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2022年4月

2022年4月30日 (土)

長くさえずる、たぶんシロハラ-六義園

 今朝の録音にえんえんとさえずるシロハラと思われるさえずりが入っていました。
 タスカムのX8で録音、ボリュームの増幅、2,000Hz以下の低音の軽減、ノイズリダクションをかけています。

 アカハラ系の鳴き方ですが、アカハラ特有の3音節目の「チリリ」がないことでシロハラの可能性があると思いました。
 このさえずりは、午前4時55分から始まり2時間50分後の8時前まで断続的に鳴き、合計1時間12分間鳴いていました。
 今まで2時間さえずり続けるオオルリなどの記録がありますが、ほとんどが30分ていどで鳴きやみます。1時間を超えるさえずりは、そうとう力の入った雄だと思います。
 六義園では、シロハラにとっては越冬地です。先日アップした越冬していたと思われるシロハラのさえずりとは節に違いがありますので、別のシロハラだと思います。このシロハラは渡りの途中、六義園に立ち寄ったものでしょう。
 中継地にかかわらず、エネルギーを使ってさえずる意味は、何なのでしょう。さえずりの定義について、疑問がわいてきました。

2022年4月29日 (金)

カッコウで良いですよね-六義園

 天候の合間をぬって、昨夜から今朝にかけて六義園に向けて録音を試みました。
 夜中もいろいろな不明の声や音が入っていて、夜の森はにぎやかです。そのなかにカッコウらしい鳴き声が入っていました。
 タスカムX8で録音、ボリュームの増幅、500Hz以下の低音の削減、ノイズリダクションをかけています。

 距離があるのと低い音のため環境ノイズの領域にあります。そのため、かなり編集加工しています。
 時刻は午前3時30分頃、深夜ともいえる時間帯です。この一声のみです。
 カッコウにしては、音がひとつたりません。また、一声というのもカッコウらしくない鳴き方です。でも、聞く限りカッコウがいちばん近いと思いました。
 今まで夜の録音にカッコウが入っていたことはなく、聞いたこともありませんでした。そのため、カッコウは夜は鳴かず、渡りも昼間するものと思っていました。
 この鳴き声から、カッコウも夜に渡ることがありそうです。それも鳴きながら飛んで行くのは、他のホトトギス類と同じでした。
 過去に夜鳴くホトトギス類と昼だけのホトトギス類の違いを記事にしたことがあります。夜鳴くホトトギス、ジュウイチ、セグロカッコウは目が大きい、昼だけのカッコウ、ツツドリは比較して目が小さいという持論が、このカッコウの一声で崩れました。

 

2022年4月28日 (木)

今朝のキビタキ-六義園

 今朝の録音には、キビタキのさえずりが入っていました。
 午前5時10分頃です。およそ5分間にわたってさえずっていました。
 タスカムX8で録音、ボリュームの増幅、2,000Hz以下のノイズのカット、ノイズリダクションをかけています。

 かなり遠いところで鳴いているため、増幅しています。そのため、ノイズを取るために強めにノイズリダクションをかけていますので、音が硬めになってしまいました。
 周辺の公園や緑地では、夏鳥たちがつぎつぎと記録されています。しかし、六義園での出会いは少なめ。常連さんたち、全員が楽しめるほどのチャンスがなかなか廻ってこないと言ったらよいでしょうか。
 私のほぼ毎日、行っている録音にも夏鳥のさえずりが入っていることはなく、シジュウカラとハシブトガラス、ときおりメジロ。ヒヨドリさえ減ってきました。
 ですから、今朝のキビタキはやっと夏鳥らしい夏鳥のさえずりの録音となりました。

2022年4月27日 (水)

『奥入瀬渓流 きのこ ハンドブック』-ご案内

 NPO法人奥入瀬自然観光資源研究会の河井大輔さんより、『奥入瀬渓流 きのこ ハンドブック 春-初夏編』をいただきましたので、ご案内です。
Kinoko
 『北海道野鳥図鑑』など、図鑑つくりには定評があり、奥入瀬に入れ込んでいる河井さんが今度は、きのこの図鑑を出しました。樹木はもとよりコケ、シダとくれば、きのこはさけて通れないとはいえ、充実した図鑑となっています。
 開いて驚くのは、きのこの名前が大きく漢字で書かれていることです。平茸あたりはヒラタケはわかります。しかし、漢字で書くとオオワライタケの大笑茸は、おかしいです。ムカシオオミダレダケが昔大乱茸って、なにか凄い名前です。アラゲコベニチャワンダケはカタカナで読むと意味不明ですが、漢字で書くと粗毛小紅茶碗茸となり、載っている写真のイメージで理解できます。
 しょせんカタカナは記号でしかないため、音は伝わってきても意味が伝わりません。それぞれの種には、意味のある名前がついているはずで、漢字で表記することでそれがよくわかり、おかげで名前を覚えられます。なにより、きのこ学者が命名に苦労したことだろうなあと思いながら眺めました。
 もちろん、解説はていねいで、初心者にわかるように語りかけるような文体です。写真も豊富に掲載されています。きのこで困るのは、成長段階で形が変化してしまうことです。それを複数の写真でフォローしてくれます。
 私のフィールドの六義園でも共通種がありそうなので、これからのきのこの季節です。判型は、ポケットに入る大きさなのでお供させたいと思います。

アマゾンで入手可能です。下記URLを参照にしてください。
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%8D%E3%81%AE%E3%81%93%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%EF%BC%88%E6%98%A5%EF%BD%9E%E5%88%9D%E5%A4%8F%EF%BC%89-%E6%B2%B3%E4%BA%95%E5%A4%A7%E8%BC%94/dp/4991108098/ref=sr_1_3?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=GO0CW6RNRLHF&keywords=%E3%81%8D%E3%81%AE%E3%81%93+%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF&qid=1651036231&s=books&sprefix=%E3%81%8D%E3%81%AE%E3%81%93+%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%2Cstripbooks%2C171&sr=1-3

2022年4月24日 (日)

六義園、やっと夏鳥。そしてBirder5月号の紹介

 Portacapture X8(以下、X8)を手に入れたことで、設定を変えての録音を試みています。しかし。このところ夜から朝に雨が多く、ベランダから六義園に向けての録音でさえろくにできません。
 六義園の常連さんたちは、夏鳥が姿を見せてくれないのでいささか消化不良気味。周辺の公園の仲間からは、オオルリはもとよりサンコウチョウまで見つかっているのですから、なんで六義園はこないのということになります。なにしろ、まだアトリやツグミがいたりして鳥的には冬の六義園です。
 ところが、本日の録音ではやっと夏鳥らしい夏鳥が録れました。センダイムシクイとシロハラとの競演です。シロハラは冬鳥ですが、これから北へ渡る途中でしょうか。この2種類がいっしょに鳴き合うのは、この季節の六義園ならではの出会いです。
 X8でマニュアル録音。ボリュームの増幅、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

 センダイムシクイのさえずりは、最後の「ビーィ」がしっかりした鳴き方でした。北海道など北日本のものは、この「ビーィ」がないか、頻度が少ない傾向があります。関東地方どまりのセンダイムシクイなのでしょう。
 ところで、紹介が遅れましたが、Birder誌5月号の特集「春の渡りの愉しみかた」に寄稿しました。「声でさがす春の渡り鳥図鑑」です。公園編と干潟田園編で、37種類を解説しています。
Birdermag1
 六義園や日光などの経験から渡りの傾向を解説しています。図鑑には書いていない情報です。また、鳥によっては渡りと途中ならではの鳴き方をするものもいます。こうした希な鳴き方は、ネットでアップされることもありません。「文一AR」で、こうした音声も聞くことができます。
 どうぞ、これから夏鳥たちを歓迎するためにも「Birder 5月号」を参考にしていただければと思います

2022年4月21日 (木)

日本野鳥の会名誉会長・柳生博さん-訃報

 日本野鳥の会の元会長、柳生博さんがお亡くなりになりました。
 素面のときは「松田さん」、酔うと「お~い、松田」というつきあいをさせていただきました。
 ちょうど、柳生さんが会長になった2004年に評議員になり、その後、評議員議長、理事と歴任した間、会長としてお世話になりました。
 とにかく日本野鳥の会にお金がないのを知っての会長就任でしたからノーギャラ、さらに他の仕事で地方に出向いた際には地元の支部と交流の機会を作るなど、日本野鳥の会に負担のかからない心遣いをしていただきました。結果、歴代会長のなかで、もっとも地方まわりをした会長になったのではないでしょうか。
 柳生さんの楽しみは、理事会のあとに懇親会でした。とにかく、私たちに囲まれて飲んで話をするのが楽しそうで、この人は自然や鳥も好きだけど、人も好きな人なんだとつくづく思いました。
 ただ、お酒が入って話が長くなるのは人の常。気が付くと午後6時から始まった酒宴は10時になっていることもありました。役者だけに話がうまくて面白いのですから、時間のたつのを忘れます。
 アニメ「ルパン3世」の峰不二子の声優だった奥さんのほうが先に売れてしばらくはヒモ状態だった話とか、最初の映画出演でたった一言の台詞にOKが出ないで苦労した話、軽トラでスタジオに行ったらガードマンに「業者は向こう!」と間違えられた話などなど。
 こうした話が切れ目なく続くのですから、あっと言う間に時間がたってしまいます。それにしても、話の多くを覚えているのは、私は素面だったことになります。
 思い出はつきませんが、柳生会長にはたいへんお世話になりました。感謝の言葉しかありません。
 ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
 写真は、日本野鳥の会の役員会にて。田村剛さんと柳生さんの両巨頭に囲まれた私です。

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2022年4月16日 (土)

夏鳥を迎える準備ーウインドジャマー

 野鳥録音のコツのひとつが、いかに風をさけるかです。
 野鳥録音を始めて知ったことのひとつに、自然の中はいつも風が吹いていることがあります。とくにお昼を過ぎた頃から、いちだんと吹き始めます。
 風がマイクに当たると「ボッ。ボッ」という音になってしまいます。風には音がないので風が立てる音が大きくなれば、録音は終了です。
 風のこないところで録音したり、自分の身体で風をよけたりもします。もっとも簡単な方法は、ジャマーを付けての風よけです。
 ジャマーは、風防、ウインドジャマー、ウインドスクリーン、あるはボアボアと呼ばれています。布製とスポンジ製があって、布製は高め、スポンジ製は安価です。
 以前、記事にしたようにスポンジ製の簡単なものでも、効果は十分あります。
 ご参考までに過去の記事「ウインドスクリーンの効果」です。
http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2011/01/post-4441.html
 ところで、断捨離のため機材の整理をしていたら、以前愛用していたステレオマイクが、黒い粉に覆われているのに気が付きました。一瞬なんだかわかりませんでしたが、よく見るとマイクにかぶせてあったスポンジ製のジャマーでした。スポンジが劣化して粉のようになっていたのです。残った部分も触ると、ボロボロと粉になってしまいました。
 PCM-D1などメモリ録音機を使うようになって、かれこれ16年。その間に劣化したことになります。ちなみにオーディオテクニカのマイクに合わせた純正品のはずですから、安ものではありません。
 他のスポンジ製のジャマーも気になって、チェックしたところ、弾力性が失われ目がつまったものが多数ありました。ほとんどが、秋葉原のトモカ電気で買ったもので、5~600円くらいのものです。YAMAHA W24の合わせて買ったものが多いため、だいたい10年でダメになったことになります。
 ということで、スポンジ製のジャマーは安いけれど、劣化もあるということで、すべて布製に切り替えることにしました。また、布製のほうがマイクの保護にもより効果があると思います。
 現状、タスカムのWS-11がタスカムのDR-05はもとより、SONY PCM-100,YAMAHA W24,OLYMPUS LS-14など、小型の録音機に合います。また、以前は布製ジャマーは高く、1万円以上が当たり前の金額でした。ところが、WS-11は常識を打ち破って1,000円台です。思わず日本野鳥の会の通販サイトで、今回3個購入しました。

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 ということで、布製ジャマーの洗濯です。夏鳥たちを迎える準備も万端。野鳥録音をして良かったと思う季節の到来です。

2022年4月15日 (金)

バッテリー、持続時間の実験-Portacapture X8[追記あり]

 このところの関心事、新しく購入した録音機のタスカムのPortacapture X8(以下、X8)の性能です。
 とくに電池の持ちが気になります。もちろんカタログには記載されている性能ですが、今までの経験上、そのとおりにはいかないことがよくあります。メーカーのサイトでは「44.1kHz/24bit でEVOLTA使用で連続11時間の録音」となっています。48kHz/16bitでの録音であること、eneloopを使用してことから比較することは難しいためフィールドでの実測値を調べてみました。
 まずは、本体+eneloop単3×4本で、何時間録音できるかです。X8には、いろいろ設定がありますので、その設定によってはバッテリーの消耗時間も異なることになります。あくまでも目安として、参考にしていただければと思います。
 設定のなかのFIELDに野鳥モードがあり、とりあえずこのモードにしました。さらに液晶を暗くし、コントラストを落とすなどができます。録音は、48kHz/16bit、ステレオです。
 この条件下での本体に入れたeneloop4本のみの稼働時間です。
 1回目 7時間1分
 2回目 8時間13分
 3回目 7時間42分
 1時間以上の差が出たのは、驚きでした。eneloopは、フル充電し電池マークが満タンになっていることを確認しています。ただ、充電スケジュールの都合で、すべて別のeneloopを使用しています。時間が短いものは、5年ほど古い可能性があります。また、新しいものは1年以上前に購入したはずです。念のため、この3日間の気温に大きな差はありませんでした。
 ということで、新鮮なeneloopを使用して8時間。劣化したもので7時間程度と、思っていたほうがよろしいでしょう。
 次に、モバイルバッテリーの使用です。
P1120066  
 メーカーが給電に奨励しているモバイルバッテリーの性能は、供給電圧5V、供給電流1.5Aです。以前、記事にした防水性のモバイルバッテリーBMPB10000WPBKが、5V、2.1Aですので、メーカーの奨励している機能はクリアしています。
 http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2020/10/post-54677b.html
 いざ装着しようと思ったら、X8側のUSB端子がType-Cでした。Type-Cのコードがないので、ヨドバシの通販で入手。これで、図らずもUSBの端子がすべて揃ったことになります。ただ小さなType-Cは抜けやすいです。設置するときに抜けてしましたので、注意が必要です。
 また、バッテリーを入れたままつなぐとバッテリー・マークの表示なので、本体に入れてある4本のeneloopを抜きました。そしてつなぐと、USBマークになりました。これでOKなはずです。結果は、13時間23分、およそ13時間30分となりました。
 計算上は、eneloop11本分に相当いたしますが、バッテリーの劣化、放電もあってのことと思います。
 つぎに、専用のバッテリーパックBP-6AAです。
P1120064  
 これには、eneloopを6本が入ります。さらに本体の4本を足して10本となり、モバイルバッテリーに匹敵するAを供給することになります。
 結果は、15時間56分。ざっと16時間となりました。
 もっとも長いのが、バッテリーパック、ついでモバイルバッテリーとなり、いずれも12時間を超えての録音が可能なことがわかりました。どちらかの方法をとれば、夕方に設置して、夜明け前のゴールデンタイムをフォローしても余裕があることがわかりました。
 今回、eneloopを使用しましたが、新旧おりまぜてのためeneloop1本が19,000㎃(0,19A)という計算どおりには行かないこともわかりました。ある意味、X8の性能よりeneloopの鮮度などが影響している可能性が大でした。
 いずれにしても、鮮度の良いものを使用すること、時間の余裕を持って設置するなどの工夫が必要でしょう。 

[追記]
 あまりにもeneloop4本使用におけるばらつきが大きかったため、新しいeneloopを購入し確かめました。結果は、
4回目 8時間22分
 でした。2回目が8時間13分でしたから、2回目に使用したものは、ここ1年で購入したもので、比較的新鮮なものであったことがわかります。
 いずれにしても、eneloopは新しいものを使うことをお勧めします。
 

2022年4月13日 (水)

聞いたことありそうな不明の声-六義園

 X8によるバッテリーの実験を続けています。
 今朝の録音に入っていた不明の鳴き声です。かなり高い声です。とくにはじめの2音は高く8,000~9,000Hです。次の2音も6,000~8,000Hzにかけて縦に伸びています。私には、そうとう増幅しないと聞こえません。
 しいてカタカナで表現すれば「チチ、チュルル」でしょうか。この節をほぼ同じ間をあけて、3分ほど鳴き続けていました。近くなって大きくなっていましたので、鳴きながら移動していたと思います。時刻は。午前5時40分頃、明るい時間帯です。
 X8で録音、5,000Hz以下のノイズをカット、ボリュームの増幅、ノイズリダクションをかけています。

 高音のため、再生装置によっては聞けないか聞きづらいと思います。あらかじめご了承ください、また、シジュウカラのさえずりとかぶっているところがありますので、ご注意ください。声紋のパターンを見たときは、シジュウカラのバリエーションかと思いましたが、よく見ると別の鳴き声であることわかりました。シジュウカラのほうが遠くで鳴いています。
 どこかで聞いたことのあるようなさえずりなので、いろいろ過去の音源を聞いてみましたが一致するものはありませんでした。強いて言うと音質が、キクイタダキに似ていてます。ただし、キクイタダキのさえずりは細かい震えるような節がありますので、パターンは異なります。それともキクイタダキのさえずりの練習なのでしょうか。
 今年の六義園では、コウライウグイス、マミチャジナイ、そして今日はアオアシシギが声のみですが記録されました。何が出現してもおかしくない渡り鳥の季節です。
 いつものように備忘録としてアップしておきます。

2022年4月12日 (火)

マミチャジナイのさえずり-六義園+X8

 タスカムの新機種Portacapture X8(以下、X8)を購入して、まずは六義園に向けての長時間録音を試しています。
 最初は、寝る前の午後10時からeneloopのエネルギーが続く限り8時間余り。午前6時までの録音です。現在、日の出時刻は5時15分です。そのため、六義園の早朝のコーラスのピークは4時台ですので、じゅうぶんフォローできました。
 ということで、録音されていたのは、なんとマミチャジナイのさえずりでした。
 X8で録音。ボリュームの増幅、1,500Hz以下の低音の軽減、ノイズリダクションをかけています。

 マミチャジナイは、秋の渡りの印象が強い鳥です。それが、春にさえずって六義園にいるとは予想外でした。それも、試しのX8の2回目の録音に入っていたとは、なんとも運の良いことでしょう。
 マミチャジナイは、はじめは遠くで鳴きだんだん近くなり、アップした音源はかなり近く、おそらく数10mしか離れていないと思います。
 大型ツグミ類のさえずりの識別ポイントについて、解説された記述は少ないです。同じ節を繰り返すタイプのさえずり方をするツグミ、シロハラ、アカハラ、そしてマミチャジナイについて、今までの経験から述べておきます。
 いずれも、1,500~3,500Hzと野鳥の鳴き声としては低めです。コーラスのなかではシジュウカラとハシブトガラスの間にある空間にパターンがでることが多く、ウグイスやヒヨドリの低い声とかぶります。
 ツグミは、ときどき「ケスケス」などの地鳴きを交えることで区別できると思っています。
 アカハラは、「キョロン、キョロン、チリリ」の2音と別音1音、3音構成で、「キョロン、キョロン」が平坦、1音と2音の変化が少ないことと「チリリ」あることが特徴だと思います。また、同じ節を何度も長く繰り返すことが多く、節ごとに変化をつけるシロハラとの違いだと思っています。
 シロハラの節ごとの変化は「キョロン、キョロン」の1音と2音に抑揚の違いがあり、高い低い、低い高いと変化します。また「チリリ」がないか短い節が多です。
 ただ、アカハラ、シロハラともバリエーションが多く、判断に迷うさえずりがあって、生息地や季節によっては姿の確認をしたほう良いでしょう。
 マミチャジナイは、蒲谷鶴彦さんの『野鳥大鑑』に収録されている音源、私が新潟県粟島で録音した音源、ネットでアップされている音源などを聞きますと、さほどバリエーションは多いとは思えません。一度覚えれば、間違えることの少ないさえずりだと思います。
 アップしたさえずりをお聞きいただくとわかると思いますが、アカハラなどにくらべ軽やかなテンポで、はずむように聞こえます。音質も澄んでいて声紋のパターンがはっきりと出るタイプです。
 マミチャジナイのさえずりが頭に入っているバードウォッチャーは少ないと思います。多少知識があれば、アカハラにしてしまうでしょう。しかし、このパターンをマスターしておけば、春の渡りのマミチャジナイに出会えることがあるかもしれません。なんども聞いて、頭にしみこませておくことをお勧めします。
 それにしても、2回目のX8の録音で、珍しいマミチャジナイを録音できるとは、なんとも幸先のよいことでしょう。

2022年4月11日 (月)

『朝の小鳥』スタジオ収録-5月は瀬波海岸の鳥

 昨日は、文化放送の『朝の小鳥』のスタジオ収録でした。
 zoomでの参加です。
 今日収録した5月の放送分は、新潟県村上市の瀬波海岸の鳥たちです。瀬波は、粟島に行く途中に寄りました。朝イチで東京を発てば、昼には粟島に着きます。当時「朝の小鳥」の収録がありましたで、午後イチに出発して瀬波で一泊、粟島に行ったときの取材です。瀬波は、まだコロナ前でしたので、けっこう繁盛している温泉街の印象がありました。
 ホテルから道路を挟んで、すぐに防風林が広がっていて、バードウォッチングや散歩にはことかかない環境でした。カワラヒワ、ウグイス、ホオジロ、メジロと言った出会いの多い鳥ばかりですが、それだけに身近に出会えるはずです。放送を聞いて、鳥の名前がわかるリスナーも多いことと思います。
 瀬波は日本海に沈む夕日が名物でした。赤く染まった海と黒くシルエットで浮かび上がる粟島を見ながらの夕食は最高でした。また、瀬波にはアナウンサーの鈴木純子さんも訪れたことがあるとのこと。思い出しながら、シナリオを読んでいただきました。
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2022年5月 放送予定
 1日 カワラヒワ
 8日 キジ
15日 ホオジロ
22日 メジロ
29日 ウグイス

2022年4月10日 (日)

タスカム Portacapture X8-ファーストインプレ

 ちょっと前から気になっていた新機種、タスカムのPortacapture X8(以下、X8)を購入いたしました。新しい機材で、野鳥の素晴らしいさえずりの季節を迎えたいと思い、ポチリました。
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 通販サイトのレビューでは「入手難だ」「やっと入手した」などの書き込みもあり、品薄状態なことがわかります。タスカムのY本さんの話では、営業にもデモ機がやっと1台届いた状態だそうです。現在の市場在庫がなくなると、次回の入荷は6月以降になるとか。6月では、もう鳥の季節に間に合わないかもしれないと思い、買うのは今でしょうということになりました。
 通販サイトをチェックしたときは、いちばん安いアマゾンでは最後の1台。現在でも4台の在庫となっています。ポイントを加味すれば、ほぼ同じ価格となるヨドバシでも「在庫残少」、1日早く届くヨドバシにしました。
 ヨドバシ価格65,78円(-ポイント6,540円)で59,240円、ほぼ6万円となりました。
 不思議なことに、ソニーのPCM-D100はアマゾンで現在93,727円、ネットオークションでは12万円の値段が付くことがあります。PCM-D100は、8年前の機種で2014年に私が購入したときは82,000円でした。それが、8年経っても安くならず、かえって値上がっていることを考えると、それからの技術の発展、盛り込まれた機能からX8の6万円は妥当な金額だと思いました。
 手にした印象は、でかい、重いです。DR-05などのICレコーダーになれた手には、大きく感じ重さもあります。
 大きさは良いたとえがないのですが、天地はマイク部分を除いて文庫本より幅が狭く、厚さは読みでのある文庫本ていどといったら良いでしょうか。重厚なプラスチックの材質から感じませんが、文庫本より小さいことになります。また、私のフィールドコート(Eddie Bauer)のポケットに入る大きさでした。
 重さはeneloop単3、4本を入れて約500g。中型の双眼鏡の重さとほぼ同じとなります。双眼鏡をもう一台、持った感じになります。
 X8の売りは、操作の多くを液晶ディスプレイのタッチパネルで行うことでしょう。今やスマホでタッチパネルになれた者にとって、これは便利、楽ちんということになります。現状の使用では、私のiPhone SEの反応と違和感はなく、同等の反応だと思いました。
 録音、音にこだわる人にとっては、192kHz/32biという高品位で録音ができることに魅力を感じるでしょう。D100が192/24bitですから、もう一段高品位です。高音域で鳴く野鳥の声を近くで録音したら倍音がどこまでひろがっているかなど、高品位録音ならではの世界が広がるかもしれません。
 私にとっては、バッテリーの持ちが課題です。大きな液晶やインジケーターとバッテリーの消耗が激しそうです。要するに、前日の夕方に山に置いて稼働させ、翌朝の午前3~4時のゴールデンタイムを録音できればOKなのです。48kHz/16bitでぎりぎり12時間、できたら14時間録音できたらうれしいといったところです。
 現状、やや古いeneloopを使用して8時間13分でした。液晶を暗くするなど、バッテリーを食いそうな設定をoffにしていますが、これだと夕食後に山に入らないとなりません。今後、USBモバイルバッテリーや専用バッテリーケースなどで、どこまでこの時間を伸ばせるか、いろいろ試して行きたいと思います。
 まずは、ファーストインプレです。ご参考までに・・・

 

2022年4月 8日 (金)

『あした出会える野鳥 100』-ご紹介

 菅原貴徳さんより『あした出会える野鳥100』をいただきましたので、ご紹介いたします。
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 このところ、初心者向けの図鑑が豊作です。
 つい日本産の野鳥が全部載っている図鑑、識別の難しい種類も詳しく解説されている図鑑に目が行きがちです。しかし、初心者にとっては、かえってたくさん種類が載っている中から名前を調べる図鑑は使いこなすのに苦労します。バードウォッチングの普及や身近な野鳥でまずは野鳥に親しんでもらうためには、ある程度種類を絞った図鑑のほうがわかりやすいことになります。本書は、タイトルとおり100種が厳選されています。
 ただ、初心者向けの図鑑の評価は、難しいものがあります。私にとっては、50年以上前の気持ちになって読むことはできませんし、初心者の方はほんとうにこれで良いのかの判断ができないはずです。そのようななかで、本書は菅原さんの写真がまずきれい、それも種類を区別しやすい写真なのでわかりやすいことは、本をパラパラめくるだけでもわかると思います。
 加えて、柴田佳秀さんのわかりやすく、いかにその鳥の特徴を伝えようかと工夫された解説文が、鳥の名前を知るために強力な武器となっています。たとえば「くちばしの白いのはオオバンだけなので識別は簡単。」これで、くどくどと特徴を述べるより、初心者にとっては一目瞭然、一発で名前がわかってうれしくなるはずです。
 カメラの品評のために野鳥の写真を撮っている人にとって、まずは鳥の名前を覚えてもらい、野鳥とのつきあい方を知るためにも、手元に置いておいて欲しい図鑑です。
 菅原さん、ありがとうございました。

 アマゾンのURLです。https://www.amazon.co.jp/%E6%95%A3%E6%AD%A9%E9%81%93%E3%81%AE%E5%9B%B3%E9%91%91-%E3%81%82%E3%81%97%E3%81%9F%E5%87%BA%E4%BC%9A%E3%81%88%E3%82%8B%E9%87%8E%E9%B3%A5100-%E6%9F%B4%E7%94%B0-%E4%BD%B3%E7%A7%80/dp/4635063062/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=UTS1S5M9I5IC&keywords=%E3%81%82%E3%81%97%E3%81%9F%E5%87%BA%E4%BC%9A%E3%81%88%E3%82%8B%E9%87%8E%E9%B3%A5&qid=1649454999&s=books&sprefix=%E3%81%82%E3%81%97%E3%81%9F%E5%87%BA%E4%BC%9A%E3%81%88%E3%82%8B%E9%87%8E%E9%B3%A5%2Cstripbooks%2C166&sr=1-1

2022年4月 6日 (水)

長く鳴くカルガモ-六義園

 先月30日のタイマー録音の記録からです。
 六義園には、カルガモが一番い、池にいます。
 今までの録音でも、ときおり鳴き声が入っていました。
 家から池までは50mはあり、カルガモがいるところまでは100m以上は離れていると思いますが、よく聞こえます。
 ところで、30日は異常なくらい長い間、鳴き続けていました。
 鳴きはじめた時刻は、午前5時46分です。この日の夜明け時刻の5時30分頃ですから、明るくなってからのことです。
 鳴きやんだのは、6時31分。およそ47分間にわたって鳴いていました。この間、途切れることがありましたが、それも数秒のことです。音が遠くなることもありましたので、移動しながら鳴いているようです。
 DR-05でタイマー録音。ボリュームの増幅、1,500Hz以下のノイズのカット、ノイズリダクションをかけています。

 だいたいこの調子で、鳴き続けていました。途中で、変化することはありませんでした。
 この数日、タイマー録音を仕掛けておくと、カルガモの鳴き声が入ることはありましたが、いずれも短いものでせいぜい10秒程度です。それが、45分も鳴き続けるとは、なにかあったのでしょうか。
 この鳴き声は、警戒に近いと思います。カルガモを狙うネコが、45分も狙い続けるとは思えません。明るくなっている時間帯なので、オオタカが池のほとりの木にとまっていたのでしょうか。オオタカならば、45分間とまり続ける可能性もゼロではないでしょう。
 早朝の六義園で、すでに鳥たちの命をかけた生活がはじまっていたのかもしれません。

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