タスカム Portacapture X8を使ってみた-その1
野鳥録音に必要な録音機の機能は、それほど多くありません。良い音で確実に録音できれば良いのです。そのため、操作性の簡便さ、バッテリーの持続時間、丈夫なボディ、できればタイマー機能があればありがたいと言ったところです。
しかし、メーカーとしてはフラッグシップ機として上位機ほど機能が盛られた機種を開発し発売することになります。今回、発売されたタスカムのPortacapture X8(以下、X8)もそのような位置付けの機種です。
トッピングは味付け卵1個で良いのに、全部乗せが出てきて年寄りには胃に重いという感じと言ったら良いでしょうか。
少なくとも、外部入力用の4端子は不要です。野外で野鳥が鳴いているを聞きながらミキシングする余裕が、果たしてどれだけあるか疑問です。この端子がなくなれば、サイズは3分の2くらいの大きさになることでしょうし、価格も安くなると思えば、もったいない機能です。
ただ、野鳥録音に必要のない機能があったとしても、フラッグシップ機と謳っている以上、マイク性能に期待します。また、32bit Fioat録音によるピークオーバーした音のレスキューが可能というのも興味あります。
それ以前に大きな液晶ディスプレイによるタッチパネル方式の操作は、今までの録音機にはない設計であり、はたして使えるのか。重ねて興味のあるところです。
加えて録音モードのFieldのなかに「野鳥」があることが、なんだかうれしいX8ということになります。
なんのかんの言っても新しいおもちゃを手に入れた子ども同様、新しい機種を手にすればわくわく感はたまりません。ということで、ここまで使用した経験からの設定など使用方法を解説します。
なお、録音の方法から設定などは、あくまでも私の録音の仕方からのセッテングです。これにこだわらず、自由に設定していただければと思います。参考になれば幸いということでのまずは紹介です。
なお、X8のファーストインプレを記事にしています。
http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2022/04/post-a3f849.html
私の野鳥録音の方法は、とにかく野鳥の鳴き声を収録することです。マイクを向けたら鳴きやんでしまった、録音機のスイッチを入れたら静かになったということは良くあります。ですから、鳴いていたらとにかく録音します。
しばらくして鳴き声がある程度録れて一段落したら、まわりのノイズの状況やマイクの方向などを考え、場所を変えたりします。ですから、録音しながら設定を変えたり、調整することはほとんどしません。
動くことで野鳥を警戒させ鳴きやんだら元も子もなくなってしまいますから、動きは最小限、息を殺して録音します。
また、自然のなかに長い時間、たとえば1晩置いて夜の鳥から早朝のコーラスまで録音する長時間録音を行います。編集時間の節約のためにタイマー機能があると楽なのですが、ない場合は夕方に設置して翌日の午前中に回収します。この場合も途中で、設定を変えることはできません。
ですので、各種の設定は事前に行い固定しています。そのため、音の調整は録音したあとにコンピュータでアプリを使って行うことになります。録音ボリューム、左右のバランスの調整をはじめノイズの除去などの加工を行います。
私たちが聞いている音と録音機が録音してくれる音が違うのは、機会があるごとに述べています。人は聞きたい音を聞き脳が増幅しているのですが、録音機は正直にノイズもしっかりと録ってくれます。ですから、編集では脳が調整してくれた現場で聞いた音を再現することになります。人に聞かせる音にするためのコツといえるでしょう。
私にとっては、録音機に編集加工に耐えうる音源を確実に収録することができる機能があれば良いことになります。はたして、X8はそれに耐えうるのか。短い期間ですが、検証を試みました。(つづく)
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