カワアイサのディスプレイ-日光
朝起きたら、日光の杉並木が大きく揺れるほどの強風でした。
前日の夕方に録音機をダムに仕掛けに行ったときは、カワアイサが10羽ほどいて雌のまわりに雄が集まってディスプレイの真っ最中、よく鳴いていました。そのシーンが録れればと思いタイマー録音を仕掛けてきました。
しかし、この強風では録音も失敗かと気落ちして回収に行きました。
音源をチェックすると、幸いなことに風が強くなったのは午前7時頃。タイマー録音は、日の出時間の6時30分の1時間前、5時30分から8時30分の3時間の設定でした。そのため、1時間以上、それほど風の影響を受けず録音されていました。
TASCAM DR-05で録音、ボリュームの増幅、500Hz以下のノイズのカット、ノイズリダクションをかけています。
カワアイサのディスプレイの鳴き声です。雄が鳴き、終わりのほうの濁った声が雌の声です。
カワアイサのディスプレイの声は、何度聞いても不思議な音に聞こえます。最後のほうの雌の「ガガガ」を聞けばカモの仲間らしいと思いますが、雄の声はとてもカモの仲間とは思えない音を出しています。
現場で聞いて、この声をどのように表現したら良いのか、考えました。カタカナで書けば「ムーン、ムーン」あるいは「ビューン、ビューン」でしょうか。私は、アイヌの楽器ムックリの音とリズムが近いように聞こえます。もし、表現するのであれば「ムックリのような音で『ビューン、ビューン』と鳴く」と書くのが近いことになります。ただ、これでも、カワアイサの神秘的な鳴き声が伝わるかどうか、疑問です。
この微妙な鳴き声をどのように表記したら良いのか、手元にある鳥類図鑑にはどのように書かれているか見てみました。驚いたことに、多くの図鑑ではカワアイサの鳴き声が書かれていませんでした。また、書いてあったのは、わずか2例で1例は雌の鳴き声、もう1例は私自身聞いたことのない声の表記でした。このムックリのような鳴き声に該当する記述を見つけることはできませんでした。もちろん、出版されている図鑑すべてを所蔵しているわけではありませんので、あらかじめご了承願います。
ウミアイサ、ミコアイサについても同様です。鳴き声による識別が必要の無い種類であることは確かですが、ディスプレイの有無は観察記録の重要なポイントです。それだけに、鳴き声についての記述は必要だと思います。
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