« 2019年7月 | トップページ | 2019年9月 »

2019年8月

2019年8月20日 (火)

ササゴイ幼鳥の声か-六義園

 昨夕、ハシブトガラスがネグラに集まり、セミたちの鳴き声が静かになってきた時刻、午後7時頃のことです。六義園から聞き慣れない声が聞こえてきました。1声鳴いては長い間があって、また1声。これならば、録音ができそうと準備をしました。PCM-D100で録音、目的の音を増幅、1,500Hz以下ノイズのカット、2,200Hz以上の音をカット、ノイズリダクションをかけています。

 「キュ」と聞こえます。ハシブトガラスの鳴き合う声とセミの合唱の中という録音的には轟音のなかに、ときどき聞こえて来るのですから難題です。それも長い間があって、鳴きやんだかと思うとまた鳴いています。全部で5,6声聞こえました。ここにアップした2つの鳴き声の間は、実際は10分ほどの間が空いているのを詰めています。
 はじめの印象は、アオゲラの地鳴きに聞こえました。日没時間は過ぎている上に曇りでかなり暗い六義園ですので、昼間の鳥というより薄暮性から夜行性の鳥の可能性があります。そのため、アオゲラは却下です。思い浮かんだのは、ササゴイです。
 ただ、ササゴイの一声鳴きの「キュ」あるいは「キョ」と聞こえる音は、頭のほうが1,600Hzで終わりのほうが400Hzと幅のある声です。この鳴き声は、2,200Hzから1,600Hzと幅はありますが、一段高い音です。ただ、頭から後ろにかけて音が下がる声紋のパターンはよく似ています。
 このシーズン、六義園にササゴイがいるのでしょうか。
 ということで本日、六義園に行きました。常連さんたちの情報では、一昨日と昨日にササゴイがいたとのこと。また、写真を撮ったというM上♂さんに写真を送ってもらったら、写っていたのはササゴイの幼鳥でした。
 昨夕の鳴き声が写真を撮られたササゴイとすると、音が高いという違いは幼鳥のためだった可能性があります。今後、ササゴイの幼鳥の鳴き声を聞いて確認できる機会があると思います。そのときのチェックポイントとなります。
 いよいよ野鳥たちの移動の季節になりました。
 M上♂さん、写真をありがとうございます。
 

 

 

2019年8月14日 (水)

『朝の小鳥』スタジオ収録-9月は減った当たり前だった鳥

 今日は、雨間をぬって浜松町の文化放送にて『朝の小鳥』のスタジオ収録でした。幸いにして、雨に会うことはなく良いタイミングで往復できました。
 そろそろさえずる鳥が少なくなるために、ネタに苦労する季節となります。カレンダーを作っている時も9月がいちばん苦労しました。9月らしい写真って、意外とないのです。まして、音となるとさらに難しい月です。そのため、昔は普通にいたけど今は減ってしまった鳥たちというテーマでまとめてみました。
 サンコウチョウでは、鳥もいなくなったけれど、かつて新宿にあった三光町もなくなったという話題で盛り上がりました。私は、環境庁(当時)ができたばかりの頃、タクシーで「環境庁へ」言ったら、新宿方面に行くのでおかしいと思ったら運転手が「三光町」と聞き間違えた思い出があります。1970年代、まだ三光町という地名が残っていたのです。
 ヒバリが新宿にいた話では、中央公園あたりは淀橋浄水場があって、淀橋という地名からヨドバシカメラになったなど、私とA山さんの昔話ネタに、若いS木さんとM馬さんは目が点に近くなっていました。
 昔、山階芳麿さんから渋谷の南平台に山階鳥類研究所を開設した頃、今の銀座線を作るために掘った土で近くの沢が埋め立てられヒクイナがいなくなったという話を聞いたことがあります。そして、今私が話す昔話を若い人が聞いて、それに近い驚きをもって受け止める時代になってしまったと実感することが多くなりました。
 いなくなった鳥たちの話をすると、東京の変革も同時に語りたくなります。

2019年9月 放送予定
9月 1日 サンコウチョウ
     8日  ヒクイナ
    15日  アオバズク
  22日  コヨシキリ
  29日 ヒバリ

2019年8月 6日 (火)

コエゾゼミとコーラス-日光

 やっと夏らしくなった日光です。梅雨は、明けたものの今度は毎日、午後になると大雨に見舞われ、なかなか録音のチャンスがありませんでした。
 先週末、やっと雨のない予報となり、いつもの霧降高原にタイマー録音を仕掛けました。日の出時間を確認したら午前4時50分です。あっというまに、1時間も日が短くなっていました。そのため、タイマー設定は4時から7時までとしました。
 4時5分からアカハラがさえずりはじめ、ウグイス、ヒガラ、シジュウカラ、カッコウ、ホトトギスとまだ鳥たちの鳴き声はさかんです。ただ、もうあれだけ鳴いていたキビタキ、コマドリ、エゾムシクイの鳴き声をとらえることはありませんでした。
  前回、6月27日に録音したとき(考えてみれば、この日以来、日光は晴れていません)は、エゾハルゼミがにぎやかでした。今回は、コエゾゼミの声になっていました。まずは、ウグイスやホトトギスがバックで鳴くコエゾゼミの鳴き声をお楽しみください。
 YAMAHA W24で録音、フェードイン、フェードアウト以外の加工はしていません。

 ただひたすら「チー」と鳴き続けるセミの声です。だいたい、世界中のセミの多くは、こうしたノイジーな鳴き方をするものが多く、ツクツクボウシのような節のある鳴き方をするセミは少数派だそうです。
 さて、コエゾゼミと迷うのはエゾゼミです。一つは標高の違いがあります。日光あたりですと、標高800mあたりまでがエゾゼミ。1,000m以上がコエゾゼミと分かれます。録音した霧降高原の1,400mほどの場所ですからコエゾゼミということになります。
 また、音の周波数が異なります。エゾゼミの音の中心は約5400Hz、コエゾゼミは約6200Hzで、その差1,000Hzです。ですから、エゾゼミは「ジー」という感じに聞こえ、コエゾゼミは「チーッ」というふうに聞こえます。
 また、老耳の私には、コエゾゼミは近くで鳴いてくれないと聞こえないということになります。

 

 

 

2019年8月 1日 (木)

謎のコガラは?-水元公園

  今年の梅雨は、よく雨が降りました。おかげで、7月は1回もタイマー録音をしかけるタイミングがありませんでした。ということで、依頼された仕事に関連して音源の整理をしていました。長時間録音で、そのままにしてある音源から使えるところを切り出したり、かつて不明の声としたものを解明できないか調べたりしています。
 ということで、ずうっと頭にひっかかっていた2003年1月12日に水元公園で録音したコガラとされた鳴き声です。当時は、まだDATでの録音で、ソニーのPCM-M1にオーディオテクニカのステレオマイクAT845Nを付けての録音です。低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

 この日は、水元公園のなかにある「水元かわせみの里」からの依頼で自然観察会の指導を行っていました。いちばん西のはじにあるカワセミの里からスタートして小合溜に沿って、歩いて行くとカラ類の鳴き声が聞こえました。私は「シジュウカラが鳴いている」と言ったところ、超ベテランのS川さんが「あれはコガラです」ときっぱりと言われてびっくり。双眼鏡で見ると、たしかにシジュウカラではなくコガラのように見えました。
 自然観察会の指導をしながらですので、わずか数声を録音しただけでした。その後、日光でコガラとの出会いがあったのですが、このような鳴き声で鳴くコガラには遭遇しませんでした。そのため、あの水元のコガラはいったいなんだったのだろうかと、ときどき思い出しました。
 今回、改めて聞くとハシブトガラ!ではないかと思いました。
 上がったり下がったりして鳴くコガラと違って、ハシブトガラは短い同じ高さの音を連続させて鳴きます。1音は、3,000~5,000Hzの幅があり、一致しています。ただ、私自身、北海道でハシブトガラのさえずりを聞いたのは数回、録音は3パターンくらいしかありませんので、北海道経験のある方のご意見をいただければ幸いです。
 もう一つ、東京都葛飾区の水元公園にハシブトガラがいるのかという問題です。
 日本では、北海道限定の鳥です。関東、それも周辺を住宅に囲まれた公園にいるのかという課題です。かつて、水元公園にはコイカルの群れがいたことあります。また、この地域は、昔から小鳥屋が多く違法飼育もあって手入れをしたこともありました。そのため、コイカルはカゴヌケではないかと思っています。もし、ハシブトガラだとすると自然分布というより、飼育されていたものが逃げた可能が高いと思います。
 考えてみると、当時はまだ一眼レフはフィルム時代。「水元公園 コガラ」や「水元公園 ハシブトガラ」でも同じ個体だと思われる画像はヒットしませんでした。
 重ねてお心当たりの方、コメントをいただければ幸いです。

« 2019年7月 | トップページ | 2019年9月 »