『見たくなる! 日本の野鳥420 』のご紹介
毎年、何冊の鳥の図鑑が発行されているでしょう。かつては、連盟図鑑が出るのを今か今かと待ち、出版社に図鑑の企画を持ち込んでも売れないと断られた時代を知っている者としては、現在は野鳥図鑑の黄金時代です。
それだけに、図鑑の著者は一工夫も二工夫もしなくてはならない時代ですし、読者にしてみれば図鑑を選べるありがたい時代になりました。
ということで、主婦の友社さんから『見たくなる! 日本の野鳥420 』が送られて来ましたので、ご紹介です。
著者は、図鑑を何冊も出している♪鳥くんこと永井真人さん。今回は、同じ姓の永井凱巳さんとのコンビです。
もう、写真の素晴らしさをほめるのは、当たり前になってしまいました。鳥の特徴をとらえ、そして鑑賞にたえられる写真で構成するのは、図鑑の最低限の要素ですが、おみごとにクリアしています。たとえば、ハシブトガラスとハシボソガラスの写真は、全体ではなく頭のみ。この方が、わかりやすいし、間違いのない識別ができます。
この図鑑でおもしろいと思ったのは、完全に色や形、要するに形態に関する記述は、最低限に抑えられていることです。それよりも、いつどこで、どのような状態で遭遇するかに重点が置かれて書かれています。ようするに解説の項目は、「分布と生息場所」「探鳥メモ」「鳴き声」しかないのです。延々と頭から尾までの色を書くより、写真を見れば一目瞭然。それより、出会いの面白さに解説の重点を置いたことで、初心者から中級者までわかりやすい図鑑になったのではないかと思います。そして、上級者は自分の体験したことを確認して、また見たいと思いをはせることができます。
ある意味、見せて読ませる図鑑になっていると思います。いずれにしても、野鳥の魅力がびしびし伝わってくる図鑑だと思いました。
問題は、これだけ良い図鑑が出ているのにバードウォッチャーはもちろんのこと、カメラマンは持っていない、買っていないことです。せっかくの図鑑の黄金時代なのにもったいことです。
まずは、買う図鑑としてご紹介いたします。
タイトル:見たくなる! 日本の野鳥420
著者:♪鳥くん(永井真人)、永井凱巳
本体価格:1,680円(税込み価格:1,848円)
出版社: 主婦の友社
発行:2019年10月30日
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