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2019年9月26日 (木)

TASCAM DR-07 & DR-05 試用リポート1

はじめに
 このたび、ティアック株式会社より、TASCAM DR-07とDR-05にタイマー機能を付けたデモ機をお借りすることができました。そのため、2019年4月~6月の間、栃木県日光などでのフィールドで試用いたしました。加えて日本鳥学会にて、お店を出していたティアックにてDR-05を購入。それらを元に使用リポートを連載いたします。
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 まずは、野鳥録音とはどんなものなのか、まえがきです。
 たとえばスズメくらいの大きさの鳥ならば、嘴から尾の先までがわずか15cmしかありません。さらに、この喉の奥にある鳴管、小指の先もないくらいの器官が出す”音”を録音する作業となります。それも近くて10m、だいたい2,30m、ときには数100mも離れたところから録音します。当然、野鳥のいるところは自然が豊ですから、水や波の音など環境音もにぎやかな中での録音です。ですから、風雨にさらすことを気にしながら遠くから高級なマイクで録るより、ここ数年で機能の充実したメモリ録音機を少しでも鳥に近づける工夫をしたほうが良い音が録れることになります。
 野鳥の鳴き声は、100Hzの低音から10,000Hzを超える高音まであります。また、一声で5,000Hzの幅のある音を出す種類もいます。そのため、高品位録音やマイク性能が試させられる音です。言い換えれば、野鳥の声がちゃんと録音できる録音機であれば、他の音はなんでも録れることになります。
 多くのメモリ録音機は、室内での会議や楽器演奏を想定して設計されています。そのため、Recボリュームが低い、耐久性に難があるなど、フィールド用に堪えない可能性があります。ただ、録音機は数多く出ているため、その中からフィールドでも使える録音機を探すことになります。
 野鳥録音をはじめて、最初は思うよう録音できません。多くの場合、「ゴーッ」という大きなホワイトノイズのなかで鳥がかすかに鳴いている音になります。その音を録音したときには鳥の声が大きく聞こえたはずなのに、鳥の声が大きく録れないのです。そのため、録音機が悪いではないかと思う方がよくいます。
 これは、脳が好きな音を選択して聞き、必要のない音をカットしているためです。それに対し、録音機は自然のままに録音しているための錯誤です。録音している時のノイズの状態を聞き取ることができるようになると、録音機の音が正しい音であることに気が付きます。
 そのため、自然のなかで聞いたよう=脳が選択した音のように編集加工することになります。自然な音に仕上げるためには、自然のなかで聞いた印象を頭に刻み込み、それを再現することになります。自然の体験なくてしては、編集加工をすることはできません。
 録音機には、編集加工して自然のなかで聞いたようにできる音源を確実に収録できるかが性能として求められることになります。
 また、森林の鳥は、夜明け前の暗いうちからさえずりはじめ、ピークは夜明け前後。関東地方の初夏ならば、3時45分から4時15分となります。そのため、3時に起きて、このさえずりのピークに間に合うように現着しなくてはなりません。そこでタイマー機能を活用し、前日に録音機を置いて翌日回収するタイマー録音が有効となります。
 鳥類の調査、習性を調べている研究者のなかに、1ヶ月、あるいは1週間放置して時間を有効に利用し、多くのサンプルを収集するという手法が広まってきています。なかには、無人島に1年間放置してどんな鳥がいるか調べている人もいます。それだけ、野鳥録音にはタイマー機能が必要です。
 なお、実売になった機種名は、TASCAM DR-05 VER3、 TASCAM DR-07MKII VER2の2機種となります。なお、以下本文では、DR-05、DR-07と表記しています。(つづく)

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