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2022年6月

2022年6月25日 (土)

タスカムDR-05のVer3.0とXの違いーその2

 DR-05のVer3.0とXについて音の違いを探ってみます。
 S/N比は、カタログによるとVer3.0が92dB以上、Xが94db以上とわずかにXの方が性能が良いことになっています。この差はノイズの多い自然のなかでの録音では誤差範囲、違いを感じる数値ではないでしょう。
 実際に録音した音で比較してみたいと思います。録音設定は、48kHz/16bit、ステレオです。タイマー録音で収録、地上1mほどの木の枝に2台を重ねて置いています。
 音源からほぼ同じ場所の音声を切り出しフェードイン、フェードアウトをかけている以外の編集加工は行っていません。
 まず録音時のゲイン、音の大きさについて波形表示で比較してみます。どちらも録音レベルは最高の90、フルボリュームで録音しています。モノラルに変換しています。
 環境のノイズを波形で見ると、Ver3.0がピークが35dbあたりまであるのに対し、Xは45dbと低めです。
 DR-05 Ver3.0
Noisev31
 DR-05 X

Noisex1

 ノイズの状態をスペクタクル表示で見てみます。モノラルに変換しています。全体に均一にノイズがあることがわかりますが、濃淡の違いになるほど大きな差はありませんでした。
 DR-05 Ver3.0

Noisev32

 DR-05 X

Noisex2

 上掲の音源です。野鳥たちがさえずりはじめる前の静かな状態での録音です。おそらく、現場では無音と感じる状況です。「ゴー」という音がVer3.0のほうが、わずかに大きく聞こえます。
 DR-05 Ver3.0

 DR-05 X

 低い音の例。フクロウの鳴き声です。大きな違いを感じることができませんでした。
 DR-05 Ver3.0

 DR-05 X

 高い音の例。ミソサザイのさえずりを中心としたコーラスです。耳にキンキンくる感じが、Ver3.0のほうが強くXのほうがまろやかに聞こえますが、いかがでしょうか。
 DR-05 Ver3.0

 DR-05 X

 いろいろな音の例。アカハラなどのコーラスです。近くで鳴くアカハラは同じに聞こえますが、遠くで鳴くカッコウがVer3.0の方が大きく聞こえるように思います。
 DR-05 Ver3.0

 DR-05 X

 Ver3.0とXは、外見では液晶の色とマイクの赤いラインが大きな違いです。その他、機能に差がでるほどの違いはありませんでした。音は、Ver3.0が大きな音で録音できて、Xの方が音がまろやかという違いを感じました。この違いは、わずかであり、人によって感じ方が違うかもしれないという差異だと思います。
 野鳥録音に必要な性能には大きな違いがないので、どちらを選んでもよろしいかと思います。1,000円安いことでVer3.0を選ぶことがあってよいかもしれません。ただ、2022年6月現在、どちらも品薄で入手難が続いています。とりあえず手に入る方を購入しても問題はないと思います。。

2022年6月24日 (金)

タスカムDR-05のVer3.0とXの違い-その1

 私がタスカムのDR-05を使っているのがわかると良くたずねられるのは「Ver3.0とXとは液晶の色以外、何が違うのか」です。
 たしかにDR-05は型番がいろいろあって、現行の機種でさえVer3.0とXがありわかりにくいし迷います。ネット通販では、2022年6月現在、Ver3.0が13,000円、Xが14,000円で、Xの方が1,000円くらい高い傾向にあります。
 写真を見ると、液晶の色がVer3.0はオレンジ色、Xは青白いと違いがわかります。いわば、電球と蛍光灯の色の違いがあるのですが、これ以外の違い、とくに音と録音機能に差があるのか知りたいところです。写真は、左がVer3.0、右がXです。
Display
 私のDR-05 Ver3.0は、電池蓋を失った上に思わぬ落下実験をしてしまい液晶にヒビが入ってしまいました。また、以前より怪しいノイズが入ることがあって、修理か買い換えを考えていました。この野鳥のシーズンに修理に出すのも憚れますし、それ以前に直るのか心配です。タスカムの山本さんに相談したところ「とりあえずデモ機を使っておいてください」と1台、貸していただきました。
 申し訳ないので、DR-05 Xをヨドバシの通販で購入いたしました。ということで、図らずもVer3.0とXの比較を行えることになりました。
 タスカムの山本さんによると、2機種の違いは「Xはインターフェースとしての機能があります。Web会議などでのUSBマイクとしてつかったり、ライブ配信などに使えます。」とのこと。Xは、メニューのなかにUSBの項目があり「オーディオI/F」でPCかMAC、サンプリング周波数、実行を選択することで、USBマイクとしての設定を行えるようようになっていました。写真は、USB設定のメニューです。
Menu
 この他、外見上の違いは、Xのマイクには赤いラインが入っています。
Mike
 USBの端子がVer3.0で はMini-B、XではMicro-B。マイクロSDスロットの蓋にVer3.0はマイクロSDのロゴが刻印されています、Xは何も書かれていないなどを違いを見つけました。
Usb
 いずれも機能に関わるものではありません。また、メニューのなかでタイマー録音を設定して最後の決定がVer3.0では中央のプレイボタン(▼1つ)ですが、Xでは早送りボタン(▼2つ)の違いがありました。2台を同時に使う場合、誤設定をしないように注意が必要です。この他、メニューは基本は同じですが、並びや言葉が微妙に違います。
 筐体は、並べても重ねても同じに見えます。ちなみに、重さはeneloop2本を入れてどちらも180gとなり、違いはありませんでした。
 液晶の色の違いから電池の持ち時間に差がありそうです。カタログには、44.1kHz、16bitの録音設定でエボルタ使用の場合どちらも17.5時間で同じ。eneloop使用でVer3.0が約15.5時間、Xは14.5時間とあり、Ver3.0が1時間長いことになっています。この差は微妙で、eneloopの鮮度によって10時間を超えると1時間くらいの誤差はでます。実際、2台をeneloopで使用してみて、電池の持ちに大きな差があるようには思えませんでした。(つづく)

 

2022年6月22日 (水)

タスカム Portacapture X8を使ってみた-追加 3

 タスカムのPortacapture X8(以下、X8)は、192kHz/32bitの高品位で録音できます。はたして野外での野鳥のコーラスをこの高品位で録音したらどうなるのか、今のシーズンならではの録音を試みました。
 その前に192kHz/32bitで録音した場合、バッテリーの持続時間を確認したいと思いました。マニュアルには、44.1kHz/24bitの持続時間は書かれていますが、高品位でいったいどのくらい持つのかの記述を見つけることはできませんでした。
 まず、本体に単三のeneloopを4本入れた場合の持続時間です。前回の48kHz/16bitでの録音では、eneloopの鮮度が影響する傾向がありましたので、なるべく新鮮なものを使っています。結果は、1時間38分でした。4G+4G+1.4G=9.4Gのデータとなりました。4G=41分となります。
 192kHz/32bitの録音では、おおよそ1G=10分、eneloop1本あたり2G、20分の録音ができると、考えておけばよろしいでしょう。
 48kHz/16bitでは、4Gのファイル+αでしたから、もうひとつ4Gのファイルまで録音できたことになります。それにしても、192kHz/32bitでの録音は容量とバッテリーを食います。
 今回、日光での録音は前回成績の良かった専用のバッテリーパックBP-6AAを装着いたしました。本体の4本に加えて6本、合計10本のeneloopから電力が供給されることになります。
 結果は3時間24分となりました。4Gのファイルが5つ、20Gのデータが録音されていました。ほぼ計算どおりです。
 録音機を設置したのは、午後4時50分です。そこから3時間24分、8時14分まで録音されていました。
 ということで早朝のコーラスにはとても間に合わないことになり、192kHz/32bitの高品位で録音しようと思ったら早起きしなくてはなりません。
 ただ、今回は野鳥のコーラスの最盛期、それだけに夕方のコーラスはボリューム感があり、聞き応えがあり録音しがいのある音となりました。
 アップした音源は、音源の一部を切り出しただけです。フェードイン、フェードアウトをしているだけです。
 高めの音の例、ホトトギスとアカハラを中心としたコーラス。

 低い音の例、カッコウ、アカゲラのドラミングの入ったコーラス。

 mp3に変換していますので高品位の意味があるのか疑問ですが、この程度は録れたとご理解いただければと思います。

2022年6月21日 (火)

ムクドリがいなくなった-日光

 日光からムクドリがいなくなりました。
 日光といえば、オオルリやキビタキの動向が気になる人が多いと思います。私のようにツバメ類やスズメ、ムクドリの増減が気になるのは、へそ曲がりだからかもしれません。
 ムクドリの減少は、かなり事件だと思うのですが、カウントデータがあるわけではないため印象からのお話しです。
 日光の名物、杉並木の最後はJR日光駅付近です。この杉並木は、ムクドリのコロニーになっています。スギの木に空いた洞を利用して巣作りをしたり、周辺の建物の隙間で繁殖しています。写真は、その杉並木です。右のほうにある白い建物でも、隙間をムクドリが出入りをしていました。

Nikoutown1

 この季節ならば、このように写真を撮ればムクドリが写るくらい多い頻度で飛んでいます。巣のある杉並木と餌場の大谷川との間をムクドリがさかんに行き来しているのです。ときに電線にとまって複雑な節でさえずったりしてくれて、ムクドリ観察には絶好の場所となっていました。
 また、10年ほど前まではムクドリに加えてコムクドリもいて、ムクドリとコムクドリの大きさや飛び方の違いを観察することができました。
 ところが、今年はムクドリの出入りがありません。時期的には、2番子の子育てのために出入りがあっても良いはずです。今回の2泊3日の日光では、わずか1羽のムクドリが飛んでいくのを見ただけです。コロナ禍の影響で、ここ2年間は日光行きの頻度が少なくなっています。そのため、ムクドリがいないことに気がついたのは今年になってからです。ここ2年の傾向がわかりませんが、減少は間違いないでしょう。
 コムクドリがいなくなったのが、ムクドリがいなくなる予兆だったのでしょうか。それとも、他の理由があるのでしょうか。
 そういえば、六義園のムクドリも減っています。

2022年6月19日 (日)

思わぬ事態ーアリが録音機の中に

 長時間録音やタイマー録音では、タヌキにイタズラされたり思わぬ事態に遭遇することあります。しかし、今回のようなことは予想もできませんでした。
 この梅雨の晴れ間をぬって、日光に2泊で行って参りました。昨夜と今日は雨予報でしたので、山に録音機を置くことができたのは1回だけ。それでも、渡りの遅いカッコウとホトトギスが加わったボリューム感のある野鳥のコーラスを録音することができました。
 今回は、タスカムのX8で高品位で長時間録音。機種による違いを実際の野鳥のコーラスで検証したいと思い、DR-05のバージョン3とXでタイマー録音を行いました。
 いつもの霧降高原の一隅に17日夕方、録音機を3台を置いてきました。前回は、前にササがあったので少しの風でササが鳴り、絶えずノイズのある音源となってしまいました。今回は、ヤマツツジの枝分かれをした地上1mほどの高さに3機種をのせて設置しました。
 翌日午前中に回収に行くと、録音機にアリがついているに気が付きました。その場で、かなりアリを払って帰宅。しかし、ふと気が付くと部屋の中をアリが歩いています。殺すのはかわいそうなので、紙に乗せては外に追い出します。ところが、これがキリがありません。昨晩だけで、100匹は追い出したでしょう。
 最初は、ジャマーのなかにアリが潜んでいるのかと思いましたがいません。試しに紙袋にX8を入れて置いたら、20匹ほどのアリがでてきました。写真で、見えるだけでも10匹のアリがいます。
Img_0398
 アリはX8の中に入っていたのです。DR-05の2台には、アリが入り込む隙間がありません。ところが、X8はキヤノンプラグ用に4つ大きな穴があいています。恐らく録音中は電池が放熱し、録音機が周辺に比べて暖かかったはずです。居心地の良い場所を見つけたとばかりに録音機のなかに侵入して来た可能性があります。
 ちょっと心配なのは、アリには蟻酸がありますから、基板などに影響を与えたら困ります。このプラグの大きな穴を塞ぐ方法をなんとかして考えないと、また同じことがまた起きそうです。

追記:X8のなかで、アリが死んでいるとも限りませんのでなかを開けて確認しました。マイクをはずし電池を出し、6ヶ所のネジをはずすと簡単に裏蓋がはずれます。なお。2ヶ所は滑り止めの穴の中にあります。
 エアブラシで、隙間を含めて掃除をすると2匹の死体が出てきました。アリなど虫に入られた時は、掃除が必要です。また、シーズンが終わったタイミングで裏蓋をはずし掃除をしたほうが良いかもしれません。ただし、自己責任でお願いします。

2022年6月15日 (水)

『雁の道をたずねて』-ご案内

 ヒヨ吉さんこと神戸宇孝さんより『雁の道をたずねて』をいただきましたので、ご紹介いたします。

P1120149

 ガンの仲間のカリガネを巡っての絵本です。
 かつては、たくさんいたカリガネですが、一時はマガンの群れのなかから1羽を見つけられたらラッキーというほどの珍鳥でした。私自身、出会いは数えるほどで、たぶん合計しても数羽のカリガネにしか会っていません。
 現在では、かなりの群れで見られるようになりました。このカリガネをめぐっての経緯から復活のきかっけとなった調査など、やさしく解説されています。
 もちろん、絵は神戸さんです。カリガネのいる風景がとても生き生きと描かれています。この他、文章は池内俊雄さん、構成は澤祐介さんです。発行は雁の里親友の会です。
 この本は助成金を受けて作成したため、一般には流通しません。こうした本を紹介するのは憚れます。しかし、ネットで検索してもタイトルが出てこないのは、この世に存在しないのと同じこと。まず、こうした本があることを知ってもらいたいと思い、ご紹介いたします。

2022年6月13日 (月)

イワツバメの変遷-日光

 イワツバメは、日光の名物でした.
 東武でもJRでも日光駅に着くと、最初に迎えてくれるのがイワツバメでした。また、現在の小杉放菴記念日光美術館にあった日光小学校はイワツバメのコロニーとなっていて、昭和32(1957)年12月20日に山階芳麿さんと中西悟堂さんが視察に訪れています。ちなみに、私の小学校の修学旅行でも、このコロニー見学がコースに入っていて日光小学校の子どもたちをうらやましく思ったものです。さらに、このイワツバメを巡って映画『五千羽のイワツバメ』(東映・1959)が制作され、当時小学生だった地元の知人はエキストラとして出演しています。
 私は1991年頃から日光に通って30年たちました。この間、日光のツバメ類は大きく変化しています。通いはじめた頃は、往年の繁栄のままに現在の日光小学校の校舎から学校の前の横断歩道橋まで巣がありました。東武、JRとも駅舎に巣があるのが普通でした。街を歩くと、消防署などしっかりした建物にはイワツバメの巣が並んでいたものです。さらに日光連山を越えた大笹牧場の牛舎にもイワツバメのコロニーがあり、夏空を飛び交うイワツバメの姿は日光では普通の風景でした。
 この頃、ツバメは少なく駅前の住宅に巣を構えている程度でした。
 イワツバメに変化が生じたのは、2002年です。東武日光駅でイワツバメが巣を懸けられないよう工事が行われました。下掲の写真は、3月17日に撮ったものです。

020317

 不思議なのは、この前の年からJR日光駅に隣接する10階建てのマンションで巣作りが始まりました。このマンションでのコロニーは数年続きました。しかし、マンションで改修工事が行われ繁殖期中の数ヶ月間、ネットで覆われることになりイワツバメは巣作りができなくなりました。
 この頃からイワツバメの減少が始まります。日光小学校や大笹牧場のコロニーはなくなり、街の中を飛ぶ数が減り、ときにイワツバメは見られず、ツバメだけという年もあったほどです。
 ただ、いろは坂を登った中禅寺湖のほとりのホテルなどでは、この頃でもコロニーは健在で、奥日光では普通に見られていたはずです。
 そして、今年2022年。イワツバメが復活して来た感があります。JR日光駅の駅舎や隣接するスペース=修学旅行の子どもたちが待機する屋根のある場所では、イワツバメとツバメが巣作りをしています。
 そして、下記のような看板まであって、かつて東武鉄道が行ったイワツバメの追い出し工事が行われることはなさそうです。

Img_0320

 わずか30年の経緯の観察にすぎませんが、鳥というものは変化するものだということをツバメ類を通じて実感いたしました。増減の要因はわかりません。しかし、少なくとも簡単に減った増えたと言えないことは間違いありません。

 拙ブログの関連記事です。 
 2013年7月27日の「イワツバメがいない-日光」
 http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2013/07/post-a2fb.html
 2013年6月28日の「日光のツバメ類が入れ替わった」
 http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2013/06/post-8de6.html

2022年6月12日 (日)

ハシブトガラスの巣立ち-六義園

 六義園からやっとハシブトガラスの幼鳥の鳴き声が聞こえてくるようになりました。
 過去の記録では、だいたい5月下旬に幼鳥の甘えた鳴き声が聞こえて来たのですが、およそ半月遅い巣立ちとなります。
 ここ2年間、コロナ禍のため六義園は閉園されていました。そのため、ハシブトガラスの繁殖状況を調べることができませんでした。今年はできると思ったのですが、巣の数の少なさに驚いています。繁殖の可能性のあったのは、今回巣立ちした巣と巣材運びが見られたほぼ反対側の場所の2ヶ所のみ。確実な繁殖の確認は、今回幼鳥の鳴き声が聞こえた1巣のみとなります。
 六義園では、ハシブトガラスの多かった2000年頃、毎年17~22個の巣が見つかりました。当時は、1つの巣を見上げると、その奥にもう1つ見えるというほどの密度でありました。
 それが、わずか1巣です。冬のネグラの調査でも、万単位のカラスが集まっていた目黒自然教育園のネグラが無くなったりしています。ハシブトガラスの繁殖状況も、同様に減少していることは間違いなさそうです。
 もしかしたら六義園最後の巣立ち雛になるかもしれない幼鳥の鳴き声です。タスカムDR-05で録音、ボリュームの増幅、1,000Hz以下の低音の軽減、ノイズリダクションをかけています。

2022年6月 5日 (日)

タスカム Portacapture X8を使ってみた-追加 2

 実際に録音したX8とDR-05の音源の比較です。いずれも48kHz/16bit、ステレオ、野鳥モードで録音しています。ほぼ同じ時刻の部分を切り出しました。フェードイン、フェードアウト以外の編集はしていません。ただし、wavからmp3に変換しています。 
 ノイズの少ないところでの録音です。メインはヒガラのさえずりです。ヒガラのさえずりは、4,400~5,200Hzにメインの音があり澄んだ音です。
 X8のヒガラの録音。

 DR-05のヒガラの録音。

 ヒガラのさえずりについては、音に違いがないように聞こえます。環境音の「ゴーッ」という音が、X8のほうが小さくDR-05のほうが大きく聞こえる違いを感じます。

 ノイズが大きめの環境での録音です。センダイムシクイがさえずっています。さえずりの音のメインは、「チヨチヨ」が3,000~6,000Hz、「ジー」が8,000Hzまで伸びています。ヒガラに比べて、濁った音で「ジー」は声紋がぼやけるほどの濁った音です。
 X8のセンダイムシクイの録音。

 DR-05のセンダイムシクイの録音。

 終わりの方で、アオバトが鳴いています。アオバトの鳴き声は、低いために環境のノイズに埋もれがちですが、X8はアオバトの声が比較してはっきり聞こえると思います。ノイズとのバランスの違いが、わかればと思います。

 X8の最高品位、192kHz/32bitで先日のカミナリを録音してみました。大きな音ですので爆音に注意してください。

 マニュアルモードで、録音ボリュームは30dbです。wavからmp3に変換していますので、果たして意味があるのか疑問ですが、参考のためにアップしておきます。

2022年6月 4日 (土)

タスカム Portacapture X8を使ってみた-追加 1

 X8のレビューを6回連載いたしました。複数の方から音についての感想が欲しいとのメールをいただきました。
 たしかにそのとおりで、音についての言及はさけてきました。というのは、音のとらえ方は人によって耳の形が違うように違って聞こえるはずで、評価はとても難しいのです。ですから、客観的な数字で表現したいのですが、あまり思いつきません。そのため表現が主観的にならざるをえず、果たして参考になるのか不安ですが、少しでもご希望に添えるように書いておきます。
 といって録音機で、音の善し悪しを避けることはできません。音の表現は難しいので、数字で表現できる部分とDR-05と比較できる範囲で、お伝えしたいと思います。
 カタログから読み取れる音の性能の一つにS/N比があります。S/N比は、S=signal、N=noise、単位はdbです。数値が大きいほど機種から出るノイズが少なく、その影響を受けにくいことになり、性能が良いということになります。
 X8のS/N比は、101dBです。ソニーの録音機を列記すると、PCM-D1が96dB以上、PCM-D100が100dB以上、PCM-D50が93dB以上。ちなみにDR-05は、92dB以上です。カタログには、いろいろ条件が書かれていますが、S/N比の項目にある数字を拾っています。
 3桁を超える録音機は少なく、X8はその少ない機種の一つとなります。また、DR-05はPCM-D50なみのS/N比で健闘していることがわかります。
 ただ、ノイズの多いの自然のなかで、S/N比の違いが分かるほどの音の差を感じることはないと思います。ここでは、S/N比が良いということは本体が立てるノイズの少ない機種であること、そしてメーカーが力を入れている機種であると言えます。
 日光での長時間録音では、比較のためDR-05をタイマー設定し並べて録音をしています。録音設定は、48kHz/16bit、ステレオ、録音ボリュームはX8は50db、DR-05は入力レベル90(フルボリューム)です。
 まず、環境音のノイズの大きさです。波形表示は、モノラルに変換、小鳥たちがさえずる直前のなにも鳴いていない10秒です。おそらく、現場では無音に聞こえる状態です。
 X8の波形です。

X8noise

 DR-05の波形です。

Dr05noise

 X8は-45db、DR-05は-33dbあたりで、DR-05のほうがノイズを拾っていることがわかります。録音機を山側に向けているので指向性のあるX8がノイズが少なく、無指向性のDR-05が反対側を流れる川の音を拾っているためだと思います。
 また、この部分をスペクトル表示させてると、DR-05のほうが全体に音があることを示す色がついていますが、X8ではその色がありません。環境のノイズの捉え方に違いがあることがわかります。ノイズの少ない方が目的の鳥の声がはっきりするわけで、X8のほうがクリアに聞こえていることになります。
 X8のスペクタクル表示です。

X8

 DR-05のスペクタクル表示です。

Dr05

 比較のついでにX8、DR-05ともノイズのパターンは均一です。ありがちなのが、パターンにムラがでることがあります。たとえば、OLYMPUSのLS-14では8~9kHz、11kHzが薄く10kHzが濃いというパターンが出ます。最初は、このようなノイズが環境にあるのかと思いましたが、どこで録音しても同じパターンなので、LS-14側の問題と判断いたしました。
 LS-14のスペクタクル表示。パターンにうっすらとムラがあるのがわかります。

Ls14noise

 X8はかなりシャープなステレオ感、言葉を変えると臨場感のある音が録れます。たとえば、ヘッドホンで編集していると「ガサッ」というノイズがしたことがあります。思わず、音のするほうを向いてしまいました。私の左後ろから聞こえたのです。最初は、後ろにある本棚から何か落ちた音かと思ったほどです。今まで音の編集をしていて、このようにだまされたことはありません。こうしたステレオ感は言葉を変えると臨場感であり、通販サイトのレビューでは、音に臨場感があると評価されていました(つづく)。

2022年6月 2日 (木)

『朝の小鳥』スタジオ収録-7月は天売島

 本日は、文化放送の『朝の小鳥』のスタジオ収録でした。
 おそらく東京からもっとも遠い探鳥地は、北海道の天売島でしょう。距離から行ったら西表島や小笠原のほうが遠いかもしれません。しかし、今まで各地を訪れていますが、交通の便や心理的なことを考えると天売がいちばん遠く感じます。
 それでも、過去に2回取材に訪れています。10年ほど前は、写真を撮りに行った人はいたので情報はそこそこありました、しかし、録音で訪れた人は希で情報はまったくといってありませんでした。これは、今も同じだと思います。
 ウトウポイントへの交通の便から、ノイズの状態、録音するために前もって知っておきたいことが山ほどありました。なんとか関西の録音仲間の方が天売に行ったことを知り、メールで情報をいただきました。クマはいないけれど、まっくらな中歩いて帰ってきて怖かったなど、コアな情報をいただき覚悟の上の天売来訪となりました。
 幸いにして、現地のガイドというか天売の主の寺沢孝毅さんに案内をお願いすることができました。解放されているウトウポイントに案内してもらい午後8時まで制限の範囲内で、録音できました。こうしたローカルルールは、現地に行って初めて知りました。これを無視して撮影している人もいて、寺沢さんにお会いすることがなければ恥をかくところでした。
 ただ、1回目は訪れたのが早かったため、ウトウの雛がまだ孵っておらず、雛の声は録れませんでした。
 2回目は、日光の仲間と来訪。今度は、私がガイド役を果たし雛の声も録れました。ただ、日没後ひとりで帰ったのですが、その心細いこと。ちょうどヤマシギが鳴く時刻で、クリアな録音ができるチャンスとなりました。何が怖いというのではありません。ただただ、1人で闇の迫る草原にたたずむだけで怖いのです。恐怖心とヤマシギの鳴き声を天秤にかけて、ヤマシギがかろうじて勝ちました。歯を食いしばって「せっかくもっとも遠い天売まで来たのだから、ここはがんばるところだ」と自分に何度も言い聞かせての録音でした。
 写真は、今まで体験したなかでもっとも美しい天売の朝焼けです。
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 そんな天売を思い出しながら、構成してみました。

2022年7月 放送予定
3日 ウトウ
10日 ノゴマ
17日 ハシブトガラ
24日 コヨシキリ
31日 ヤマシギ

 

 

2022年6月 1日 (水)

芝川第一調節池・再訪

 梅雨入り前の貴重な晴れ間を利用して、川口市にある芝川第一調節池を再訪しました。
 本日は、薄いベールのような雲が空に広がり暑さを遮ってくれました。ベールは、太陽も覆い日暈となって、とてもきれいでした。

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 先日の芝川では不明の声がいくつがあり、少しでも解明できればと思い再訪しました。まだ耳の健在なカミさんと歩くと「こっちで鳴いているのは何?」と言われても録音機を準備するうちに鳴きやんでしまいます。
 そのもどかしさの解消のため、簡単ながら作戦を練りました。不明の声の聞こえた3ヶ所で、私たちから10mほど離れたところにタスカムのDR-05を置いて稼働させておきます。
 私の手元には、YAMAHAのW24を置いてイヤフォンで聞くようにしました。いわば、W24を補聴器かわりにしての録音しながら聞いて鳴き声を確認するようにします。
 こうすると、たしかに高い声で鳴くセッカの声が聞こえます。遠くで鳴くカイツブリやオオバンも聞こえます。静かな湿地がたちまち、にぎやかな鳥の声に包まれているのがわかります。

Img_3820

 前回、気になったのはオオセッカらしいさえずりが聞こえたことです。しかし、かなり遠くて音としてとらえることはできませんでした。声のするほうを見れば、特有のディスプレイフライトの行動で見つけることができて確認できるはずです。
 ということでずいぶん粘ったのですが、結論としてはオオヨシキリのさえずりの断片がオオセッカの鳴き声に似ているための誤認の可能性大ということになりました。
 声紋で見ると音の高さがそっくりです。しかし、オオセッカはだんだん音が大きくなり多少尻上がりになります。しかし、オオヨシキリのさえずりの一部は平坦という違いがあり、聞き慣れれば区別できると思います。
 ひとつ謎が解明できました。そして、日に焼けて快い疲労感に包まれています。

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