« 2020年1月 | トップページ | 2020年3月 »

2020年2月

2020年2月25日 (火)

Spectral Layers Pro6-3Dで声紋表示

 このブログで、3Dで声紋を表示したり、まるで音を画像のように編集できるとアプリケーションとしてSpectral Layers Pro2.1を紹介したのは、2014年のこと。6年前になります。
 http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2014/08/spectral-layers.html
  今回、Windows10にしたので、確認のために起動したら動きません。再度、インストールしてもパスが通らず、ビクとも動かなくなりました。どうも、SonyからSteinberg に権利が移ったことで、過去のシリアルナンバーは無効になってしまったようです。さらに、さらにソースネクストで販売していることもわかりました。
 ソースネクストでは、バージョンも2.1から6.0になり単品で42,677円です。ただし、ソースネクストのサイトには「VEGAS Pro 17 Suiteに収録されており、単品での販売はありません」とありました。そして、VEGAS Pro 17 Suiteは、ダウンロード版で8,9890円。動画編集ソフトが中心で、さしあたって必要がないものがついてきます。2.1は単品で30.551円でしたから、そのくらいは覚悟していましたが、9万円はちょっとねと言ったところです。
  Spectral Layersで制作した3D表示の声紋は、日本野鳥の会のサイトで好評を得ていますので、これがないと困ります。思案しているところ、ソースネクストからVEGAS Pro 17 Suite(ダウンロード版)が88%OFFの9,980円で割引販売するとのメールがきました。
 https://www.sourcenext.com/pt/s/2002/m_0000045065/?i=hist
 単純に単品より安く、おまけに動画編集ソフトがついてくるとことになりました。
 さっそくダウンロード、インストールしました。
 以前、同じソースネクストから同じように割引販売しているSound Forge Pro 11を購入、インストールしたことがあります。このときも、シリアルナンバーの入れ方がよくわからないで苦労しました。要するに、メールでシリアルナンバーが来るのですが、それをどこにどう入れたらよいのかわかりにくいのです。とても不親切な構造になっています。ネットでも苦労した人が多く、経験者のブログなどを参考になんとかインストールに成功。ただ今、動いています。動きは、以前に比べてサクサク感があり、3Dもきれいです。
 ただし、英語表記です。2.1のときは、2014年内に日本語版となり英語版を購入した人は優遇されるというプレスリリースがあったのですが、あの情報はどうなってしまったのでしょうか。それだけ、音楽編集ソフトの需要が少なく、改訂がされないということが事実のようです。あと、問題はソースネクストの広告がネットを見るたびに、うるさいくらい表示されます。
 なお、割引販売は3月1日までとのこと。1万円ならば、とりあえず安いと思います。
 3d
   ウグイスのさえずりを3D表示させてみました。音の高さと強さを同時に見ることができるのは新鮮です。

2020年2月24日 (月)

地鳴きからさえずりに-六義園のウグイス

 六義園では、もう10日前ほどからウグイスがさえずっているという情報を常連さんからもらっていました。
 遠かったりノイズが多かったりで、なかなか録音できませんでした。本日は、2ヶ所でさえずりが聞かれ、なんとか録音できました。PCM-D100で録音、1,500Hz以下のノイズの軽減、ボリュームのアップ、ノイズリダクションをかけています。

 まだ、声が小さいです。鳥との距離は10mも離れていません。本格的なさえずりであれば、ピークを越えて音が歪んでしまうほど近さですが、ボリュームを増幅しています。また、頻繁に鳴いています。本来は、もっと間を開けて鳴きます。
 また、さえずりが終わったと思ったら笹鳴きをしていました。
 さえずったけれど、笹鳴きを思い出して鳴いているという感じです。
 地鳴きの時期からさえずりの時期への移行する期間があることがわかりました。

2020年2月23日 (日)

クマはぎがすごい-日光

 先日、録音機を置いた近くのスギ林です。

P1090843
  まるでバナナの皮をむいたように、スギの皮がはがされています。
 ツキノワグマの仕業だと思います。春になってスギの木が樹液を吸い上げるようになると甘みがあるために皮をはいで、なめたりかじったりします。たいした量を食べられないためか、一帯のスギの皮が剥がされていました。この周辺、数10mの間で10本はやられていました。
 まだ、木肌が白く見えますので、ここ数週間の間にツキノワグマがここにいたことになります。ただ、はがされている部分が低いため、まだ小さなクマだと思います。右奥は、上の方まではがされていますが、ばさっとはがれてしまった感じでクマ自体は小さいのではと思います。それとも2頭いたのでしょうか。
 また、クマがはいだ後にシカがかじっているようで、シカらしい歯形が下の方についています。
 ここは、日光連山に向かって最後の別荘があるところです。この先から野生の世界、この手前が人間の世界です。本来、クマはぎはもう少し山奥にあるはずですが、このところ野生と人の世界の境界が曖昧になり、人家の近くでも見られるようになりました。

2020年2月22日 (土)

不明の鳴き声-日光・追記あり

 昨日、ご紹介した日光でのタイマー録音のなかに不明の鳴き声が入っていました。
 録音開始から35分後、午前6時5分頃に鳴いていました。TASCAM DR-05で録音。ボリュームのアップをしているだけです。

 2声の鳴き声のあと、1分後に録音機のところに来て臭いを嗅いでいく音が入っていました。鼻息の音が入っています。この1分間は、カットしています。
 まだ、暗い時刻だと思います。この後にイカルの群れの地鳴きが入っていますので、鳥も活動している時間帯です。
 ただ、印象としてはケモノの鳴き声の感じです。ここには、テン、ムササビ、キツネ、タヌキ、サル、アナグマ、イノシシ、シカ、ツキノワグマがいます。鳴き声の印象からは、小型から中型のほ乳類ではないかと推測してます。 
  ほ乳類の鳴き声図鑑が欲しいとつくづく思います。

追記・Facebookにリンクさせたところ、桑島さん、竹市さんから、シカではないかとのコメントをもらいました。シカの雌の声の可能性があるとのことです。日光では、シカが増えたため昼間に聞く機会があるかもしれません。

2020年2月21日 (金)

早春の録音-日光

 ひさしぶりの録音ネタです。
 昨日まで、日光に行っていました。昔の記憶ですと、2月下旬は街の中でも雪がありました。積雪で山間の森には、車で入れないことがあったほどです。
 昨日は、男体山をはじめ日光連山は雪が見えますが、雪の量は3月のお彼岸の頃の感じです。
 ということで、お気に入りの森にタイマー録音をしかけました。
 日の出時間は午前6時20分頃なので、タイマーは5時30分から8時30分までの設定です。
  ミソサザイがさえずり始めたのは6時8分。わずか4節鳴いて、その後は静かになりました。ハシブトガラスをはじめ、イカル、シジュウカラ、ヤマガラ、キクイタダキがさえずり、カケスの鳴き声が聞こえたのは7時に近い頃で、おそらく録音機を置いた山間に朝日が差し込める時間だったのではないかと思います。
 イカルが、とても複雑な声で鳴いていました。まわりの雰囲気から、数羽の群れが地鳴きで鳴き合いながら移動していった感じです。その中の1羽が、さえずっていました。TASCAM DR-05で録音。ボリュームのアップ、2,000Hz以下のノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

 イカルは春を感じさせる鳴き声ですが、まだ冬鳥のアトリもいました。1羽が鳴いている所に、10羽程度の群れがやって来た感じです。YAMAHA W24で録音。ボリュームのアップ、1,500Hz以下のノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。


 
追記:上掲の音源を当初、マヒワといたしましたが、簗川堅治さんからアトリではないかとのご指摘がありました。精査した結果、簗川さんのご指摘のとおりだと思い、訂正いたしました。簗川さん、毎度のことながらありがとうございます。

 

 

 

2020年2月20日 (木)

日本野鳥の会のバッチ-その2

 戦前の日本野鳥の会の会員章をFacebookに掲載したところ日本野鳥の会の職員ですら、はじめて見たというコメントをもらいました。
 私は、戦前の『野鳥』誌はよく告知が出ていてバッチのイラストが掲載されていたので、あるのは知っていましたが、実物を見たのは蒲谷さんのご自宅のみ。当時はフィルムカメラでしたが、写真を撮らせてもらったほどです。
  私はこった細工から当時の職人気質のあるバッチ屋さんが作ったのではないかと、想像していました。しかし、職員のE沢さんから作者は山下史人さんではないかというメールをもらいました。
 国立国会図書館典拠データ検索・提供サービスに「ヤマシタ・ フミト」と読み、1906年生で1980年没の方の情報があります。年代的には、合致します。これ以外は、本や雑誌のイラストの作者として名前が挙がってきますが、これ以外の情報はほとんどありません。
 どこかで見たお名前だと思ったら『定本野鳥記』(春秋社・1962)の本文や月報の挿絵は山下さんでした。高校生の頃、山下さんのエナガの絵が可愛くて、模写したことを思い出しました。また、昭和時代の科学系の雑誌に掲載されている鳥の絵の多くが、山下さんの作です。いわば、藪内さん以前の野鳥画家の一人となります。
 E沢さんによると、日本で最初のレコード『野鳥の声』(ビクター・1954)についているパンフレットの表紙の絵が山下さんによるものではないかとの情報をいただきました。なんでも、パンフレットのなかに悟堂さんが「山下史人君に願った」と書いているとのことでした。
 私の持っている『野鳥の声』にはパンフレット無く、コピーを入手していました。資料の山の中から探し出すと、確かにその通りに書かれています。1980年没ですと、まだ著作権は生きていますので、レコードのジャケットをアップします。
 
Photo_20200220200201
 たしかに、バッチと印象のよく似た絵を描かれています。というか、まわりの雰囲気というか小道具がよく似ています。
 E沢さんは、さらに資料を探してみるとのこと。いずれ戦前のバッチの作者も解明されることでしょう。(おわり)

2020年2月17日 (月)

日本野鳥の会のバッチーその1

 まずは、訂正です。
 この間、アップした村田勝四郎さんデザインのバッチの水平があっていませんでした。下掲のように左下のラインを水平にするのが正しい位置となります。

Batch3_20200218085001
 こうすることで鳥が降下しているようすとなり、尾や翼の感じがより自然になります。この鳥が何か、いろいろ議論があります。ツバメ説が有力ですが、1960年発行の『野鳥』誌の100号記念号には、ほぼ3分2ページを使ってバッチの宣伝が書かれています。そのなかに「翼を強く後方尾の上にしぼって疾飛する鳥の姿(原文のまま)」と書かれ、種名は明記されていません。村田さんのイメージする鳥の姿なのでしょう。
 Facebookにリンクさせたら、バッチについてのコメントがいくつか寄せられました。村田デザインのバッチの思い出を多くの人がお持ちであることがわかりました。
 ところで、村田デザイン以前のバッチがあるのをご存じでしょうか。戦前の日本野鳥の会の会員章です。

 Img145  

 戦前の『野鳥』誌には、ほぼ毎号に次のような広告が載っていました。これは、5巻8号からの切り抜きです。
Batch2 

 本来は、中央の鳥とてっぺんの十字架は金色、周辺は銀色の加工がされています。十字架、王冠、幾何学模様、鳥、枝でしょうか。これらが、盛り込まれています。胸章ですからバッチ自体はとても小さく細工はかなり精巧です。『野鳥』誌の告知には、高さ7分5厘とありますから約23mmです。バッチの実物と告知の記事をはじめて並べて見て、気が付いたことがあります。鳥の向きが違うのです。実物は左、イラストは右を向いています。
 翼を拡げた鳥が、なんなのかわかりません。冠羽があることからレンジャク類と思っていたらワシ説がありました。
 この写真は、蒲谷鶴彦さんが所蔵しているのを撮らせてもらったものです。蒲谷さんは「野鳥のイメージが無いし、籠に入ったオウムのようで、良いデザインとは思えない」とおっしゃっていたと記憶しています。(つづく)

2020年2月15日 (土)

嘴のまわりが白いハシビロガモ-六義園

 六義園の池は、くい打ち工事のために水位を下げています。
 おかげで、コサギ、ダイサギ、アオサギは魚を捕りやすいためか常駐しています。しかし、カモたちの数が少なくなっています。
 その少なくなったハシビロガモのなかに嘴のまわりが白いものがいました。

 Northern-shoveler200215
 ハシビロガモは他のカモに比べてエクリプスの期間が長く、まだお腹の白いところに斑点のようにエクリプス羽が残っているものがいます。また、幼鳥と思われるものは全体に茶色のエクリプスであるものもいて、さまざまです。
 この嘴のまわりが白いものは、頭が黒く見えることと嘴が黒いことで雄であることは間違いないと思います。画像検索すると、このように嘴のまわりが白いものがいます。ただし、もっと幅が狭く、これほどまで白いタイプのものを見つけることはできませんでした。
 このような状態のものをエクリプスから生殖羽への移行の途中ということで、サブエクリプスと言うようです。生殖羽への移行が遅いので、去年生まれの幼鳥の可能性が高いと思いますが、この白い部分がいずれには消えるのでしょう。

2020年2月12日 (水)

『朝の小鳥』スタジオ収録-3月はさえずりの練習

  本日は、文化放送にて『朝の小鳥』のスタジオ収録でした。
 3月は日曜日が5回ありますので、地方局用と文化放送用をそれぞれ収録するため合計10本録りとなります。アナウンサーの鈴木純子さんは、ほぼ1時間シナリオを読み続けなくてはなりませんでした。皆さん、お疲れ様でした。
 3月は、のさえずりの練習の鳴き声です。この季節しか聞くことができない季節限定の鳴き方です。ぐぜりとか練習歌、あるいはサブソングと言われている鳴き声です。
 本歌のさえずりとはまったく違う鳴き方をする鳥と、ウグイスのように本歌によく似た節で鳴くものがいます。また、シジュウカラやヒガラの練習歌を聞いたことがありません。今回取り上げたのは、さえずりとはまったく違った鳴き方をする鳥たちです。共通するのは、声量が低いということ。小さな声でつぶやくように鳴く鳥たちの声です。それだけに、聞くことも少なく録音の機会も希、ある意味とっておきの音源を披露いたしました。
 
2020年3月 放送予定
3月 1日 ジョウビタキ
   8日 ツグミ
  15日  アオジ
  22日  オオルリ
  29日 コマドリ

2020年2月 9日 (日)

彫刻家 ・ 村田勝四郎と日本野鳥の会-展示会

 私が入会した1960年代の日本野鳥の会のバッチです。
 Batch1
  今では、くすんでしまいましたが、最初は金色がピカピカ光っていました。わかりにくいですが、下の部分に村田勝四郎さんのイニシャルのK.Mの文字があります。
 なお、当時の日本野鳥の会東京支部のワッペンも、このバッチのデザインから作られていました。

  Wapenp1090699

 村田勝四郎さんは彫刻家で、戦前から戦後の日本野鳥の会を支えてくれた一人です。
 当時の『野鳥』誌の扉や目次、あるいはタイトルには、よく村田さんのカットが添えられていました。
 その村田さんと日本野鳥の会の関係の展示会が開かれます。
 
 松濤美術館
 前期:2020年2月12日(水)~2月24日(月・休)
 後期:2月29日(土)~3月15日(日)
 入館料:無料
 詳しくは、下記のURLでご確認ください。
  https://shoto-museum.jp/exhibitions/2019salon/

 村田さんには、一度お会いした記憶があります。
 まだ、日本野鳥の会が財団法人となって事務所ができたばかりの頃です。当時の事務所は、渋谷の宮益坂を登り志賀昆虫社の先にありました。その後、隣にこどもの城や国連大学ができました。
 第一次第一園芸ですから1971年だったと思います。第一園芸自体が2階建てのプレハブのような構造で、事務所といっても倉庫、物置スペースを改造したようなところでした。床がぎしぎしいっていたのをおぼえています。竹下さん、蓮尾さん、市田さんが事務局員で、重泉さんご夫婦が会計をやっていた時代です。
 私は、東邦大学の4年生で、野鳥の発送のボランティアや干潟埋め立て反対の署名運動などで、毎週1回くらいは顔を出していました。
 たまたま、事務所には重泉さんご夫妻しかおらず、私がいたところに村田さんがいらっしゃいました。品の良い小柄なご老人というイメージが残っています。重泉さんが「バッチのデザインをしてくれた先生です」と言って教えてくれたと思います。
 ただ、村田デザインのバッチは当時の会員にはあまり評判が良くありませんでした。探鳥会でバッチを付けている人に会うことは希でした。今思えば、当時としては斬新すぎるデザインだったのだと思います。
 そのとき、村田さんが「野鳥の会も事務所を持つようになれた」と感慨深げに言っていたのをおぼえています。そして、「あと、これで鳥籠を飾れば野鳥の会に事務所らしくなる」というようなことを言ったと記憶しています。これには、びっくり。重泉さんの奥さんが、慌てて取り繕うようなことを言ってくれたのですが、たぶん私はボランティア作業をもくもくとしたことと思います。ですので、お話はしませんでした。
 当時の私は、TシャツにGパン、髪が長く当時流行のヒッピーのように見えたと思います。村田さんもそんな怪しい若者とは話のしようがなったのかもしれません。
 ただ、1960年に発行された『野鳥』の200号記念号には、村田さんが「どうにかならないのか」というタイトルで、飼い鳥問題から農薬問題にいたるまで野鳥を取り巻く問題を憂えています。ということは、事務所での一言、あれはジョークだったのだと今、思っています。
  「野鳥」誌のバックナンバーを調べていて村田さんの挿絵を見ると、この出来事を思い出します。
 そんな村田さんの作品をじっくりと鑑賞しにいけたらと思います。

 

2020年2月 1日 (土)

音モアを試す-その2

 耳の遠くなった私でも客観的に効果を判断できないか、考えてみました。
 まずは、住まいのある都内のマンションのベランダで試してみました。印象としては環境音が大きくなった感じですが、ノイズが大きくなるだけで鳥の声を聞くのに良いのかの判断ができません。そのため、静かなところということで、なじみのある栃木県日光に行き検証を試みました。
 日光駅の近くに発電用の貯水池があり、カモ類数10羽が集まっているため、そこで試してみました。
 バイノーラルマイクを使用し録音した音源から、音モアの効果を確かめてみました。なお、バイノーラルマイクについては下記のサイトで詳しく述べています。このURLでサイトに行き、左のメニューから「バイノーラルで野鳥録音」をご覧ください。
 http://www.birdcafe.net/howto/howtoall.htm

 まず、音モアをつけず、そのままで録音してコントロールとなる音を10分程度録音しました。次に、音モアを設置して、マットブラック、ピアノブラックをそれぞれ10分程度録音しました。

200103
 録音機は、TSCAMのDR-05を使用。録音のステータスは、48kHz/16bit、ステレオです。
マイクは、PrimoのEM4201を使用。DR-05の録音ボリュームは最大です。なお、EM4201はプラグインパワー方式のため、DR-05のメニューの録音設定でマイク電源をオンにしました。
 結果バイノーラル録音での検証は、最初は鳥の鳴き声で比較したいと思いました。しかし、鳥が同じ距離で鳴いてくれるとも思えず、またこの季節はさえずりの季節でないために鳴き声が乏しく断念いたしました。そのため、環境音で比較することにしました。
 録音した音源から環境音が一律の部分10秒程度を取り出し、Adobe AuditionCCでスペクトル表示と周波数分析を表示させ比較しました。
 その1例から解説します。
 音モアなしのコントロールです。左がスペクトル表示、右が周波数分析です。
Nomal

 音モアを装着しての表示です。
Otomorel
 周波数分析は、左右のチャンネル10秒間の平均です。まず、100Hz以下の低音部分の差がわかりやすいと思います。音モアありでは、明らかに高くなっています。装着して「ゴーッ」という環境音が大きく聞こえるとおりの結果と言えるでしょう。
 また、音モアなしでは1~2kHzの間でへこんでいますが、音モア有りでは、この部分が上がっています。また、スペクトル表示でも1~2kHzの間の黄色が強くなり、ボリュームがあることがわかります。とくにこのほかの音域でも、多少のアップが見られますが、顕著なのは1~2kHzでした。
 これは1例ですが、だいたい同じような傾向が見て取れ、マットブラックとピアノブラックの差は見いだせませんでした。
 この他、自然のなかで装着して聞くと、自分の歩く足音も大きく聞こえるなど、周辺の音が大きく聞こえる印象はありました。ただ、鳥のさえずりの多くは2kHz以上、8kHzにわたる音域で鳴いています。このシーズンは、まだ鳥がさえずっていませんので、この音域についての効果は検証できませんでした。
 短期間、それも簡便な検証方法ですが、装着することで音が大きく聞こえることは間違いないと思いました。ただ、音域によってその違いがあり、個人によって感じ方に差あるでしょう。耳の良い人には効果が感じられず、ちょっと悪くなった人に効果ありで、かなり悪い人には感じないということになるかもしれません。
 また、増幅される音域のひとつが低音域であるため、環境音の大きな都会や沢音や波音が聞こえるような環境ではノイズが大きくなるだけでしょう。いずれにしても、静かなところでのほうが効果があると感じました。
 結果、静かなところで低い声で鳴く鳥については、効果が期待できそうです。たとえば、夜の山地で鳴くオオコノハズクや遠くで鳴くミゾゴイの鳴き声をキャッチできる可能性はあると思いました。
 よしみカメラの音モアについてのURLです。性能など、確認してください。
 http://www.443c.com/product/otomore/otomore.html
 なお、音モアの販売価格は2,980円(税別)です。アマゾンだと送料無料となるようで、500円お得です。
 https://www.amazon.co.jp/dp/B07SCXW7LY?ref=myi_title_dp
 効果は、使用する環境や個人の耳の聞こえ具合によってずいぶん差がでるのではと思います。また、3,000円前後で機械的な機構がないのですから、補聴器や集音器と言った機材のような効果を期待するのは無理だと思います。
 簡単安価で、耳に手を当てた程度の効果を得られる機材として割り切って使うのならばお勧めです。(おわり)

« 2020年1月 | トップページ | 2020年3月 »