くで聞くものだと思ったものです。
同じように、秋に聞こえるシカのラッティングコールも同じ体験をしています。近くで聞いたら雄叫びです。しかし、秋の夜に山を越えて聞こえて来るシカの声は、胸に迫るものがあり、まさに小倉山百人一首の世界の音です。
しかし、ホトトギスもシカの声も、遠くで鳴いているのを録音すると、ただ音が小さいだけの音源となります。おそらく、聞いている人は聞きづらいためボリュームを上げてしまうでしょう。結果、ゴーッという環境ノイズに埋もれて、かすかに「ホトトギス」と聞こえ、聞きづらいなあと思われてしまいます。
いかに雰囲気のある音を録るか、環境録音の課題でしょう。
今回の日光行きで録れた音から、少しは雰囲気のあるホトトギスの鳴き声にすることができました。YAMAHA W24で録音、ボリュームのアップ、500Hz以下の低音の軽減、かるくノイズリダクションをかけています。
午前3時30分頃、まだ暗い時刻です。そのため、まだフクロウが2羽鳴き合っています。もっとも早起きのアカハラがさえずりはじめています。
近くのホトトギスの他、もう1羽遠くでもホトトギスが鳴いて、これも鳴き合っているのでしょう。フクロウの鳴き声を聞きやすいようにボリュームを調整してもらえるば、ホトトギスもけたたましさを感じないレベルに聞こえると思います。お試しください。
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