バードウォッチングに補聴器をーその1
5年前、義弟が義父に補聴器を手配してあげたのは良いのですが、義父はとうとう使わずじまい。カミさんが使わないのならということで、私に廻ってきました。先日、購入したお店に行って、私のために調整しなおしてもらいました。
なにしろ、この補聴器は60万円したそうです。スワロフスキーとツァイスの双眼鏡を1台ずつも買える値段です。ですから、お店の人もていねいで、まず私の耳の検査からはじめ調整含めて1時間はかかりました。
ということで、バードウォッチングにおける補聴器の可能性について、考察してみたいと思います。
蒲谷鶴彦さんから補聴器の効果を聞いたことがあります。2000年頃で、先生はリオン製のセパレーツ型の補聴器を使っていました。これは、小さなマッチ箱くらいのマイク部分からイヤフォンのコードが長めに伸びていて聞くものです。普通は、マイク部分を胸のポケット入れて使用します。先生は、帽子に付けて使っていました。
今はこのタイプは見かけなくなりました。私も新宿のリオン社に行って購入しました。たしか、1万円くらいしたと思います。
リオンの補聴器を付けて日光の雑木林で、録音機を廻しながら聞いていました。当時の録音は、リッスンのパラポラとDAT録音機の組み合わせです。
しばらくして。ヤマドリの母衣打ちが聞こえました。母衣打ちは、このときが初めての録音で「やった!」という感じでした。ところが、かなり大きなスピーカーが付いている大型テレビ(画王)につないで確認すると母衣打ちは聞こえません。家に帰ってからPCからモニター用のスピーカーに流しても聞こえません。最後にアンプを通して、大型のオンキヨースピーカーに流すとやっと聞こえました。
間違いなく母衣打ちはあったことになり、大きなスピーカーで聞こえるような音が、小さな補聴器で聞こえたことに驚きました。
補聴器は「音の双眼鏡」とキャッチも考え、バードウォッチングに有効な機材と言えると思いました。ただ、この話をアウトドア雑誌の編集者にしたところ、それならば取材してみようということになりました。さっそくリオン社に行ったところ、取材拒否。補聴器を耳の悪い人のためのものであり、それ以外の目的での使用は推奨できないというつれない返事だったとのことでした。要するに、補聴器は薬事法で定められた医療機器のため、消費税のかからない「非課税対象商品」になります。医療行為ではないバードウォッチングで推奨され、非課税対象商品をはずされるようなことになると困るということのようでした。
しかし、耳の遠くなった高齢者のバードウォッチャーが、補聴器をバードウォッチングに使用することは、なんの問題もないはずで、多いに普及をはかりたいと思います。
コロナ前ですが、日本野鳥の会愛知県支部などでは、補聴器を使用した探鳥会を実施したこともあります。また、バードリサーチからもモニターの参加のお誘いがあったり、バードウォッチングや調査者の高齢化にともない、補聴器に関心を持つ人も増えてきたのも最近の傾向です。
まずは、ICレコーダーを補聴器替わりに使ってみることもお勧めします.YAMAHA W24やタスカムDR-05でも、イヤフォンでモニターしてみるとわかります。午前遅くの森は静かです。でも、こうしてモニターすると遠くでオオルリが鳴いているのが聞こえたり、近くでヤブサメが鳴いているのがわかります。補聴器とICレコーダーを比べてると、補聴器は低音の「ゴーッ」という音を調整して低減してあることが多いので、ICレコーダーのほうが低音のノイズが大きく聞こえるという違いがあります。(つづく)
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