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2021年5月15日 (土)

『昭和の怪鳥・木魚鳥』-「野鳥」誌

 黒瀧山の木魚鳥の話を聞いた2009年当時、ネット検索したらヒットしたのは黒瀧山のある南牧村のサイトだけでした。その後、ときおり検索しましたが、拙ブログのタイトルが加わるだけ。今回、Birder誌からの原稿依頼を機会に検索したら、「野鳥」誌バックナンバー 1975年がヒットして『昭和の怪鳥木魚鳥』というタイトルが出てきました。ここ数年で日本野鳥の会の雑誌のタイトルがアップされたようです。
 『昭和の怪鳥木魚鳥』は、1975年1月号(No.340)の影山豊さんの記事でした。当時の野鳥誌は、樋口広芳さんの「鳥学講座」と高野伸二さんの「識別講座」の2本柱で、充実した内容でした。珍鳥情報も多く、この年の12月号には現会長の上田恵介さんの「大阪にシロハラクイナ」がありました。熱気が伝わってくる誌面です。
 財団法人になって5年、事務所と職員がいて活動が本格的になった頃です。ただ、職員は国民健康保険などに自前で入っていた頃で、今ならばブラックの烙印を押されたかもしれない事務所でした。
 そんな時代の誌面に、木魚鳥が載っていたのです。
 幸いにしてバックナンバーが手元にありましたので、記事をアップいたします。なお、蒲谷剛彦さんにお願いして影山さんの消息を調べてもらいましたが、すでにお亡くなりになっていました。そのため、掲載の承諾を得ることができません。もしご異存のある方がおりましたら削除いたします。 
Syouwanokaityou
 掲載誌面は「れたあず」、いわば雑誌の会員コーナーです。タイトルは「昭和の怪鳥木魚鳥」ですが、木魚鳥には「ポクポクドリ」のルビがふってありました。
 内容は、昭和49(1974)年の4月、影山さんのご近所の樹齢300年のケヤキの木から毎夕7時頃になるとかならず「ポクポクポク」という不気味な音がするようになった。近所のお寺の木魚の音かと抗議をしたが、お寺ではない。鳥の声らしいいうことになり、影山さんにお鉢が回ってきた。
 日本野鳥の会奥多摩支部の先輩・岡薫高さんもわからない。NHKに依頼して番組で取り上げられ新聞や週間誌に載ったために、毎晩2~300人の人が集まる騒動になった。警察は来るは、ゴミの始末に苦労する上に屋台が出る始末。
 高野伸二先生と蒲谷鶴彦先生にも来てもらったが、あいにくその夜は聞かれなかった。両先生に録音を聞いてもらったが「一度も聞いたことがない声だ」とのこと。
 この声は5月末頃まで聞かれ、6月になるとパッタリと止んだ。
 野鳥の会の方々で、正体を知っている方がいらしたら教えて欲しい。
 以上が、概略です。
 鳴く時期、時間、環境からかなりオオコノハズクの可能性が高いと思います。
 ただ、オオコノハズクの鳴き声は、かなり小さいので、話題になるほど聞こえるかという懸念もあります。影山さんが高野さんと蒲谷さんに聞かせたテープが残っていれば、確認できるのですが、今となっては無理でしょう。
 この記事を読んで、かすかに思い出しました。「謎の鳥の声がして屋台が出た」くらいの記憶です。当時、私は日本鳥類保護連盟の職員でした。高野さんは編集委員でほぼ毎月、蒲谷さんは企画委員で年1回、会議でお会いしております。お二人、あるいはどちらからか、聞いたのでしょう。たぶん、当時はそんなこともあるんだくらいの認識で、今となっては、もう少し詳しく聞いておくのだったと後悔しています。

参考文献
影山豊 1975 昭和の怪鳥木魚鳥 野鳥 Vol.40,No.1,p6-7

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